映画「闇金ウシジマくん3」の本郷奏多演じる沢村真司(フリーエージェントくん)のあらすじ紹介、解説考察をしています。
債務者から学ぶこと、天生翔のモデル、原作との違いについて書いてます!
鑑賞済みの方のための記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。
制作年:2016年
本編時間:131分
制作国:日本
監督:山口雅俊
脚本:福間正浩、山口雅俊
原作漫画:真鍋昌平著『闇金ウシジマくん』より【フリーエージェントくん】
主題歌:Superfly『心の鎧』
加茂守(中年会社員くん)の記事はこちらです↓
キャスト&キャラクター紹介
©映画「闇金ウシジマくんPart3」製作委員会
丑嶋 馨(うしじまかおる)…山田孝之
闇金融屋カウカウファイナンス社長。
ネットビジネスをする沢村真司に頼み込まれ、沢村の商品を買いたがる客に金を貸したが、返済能力のない者ばかりで取り立てに苦労する。
©映画「闇金ウシジマくんPart3」製作委員会
沢村 真司…本郷奏多
ネットビジネスでの成功を夢見る青年。
日雇い派遣での生活に限界を感じ、興味本位で行った天生塾の無料勉強会でネットビジネスに興味を持ち、100万円の教材の購入を決めた。
天生に弟子入りして成功しようと奮闘する。
©映画「闇金ウシジマくんPart3」製作委員会
天生 翔(てんしょう かける)…浜野謙太
『天生塾』の塾長で『ネットビジネスのカリスマ』と呼ばれているが、実際にはほぼねずみ講で稼いでいる。
天生翔という名前が本名かどうかすら怪しい男。

©映画「闇金ウシジマくんPart3」製作委員会
清栄 真実(きよさかまこと)…山田裕貴
天生塾の塾生。天生の1番弟子と言われている。
沢村に自身の贅沢な私生活を見せつけてネットビジネス界に引きずり込んだ。
高田…崎本大海
戌亥…綾野剛
犀原茜…高橋メアリージュン
村井(犀原茜の部下)…マキタスポーツ
麻生りな(モデル)…白石麻衣(乃木坂46)
しんこch.…前野朋哉
モネ(カウカウファイナンス受付)…最上もが
モエコ(苅部の彼女)…さくらゆら
真司の母…山下容莉枝
真司の父…大杉漣
罰ゲームの債務者…児島一哉(アンジャッシュ) ほか
フリーエージェントくん:沢村真司のあらすじ前半
日雇い派遣労働者の青年 沢村真司(本郷奏多)は、将来が不安になりネットビジネス界のカリスマと呼ばれる男、天生翔(浜野謙太)の無料勉強会に参加してみました。
勉強会の内容は『ブログを立ち上げて天生塾のビジネス商材を売れば、売り上げの50%がマージンとして手に入る』『ブログが軌道に乗れば不労所得で金持ちになれる』『君たちにそのための情報商材を100万円で売る』というものでした。
勉強会の後、沢村は天生の1番弟子の 清栄真実(山田裕樹)に憧れて商材購入を決意します。
お金がなかった沢村は両親に頼みんで母親の貯金95万円を貸してもらい、残りの5万円はカウカウファイナンスで借金して商材購入し、ブログを立ち上げました。
沢村はしばらくブログの更新を頑張りますが、数週間経っても閲覧数はごくわずかで売り上げはゼロです。
一方、沢村よりもグレードの高い商材を購入していたしんこch.(前野朋哉)のブログは順調そうだったので、沢村は焦りました。
そんなある日、沢村は天生主催のパーティで新人タレントの 麻生りな(白石麻衣)と出会います。
元々りなのファンだった沢村はアプローチしますが、全く相手にされませんでした。
後日。天生の勉強会で、清栄が独立して会社を立ち上げることが発表されます。
そこで清栄は「私が考案した30万円の商材を一番多く売った生徒は、私の会社で正社員として雇う」と発表します。
どうしても清栄と働きたかった沢村は、自分の周囲の人間に商材を売り始めます。
沢村はネズミ講の要領で地元の同級生などに売り込みに行きますが、貧乏人ばかりで誰も買ってくれません。
悩んだ沢村はカウカウファイナンスに行き、丑嶋に「俺の商材を買いたがる人に金を貸してやってほしい。
そして利息と元金の取り立ては1ヵ月後からにしてほしい(本来なら取り立ては10日後)」と頼みました。
渋る丑嶋に、沢村は生命保険の契約書を渡して信用してもらいました。
その後、沢村は同級生の底辺ヤンキー苅部に丑嶋から借金させて商材を売ると、苅部はマージン欲しさに知人を次々に紹介してくれるようになります。
こうして沢村はライバルのしんこch.の売り上げを追い越して1位の座に輝きました。
一方しんこch.は、今までの売り上げ成績が自作自演だったことが明らかになります。
しんこch.は実績作りのために、死んだ父親が残した財産を使って自分で商材を購入していたのです。
