「崖の上のポニョ」ネタバレ解説|ポニョのその後、全員死亡説など考察 | 映画の解説考察ブログ - Part 2

「崖の上のポニョ」ネタバレ解説|ポニョのその後、全員死亡説など考察

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嵐の後の世界=死後の世界説


(引用:https://wallhere.com

ポニョが起こした嵐で島が海に飲み込まれて、翌日には宗介の家以外はすべて海に沈んだ状態になっています。
嵐の翌日の世界は、まさに『死後の世界』そのものに見えます。
宗介とポニョが船で出てから最初に出会った、赤ちゃん連れの夫婦のお母さんが「避難した」と言っているのにやけにお洒落だったり、
その後に会った大人たちも、呑気に宗介とポニョを応援しています。
ちなみに、赤ちゃん連れの夫婦のシーンは、今まで他人のことは考えず自分の願望に忠実に行動していたポニョが、他者に対する思いやりを持つようになっているので、子どもは成長の早さと同じ位、精神的な成長も早いことを表現している場面だったように思えます。

話を戻して死後の世界に関して、極めつけは『ひまわりの家』の老婦人たちが歩けるようになり「あの世も良いわね」というニュアンスの発言をしていたことです。
「自分はもう死んでいるんじゃないか」と勘違いすることは、あり得ないと思っていた出来事が実際に起きたときに思ったり、よく使われる表現ではありますが、歩けなかった老人が走りまわれるまでになるというのは、一応魔法の力という理由付けはありますが、死後の世界だと思ってしまいますよね。
走り回れるのがひまわりの家にいた人たち(グランマンマーレの魔法で守られていた範囲)だけならまだわかりますが、フジモトから逃げて東屋に居たトキさんも何気に歩いていましたし。

本作のプロデューサーである鈴木敏夫氏は、本作を「生と死の物語」ともコメントしていたので、嵐の後の世界=死後の世界という解釈で間違っていないんだと思います。

「生」を表していたのは、宗介とポニョがトンネルに入ってからの部分になると思われます。
トンネルは一般的には産道の暗喩ですが、その後に行くクラゲで囲まれた海の中のひまわりの家が子宮を連想させるので、ここではトンネルは卵管だと考えるのが妥当かなと思います。
そしてひまわりの家から出てきた後が、生まれ変わった宗介たちということになり、それを顕著に表していたのが歩けるようになった老婦人たちだと思います。

本作は子供向けの絵本と同じように、子どもにとっては理屈や論理抜きで、ただ「海の世界」や「宗介とポニョをの冒険」を楽しむための作品としても作られている一方で、死後の世界を描いている作品でもあるようです。
なので、嵐の後の世界は理由付けをすると死後の世界に見えますし、実際にそう見えるように作られたものですが、論理的なことを取っ払うと『理屈抜きのファンタジー』にも見えるので、深い意味はわからないような年齢の子どもにも楽しめるように意図して作られたもののようです。
ダークファンタジーの面もあり、純粋に可愛いお話に見える面もある不思議な作品です。




フジモトの計画はどうなった?


(魔法の液体の便を持つフジモト 引用:https://twitter.com

ポニョの父親フジモトが金庫の中の井戸に魔法の液体をためて「これがいっぱいになれば海の時代が来る」という発言をしていました。
フジモトは人間の時代を終わらせて、海の時代を再来させることを目指して魔法の液体を日々精製していたようです。
これは、フジモトが地球の支配を企む悪役であり、この計画が物語の核をなしているかのような印象も受けてしまうシーンですが、実は違います。
このシーンは恐らく、ポニョが人間に変身するための動機付け(強力な魔法で人間に変わる力を得る)として組み込まれたのであって、物語の核ではないです。

フジモトが溜めていた液体はポニョが海に拡散してしまい、計画は中途半端に遂行されて失敗しています。
この液体の効果についてはほとんど語られませんが、強力な魔法の力(時間をデボン紀まで遡らせる力)があったんだと思われます。
魔法で強制的に時間を遡って、人間が地球を汚した過去を無かったことにするしか地球環境を元の状態に戻す方法が無かったのかもしれません。

 

巨大な月について

島が月に近づいている(月が大きくなっている)場面もチラッと出てきてフジモトが慌てていますが、月に関しては説明がなさ過ぎて考察のしようがあまりないです。
月に近づいている→島の住民があの世に近づいている→宗介がポニョと一緒にグランマンマーレに会う→死を回避した(もしくは生まれ変わった)と私は解釈しています。

 

ポニョの本名ブリュンヒルデの由来とポニョのその後

ポニョの本名である『ブリュンヒルデ』という名前は、北欧神話に登場する戦の神の1人であるブリュンヒルデ(ブリュンヒルド)から来ています。
ブリュンヒルデの神話をざっくり紹介します。

ブリュンヒルデは人間同士の戦争に現れて、死んだ兵士の魂を別世界にある神様の戦場に連れていく役割を担っていました。
ある日、ブリュンヒルデは人間の男性と恋に落ちて結婚の約束をしますが、男性は王族の人間に薬を盛られて記憶喪失になり、記憶が戻らないまま国王の妹と結婚してしまいます。

その後、国王が「ブリュンヒルデを妻に欲しい」と言いだして、男は国王に協力してブリュンヒルデと国王は結婚します。
男が記憶喪失になっていることを知らないブリュンヒルデは権力欲しさに裏切られたと思い、国王をそそのかして男を処刑してしまいます。

その後、真相を知ったブリュンヒルデは絶望し、男を火葬している炎に飛び込んで自殺したという話です。

かなりざっくりしか書いていませんが、詳細はかなりドロドロな悲劇なので気になる方は書籍など読んでみてください。

こんなドロドロの逸話のあるブリュンヒルデをポニョの本名にしたのは、どんな意味があるんだろうと考えてしまいます。
宮崎監督は「ポニョはハッピーエンドだが、本当にハッピーかどうかは見る人によって違う」とコメントしています。

宗介とポニョのその後は、このブリュンヒルデの神話に沿うことになるのか、もう一つの原案となるアンデルセン童話「人魚姫」も、最後王子は別の女性と恋に落ちて人魚姫は泡になってしまうお話なので、どちらにしてもポニョと宗介は結ばれず、ポニョは消えてしまう未来が待っているのかと思うと切なくなってしまいます。

以上です!読んで頂きありがとうございました。
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参考サイト様

Light in June:「ポニョ」インタビュー(宮崎駿)

 

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