「クラッシュ」(2004)ネタバレ解説|キャラ別にストーリーをまとめました | 映画鑑賞中。

「クラッシュ」(2004)ネタバレ解説|キャラ別にストーリーをまとめました

クライムドラマ

ポール・ハギス監督の映画『クラッシュ』のあらすじと感想を紹介しています!

ロサンゼルスで起きた殺人事件を軸に、登場人物たちの日常と彼らの人種差別との関わり方が描かれる群像劇。

原題:Crash
制作年:2004年
本編時間:112分(ディレクターズカット版は114分)
制作国:アメリカ
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス、ロバート・モレスコ
制作:ポール・ハギス、ドン・チードル、ボビー・モレスコ、キャシー・シュルマン、ボブ・ヤーリ

 

キャスト&キャラクター紹介


(引用:http://kilostogo.blogspot.com
グラハムドン・チードル
ロサンゼルス署の刑事、黒人。
離れて暮らす認知症の母親を心配しながら日々を送っている。
数年前に家出して行方不明になった弟がいる。
恋人のリアとは仕事上の相棒でもある。

 

The Actor Screenshot Game - Page 199 - Movie Forums
(引用:https://www.movieforums.com
ライアンマット・ディロン
ロサンゼルス署勤続17年のベテラン警察官、白人。
人種差別主義者。
同居している父親の介護で悩んでいる。
シャニクアが経営する医療相談窓口の利用者。

 

Crash': The Most Loathsome Best Picture Of Them All - The Awl
(引用:https://www.theawl.com
トム・ハンソンライアン・フィリップ
ライアンの相棒の若手警察官、白人。
差別行為を繰り返すライアンが嫌いになり署長に相棒のチェンジを申し出た。

 

Daniel Stephen on Twitter: "Fraser Friday! Listen to the new episode of  @BFraserPodcast as we have a friendly debate about the film Crash. Great  film or a great mess? #BrendanFraser https://t.co/rCyj5kzlz1…  https://t.co/wMcYtZBkZt"
(引用:https://twitter.com
リックブレンダン・フレイザー
ロサンゼルス地方検事、白人。
職業柄国民からどう見られるかを常に意識し、好感度を上げるために有色人種を利用する。
妻は白人のジーン。

 

Trite, racist and dull: Why the spectre of Crash still haunts Hollywood, 15  years on | The Independent | The Independent
(引用:https://www.independent.co.uk
ジーンサンドラ・ブロック
リックの妻、白人。
黒人2人組のアンソニーとピーターによる強盗被害銃にあってから、黒人に対して恐怖心や偏見を持つようになる。

 

クラッシュ
©2004 Apollo Pro Screen GmbH&Co.Filmproduction KG.All Rights Reserved.
キャメロンテレンス・ハワード
有名な黒人TVプロデューサー。
白人スタッフに上手く意見を合わせてきたからこそ今の『成功』があることは彼自身が一番よく理解している。
周囲から「あいつは黒人だ」と再認識されるような事態を何よりも避けたいと日々思っている。
リックと全く同じ車種・色の車を持っている。

 

2005 - Thandie Newton - CRASH | Thandie newton, Newton
(引用:https://www.pinterest.jp
クリスティンタンディ・ニュートン
キャメロンの妻、黒人。
夫の授賞式の帰りに警官のライアンにつかまった際、反抗的な態度を取ったためライアンから酷いセクハラと脅しの被害を受ける。

 


(引用:https://www.filminquiry.com
アンソニークリス・リュダクリオ・ブリッジス
黒人の半グレチンピラ青年。
チンピラ仲間のピーターと共謀してリック、ジーン夫婦から最新型の高級車を奪った。

 

In pictures: Crash
(引用:https://www.telegraph.co.uk
ピーターラレンズ・テイト
黒人の半グレチンピラ青年。
現在は悪い仲間たちとつるんでいるが、心のどこかでは犯罪から足を洗って真っ当に生きたいと考えている。
小さな聖クリストファー像のお守りをいつも持ち歩いている。

 


