映画「イニシエーション・ラブ」のあらすじ紹介と解説・考察をしています!
若い男女の恋愛の始まりと終わりを描いた伏線たっぷりの恋愛サスペンス。
キャスト&キャラクター紹介

©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会
鈴木(たっくん)…松田翔太、森田甘路
静岡での大学時代に人数合わせで誘われた合コンで繭子と出会った。
ダイエット前の鈴木が森田甘路、ダイエット後が松田翔太で話は進む。

©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会
成岡繭子…前田敦子
鈴木が一目ぼれした女性。
静岡市で歯科助手として働いている。

©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会
石丸美弥子…木村文乃
就職後、東京に転勤になった鈴木が職場で出会った同僚。
美人で気立ても良く、社内の男性陣から人気がある。
望月大輔(鈴木の友人、合コンメンバー)…森岡龍
北原鉄平(合コンメンバー)…矢野聖人
大石肇(合コンメンバー)…藤原季節
松本優子(合コンメンバー)…吉谷彩子
青島ナツコ(合コンメンバー)…松浦雅
渡辺和美(合コンメンバー)…八重樫琴美(Chubbiness)
松島ジュンコ(美弥子の後輩)…大西礼芳
日比まどか(美弥子の後輩)…佐藤玲
桑島課長(鈴木の上司)…山西惇
梵ちゃん(鈴木の同僚)…前野朋哉
濱辺部長(鈴木の上司)…木梨憲武(友情出演)
石丸詩穂(美弥子の母)…手塚理美(特別出演)
石丸広輝…(美弥子の父)片岡鶴太郎(特別出演)
天童太郎(劇団の演出家・美弥子の元彼)…池上幸平
ホテル受付…村岡希美
カップル男…夛留見啓助
カップル女…三浦葵
洋服屋の店員…小松美咲
DJの声…山寺宏一 ほか
映画『イニシエーション・ラブ』は〈U-NEXT〉でも配信中です!
※本ページの情報は2022年2月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
あらすじ起:繭子と鈴木の出会い
©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会
(sideA)
1987年7月10日、静岡市。
冴えないぽっちゃり大学生の鈴木(森田甘路)は、友人の望月に誘われて参加した合コンで、歯科助手の成岡繭子(前田敦子)に一目惚れしました。
しかし、奥手な鈴木は繭子にアプローチできず、その日は特に何事もなく終わります。
数週間後。鈴木は望月から「合コンメンバーで海に行かないか」と誘われ、繭子に会いたい一心でOKしました。
その日、鈴木は会話の流れで繭子の電話番号をゲットして喜びました。
その後、鈴木は勇気を振り絞って繭子に電話すると、繭子も合コンの時から鈴木を気になっていたと言い、金曜日の仕事終わりに2人で食事に行くことになりました。
金曜日。繭子が「もっとお洒落になって欲しい」と言うので、鈴木は服装や身なりに気を使い、大幅にイメチェンしました。
(繭子のために美容院に行く鈴木 ©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会)
さらに「免許と車があれば一緒に色々行けるのに」と言われ、教習所へも通い始めます。
繭子と鈴木は毎週金曜日に2人で食事に行くのが定番になり『たっくん』、『まゆちゃん』とあだ名で呼び合う仲になりました。
鈴木の下の名前は『夕樹(ゆうき)』でしたが、繭子いわく「『夕』の字がカタカナの『タ』に見えるから、たっくん」だそうです。
9月15日。再び合コンメンバーでテニスをすることになりました。
この時、鈴木は男性メンバーの北原と繭子が仲良さげなことに嫉妬してテニスどころではありませんでした。
帰りは繭子が北原に車で送ってもらうことになったので、鈴木は気が狂いそうになりました。
その日の夜。鈴木に繭子から電話があり「私もたっくんとナツコ(参加していた女子メンバー)に嫉妬してた」と明かします。
