映画「イニシエーション・ラブ」ネタバレ解説|伏線回収と浮気の理由考察 | 映画の解説考察ブログ

映画「イニシエーション・ラブ」ネタバレ解説|伏線回収と浮気の理由考察

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ミステリー

映画「イニシエーション・ラブ」のあらすじ紹介と解説・考察をしています!
伏線とミスリード描写を気づいた限り拾いました。

鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください(_ _)

イニシエーション・ラブ

制作年:2015年
本編時間:110分
制作国:日本
監督:堤幸彦
脚本:井上テテ
原作小説:『イニシエーション・ラブ』乾くるみ 著

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キャスト&キャラクター紹介

イニシエーションラブ
©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会

鈴木(たっくん)…松田翔太森田甘路
静岡での大学時代に人数合わせで誘われた合コンで繭子と出会った。
ダイエット前の鈴木が森田甘路、ダイエット後が松田翔太で話は進む。

 

イニシエーションラブ

©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会
成岡繭子前田敦子
鈴木が一目ぼれした女性。
静岡市で歯科助手として働いている。

 

イニシエーションラブ
©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会
石丸美弥子木村文乃
就職後、東京に転勤になった鈴木が職場で出会った同僚。
美人で気立ても良く、社内の男性陣から人気がある。

 

海藤浩二(鈴木の同僚)…三浦貴大
望月大輔(鈴木の友人、合コンメンバー)…森岡龍
北原鉄平(合コンメンバー)…矢野聖人
大石肇(合コンメンバー)…藤原季節
松本優子(合コンメンバー)…吉谷彩子
青島ナツコ(合コンメンバー)…松浦雅
渡辺和美(合コンメンバー)…八重樫琴美(Chubbiness)
松島ジュンコ(美弥子の後輩)…大西礼芳
日比まどか(美弥子の後輩)…佐藤玲
桑島課長(鈴木の上司)…山西惇
梵ちゃん(鈴木の同僚)…前野朋哉
濱辺部長(鈴木の上司)…木梨憲武(友情出演)
石丸詩穂(美弥子の母)…手塚理美(特別出演)
石丸広輝…(美弥子の父)片岡鶴太郎(特別出演)
天童太郎(劇団の演出家・美弥子の元彼)…池上幸平
ホテル受付…村岡希美
カップル男…夛留見啓助
カップル女…三浦葵
洋服屋の店員…小松美咲
DJの声…山寺宏一 ほか

あらすじ起:繭子と鈴木の出会い

イニシエーションラブ

©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会

(sideA)
1987年7月10日、静岡市。
冴えないぽっちゃり大学生の鈴木(森田甘路)は、大学の同期に誘われて参加した合コンで歯科助手の成岡繭子(前田敦子)に一目惚れしました。
しかし、奥手な鈴木は繭子にアプローチできず、その日は何事もなく終わります。

数週間後。鈴木は「この前の合コンメンバーで海に行かないか」と誘われ、繭子に会いたい一心で参加しました。
その日、鈴木は会話の流れで繭子の電話番号をゲットして喜びました。

その後、鈴木は勇気を振り絞って繭子に電話すると、繭子も鈴木を気になっていたと言い、週末に2人で食事に行くことになりました。

週末の初デートで、繭子が「もっとお洒落になって欲しい」と言うので、鈴木は服装や身なりに気を使うようになり大幅にイメチェンしました。

イニシエーションラブ

繭子のために美容院に行く鈴木 ©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会

さらに「免許と車があれば一緒に色々行けるのに」と言われ、教習所へも通い始めます。
その後も繭子と鈴木はデートを重ねて『たっくん』『まゆちゃん』と呼び合う仲になりました。
鈴木の下の名前は『夕樹(ゆうき)』でしたが、繭子いわく「漢字の『夕』がカタカナの『タ』に見えるから、たっくん」だそうです。

9月15日。再び合コンメンバーでテニスをすることになりました。
この時、鈴木は男性メンバーの北原と繭子が仲良さげなことに嫉妬してテニスどころではありませんでした。
帰りは繭子が北原に車で送ってもらうことになり、鈴木は気が狂いそうになりました。

その日の夜。繭子から鈴木に電話があり、繭子に好かれていると確信した鈴木はその電話で告白すると、繭子はOKして付き合うことになりました。
2人はその夜のうちに男女の仲にもなり、繭子は「初めての相手がたっくんで嬉しい」と恥ずかしそうに語りました。

それから2人はデートを重ね、幸せな月日が流れます。
11月になると、繭子が「クリスマスはディナーしてホテルにも泊まりたい」と言うので、鈴木は奮発して高級レストランとホテルを予約しました。

当時、人気のホテルは普通なら半年以上前から予約しないと厳しいはずでしたが、鈴木がダメもとでホテルに電話すると「先程たまたま1部屋キャンセルが出ました」と言われて部屋をとることができました。

クリスマスイブ当日。
街にいた見知らぬカップルに「釣り合わない」と囁かれたのをきっかけに、鈴木はダイエットを決意します。
鈴木は繭子からのクリスマスプレゼントのナイキのエアジョーダンを履き「まゆちゃんに似合う男になる!」と決意表明しました。

