『プレステージ』ネタバレ解説考察|自殺の理由、ボーデンの正体など | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『プレステージ』ネタバレ解説考察|自殺の理由、ボーデンの正体など

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プレステージ SF

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⑥アンジャーの死、ボーデンの逮捕、コールドロウ卿

プレステージ

©2006 TOUCHSTONE PICTURES All rights reserved.

アンジャーの瞬間移動マジックを見たボーデンは、トリックが知りたくなってアンジャーのショーの舞台裏に忍び込むと、アンジャーが亡き妻ジョイスのように大きな水槽の中でもがいている現場を目撃します。
ボーデンはアンジャーを救おうとしますが、水槽が壊れた頃にはアンジャーは死んでいました。

ボーデンはアンジャーを殺したと勘違いされて殺人罪で逮捕されてしまいます。
裁判でボーデンは無罪を主張しますが、裁判官や周囲は信じず、ボーデンは死刑を宣告されてしまいます。

刑務所に入れられたボーデンを、1人の男が訪ねてきました。
『コールドロウ卿の代理』というその男は「瞬間移動のマジックを教えろ。さもないとジェスを環境最悪の孤児院に入れる」と脅します。
ボーデン自身はコールドロウ卿という男を全く知りません。
ボーデンは悩んだ末にトリックをメモに書き、刑務所を訪ねて来たコールドロウ卿本人に渡します。
しかし、コールドロウ卿はよく見ると死んだはずのアンジャー本人でした。

アンジャーはボーデンのメモを読まずに破り捨てると「ジェスは俺が引き取る。君への復讐はこの子にすることにする」と不敵に笑って去りました。
ボーデンは「アンジャーは生きてる!俺は無実だ!」と叫びますが、誰にも聞いてもらえませんでした。

 

結末

ボーデンの死刑執行が終わり、1人で勝利を噛みしめていたアンジャーの前に突然ボーデンが現れました。
ボーデンは実は一卵性の双子で、瞬間移動も双子で行っていたというシンプルなタネでしたが、ボーデン兄弟は双子であることを隠すために尋常じゃない努力をしていました。

双子の1人がマジシャンのボーデンとして行動する間、もう1人はボーデンの仕事の相棒ファロンに変装して行動を共にし、ボーデンがアンジャーのせいで指を失った後、もう1人のボーデンも外見を同じにするために指を切断していました。
双子の1人アルフレッドはサラを愛し、片割れのフレディはオリヴィアを愛していたので、兄弟にとっては二重生活も仕方ない状況だったのです。

ボーデン兄弟は2週間おきに入れ替わっていて、双子の違いに気づいていたのはサラとオリヴィアだけですが、2人とも漠然と『何か変だ』と感じていただけで真相には行きつかないままでした。

生き残った方のボーデンはアンジャーを銃で撃ち殺し、姿を消しました。
アンジャーがテスラに作ってもらったコピーマシンも燃やされました。
ボーデンの娘ジェスの面倒は今カッターが見ています。
ボーデンはジェスとカッターに会いに行きます。




解説・考察・感想など

2人目のボーデンの正体は?

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ラスト、ボーデンは2人いたことがわかります。
ボーデンは一卵性の双子で、彼らはマジックのために双子であることを隠して生きていました。
1人はサラを愛した『アルフレッド』、もう1人はオリビアを愛した『フレディ』です。
1人が『アルフレッド・ボーデン』として活動する間、もう1人は変装して相棒の『ファロン』として常に一緒にいました。

ボーデンもテスラのマシンを1度だけ使ったのかな(過去に被験者になったことがあるなど)とも思いましたが、ラストの説明の様子だと双子説が正しいようです。

ボーデン双子の伏線は、サラが感じていたボーデンの「愛してる」が本当の日とウソの日がある事や、治りかけていたはずの薬指と小指からまた出血していたこと、カッターとアンジャーがボーデンの瞬間移動を推理するときに『実は双子説』が出ていたところです。

ボーデン兄弟が双子なら、2人は最初から双子であることを隠していたことになります。
その理由は恐らく兄弟2人ともがマジシャンになりたかったからです。
普通だったら別々に活動したり、双子を売りにして一緒にショーに立ったりする方を考えそうですが、ボーデン兄弟はトリックも一緒に考えていたので別々に活動することにメリットがなく、双子であることもいずれはマジックのタネにするつもりだったため2人で1人になることを選んだのでしょう。

兄弟が双子を本気で隠し通す気になったのは、中国人奇術師のショーを見た時です。
中国人奇術師は本当は健康なのに、普段から『足が悪い演技』をすることで周囲の目を欺いていました。
トリックを見抜いたボーデンは「マジックはそこまでして初めて成し遂げられる」とつぶやきます。
ショーを見た人々は「歩くのがやっとの爺さんにこんな芸当が出来るはずがない!」と思うから奇術師のマジックが本物だと思えるのです。




マジックの3つのパート

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マジックは3つのパートで成り立っている
最初のパートは『確認(プレッジ)』 何でもない物を見せる
2番目は『展開(ターン)』 その何でもない物で驚くことをして見せる
だが拍手はまだだ 消えるだけでは十分じゃない それが戻らねば・・・

冒頭とラストにマジックに重要な3つのパートが登場します。
「確認(プレッジ)」は、マジックに使う道具(ハトや鳥かごなど)を観客に見せて、道具に種も仕掛けも無いことを確認させます。

「展開(ターン)」では、その道具を使ってハトを消してみせます。
しかし、消すだけでは観客は満足しません。
消えただけだと、観客はハトがどこに行ったかが気になってしまいます。
そのため、ハトが無事な姿で再び現れて初めて、観客は安心してショーを楽しめます。
これでひとつの「偉業(プレステージ)」になります。

現代のマジックはどうなのかわかりませんが、ボーデンとアンジャーの時代の『動物瞬間移動』のトリックは、かごを動物ごと潰して殺してしまい、再び出現している動物はかごに入っていたのとは違う2匹目であるというものがメジャーでした。

マジックは悲しい現実に目を向けたくない、気付きたくないという人間の意識も利用しています。
観客の多くもトリックを考えた時に「もしかしたら消えた方は死んでいるのでは?」とよぎりますが、そんな残酷な可能性を考えているとショーを楽しめません。
観客は純粋に楽しむためにショーを見に来ています。
だからこそ、観客は無意識のうちに「もし殺していたとしたらハトを沢山殺していることになるし、まさかそこまでしないだろう」「最初にカゴの中にいたのも、消えてから登場したのも同じハトだ」と信じ込み、自ら騙されにいくという流れが生まれます。

 

アンジャーが自殺し続けていた理由

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アンジャーはコピーマシンで自分自身を複製し、人間瞬間移動マジックをするたびに『展開(ターン)』の段階で消える方の役目をするアンジャーが水槽に落ちて死んでいました。

アンジャーが自分を殺し続けていたのはボーデンに復讐するためです。
アンジャーは自分が死んだ時にボーデンがそばにいる状況を作れば、ボーデンは疑われて捕まるに違いないと計算した上で、ボーデンが舞台裏に来る日を待ち続けていました。
ボーデンがいつ来るのかは予想できないため、アンジャーは準備だけでも万全にするために毎回死んでいたのです。

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