繭子に好かれていると確信した鈴木がその電話で告白すると、繭子はOKして2人は付き合うことになりました。
鈴木と繭子はその夜のうちに男女の仲にもなりました。
幸せの絶頂の鈴木に、繭子も「初めての相手がたっくんで嬉しい」と恥ずかしそうに語りました。
それから2人はデートを重ね、幸せな月日が流れます。
11月になると、繭子が「クリスマスは2人でディナーして、ホテルにも泊まれたら幸せだな~」とおねだりするので、鈴木は奮発して高級レストランとホテルを予約しました。
当時、人気のホテルは半年以上前から予約しないと厳しいはずでしたが、鈴木がダメもとでホテルに電話すると「先程たまたま1部屋キャンセルが出ました」と言われ、部屋をとることができました。
クリスマスイブ当日。
街にいた見知らぬカップルに「釣り合わない」と囁かれたのをきっかけに、鈴木はダイエットを決意します。
鈴木は繭子からプレゼントでもらったナイキのエアジョーダンを履き「まゆちゃんに似合う男になる!」と決意表明しました。
あらすじ承:鈴木と繭子と美弥子
(引用:https://bibi-star.jp)
(sideB)
6月。社会人になった鈴木(松田翔太)は見事ダイエットに成功していました。
大学生当時、鈴木は東京の大手企業に就職が決まっていましたが、繭子のため東京に行くのをやめてに静岡の会社に就職し、仕事も恋も順調でした。
そんなある日、鈴木は同期の海藤(三浦貴大)と一緒に最長3年間、東京の関連会社への出向を命じられました。
7月から鈴木は東京へ行き、繭子とは遠距離恋愛になります。
週一で会うペースを崩したくなかった鈴木は毎週末、東京から静岡まで車を飛ばして繭子とデートを重ねました。
そんな中、鈴木は東京の出向先で同い年の石丸美弥子(木村文乃)と出会いました。
美弥子がまぶしいほどの美人だったので、鈴木は「これが東京か…」と感心しました。
その後、鈴木が美弥子の仕事を助けたことがきっかけで2人は仲良くなり、ちょくちょく2人きりでランチする仲になりました。
鈴木と同い年の美弥子は大人っぽく姉御肌で、性格的に繭子とは正反対でした。
鈴木は美弥子に惹かれてしまう自分をいましめながらも、自然と美弥子と繭子を比較するようになっていきました。
8月のある週末。繭子がデート中に「生理が来ない」と告白し、鈴木は動揺します。
少し考えてから「妊娠してたら結婚するか?」とプロポーズしてみますが、繭子は「妊娠したから結婚って、なんか違う気がする…」とうつむきました。
繭子はそれっきり妊娠について何も言わないので、真相を聞くのが怖かった鈴木は、あえて自分からも何も聞きません。
2人は明らかにぎこちなくなり、それからしばらくは週末デートもなくなり、電話だけで連絡を取っていました。
そんなある日の平日。鈴木は美弥子から突然告白されます。
鈴木は繭子の存在は明かさず「今は考えられない」と断りました。
それから、鈴木はだんだん美弥子に気持ちが傾いていきます。
繭子とはあれから一度だけ直接会ったものの、妊娠の件にはお互いに触れませんでした。
8月下旬。鈴木と繭子は意を決して産婦人科に行き、繭子は妊娠3か月だと告げられます。
鈴木はどうすれば良いかわからず、とりあえず繭子のアパートに帰りました。
鈴木は繭子の部屋に入ってすぐ、机の上に高価そうなハードカバーの本が数冊置いてあるのを見つけると、急に怒りがこみ上げてきました。
鈴木は繭子のための交通費だのデート代だのでいつも金欠だったのに、繭子が贅沢しているように見えたからです。
鈴木は本をなぎ倒し、繭子を怒鳴りつけてそのまま東京に帰ってしまいました。
東京の寮に戻ると、鈴木はすぐに繭子に電話をかけて「子どもは堕ろそう」と伝えました。
繭子は返事をせず、電話越しにすすり泣いていました。
9月。繭子は子どもを堕ろしました。
外で待っていた鈴木は、病院から出てきて泣く繭子をそっと抱きしめました。
この時から、鈴木は繭子と2人で同じ罪を背負ったように感じるようになりました。
数日後の夜。美弥子と2人で飲みに行った鈴木は、そこで再び美弥子から告白されます。