しんこch.は沢村に負けて財産も底をつきパンクしました。
彼は丑嶋から借金もしていたため、返済できなくなり失踪します。
沢村の売り上げ1位の祝賀会の後、りなと沢村は付き合うようになりました。
フリーエージェントくん後半
『清栄ハイパーカンパニー』に初出社した日、沢村は清栄から「お前の席の賃料は月50万円だ」と告げられます。
沢村は正社員なら月給がもらえると思い込んでいましたが、
実際には完全歩合制で沢村の収入になるのは個人の売り上げから賃料の50万円分を差し引いた金額でした。
また、毎月50万円のノルマを達成できなければクビになることも意味していたので、ノルマから解放されたかった沢村はショックを隠し切れません。
数日後。沢村は父が入院したと母から知らされます。
すると、沢村は心配するどころか母親が用意していた入院代を盗んでしまいました。
その後も営業活動を続けた沢村は、自己をブランド化して広告などで知名度を上げ、良い噂を広めれば自然にお客が寄ってくることに気付きます。
沢村は情報商材DVD『沢村ウルトラメソッド』を作り、自分自身のブランディングを磨くと共にネズミ講も続けて売り上げを伸ばし続けます。
沢村は『金儲けできる方法』ではなく『金儲けできる雰囲気』に人は寄ってくるのだと悟りました。
ある日、沢村は天生に呼び出されて「『天生翔生誕祭』のチケットの売り上げを清栄と競いなさい」と命じられました。
さらに天生は、沢村と2人きりになるととんでもない命令をします。
それは、天生にりなを抱かせろというものでした。
沢村は良い言い訳が思いつかず断れませんでした。
そうこうしているうちに、苅部が丑嶋から借金してから1か月が経ちました。
丑嶋が苅部に取り立てをしに行くと、苅部は借金したことを忘れて浪費していたのでお金がありませんでした。
焦った苅部は仲間を集めて『かりべ~激アツメソッド』と名付けた情報商材(紙切れ)を、知り合いや未成年を脅して無理やり買わせますが、
未成年の親たちが被害届を出して苅部は警察にマークされます。
刑事に「示談金か刑務所か選べ」と迫られた苅部は強硬手段に出ることにしました。
天生の生誕祭の日。苅部たちは武装して沢村の自宅に押し入ると
「お前の真似しただけなのに逮捕されそうだ!慰謝料3000万円よこせ!」と要求しました。
脅された沢村は「俺よりも天生の方が金を持っている。天生から金を奪おう」と提案します。
天生に『りなを抱かせる約束』をしていた沢村は、苅部の恋人のモエコをりなに成りすまさせて天生のマンションに行かせました。
※天生はりなの顔を覚えていないため出来た計画です。
天生とモエコがベッドインした頃、苅部達が寝室に突入して天生を縛り上げます。
沢村と苅部が「モエコは16歳だ!金を出さないと通報する!」と脅すと、
天生は「私は一文無しだ。投資に失敗した」とやけに堂々と答えました。
怒った苅部が天生を殺しかけたので、沢村は「それなら清栄から金を奪おう」となだめて、天生を拘束したままパーティー会場に連れていきました。
天生は下着姿で頭に紙袋をかぶせられて両手を縛られた状態で生誕祭の壇上に上がり、「ネットビジネス界から引退する」と発表しました。
パーティの後、天生は清栄に「私の顧客リストを3000万円で買ってくれ」と頼み、沢村は清栄に必死で事情を説明します。
清栄は「1000万円なら買う。君たちの事情は俺には関係ない」と冷酷です。
結局顧客リストは1000万円で売り、生誕祭の売り上げ全額と、沢村の愛車だったフェラーリをプレゼントすることで苅部は納得しました。
沢村は天生に「僕に本気を出させてくれたお礼として命を救いました」と告げて解放し、沢村自身もネットビジネスをやめることにしました。
苅部はフェラーリと金を手に入れましたが、その後すぐに柄崎と高田にすべて奪われました。
無一文になった沢村はマンションを引き払い、りなには置手紙で別れを告げました。
手紙を読んだりなは「ついて行っても良かったのに」とつぶやきました。
その頃、天生は隠し金2億円を元手にシンガポールに逃げる計画を立てていましたが、計画を知った丑嶋と戌亥に2億円は奪われました。
丑嶋は沢村に返済能力がないと判断して借金の元凶になった天生から金を回収し、沢村から得られる予定だった利益よりもはるかに多くの金を手にしたので、沢村の借金はチャラにしました。
沢村はその後、田舎で『農業体験ビジネス』を始めて再スタートを切りました。
始めたばかりで至らぬ点も多くお客さんからは文句を言われっぱなしですが、沢村は心から笑えるようになりました。
解説・考察や感想など
本作の教訓は?
