「クラッシュ」(2004)ネタバレ解説|キャラ別にストーリーをまとめました | 映画鑑賞中。

「クラッシュ」(2004)ネタバレ解説|キャラ別にストーリーをまとめました

クライムドラマ

ポール・ハギス監督の映画『クラッシュ』のあらすじと感想を紹介しています!

ロサンゼルスで起きた殺人事件を軸に、登場人物たちの日常と彼らの人種差別との関わり方が描かれる群像劇。

原題:Crash
制作年:2004年
本編時間:112分(ディレクターズカット版は114分)
制作国:アメリカ
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス、ロバート・モレスコ
制作:ポール・ハギス、ドン・チードル、ボビー・モレスコ、キャシー・シュルマン、ボブ・ヤーリ

キャスト&キャラクター紹介


(引用:http://kilostogo.blogspot.com
グラハムドン・チードル
ロサンゼルス署の刑事、黒人。
離れて暮らす認知症の母親を心配しながら日々を送っている。
数年前に家出して行方不明になった弟がいる。
恋人のリアとは仕事上の相棒でもある。

 

The Actor Screenshot Game - Page 199 - Movie Forums
(引用:https://www.movieforums.com
ライアンマット・ディロン
ロサンゼルス署勤続17年のベテラン警察官、白人。
人種差別主義者。
同居している父親の介護で悩んでいる。
シャニクアが経営する医療相談窓口の利用者。

 

Crash': The Most Loathsome Best Picture Of Them All - The Awl
(引用:https://www.theawl.com
トム・ハンソンライアン・フィリップ
ライアンの相棒の若手警察官、白人。
差別行為を繰り返すライアンが嫌いになり署長に相棒のチェンジを申し出た。

 

Daniel Stephen on Twitter: "Fraser Friday! Listen to the new episode of  @BFraserPodcast as we have a friendly debate about the film Crash. Great  film or a great mess? #BrendanFraser https://t.co/rCyj5kzlz1…  https://t.co/wMcYtZBkZt"
(引用:https://twitter.com
リックブレンダン・フレイザー
ロサンゼルス地方検事、白人。
職業柄国民からどう見られるかを常に意識し、好感度を上げるために有色人種を利用する。
妻は白人のジーン。

 

Trite, racist and dull: Why the spectre of Crash still haunts Hollywood, 15  years on | The Independent | The Independent
(引用:https://www.independent.co.uk
ジーンサンドラ・ブロック
リックの妻、白人。
黒人2人組のアンソニーとピーターによる強盗被害銃にあってから、黒人に対して恐怖心や偏見を持つようになる。

 

クラッシュ

©2004 Apollo Pro Screen GmbH&Co.Filmproduction KG.All Rights Reserved.


キャメロンテレンス・ハワード
有名な黒人TVプロデューサー。
白人スタッフに上手く意見を合わせてきたからこそ今の『成功』があることは彼自身が一番よく理解している。
周囲から「あいつは黒人だ」と再認識されるような事態を何よりも避けたいと日々思っている。
リックと全く同じ車種・色の車を持っている。
妻はクリスティン。

 

2005 - Thandie Newton - CRASH | Thandie newton, Newton
(引用:https://www.pinterest.jp
クリスティンタンディ・ニュートン
キャメロンの妻、黒人。
夫の授賞式の帰りに警官のライアンにつかまった際、反抗的な態度を取ったためライアンから酷いセクハラと脅しの被害を受ける。

 


(引用:https://www.filminquiry.com
アンソニークリス・リュダクリオ・ブリッジス
黒人の半グレチンピラ青年。
チンピラ仲間のピーターと共謀してリック、ジーン夫婦から最新型の高級車を奪った。

 

In pictures: Crash
(引用:https://www.telegraph.co.uk
ピーターラレンズ・テイト
黒人の半グレチンピラ青年。
現在は悪い仲間たちとつるんでいるが、心のどこかでは犯罪から足を洗って真っ当に生きたいと考えている。
小さな聖クリストファー像のお守りをいつも持ち歩いている。