鈴木はようやく「俺、彼女いるから…」と気まずそうに答えると、美弥子は鈴木が今の彼女にあまり気持ちがないと察して「本当に好きでもないのに『いい加減にしたくないから』って理由で付き合い続けてるんだとしたら、その子が可哀そう」と批判します。
鈴木は、自分でもわからなかったモヤモヤした気持ちを言い当てられたような気がしました。
美弥子は続けて「あなたと彼女の関係が『イニシエーションラブ』なら、私にもまだ希望はあると思ってる」と打ち明けました。
『イニシエーション』は通過儀礼という意味で、それは『子どもから大人へ成長するために経験する終わりのある恋』という意味です。
美弥子の言葉に、鈴木は妙に納得しました。
バーからの帰り、鈴木と美弥子は肉体関係を持ち、浮気が始まりました。
あらすじ転:美弥子との浮気
(バーで話す鈴木と美弥子 ©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会)
美弥子が「私は『遊び』で良いから」と言ってくれるので、鈴木にとって美弥子は無条件で愛をくれるような心地よい存在でした。
時間が経つにつれて、繭子と美弥子のどちらが本命なのかわからなくなっていきました。
同時に、美弥子と浮気が始まってから、鈴木の繭子への態度はいい加減になりました。
会うペースも毎週だったのが月2回になり、毎週末を繭子と美弥子と交互に過ごすようになりました。
やがて繭子と居る時は疲れた素振りを見せたり、けだるそうにします。
そんな鈴木の変化に繭子は気付いていたものの、気付かないふりをして明るくふるまっていました。
10月末。
鈴木は間違えて繭子を「美弥子」と呼んでしまいます。
追い詰められた鈴木は逆切れし、今まで抱えていた不満(遠距離になってから繭子が一度も東京に来ていないことなど)をぶつけると、何も答えない繭子に一方的に別れを告げて東京に帰りました。
2人はそのまま連絡を取ることもなく、11月中旬には鈴木が以前、繭子にプレゼントしたルビーの指輪が別れの印として郵送されてきました。
それから鈴木は美弥子とちゃんと付き合い始めて、繭子のことを考える時間は日に日に減っていきました。
クリスマスが来週に迫った12月のある平日。
美弥子から「クリスマスは私の両親と会ってほしい」と告げられます。
鈴木は面倒臭がりながらも了承し、クリスマスは美弥子の実家で過ごすことになりました。
数日後。飲み会で酔って帰った鈴木は美弥子に電話しようとして、間違えて繭子の番号にかけてしまいました。
電話口から繭子の声が聞こえたので驚いて固まっていると、繭子は「たっくん?」と聞きました。
鈴木は急いで電話を切りましたが、その瞬間から繭子のことが頭から離れなくなりました。
あらすじ結
クリスマス当日。鈴木は美弥子の実家で昼食を食べた後、部屋に置いてあった指輪を見て、また繭子を思い出しました。
鈴木は『別れたことをまだ繭子は理解していないんじゃないか』、『もしかしたら今頃、キャンセルしたホテルの前で俺を待っているんじゃないか』という考えが頭から離れなくなり、気が付いたら美弥子の実家を飛び出して繭子と過ごす予定だった静岡のホテルへ車を飛ばしていました。
その日の夜、鈴木がホテルの前に着くと、繭子はそこに立っていました。
『愛』を確信した鈴木は笑顔で彼女の元へ駆け寄ろうとしたとき、男とぶつかって転びました。
すると、繭子は「も~、たっくん!」と言いながら、鈴木がぶつかったもう一人の男の方へ駆け寄ります。
状況が呑み込めず固まっていると、鈴木の存在に繭子も気付いて固まりました。
鈴木がぶつかった男は『鈴木ユウキ』、東京から静岡へ繭子へ会いに来た男は『鈴木タツヤ』でした。
2人の『たっくん』は全くの別人で、タツヤは繭子の元カレ、ユウキが今の彼氏でした。
タツヤと繭子は、ユウキと繭子が出会うよりも前の1986年の4月に合コンで出会い、1987年の10月まで付き合っていました。
ユウキと繭子が出会ったのは1987年の7月で、付き合い始めたのは同じ年の9月からでした。
