2ページ目
4件目:肉欲
© New Line Productions, Inc.
肉欲の犠牲者は娼婦です。
彼女が殺された部屋のドアには『LUST(肉欲)』と書かれていました。
ジョン・ドゥは独身男性を銃で脅して娼婦を監禁している部屋に連れて行き、先端が刃物で出来ている特注品の張型を男に付けさせて、娼婦の下腹部をめった刺しにさせました。
娼婦殺しをさせられた男性は、精神的ショックが大きすぎておかしくなってしまいました。
5件目:高慢
© New Line Productions, Inc.
5件目の被害者は美人モデルでした。
彼女が死んでいた部屋の壁には『PRIDE(高慢)』と書かれていました。
ジョン・ドゥはまず美人モデルの顔をナイフで切り刻み、鼻もそぎ落としました。
そして右手には助けを呼べるように電話を、左手には自殺出来るように睡眠薬を糊で張り付けて、未来を選択させました。
醜い顔で生き続けるか、今ここで死ぬか選ばせたのです。
モデルは睡眠薬での自殺を選びました。
6、7件目:憤怒、妬み
© New Line Productions, Inc.
ジョン・ドゥが選んだ『憤怒』の犠牲者はミルズ、『妬み』の犠牲者はジョン・ドゥ自身でした。
ドゥはミルズの妻トレーシーを殺し、彼女の首を梱包して配達業者に預けていました。
そしてサマセットとミルズを配達場所におびき寄せると、配達屋が段ボールに入ったトレーシーの首を配達します。
トレーシーが殺されたことを知ったミルズは怒り狂い、感情を抑えきれずドゥを殺してしまいました。
ドゥはミルズが美しい妻と幸せに暮らしていることを妬みました。
妬みを抱いた自分自身を罰するためにトレーシーを殺し、ミルズに自分自身を殺させることで事件を終わらせました。
ジョン・ドゥが読んだ本
『カンタベリー物語』ジェフリー・チョーサー著
サマセットがミルズに読むように指示した『カンタベリー物語』は、主人公の聖職者トマス・ベケットがカンタベリー大聖堂に巡業に向かう途中の宿泊先で出会った29人の宿泊客から聞いた小話をまとめたものです。
著者のチョーサーは執筆中に亡くなってしまったため、話は全員分揃っておらず未完成です。
物騒な世の中だからと宿泊客も宿主もみんな一緒に巡業することになると、宿泊客は「この中で1番面白い小話をした者に明日の夕飯をごちそうし、一番面白くない話をした者には旅費を負担させよう」というゲームを始めます。
私は完結にまとめられた著書しか読んだことがありませんが、宮廷での権力争いの話や町人の下世話な不倫・恋愛話や、悪魔に殺されて地獄に落ちた強欲召喚士(魔術師)の話などジャンルは様々です。
この中の送達史(郵便配達員)の話と商人の話の中に『七つの大罪』が取り上げられ、七つの大罪の中でも一番重い罪は『怒り』だと語られています。
『神曲』ダンテ・アリギエーリ
ダンテの代表作である『神曲』は『地獄編』、『煉獄編』、『天国編』の3部作品で、『道徳』とは何かを示すために記された作品とされています。
あらすじは、キリスト復活祭の前夜に森に迷い込んでしまった主人公のダンテが古代ローマの詩人と出会い、彼に導かれて地獄、煉獄、天国を一緒に見て回る物語です。
七つの大罪は煉獄編に登場します。
地獄には生前に犯した罪に対する罰を永遠に受け続ける人々がいて、煉獄には罪を犯したものの贖いによって救われる余地のある者達(天国に行ける可能性のある者達)がいて、彼らが生前に犯した罪の償いをする様子をダンテは目の当たりにします。
煉獄では過酷な罪の償いを終えた者だけが天国に行くことが出来るので、『失楽園』の抜粋だった『Long is the way. AND Hard , that out of hell leads up to Light(地獄から光に至る道は長く険しい)』とも通じる部分があります。
『失楽園』ジョン・ミルトン著
17世紀を生きたイギリスの詩人ジョン・ミルトンが執筆した作品です。
神の楽園に2人きりで生きていた最初の人間アダムとイブが、蛇に化けた悪魔サタンにそそのかされて、神様から「食べてはいけない」と言われていた知識の木の実(リンゴ)を食べてしまい、楽園から追放されるまでの物語です。
この本の中で、天使だったルシファーが七つの大罪により堕落して堕天使になり、最後は悪魔サタンになる様子が描かれています。
その他考察など
作中で明確に明かされていない疑問などを考えました!
ミルズはなぜ引っ越してきた?
サマセットとミルズが初めて会った時、サマセットは「他の刑事と喧嘩してでもここに来たがったそうじゃないか。なぜだ?」と聞きますが、ミルズは答えませんでした。
その後、ミルズは「前の署でも殺人課に5年いたが、周辺の聞き込みとパトロールばかりさせられて刑事になれなかった」と語っていました。
これらの発言から推測すると、ミルズがサマセットの居た田舎町に配属を希望したのは、一日でも早く刑事になりたかったからなのでしょう。
サマセットと署長の発言からも、この町の警察署の殺人課は人手不足だったので、ミルズはライバルが少ない状態でスムーズに刑事になれていました。
この町で数年勤務して、刑事として成長してからまた都会に戻るつもりだったのではないでしょうか。
ミルズは何を言いかけた?
サマセットとミルズが胸毛を剃っていた時、ミルズは何か言いかけてやめました。
この時、2人はジョン・ドゥの要望に応じてドゥと3人で出かけるという危険な捜査に行く直前でした。
ドゥの言う通りにしてみようと言い出したのはミルズで、サマセットは責任者であるミルズの決定に従っています。
恐らくこの時、ミルズは初めてサマセットに不安を漏らしかけていたのではないでしょうか。
「本当にジョン・ドゥの言う通りにして大丈夫なのか」「これから何が起こるのか」と不安になったのです。
しかし、ドゥの提案に従うことに決めたのはミルズなので、考え直して不安を飲み込んだのでしょう。
ミルズが何を言いたかったのか何となく察したサマセットは、ミルズの「胸毛を剃っていて乳首が取れたら労災おりるかな?」と冗談にすり替えた発言に対して「私が新しい乳首を買ってやるよ」と冗談で返す様子は微笑まし過ぎます。
このシーンは『相容れない奴』と内心思い合っていたサマセットとミルズが、ようやくお互いの長所と短所を理解し始めて真の相棒に近づいていることを示すシーンだったように感じました。
次のページに続きます!
次は犯行動機、トレーシーからの電話、段ボールの中身、ラスト考察です。
感想などお気軽に(^^)