 


(引用:http://www.tasteofcinema.com
ダニエルマイケル・ペーニャ
鍵前屋の社員、ヒスパニック系。
妻と5歳の娘と暮らしている。
温厚で真面目な性格だが見た目が強面なため、客から偏見の目で見られることも多い。
リア(グラハムの恋人、メキシコ系)…ジェニファー・エスポジート
ララ(ダニエルの娘)…アシュリン・サンチェス
ファハド…ショーン・トーブ
グラハムの母…ブレバリー・トッド
ポップ・ライアン(ライアンの父親)…ブルース・カービー
フラナガン刑事(白人)…ウィリアム・フィクナー
ディクソン警察署長(黒人)…キース・デイビッド
シャニクア(アフリカ系)…ロレッタ・デヴァイン
マリア(ジーン、リック夫妻宅の黒人メイド)…ヨミ・ペリー
ドリ(ファハドの娘、ペルシャ系)…バハー・スーメク
シェリーン(ファハドの妻、ペルシャ系)…マリーナ・サーティス
銃取扱店のオーナー(白人)…ジャック・マクビー
ルシアン(車屋、白人)…ダト・バフタゼーズ
フレッド(キャメロンの同僚)…トニー・ダンザ
チョイ(轢かれた中国人)…グレッグ・パイク
キム・リー(事故の中国人、チョイの妻)…アレクシス・リー
カレン(リックの秘書)…ノーナ・ゲイ
エリザベス(ダニエルの妻)…カリーナ・アロヤブ
ゴメス警察官(メキシコ系)…エディー・フェルナンデス
女性警官…アマンダ・モレスコ
ケン・ホー(保険屋の男、日系)…アート・チュダバラ
ヒル警察官…ビリー・ギャロ
ジョンソン刑事…キャスリーン・ヨーク
ストーン警察官…ポール・E・ショート
ブルース…ケン・ガリートー
コンクリン(麻薬捜査官、白人)…マーティン・ノースマン
シャニクアの会社の受付(白人)…ケイト・スーパー
銃屋の警備員(白人)…ジェイデン・ランド
救急救命士…アーラン・スティール
移民の1人…オクタビオ・ゴメス ほか

 

あらすじ&解説・感想など 

面白かったんですが、人種差別の絡みもあり少々複雑で、状況がイマイチよくわからなかった・・・という方もいたのではないでしょうか。
私も1回目見て全部理解できずに2回見ました。
登場人物それぞれの話をまとめてみたので、参考にしていただければ幸いです!

グラハム(ドン・チードル)の話


(引用:https://www.moviestillsdb.com

本作に主人公はいませんが、一番主人公に近いと思われるグラハム刑事の話から始めます。

ロサンゼルスの刑事グラハムは、仕事上の相棒で恋人でもあるメキシコ系刑事のリア(ジェニファー・エスポジート)と共に、とある殺人事件の現場に来ていました。

先に現場に居た同業者に話を聞くと、白人の麻薬捜査官コンクリンが黒人の刑事を撃ち殺したそうです。
コンクリンは「しつこく追い回して来たから撃ったら死んでしまった。刑事だとは知らなかった」と供述しています。

グラハムとリアが被害者の車を調べると、車の持ち主は被害者本人ではないことがわかりますが、その他の手がかりは見つかりませんでした。

その日の夜。自宅でリアとデートしていたグラハムに、母親から電話がかかってきました。
どうでもいい要件だったので、イラついたグラハムは「今、白人とセックスしてるからもう切る」と言って電話を切りました。
「私は白人じゃない」と怒るリアに、グラハムは「だって、メキシコ人より白人と言った方がインパクトあるだろ」と開き直ります。

リアは「あなたって本当に誰にも心を開かないのね」と言うと帰ってしまいました。

翌日。グラハムが実家に行くと、母親は「あなたの弟は見つかった?あの子に『怒ってないから帰ってきて』と伝えてね」と何度も言います。

グラハムには数年前に家出して帰ってこない弟がいました。
グラハムの母は初期の認知症で、失踪した息子の話を繰り返します。
グラハムはいつも母に「わかった」と答えますが、実際には弟探しをしていませんでした。