タツヤが美弥子と浮気していた頃、繭子もユウキと浮気し始めて、タツヤからユウキに乗り換えたのです。
2人の男を「たっくん」と呼ぶ繭子を見て、ユウキも色々と察して表情が変わりました。
繭子はタツヤを見つめ、可愛げに首をかしげます。
映画『イニシエーション・ラブ』は〈楽天TV〉で見られます!月額利用料無し、単品レンタル可能です。
※このページの情報は2022年4月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。
解説、考察や感想など
張られていた伏線を気付けただけ拾っていきます。
時系列がバラバラになっていると思いますが、
出来るだけわかりやすく書いていこうと思います。
sideA、Bに分けられていた理由
物語はsideAというタイトルで始まり、中盤からのダイエットに成功した鈴木が松田翔太へ変わる際にsideBへと変わります。
なぜA、Bなどと分ける必要があるのか疑問でしたが、わかった後になるとこれも大きな伏線だったことがわかります。
鈴木(たっくん)が同一人物ではなかったから分かれていたのです。
ルビーの指輪
(指輪をはめている繭子の手 引用:http://claif.blog.fc2.com)
ユウキと繭子が初めて出会った合コンで、繭子は「自分で買った」と言ってルビーの指輪をしていました。
本当は、これはタツヤからプレゼントされたものです。
後に繭子は「指輪をなくした」とユウキに語りますが、本当は指輪はタツヤに返しています。
繭子がデートをキャンセルした理由
繭子がユウキと付き合う前、一度デートの約束を「体調不良」でキャンセルします。
後に、繭子はユウキに「ひどい便秘だった」と笑いながら話していますが、本当はタツヤとの子どもを堕ろした直後で、まだ体調が万全ではなかったからです。
個人的には、ユウキに不安を与えないためのウソとは言え堕ろした子どもを排泄物に例えるような表現はやめて欲しいと思いました。
また、繭子が妊娠したかもしれないことをタツヤに打ち明けたとき、タツヤは喜んだりすることなく、ただ動揺していました。
この反応を見た時、繭子は完全にタツヤと結婚する気をなくしたのでしょう。
タツヤのプロポーズを断り、この数週間後に繭子はユウキと付き合い、二股を始めています。
繭子はタツヤとは自然消滅か、向こうから別れ話が来るのを待っていたと思われます。
『アインシュタインの世界』
ユウキが初めて繭子の部屋に入った時、本棚を見て『アインシュタインの世界』という理系の本があるのを見て驚いています。
繭子は適当にごまかしていましたが、これはタツヤが繭子に勧めて借していた本です。
ユウキと繭子の初夜
ユウキと繭子は付き合うことを決めた直後にHしています。
事後、繭子は「初めての相手がたっくんで良かった!」とこぼしていますが、これも繭子のウソで、伏線です。
タツヤともまだ別れていないし、繭子はその時が初体験だったわけではありません。
カニ
繭子がカニを持ってユウキとはしゃぐシーンがあります。
このカニは元々タツヤと食べるために繭子が準備していたものですが、タツヤが食べずに帰ってしまったため、ユウキと食べています。
ホテルの予約
11月に「クリスマスは一緒にディナーしてホテルに泊まりたい」と繭子がおねだりし、ユウキはダメ元でホテルに電話します。
するとホテルの係は「ついさっきキャンセルが出たばかりです」と告げ、あっさりホテルの予約をとることができました。
終盤にわかりやすく描かれますが、このキャンセルが出た部屋は、元はタツヤが予約していた部屋でした。
この頃タツヤと繭子は完全に破局して、タツヤはホテルの予約をキャンセルしました。
その直後にユウキが電話をしたので、部屋をとることができます。
部屋が取れたと聞いた繭子は「どこかに失恋したカップルがいたんだ~」と言います。
繭子は、タツヤが部屋をキャンセルしたタイミングは知らないはずなので、繭子にとっては偶然出た言葉ですが『失恋したカップル』とは彼女自身のことを指しています。
次のページに続きます!
感想などお気軽に(^^)