 

あらすじ承:鈴木と繭子と美弥子


(引用:https://bibi-star.jp

(sideB)
6月。社会人になった鈴木(松田翔太)は見事ダイエットに成功していました。
大学生当時、鈴木は繭子のために東京の大手企業に就職を蹴って静岡の会社に就職しています。

そんなある日、鈴木は同期の海藤(三浦貴大)と一緒に最長3年間、東京の関連会社への出向を命じられました。
7月から鈴木は東京へ行き、繭子とは遠距離恋愛になります。
週一で会うペースを崩したくなかった鈴木は毎週末、東京から静岡まで車を飛ばして繭子とデートを重ねました。

そんな中、鈴木は東京の出向先で同い年の石丸美弥子(木村文乃)と出会いました。
美弥子がまぶしくなるほど美人だったので、鈴木は「これが東京か…」と感心しました。

その後、鈴木と美弥子は徐々に仲良くなり、たまに2人きりでランチする仲になりました。
美弥子は大人っぽく姉御肌で、性格的に繭子とは正反対でした。
鈴木は美弥子に惹かれてしまう自分をいましめながらも、自然と美弥子と繭子を比較するようになっていきました。

8月のある週末。繭子が「生理が来ない」と告白し、鈴木は動揺します。
少し考えてから「妊娠してたら結婚するか?」とプロポーズしてみますが、繭子は「妊娠したから結婚って、なんか違う気がする…」とうつむきました。

その後、繭子は妊娠について何も言わないので、真相を聞くのが怖かった鈴木はあえて自分からも聞きませんでした。
2人は明らかにぎこちなくなり、それからしばらくは週末デートもなくなり電話だけで連絡を取っていました。

そんなある日の平日。鈴木は美弥子から突然告白されます。
鈴木は恋人がいることは言わず「今は考えられない」と断りました。
それから、鈴木は本格的に美弥子に気持ちが傾いていきます。

8月下旬。鈴木と繭子は産婦人科に行き、繭子は妊娠3か月だと告げられます。
鈴木はどうすれば良いかわからず、とりあえず繭子のアパートに帰りました。

鈴木は繭子の部屋に入ってすぐ、机の上に高価そうな本があるのを見つけて急に怒りがこみ上げてきました。
鈴木は繭子のための交通費やデート代でいつも金欠なのに、繭子が贅沢しているように見えたからです。

鈴木は本をなぎ倒し、繭子を怒鳴りつけてそのまま東京に帰ってしまいました。
東京の寮に戻ると同時に鈴木は繭子に電話をかけて「子どもは堕ろそう」と伝えました。
繭子は返事をせず、電話越しにすすり泣いていました。

9月。繭子は子どもを堕ろしました。
この時から、鈴木は繭子と同じ罪を背負ったと感じるようになりました。

数日後の夜。美弥子と2人で飲みに行った鈴木は、そこで再び美弥子から告白されます。
鈴木が恋人がいることを打ち明けると、美弥子は鈴木が今の恋人とうまくいっていないことを察して「あなたと恋人の関係が『イニシエーションラブ』なら、私にもまだ希望はあると思ってる」と答えました。
『イニシエーション』は通過儀礼という意味で、それは『大人に成長するために経験する終わりのある恋』という意味です。
美弥子の言葉に、鈴木は妙に納得しました。

バーからの帰り、鈴木と美弥子は肉体関係を持ち、浮気が始まりました。




あらすじ転:美弥子との浮気

イニシエーションラブ

バーで話す鈴木と美弥子 ©2015「イニシエーション・ラブ」製作委員会

鈴木にとって美弥子は無条件で愛をくれるような心地よい存在でした。
時間が経つにつれて、鈴木は繭子と美弥子のどちらが本命なのかわからなくなっていきました。
同時に、浮気が始まってから鈴木の繭子への態度はいい加減になります。
会うペースも毎週だったのが月2回になり、毎週末を繭子と美弥子と交互に過ごすようになりました。

そんな鈴木の変化に繭子は気付いていたものの、気付かないフリをして明るくふるまっていました。

10月末。鈴木は間違えて繭子を「美弥子」と呼んでしまいます。
追い詰められた鈴木は逆切れし、今までの不満(繭子が一度も東京に来ないことなど)をぶつけると、一方的に別れを告げて東京に帰りました。

2人はそのまま連絡を取ることもなく、11月中旬には鈴木が繭子にプレゼントしたルビーの指輪が郵送されてきました。
それから鈴木は美弥子とちゃんと付き合い始め、繭子のことを考える時間は日に日に減っていきました。

クリスマスが来週に迫った12月のある平日。
美弥子から「クリスマスは私の両親と会ってほしい」と頼まれます。
鈴木は面倒臭がりながらも了承し、クリスマスは美弥子の実家で過ごすことになりました。

数日後。酔っぱらって帰った鈴木は美弥子に電話しようとして、間違えて繭子の番号にかけてしまいました。
受話器から不意に繭子の声がしたので、鈴木は焦って無言で電話を切りましたが、その瞬間から繭子のことが頭から離れなくなりました。