翌朝。グラハムはスーパーで買った食料を実家の冷蔵庫に入れた後、内務捜査官から「昨日の事件の押収車(黒人警官が乗っていた車)のトランクから大量の札束が出てきた」と報告を受けました。

これは黒人警官が『複雑な何か』に関わっていたことを意味しています。
本格的な捜査を始めようとした矢先、グラハムは上司のフラナガン刑事(ウィリアム・フィクナー)から呼び出しを受けました。

フラナガンは「もう捜査はやめて、すぐにコンクリンを逮捕してくれ。
もうすぐ主任捜査官のポストが空く。そこに君を推薦してやるから」と、昇進をエサに取引を持ち掛けてきました。

グラハムはこの時、黒人警官が何かの犯罪行為をしていて、フラナガンは黒人刑事の悪事が世間に公表されるとまずいから取引しようとしているのではないかと推測しました。

グラハムが取引を断ろうとすると、フラナガンは「お前の弟は最近高級車を窃盗したらしいな。3回目の窃盗は逮捕されれば死刑になる。
弟の件をもみ消してやるから、俺の言う通りにしてくれないか」と交渉材料を増やしてきました。
グラハムは弟のことを出されると、渋々取引に応じました。

数時間後。黒人の若者の射殺死体が野原で発見されたと通報があり、グラハムとリアは現場へ向かいました。
現場に到着した直後、中国人女性が運転する車と追突事故を起こします。(冒頭のシーン)

事故の処理をリアに任せて先に死体発見現場に入ったグラハムは、殺された若者がグラハムの弟ピーターであることに気付いて沈黙します。
グラハムは、ピーターがいつも持ち歩いていた聖クリストファーのお守りを近くで見付け、握りしめました。

グラハムはピーターが遺体で見つかったことを母親に連絡します。
遺体安置所に駆けつけた母親は、遺体を見てその場で泣き崩れました。

母親はしばらくして泣くのをやめると、今度はグラハムに怒りをぶつけました。
「お前がちゃんと探さないからこんなことになった!私は最愛の息子を失った!
今朝だって私に食べ物を届けてくれた、本当に優しい子なのに…。
おまえは早く仕事に戻れ。私はピーターと2人きりになりたい!」と怒鳴りました。

母親に食べ物を差し入れていたのはグラハムなのに、母は勘違いしているのです。
グラハムは無言でその場から立ち去りました。

トム・ハンソン(ライアン・フィリップ)の話


(引用:http://www.tasteofcinema.com

トム(ライアン・フィリップ)はロサンゼルス警察署に勤務する二十代の若手警察官です。
相棒のライアン(マット・ディロン)と一緒に毎日街の見回りを行っています。

ある冬の日の夜。見回りしていたトムとライアンに、無線で「黒人の若者2人組により黒の高級RV車が盗まれた」と情報が入ります。
この情報が流れた直後、2人の前を全く同じ車種、色の車が通り過ぎました。

その車を運転していたのは黒人男性のキャメロンで、助手席にはキャメロンの妻クリスティンが乗っていました。
車のナンバーも盗難車のものとはちがうのに、ライアンはRV車をしつこく追いかけて路肩に停車させました。

ライアンは、キャメロンに執拗な職務質問を行った後、暴言を吐くクリスティンにセクハラ行為をし、キャメロンに「このまま逮捕してもいいんだぞ」と脅しました。

キャメロンが謝るとライアンは2人を解放しますが、この一件を黙って見ていたトムは、警察官という特権を利用して差別行為を行ったライアンに心から嫌悪感を感じました。

警察署に戻ったトムは、署長(キース・デイビッド、黒人)に「相棒を変えるか、1人で巡回させて欲しい」と申し出ます。
すると署長は「ダメだ。ライアンは確かに人種差別主義者だが、勤続17年のベテランだ。
事実を上に報告すれば、彼を部下として使い続けてきた私にも被害が及ぶ。
彼と組みたくないだけなら、理由は『自分自身』にしろ。
例えば『お腹が弱くて、おならで相棒に迷惑かけたくないから1人で巡回したい』とかだな。どちらを選ぶべきかよく考えろ。」と最低の回答をくれました。