フリーエージェントというのはいわば自営業で、会社や組織と雇用関係を結ばずに自力でお金を稼いでいる人たちのことです。
特定の会社や組織に所属してお給料をもらいながら働く、というのが一般的な現代で自営業で生活していくというのはハードルが高い印象があります。
(最近ではお金を稼ぐ様々な方法が増えているので、ハードルは下がりつつありますが)
主人公の沢村真司から感じた教訓は、
・他人から騙し取るようにしてお金を稼いでも、満足感や達成感は得られない。
・自分がどうありたいのかを考え、行動に移すことが大事。
ということです。
沢村真司は『雇用されて働き続けること』に色んな意味で限界を感じ、フリーエージェントとして成り上がろうとネットビジネス界に足を踏み入れます。
当初の沢村はお金さえ稼げればなんでも良くて、たとえ詐欺まがいの商売だとしても基本は『騙される客が悪い』というスタンスでした。
天生塾には天生や清栄を始め、そのような人物が巨額の富を得ています。
一時は父親の入院費を盗むほどの人でなしになった沢村でしたが、
天生や清栄のような「平気で搾取する人間」になってしまうとどうなるか、
天生の行く末や清栄の人間性を目の当たりにして理解します。
「こういう人間にはなりたくない」と思った沢村はあっさりとネットビジネスをやめました。
沢村は苅部に有り金のほとんどを奪われ、残ったわずかなお金を父親の入院費にあてようとしますが、そのお金すらも かつて自分が搾取した人間の元に戻ってしまいます。
呆然とする沢村に、丑嶋は「お前は必死でやった。何もしないよりマシだ」と応援(?)の言葉をかけます。
この丑嶋の言葉良かったです!
沢村は天生塾で反面教師的に、経営者としての理想の姿を学びました。
沢村は天生塾で身に着けたブログの運営方法を活用して、自分が理想とするお金の稼ぎ方で新たな挑戦を始めます。
ブログを活用している所が、沢村は経験を自分のモノにしたということを表していたと感じます。
農業体験ビジネスをはじめて、まだお金が稼げていないのに沢村の顔が晴れやかだったのは、沢村にとって大事だったのはお金ではなく『やりがい』や『お客さんの笑顔』だったからでしょう。
ウシジマくんシリーズにしては優しめのストーリーですが、沢村は罪への対価を支払っています。
原作との違いは?
まずはフリーエージェント君編ですが、主人公の名前が違います。
本作では”沢村真司”ですが、原作では”村上仁”という名前です。
名前を変えた理由はわかりませんが、単に本郷奏多のイメージの問題かもしれません。
また、原作で村上仁は、映画版だと前作に登場した加賀マサルの友人という設定です。
ストーリーの大まかな流れは原作通りで、細かいところで修正されている部分がある程度です。
・清栄が会社に連れて行くのは映画では1位のみだったが、原作では上位3人を連れて行っている。
・沢村が丑嶋に提案した1か月の猶予も、原作では2か月になっている。
・天生が村上(沢村)に「君の女を抱かせろ」と命じたとき、原作では「天生とりなの行為を村上(沢村)は部屋に隠れて見ていてほしい」という条件もあった。
・天生の隠し財産2億円は、本作では戌井が奪っているが、原作では樺田という別の男が奪っている。
・しんこch.は映画では破産して終わりだったが、原作では何とか立ち直って清栄の下で頑張り続けている。
・沢村は最後、田舎で「農業体験ビジネス」をしているが、村上は田舎に移住して何でも屋をしている。
ちなみに、映画に登場する沢村のフェラーリは、村上仁が天生から半ば強引に購入させられたものです。
また、天生翔のキャラクターのモデルは実在する実業家、投資家の与沢翼です。
情報商材をを扱うアフィリエイト会社「フリーエージェントスタイルホールディングス」の創設者です。
(引用:http://livedoor.blogimg.jp/fx2channel/imgs/5/0/505fdc8f.jpg)
この会社は成功していましたが、2014年に豪遊しすぎたのか税金が払えず、会社は倒産、車なども差し押さえられました。
それでも倒産後の貧乏になった姿を隠さずにメディアに発信し続けて話題を集め続けました。なんだかすごいですね。
youtuberやアフィリエイターとして活動を続け、資金を貯めてシンガポールに移住、現在(2019年6月時点)はタイ在住です。
今でもyoutubeやブログは更新されていますが、投資をメインに活動されているようです。
画像は与沢氏がメディアに露出した当初のもので、現在はダイエットされてスマートになっています。
ダイエットの動機は、『健康だと保険の掛け金が下がるから』だったとか。お金が絡むとやる気が出るタイプのようです。
『秒速で1億円稼ぐ条件』(2013)、最近では『ブチ抜く力
』(2019)などの本も出されています。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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