(引用:http://www.tasteofcinema.com
ダニエルマイケル・ペーニャ
鍵前屋の社員、ヒスパニック系。
妻と5歳の娘と暮らしている。
温厚で真面目な性格だが見た目が強面なため、客から偏見の目で見られることも多い。
リア(グラハムの恋人、メキシコ系)…ジェニファー・エスポジート
ララ(ダニエルの娘)…アシュリン・サンチェス
ファハド…ショーン・トーブ
グラハムの母…ブレバリー・トッド
ポップ・ライアン(ライアンの父親)…ブルース・カービー
フラナガン刑事(白人)…ウィリアム・フィクナー
ディクソン警察署長(黒人)…キース・デイビッド
シャニクア(アフリカ系)…ロレッタ・デヴァイン
マリア(ジーン、リック夫妻宅の黒人メイド)…ヨミ・ペリー
ドリ(ファハドの娘、ペルシャ系)…バハー・スーメク
シェリーン(ファハドの妻、ペルシャ系)…マリーナ・サーティス
銃取扱店のオーナー(白人)…ジャック・マクビー
ルシアン(車屋、白人)…ダト・バフタゼーズ
フレッド(キャメロンの同僚)…トニー・ダンザ
チョイ(轢かれた中国人)…グレッグ・パイク
キム・リー(事故の中国人、チョイの妻)…アレクシス・リー
カレン(リックの秘書)…ノーナ・ゲイ
エリザベス(ダニエルの妻)…カリーナ・アロヤブ
ゴメス警察官(メキシコ系)…エディー・フェルナンデス
女性警官…アマンダ・モレスコ
ケン・ホー(保険屋の男、日系)…アート・チュダバラ
ヒル警察官…ビリー・ギャロ
ジョンソン刑事…キャスリーン・ヨーク
ストーン警察官…ポール・E・ショート
ブルース…ケン・ガリートー
コンクリン(麻薬捜査官、白人)…マーティン・ノースマン
シャニクアの会社の受付(白人)…ケイト・スーパー
銃屋の警備員(白人)…ジェイデン・ランド
救急救命士…アーラン・スティール
移民の1人…オクタビオ・ゴメス ほか

 

あらすじ&解説・感想など 

面白かったんですが、人種差別の絡みもあり少々複雑で、状況がイマイチよくわからなかった・・・という方もいたのではないでしょうか。
私も1回目見て全部理解できずに2回見ました。
登場人物それぞれの話をまとめてみたので、参考にしていただければ幸いです!

グラハム(ドン・チードル)の話


(引用:https://www.moviestillsdb.com

本作に主人公はいませんが、一番主人公に近いと思われるグラハム刑事の話から始めます。

ロサンゼルスの刑事グラハムは、仕事上の相棒で恋人でもあるメキシコ系刑事のリア(ジェニファー・エスポジート)と共に、とある殺人事件の現場に来ていました。

先に現場に居た同業者に話を聞くと、白人の麻薬捜査官コンクリンが黒人の刑事を撃ち殺したそうです。
コンクリンは「しつこく追い回して来たから撃ったら死んでしまった。刑事だとは知らなかった」と供述しています。

グラハムとリアが被害者の車を調べると、車の持ち主は被害者本人ではないことがわかりますが、その他の手がかりは見つかりませんでした。

その日の夜。自宅でリアとデートしていたグラハムに、母親から電話がかかってきました。
どうでもいい要件だったので、イラついたグラハムは「今、白人とセックスしてるからもう切る」と言って電話を切りました。
「私は白人じゃない」と怒るリアに、グラハムは「だって、メキシコ人より白人と言った方がインパクトあるだろ」と開き直ります。

リアは「あなたって本当に誰にも心を開かないのね」と言うと帰ってしまいました。

翌日。グラハムが実家に行くと、母親は「あなたの弟は見つかった?あの子に『怒ってないから帰ってきて』と伝えてね」と何度も言います。

グラハムには数年前に家出して帰ってこない弟がいました。
グラハムの母は初期の認知症で、失踪した息子の話を繰り返します。
グラハムはいつも母に「わかった」と答えますが、実際には弟探しをしていませんでした。

翌朝。グラハムはスーパーで買った食料を実家の冷蔵庫に入れた後、内務捜査官から「昨日の事件の押収車(黒人警官が乗っていた車)のトランクから大量の札束が出てきた」と報告を受けました。

これは黒人警官が『複雑な何か』に関わっていたことを意味しています。
本格的な捜査を始めようとした矢先、グラハムは上司のフラナガン刑事(ウィリアム・フィクナー)から呼び出しを受けました。

フラナガンは「もう捜査はやめて、すぐにコンクリンを逮捕してくれ。
もうすぐ主任捜査官のポストが空く。そこに君を推薦してやるから」と、昇進をエサに取引を持ち掛けてきました。