翌日。トムは「おなら」を理由にすることを選び、同僚たちに散々からかわれました。

その後、トムは巡回中に路上で喧嘩している黒人3名を発見します。
現場に駆けつけると、黒人の1人は走って逃げ、2人は車に乗って逃亡しました。
トムと警官仲間は逃走車を行き止まりに追い込んで投降を命じると、車から降りてきたのは、昨夜ライアンの悪質な職務質問の被害者になったキャメロンでした。

キャメロンは昨日の紳士的な態度とは全く違い、攻撃的に警察官に歯向かい、いつ撃たれてもおかしくないような粗暴な振る舞いを見せました。
トムはキャメロンに「今回は注意だけで済ませるから、奥さんのために大人しく帰れ!」と怒鳴ります。
トムの言葉で我に返ったキャメロンは、車に乗って大人しく立ち去りました。
本来なら逮捕案件でしたが、トムは昨夜のライアンの差別行為を止められなかったことへの罪滅ぼしでキャメロンを解放しました。

その日の夜。勤務を終えたトムは車で帰宅中、ヒッチハイクしていた1人の黒人の若者を車に乗せました。
世間話をしていると、若者はトムが車のダッシュボードに飾っていた小さな『聖クリストファー』のマスコットを見て突然笑いだします。

トムはなぜ笑うのか聞きますが、若者は「何でもない」と答えません。
信仰をバカにされていると感じたトムは怒り、ここで車から降ろされても困るような、周囲に何もない道路で車を止めて、若者に「もう降りてくれ」と迫りました。

すると、若者が慌ててポケットをまさぐるので、銃だと思ったトムは若者を撃ち殺してしまいました。
若者が死んだ後、トムが若者のポケットを確認すると、入っていたのはトムとお揃いの聖クリストファーのマスコットでした。

若者はトムと同じマスコットを持っていたから笑っていただけでした。
若者が銃を持っていなかったのなら、トムに正当防衛は適用されず殺人罪で刑務所行きです。
トムは動揺し、周囲に目撃者がいないことを確認すると、若者の死体を車から降ろして野原に放置し、車にはガソリンをかけて焼き払い、足早に立ち去りました。

キャメロン(テレンス・ハワード)の話

クラッシュ

©2004 Apollo Pro Screen GmbH&Co.Filmproduction KG.All Rights Reserved.

キャメロンは活躍中のテレビプロデューサーで、妻のクリスティンとそこそこ贅沢な暮らしをする、いわゆる『成功した黒人』です。

ある夜。キャメロンは担当したテレビ番組で賞を受賞し、クリスティンと一緒に授賞式に参加しました。
気分が盛り上がっていた2人は、家まで待てずに帰宅中の車でオーラルセックスしてしまいます。

そこに突然、1台のパトカーが現れてキャメロンは路肩に停車させられました。
警察官のライアンはキャメロンに陰湿な取り調べを行い、クリスティンにはセクハラ行為をしました。
キャメロンが怒ると、ライアンは「運転中の性的行為は危険運転で逮捕出来る」と脅します。

逮捕を恐れたキャメロンは、穏便に済ませるために丁寧にライアンに謝罪して無事に解放されました。

自宅に帰った後、クリスティンは「私が酷いことをされたのに、あの警官に謝ったあなたが許せない!」と怒ります。
キャメロンは「あの警官は危険だった。あの時は謝るしかなかった」と答えると、クリスティンは「あなたは周りから『黒人』だと再認識されたくないだけよ!」と怒鳴り、キャメロンも怒って和解できませんでした。

翌日。キャメロンは仕事で連続ドラマの撮影をしました。
そのシーンはキャメロンにとって満足のいく出来でしたが、白人スタッフのフレッドは、黒人の男の子のセリフの言い方が『黒人っぽくない』から撮りなおして欲しいと言います。