 

あらすじ結

クリスマス当日。鈴木は美弥子の実家で昼食を食べた後、部屋に置いてあった指輪を見て繭子を思い出しました。

鈴木は『繭子はまだ別れたと思ってないんじゃないか』、『今頃キャンセルしたホテルの前で俺を待っているんじゃないか』という考えが頭から離れなくなり、気が付いたら美弥子の実家を飛び出して繭子と過ごす予定だった静岡のホテルへ車を飛ばしていました。

その日の夜、鈴木がホテルの前に着くと、繭子はそこに立っていました。
鈴木が笑顔で繭子のところに行こうとしたとき、小太りの男とぶつかって転びました。
すると、繭子は「たっくん!」と言いながら、鈴木がぶつかった男の方へ駆け寄ります。

鈴木がぶつかった男は『鈴木ユウキ』、東京から静岡へ繭子へ会いに来た男は『鈴木タツヤ』でした。
2人の『たっくん』は全くの別人で、タツヤは繭子の元カレ、ユウキが今の彼氏でした。

時系列を整理すると、タツヤと繭子の出会いから別れまでが1986年4月頃〜1987年の10月、
ユウキと繭子が出会ったのは1987年の7月で、付き合い始めたのは同じ年の9月からでした。

2人の男を「たっくん」と呼ぶ繭子を見て、ユウキも色々と察して表情が変わりました。
繭子はタツヤを見つめ、可愛げに首をかしげます。




解説、考察や感想など

張られていた伏線を気付けただけ拾っていきます。
時系列がバラバラになっていると思いますが、
出来るだけわかりやすく書いていこうと思います。

sideA、Bに分けられていた理由

物語はsideAというタイトルで始まり、中盤からのダイエットに成功した鈴木が松田翔太へ変わる際にsideBへと変わります。
なぜA、Bなどと分ける必要があるのか疑問でしたが、わかった後になるとこれも大きな伏線だったことがわかります。
鈴木(たっくん)が同一人物ではなかったから分かれていたのです。

ルビーの指輪


(指輪をはめている繭子の手 引用:http://claif.blog.fc2.com

ユウキと繭子が初めて出会った合コンで、繭子は「自分で買った」と言ってルビーの指輪をしていました。
本当は、これはタツヤからプレゼントされたものです。
後に繭子は「指輪をなくした」とユウキに語りますが、本当は指輪はタツヤに返しています。

 

繭子がデートをキャンセルした理由

繭子がユウキと付き合う前、一度デートの約束を「体調不良」でキャンセルします。
後に、繭子はユウキに「ひどい便秘だった」と笑いながら話していますが、本当はタツヤとの子どもを堕ろした直後で、まだ体調が万全ではなかったからです。
個人的には、ウソとは言え堕ろした子どもを排泄物に例えるような表現はやめて欲しいと思いました。

また、繭子が妊娠したかもしれないことをタツヤに打ち明けたとき、タツヤはただただ動揺していました。
この反応を見た時、繭子は完全にタツヤと結婚する気をなくしたのでしょう。
タツヤのプロポーズを断り、この数週間後に繭子はユウキと付き合い、二股を始めています。
繭子はタツヤとは自然消滅か、向こうから別れ話が来るのを待っていたと思われます。

 

『アインシュタインの世界』

ユウキが初めて繭子の部屋に入った時、本棚を見て『アインシュタインの世界』という理系の本があるのを見て驚いています。
繭子は適当にごまかしていましたが、これはタツヤが繭子に勧めて借していた本です。

 

ユウキと繭子の初夜

ユウキと繭子は付き合うことを決めた直後にHしています。
事後、繭子は「初めての相手がたっくんで良かった!」とこぼしていますが、これも繭子のウソで、伏線です。
タツヤともまだ別れていないし、繭子はその時が初体験だったわけではありません。

 

カニ

繭子がカニを持ってユウキとはしゃぐシーンがあります。
このカニは元々タツヤと食べるために繭子が準備していたものですが、タツヤが食べずに帰ってしまったため、ユウキと食べています。

 

ホテルの予約

11月に「クリスマスは一緒にディナーしてホテルに泊まりたい」と繭子がおねだりし、ユウキはダメ元でホテルに電話します。
するとホテルの係は「ついさっきキャンセルが出たばかりです」と告げ、あっさりホテルの予約をとることができました。

終盤にわかりやすく描かれますが、このキャンセルが出た部屋は、元はタツヤが予約していた部屋でした。
この頃タツヤと繭子は完全に破局して、タツヤはホテルの予約をキャンセルしました。
その直後にユウキが電話をしたので、部屋をとることができます。
部屋が取れたと聞いた繭子は「どこかに失恋したカップルがいたんだ~」と言います。
繭子は、タツヤが部屋をキャンセルしたタイミングは知らないはずなので、繭子にとっては偶然出た言葉ですが『失恋したカップル』とは彼女自身のことを指しています。

次のページに続きます!




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