グラハムはこの時、黒人警官が何かの犯罪行為をしていて、フラナガンは黒人刑事の悪事が世間に公表されるとまずいから取引しようとしているのではないかと推測しました。

グラハムが取引を断ろうとすると、フラナガンは「お前の弟は最近高級車を窃盗したらしいな。3回目の窃盗は逮捕されれば死刑になる。
弟の件をもみ消してやるから、俺の言う通りにしてくれないか」と交渉材料を増やしてきました。
グラハムは弟のことを出されると、渋々取引に応じました。

数時間後。黒人の若者の射殺死体が野原で発見されたと通報があり、グラハムとリアは現場へ向かいました。
現場に到着した直後、中国人女性が運転する車と追突事故を起こします。(冒頭のシーン)

事故の処理をリアに任せて先に死体発見現場に入ったグラハムは、殺された若者がグラハムの弟ピーターであることに気付いて沈黙します。
グラハムは、ピーターがいつも持ち歩いていた聖クリストファーのお守りを近くで見付け、握りしめました。

グラハムはピーターが遺体で見つかったことを母親に連絡します。
遺体安置所に駆けつけた母親は、遺体を見てその場で泣き崩れました。

母親はしばらくして泣くのをやめると、今度はグラハムに怒りをぶつけました。
「お前がちゃんと探さないからこんなことになった!私は最愛の息子を失った!
今朝だって私に食べ物を届けてくれた、本当に優しい子なのに…。
おまえは早く仕事に戻れ。私はピーターと2人きりになりたい!」と怒鳴りました。

母親に食べ物を差し入れていたのはグラハムなのに、母は勘違いしているのです。
グラハムは無言でその場から立ち去りました。




トム・ハンソン(ライアン・フィリップ)の話


(引用:http://www.tasteofcinema.com

トム(ライアン・フィリップ)はロサンゼルス警察署に勤務する二十代の若手警察官です。
相棒のライアン(マット・ディロン)と一緒に毎日街の見回りを行っています。

ある冬の日の夜。見回りしていたトムとライアンに、無線で「黒人の若者2人組により黒の高級RV車が盗まれた」と情報が入ります。
この情報が流れた直後、2人の前を全く同じ車種、色の車が通り過ぎました。

その車を運転していたのは黒人男性のキャメロンで、助手席にはキャメロンの妻クリスティンが乗っていました。
車のナンバーも盗難車のものとはちがうのに、ライアンはRV車をしつこく追いかけて路肩に停車させました。

ライアンは、キャメロンに執拗な職務質問を行った後、暴言を吐くクリスティンにセクハラ行為をし、キャメロンに「このまま逮捕してもいいんだぞ」と脅しました。

キャメロンが謝るとライアンは2人を解放しますが、この一件を黙って見ていたトムは、警察官という特権を利用して差別行為を行ったライアンに心から嫌悪感を感じました。

警察署に戻ったトムは、署長(キース・デイビッド、黒人)に「相棒を変えるか、1人で巡回させて欲しい」と申し出ます。
すると署長は「ダメだ。ライアンは確かに人種差別主義者だが、勤続17年のベテランだ。
事実を上に報告すれば、彼を部下として使い続けてきた私にも被害が及ぶ。
彼と組みたくないだけなら、理由は『自分自身』にしろ。
例えば『お腹が弱くて、おならで相棒に迷惑かけたくないから1人で巡回したい』とかだな。どちらを選ぶべきかよく考えろ。」と最低の回答をくれました。

翌日。トムは「おなら」を理由にすることを選び、同僚たちに散々からかわれました。

その後、トムは巡回中に路上で喧嘩している黒人3名を発見します。
現場に駆けつけると、黒人の1人は走って逃げ、2人は車に乗って逃亡しました。
トムと警官仲間は逃走車を行き止まりに追い込んで投降を命じると、車から降りてきたのは、昨夜ライアンの悪質な職務質問の被害者になったキャメロンでした。

キャメロンは昨日の紳士的な態度とは全く違い、攻撃的に警察官に歯向かい、いつ撃たれてもおかしくないような粗暴な振る舞いを見せました。
トムはキャメロンに「今回は注意だけで済ませるから、奥さんのために大人しく帰れ!」と怒鳴ります。
トムの言葉で我に返ったキャメロンは、車に乗って大人しく立ち去りました。
本来なら逮捕案件でしたが、トムは昨夜のライアンの差別行為を止められなかったことへの罪滅ぼしでキャメロンを解放しました。

その日の夜。勤務を終えたトムは車で帰宅中、ヒッチハイクしていた1人の黒人の若者を車に乗せました。
世間話をしていると、若者はトムが車のダッシュボードに飾っていた小さな『聖クリストファー』のマスコットを見て突然笑いだします。