キャメロンは仕方なく、黒人の男の子に訛りを強調するように指導してから撮り直しました。

キャメロンが休憩に入った時、撮影現場にクリスティンが現れます。
クリスティンは「昨日言い過ぎたのは謝る。
でもあの時にあなたが見ていただけだったのがどうしても許せない。
あなたは彼ら(白人)にプライドを破壊されてしまった!」と泣きながら訴えました。

クリスティンの意見は的を得ていて、キャメロンは白人の意見に迎合することで現在の成功があるのは事実です。
まだ彼女の指摘を受け入れられず、疲れてしまったキャメロンは話し合いを放棄してクリスティンから離れました。

数時間後。仕事を終えたキャメロンは道路わきに車を停めて考えごとをしていると、2人の黒人青年(アンソニーとピーター)が現れて、キャメロンの車を強盗しようとしました。
キャメロンは2人に飛びかかり、アンソニーを捕まえて思いきり殴りかかります。

たまたまパトカーで通りかかった警官がキャメロン達に近付いてくると、ピーターは走って逃げ、キャメロンとアンソニーは車で逃げようとしますが、行き止まりに追い込まれてしまいました。

数人の白人警察官に銃を向けられると、切れたキャメロンは車から降り、黒人訛り全開で白人警官たちに罵詈雑言を浴びせました。

極度の緊張状態の中、現場に居た若い白人警官のトムがキャメロンをかばい、厳重注意のみで解放してくれました。
トムは、キャメロン夫妻に悪質な職質を行ったライアンの相棒警官でした。
トムは昨夜のライアンの暴走を止められなかったことに罪悪感を感じてキャメロンを許してくれたのです。

解放されたキャメロンは、車に乗ったままだったアンソニーと一緒にその場を離れました。

その後、キャメロンは「お前たちの犯罪行為は俺だけじゃなく、お前自身も貶めてる」と言い聞かせると、アンソニーを車から降ろしました。

ジーン(サンドラ・ブロック)の話

Pin on Hollywood
(引用:https://www.pinterest.jp

ジーンは検事のリック(ブレンダン・フレイザー)の妻です。

その日、ジーンとリックは外食を楽しんだ帰り、黒人の若者2人組(ピーターとアンソニー)に銃を突き付けられて車を盗まれました。
リックの車は今流行りの黒の高級SUV、フォード社製のリンカーンナビゲーターでした。

被害届を出して帰宅したジーンは、すぐ業者に連絡して自宅のカギを全て交換します。
車を盗まれた時、自宅のカギなども束になったキーケースごと強盗に渡してしまったからです。 

その後業者が来てカギ交換が行われますが、ジーンは業者の男ダニエルの風貌を見るなり、リックに「明日の朝、カギを交換し直して!あの男は刑務所上がりにちがいない!ここから出たら悪い仲間に合鍵を売るに決まってる!」と喚きました。

リックが黒人に車を盗まれた事件はニュースで世間に知らされます。
リックは好感度が下がる可能性を恐れ、誰でも良いから黒人に賞を与えることにしました。

翌朝。目を覚ましたジーンは、家政婦が洗い終えた食器を棚にしまっていないのを見て不快に思いました。
ジーンは家政婦のマリアに「食器を洗い終わったらすぐ棚にしまいなさい」と冷たく文句を言いました。

その日の夕方。ジーンがリックに電話すると「最近ずっとイライラしっぱなしなの。どうすれば良い?」と感情をぶつけます。
リックは仕事中でジーンの話を聞いている暇がなく、すぐに電話を切りました。
その直後、ジーンは足を滑らせて階段から転落してしまいました。

ジーンは助けてもらおうと友人に電話しますが、ショッピング中だからとまともに相手してもらえませんでした。
仕事を終えて帰った後のマリアに電話してみると、マリアはすぐに駆け付けて助けてくれました。
病院でも付き添ってくれるマリアに、ジーンは「あなたは親友よ」と言って今までの態度を謝りました。

アンソニーとピーターの話

Ola Ojewumi on Twitter: "#disabledblackhistory Bradley Lomax was a Black  Panther who had Multiple Sclerosis and used a wheelchair. Lomax was the  founder of the East Oakland Center for Independent Living, which
(引用:https://twitter.com

黒人のアンソニーピーターは、盗みで生計を立てている若者2人組です。
アンソニーは『コワモテの黒人』というだけで避けてくるタイプの白人が大嫌いで、いつも社会の不満ばかり漏らしています。
一方でピーターは盗人らしからぬピュアな心の持ち主でした。

その日、アンソニーとピーターは街中で有名検事リックと妻ジーンの車(フォード社製のリンカーンナビゲーター)を強盗しました。
いつも盗難車を売る車屋に向かう途中、会話に熱中し過ぎた2人は前方不注意で中国人男性チョイを轢いてしまいます。
男性は生きているものの大けがで、2人は迷った末に、男を最寄りの総合病院の前で落として逃げ去りました。

その後、2人は車屋に車を売ろうとしますが、店主ルシアンに「こんな血だらけの事故車はいくら高級車でも買えない」と拒否されてしまいました。

翌朝。ピーターは「俺は盗人をやめて普通の生活がしたい」と言って盗難車を使うのをやめてバスに乗ろうとすると、アンソニーは「バスの窓がなぜあんなにデカいか知ってるか?俺たち黒人を見世物にするためだ!」と怒って話を聞いてくれませんでした。

その後、ルシアンに「昨日と同じ車(黒のリンカーンナビゲーター)をまた盗んでこい」と命じられた2人は街に行き、その車を見つけて強盗しようとしました。
その車に乗っていたのは黒人の有名テレビディレクターのキャメロンで、キャメロンは2人が強盗だとわかるとアンソニーに襲い掛かって思い切り殴りつけました。

喧嘩を警察に見つかるとピーターは慌てて逃げて行き、キャメロンとアンソニーは車で逃走を図りますが、行き止まりに追い込まれました。
すると、キャメロンは何かを決意したようにアンソニーが持っていた銃をポケットに入れて警察の方に歩きだします。

数分間。キャメロンは警察から厳重注意のみで解放され、アンソニーを警察に突き出さずにそのまま車を発進させました。
キャメロンはバス停の前で停車すると、アンソニーに銃を返して「お前の行為は俺達黒人全体の品格を貶めている」と言い、車から降ろしました。

アンソニーはバスに乗りながら、昨日轢いた中国人チョイがバンに乗ろうとしていたことを思い出して事故現場に行ってみました。
バンは昨夜と同じ場所に停まっていて、車のカギは運転席のドアに刺さったままになっています。
アンソニーがバンを運転し始めると、荷台の方から物音が聞こえました。

車を停めて恐る恐るトランクを開けてみると、中には不法入国者と思われるアジア人十数人が乗っていました。
チョイは人身売買の関係者だったのです。
アンソニーはアジア人達をこのままルシアンに売ってしまおうかと思いましたが、キャメロンに言われたことを思い出して売るのをやめました。

アンソニーはバンを停めてトランクを開き、アジア人たちをロサンゼルスの街に解放しました。
アンソニーは彼なりの『善い行い』に満足し、鼻歌交じりにバンをどこあに走らせます。

一方、アンソニーとはぐれたピーターは、このまま逃亡の旅に出ることにしてヒッチハイクをし、たまたま通りかかったトムに拾ってもらいました。
ピーターはトムが警察官であることを知りません。

トムと楽しく会話をしていると、ダッシュボードにピーターがいつも持ち歩いている『聖クリストファー』のマスコットが飾られていたので、ピーターは笑いが止まらなくなります。
理由を明かさず笑っていると、トムが怒って「車から降りろ」とまで言い出したので、ピーターは慌てて誤解を解こうとしましたが、ポケットに手を突っ込むと銃を持っていると勘違いされ、撃たれて死んでしまいました。

ピーターの正体は刑事グラハムの失踪した弟でした。
グラハムは通報で駆けつけて、死んでしまったピーターと再会します。

ライアン(マット・ディロン)の話

クラッシュ

©2004 Apollo Pro Screen GmbH&Co.Filmproduction KG.All Rights Reserved.