トムはなぜ笑うのか聞きますが、若者は「何でもない」と答えません。
信仰をバカにされていると感じたトムは怒り、ここで車から降ろされても困るような、周囲に何もない道路で車を止めて、若者に「もう降りてくれ」と迫りました。

すると、若者が慌ててポケットをまさぐるので、銃だと思ったトムは若者を撃ち殺してしまいました。
若者が死んだ後、トムが若者のポケットを確認すると、入っていたのはトムとお揃いの聖クリストファーのマスコットでした。

若者はトムと同じマスコットを持っていたから笑っていただけでした。
若者が銃を持っていなかったのなら、トムに正当防衛は適用されず殺人罪で刑務所行きです。
トムは動揺し、周囲に目撃者がいないことを確認すると、若者の死体を車から降ろして野原に放置し、車にはガソリンをかけて焼き払い、足早に立ち去りました。




キャメロン(テレンス・ハワード)の話

クラッシュ

©2004 Apollo Pro Screen GmbH&Co.Filmproduction KG.All Rights Reserved.

キャメロンは活躍中のテレビプロデューサーで、妻のクリスティンとそこそこ贅沢な暮らしをする、いわゆる『成功した黒人』です。

ある夜。キャメロンは担当したテレビ番組で賞を受賞し、クリスティンと一緒に授賞式に参加しました。
気分が盛り上がっていた2人は、家まで待てずに帰宅中の車でオーラルセックスしてしまいます。

そこに突然、1台のパトカーが現れてキャメロンは路肩に停車させられました。
警察官のライアンはキャメロンに陰湿な取り調べを行い、クリスティンにはセクハラ行為をしました。
キャメロンが怒ると、ライアンは「運転中の性的行為は危険運転で逮捕出来る」と脅します。

逮捕を恐れたキャメロンは、穏便に済ませるために丁寧にライアンに謝罪して無事に解放されました。

自宅に帰った後、クリスティンは「私が酷いことをされたのに、あの警官に謝ったあなたが許せない!」と怒ります。
キャメロンは「あの警官は危険だった。あの時は謝るしかなかった」と答えると、クリスティンは「あなたは周りから『黒人』だと再認識されたくないだけよ!」と怒鳴り、キャメロンも怒って和解できませんでした。

翌日。キャメロンは仕事で連続ドラマの撮影をしました。
そのシーンはキャメロンにとって満足のいく出来でしたが、白人スタッフのフレッドは、黒人の男の子のセリフの言い方が『黒人っぽくない』から撮りなおして欲しいと言います。

キャメロンは仕方なく、黒人の男の子に訛りを強調するように指導してから撮り直しました。

キャメロンが休憩に入った時、撮影現場にクリスティンが現れます。
クリスティンは「昨日言い過ぎたのは謝る。
でもあの時にあなたが見ていただけだったのがどうしても許せない。
あなたは彼ら(白人)にプライドを破壊されてしまった!」と泣きながら訴えました。

クリスティンの意見は的を得ていて、キャメロンは白人の意見に迎合することで現在の成功があるのは事実です。
まだ彼女の指摘を受け入れられず、疲れてしまったキャメロンは話し合いを放棄してクリスティンから離れました。

数時間後。仕事を終えたキャメロンは道路わきに車を停めて考えごとをしていると、2人の黒人青年(アンソニーとピーター)が現れて、キャメロンの車を強盗しようとしました。
キャメロンは2人に飛びかかり、アンソニーを捕まえて思いきり殴りかかります。

たまたまパトカーで通りかかった警官がキャメロン達に近付いてくると、ピーターは走って逃げ、キャメロンとアンソニーは車で逃げようとしますが、行き止まりに追い込まれてしまいました。

数人の白人警察官に銃を向けられると、切れたキャメロンは車から降り、黒人訛り全開で白人警官たちに罵詈雑言を浴びせました。

極度の緊張状態の中、現場に居た若い白人警官のトムがキャメロンをかばい、厳重注意のみで解放してくれました。
トムは、キャメロン夫妻に悪質な職質を行ったライアンの相棒警官でした。
トムは昨夜のライアンの暴走を止められなかったことに罪悪感を感じてキャメロンを許してくれたのです。

解放されたキャメロンは、車に乗ったままだったアンソニーと一緒にその場を離れました。

その後、キャメロンは「お前たちの犯罪行為は俺だけじゃなく、お前自身も貶めてる」と言い聞かせると、アンソニーを車から降ろしました。

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