ライアンはロサンゼルス警察署で勤続17年のベテラン警察官です。
彼は白人至上主義者で、他色人種を差別的な目で見る傾向がありました。

その日の夜。相棒のトムと街のパトロールをしていたライアンは、小休憩中にかかりつけの保険会社に電話していました。
ライアンは同居している高齢の父の体調が数か月前から悪く、保険会社に紹介された病院にかかっていました。

一か月前に尿道炎と診断されて処方された薬を飲みましたが、一向に症状が改善せず、苦しみ続ける父の介護でライアンは疲れ果てていました。
ライアンは保険会社に電話して「別の病院を紹介してほしい」と頼みますが、担当者のアフリカ系女性シャニクアは状況を理解してくれず「ただの尿道炎で何度も来られても困ります」と断るばかりです。
頭に来たライアンは、シャニクアに差別的な言葉を連発して電話を切られてしまいました。

仕事に戻ったライアンは、盗難車として情報が入った車(リンカーンナビゲーター)と全く同じ車種に乗っていた裕福な黒人夫婦(キャメロンとクリスティン)がオーラルセックスしているとわかると見ているだけで頭にきて、夫婦に悪質な職務質問を行いました。

その日の夜。ライアンは今夜も父親が心配でろくに眠れませんでした。
朝になると、ライアンは保険会社に行き、シャニクアに昨日の差別発言を謝ってから「父の病院を変えて欲しい」とお願いしますが、シャニクアは怒っていてライアンの話を聞こうとしません。

ライアンは父親の半生を語って同情を誘います。

ライアンの父は若い頃に清掃会社を立ち上げ、従業員を一切差別せず、彼らと30年以上一緒に働いてきましたが、数年前に定められた『マイノリティーに経営権を委譲する法律』のおかげで会社は倒産し、妻(ライアンの母)に離婚されてしまった過去がありました。

父親は彼の半生について愚痴ひとつこぼしませんが、落ち込んでいるのは明らかでした。
ライアンは、父を人生のどん底に追い込んだ『マイノリティー』が大嫌いで、それが彼の差別意識の始まりでした。

シャニクアはライアンの話を聞いて「お父様が立派な方だというのはわかりましたが、あなたとはお話することはありません」と拒絶しました。

その後 出勤したライアンはトムから相棒を解消されたことを知ります。
相棒解消の原因がライアンの差別意識にあることは、ライアン自身にもわかっていました。
ライアンはトムに「お前はまだ若いからわからないだけだ」と言い残し、新しい相棒のゴメスとパトロールに出ます。

数時間後。ライアンに交通事故の情報が入ったので現場に駆け付けると、道路で1台の車が転覆していて、中に黒人女性が1人閉じ込められていました。
ガソリンも漏れていて危険な状態です。

ライアンが女性に声をかけると、女性はライアンを見るなり「お前にだけは助けられたくない!誰か助けて!」と暴れました。
その女性は、昨夜ライアンが悪質な職質を行った夫婦の妻クリスティンでした。

ライアンはクリスティンをなだめながら、命がけで彼女を救出します。
クリスティンはレスキュー隊員に引き渡されると、振り返ってライアンに感謝のまなざしを送りました。

ダニエルのストーリー


(引用:https://beyondstructure.com

ダニエルは最近ロサンゼルスに越してきた鍵の修理屋で、ヒスパニック系の男性です。
ダニエルはスキンヘッドに体には入れ墨があって見た目は強面ですが、真面目で誠実で、5歳になる一人娘のララを何よりも大切にする良い父親でした。

その日の夜、ダニエルは会社からの指示で検事のリックと妻ジーンの自宅のカギの交換に行きました。
いつものように仕事していると、ジーンがダニエルにも聞こえるような大きな声で「明日の朝またカギを変えてちょうだい!
あの男(ダニエルのこと)の身なり、刑務所上がりに違いないわ!
家から出た後は合鍵をコソ泥に売りさばくに決まってる!」
と怒鳴りだしました。
ダニエルは気分を害しながらも素早く仕事を終え、黙ってジーンに合カギを渡して帰宅しました。

ダニエルが帰宅すると、ララはベッドに下に潜り込んでいました。
ダニエルが「どうしたの?」と聞くと、ララは「銃声が聞こえて怖かった」と答えます。

ダニエルは「おかしいな、安全な場所に引っ越してきたはずなのに」と言うと、ダニエル自身が子どもの頃に妖精からもらったという『銃弾も通さない透明マント』の作り話をしました。

そしてダニエルはララに「このマントはもう俺には必要ないから、君にあげる。
その代わり、君に娘が出来て、その子が5歳になったらこのマントをその子にあげるんだ」と言い、透明マントを脱ぐ素振りをしてララに着せてあげました。

ララはダニエルの話を信じ「ありがとう!大切にする!」と喜び、安心して眠りました。

その後、また会社から出勤命令が入ったので、ダニエルは現場に向かいます。
そこはペルシャ人のファハド(ショーン・トーブ)と妻シェリーン(マリーナ・サーティス)の一家が経営する個人商店でした。

ファハドは「鍵が壊れてドアが閉まらない」と言いますが、見てみるとドア自体が経年劣化で歪んでいて、ドアを交換しなければ話にならない状態でした。
ダニエルはファハドに伝えますが、ファハドは「ドアは良いから早く鍵を交換しろ」の一点張りです。

ファハドは全く意見を聞かず罵声も浴びせてくるので、頭に来たダニエルは持っていた契約書類をゴミ箱に投げ捨てて「ドアの交換をしないならカギの交換も出来ない!」と告げて、店を出ました。

その日の深夜。ファハドの店は強盗の被害に遭います。
店舗の保険に入っていたのでファハドは保険金をもらおうとしますが、保険屋の男は「あなたは鍵屋にドアを交換するように言われたのに無視したそうですね。
そうなると、お店に防犯対策出来なかったのはあなたの落ち度になるので保険金は払えません。」と告げて帰ってしまいました。

ショックを受けたファハドはダニエルを恨み、ダニエルの所属会社に電話をかけて名前と住所を聞き出そうとしましたが、教えてもらえませんでした。
その後、ファハドはダニエルが書類をゴミ箱に捨てていたことを思い出し、ゴミを漁って書類を見付けてダニエルの名前を知りました。

ファハドは電話帳からダニエルの住所を突き止めると、買ったばかりの銃を持ってダニエルを待ち伏せします。
夕方頃にダニエルが帰宅すると、ファハドは銃を取りだして「お前のせいで店が強盗にあった!保険屋の代わりにお前が弁償しろ!」と怒鳴り散らしました。

家の中でダニエルとファハドの様子を見たララは「パパが危ない!パパは透明マントを着てない!」と叫んで玄関から飛び出してダニエルに抱き着きました。
その瞬間、驚いたファハドはララに向けて引き金を引いてしまいます。

ダニエルはショックで叫び声をあげますが、よく見るとララはなぜか無傷でした。
ダニエルはララを抱きしめて急いで家に入ってカギを締めます。
ララは「パパ、もう大丈夫。このマント、本当にすごいね」と笑顔です。
ファハドはなぜララが無傷だったのか訳がわからず、呆然とするばかりでした。

その後、自宅に帰ったファハドは娘のドリに今日の出来事を打ち明けると、ドリは「きっと神様のご加護よ」とほほ笑みました。

実は、ファハドが銃を持つことに反対だったドリは、ファハドに内緒で空砲を買わせていました。
英語を読むのが苦手だったファハドは、空砲を買わされたことに気付かなかったのです。
ファハドは自分の行いを深く後悔しつつ、『神の奇跡』に感謝しました。

解説・考察は次のページです。

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