『ミッドサマー』解説・考察|ラストの笑顔の理由、ダニーのその後の予想、ペレについてなど | 映画鑑賞中。 - Part 2

『ミッドサマー』解説・考察|ラストの笑顔の理由、ダニーのその後の予想、ペレについてなど

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ホラー

イングマールとウルフが生贄になった理由

イングマールウルフは生贄に自ら立候補したような体裁になっていましたが、真実はなんとなく違った気がします。

気になったのは、マークが倒木に粗相した時にウルフだけが怒り狂い、その後泣き崩れていた点です。
ご神木を汚されたわけですから、他の村人も激怒していても不思議ではないのに、なぜかキレたのはウルフだけで他の人はウルフをなだめようとしていました。

恐らくあの時、ホルガ側から差し出す生贄を誰にするかはまだ決まっていなくて、検討中だったのではと思われます。
そしてウルフがひざから崩れ落ちた時が、生贄の1人に彼が決まった瞬間だったのではないでしょうか。
その後、サイモンの姿が無いのをダニーがクリスチャンに報告した時、画面の隅でウルフと賢人の1人が一対一で儀式めいたことをしていたのは、生贄関連の行為だったのではと思いました。
ちなみに最終日の儀式の直前に建物の影で泣いていた女性は、ウルフの妻だと思われます。

そう考えてみると、ホルガには個人別に貢献度を測るシステム(成績的なもの)があって、ポイントが低い順に生贄を決めていたのではないでしょうか。
ウルフの役割はあの倒木の管理で、倒木にマークが粗相したために彼のポイントが大きく下がり、生贄に決まったと推測しています。

もう一人の犠牲者イングマールは、ペレと同様『巡業の旅』で外部の血を連れてくる役割でした。
彼のポイントが下がった原因として考えられるのは、ホルガの風習に拒否反応を示すような人物を連れてきてしまった点です。
特にサイモンが儀式をやめさせようとして騒いだのは大きなマイナスポイントだった気がします。

まだ若くて未来ある世代の2人が選ばれるのは少し疑問ですが、もしかしたら冬世代は人数が少なくて生贄に割り当てる余裕が無かったのかもしれません。

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クリスチャンがマヤに選ばれた理由


(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

マヤがクリスチャンを選んだのは単純に直感が大きいのでしょうが、閉ざされた村に住み、恋愛経験も多分ゼロの彼女の選定基準は恐らく『ルックス』が第一だったと思われます。
外部メンバーの中でクリスチャンは一番ルックスが良く、適当ですが何となくクマっぽかったです。

マヤは本当に恋をしていたわけではなく、彼女もやはり生粋のホルガ人で、クリスチャンのことは「子どもの種を与えてくれる人」としてしか見ていません。
それが露骨に出るのは、マヤがクリスチャンとの儀式中、母親に不安げな目線を向けて手を伸ばすシーンです。
身体は成熟していても、心はまだ子供だという証拠です。
マヤの心境を悟って、母親は彼女の手を取ってなだめるように歌います。

普通だったらドン引きして萎えそうですが(おばさんがお尻を押してくるとこも)、クリスチャンが行為を続けられたのは麻薬と媚薬で判断力が鈍っていたせいもあったのでしょうね。

ちなみに、食事の席でおじいさんがクリスチャンの顔の前で手をパン!とはじいた意図がよくわかりませんでした。
これから性交の儀式を行うことになるクリスチャンをからかっていたのかもしれません。(おじいさん目線で考えると「これから良い思い出来るんだから、もっとシャンとしろ」的な意味で)
というかあのおじいさん見た目年齢が80歳位に見えたのが地味に気になったんですが、一応72歳以下だったのかクリスチャンの幻覚だったんでしょうか?

ペレの草冠とマヤの化粧


(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

儀式の終盤になると、ペレは賢人たちに褒められて頭に草冠を乗せ、マヤはお化粧していました。

ペレの草冠はもマヤの化粧も、恐らくそれぞれの役割を一番上手に果たした優秀な人物が身に着けるものだったのでしょう。
マヤは性交を経て一人前の女性になった証の意味合いもあったように見えました。

ペレはホルガに都合の良い外部の血を4人も連れてきたし、マヤはしっかりクリスチャンを誘惑して性の儀式を終えることが出来ました。

深く考えるとマヤは妊娠が確定して初めてホルガに貢献することになるのでは?とも思えますが、排卵日の計算もした上での儀式なので、そこは心配ないと判断されていたのでしょうか。

 

ダニーがホルガで家族を見る理由

ダニーはホルガに来てから度々死んだ家族の幻覚を見たり、夢に見たりしていました。
理由はダニーが家族を求めていて、さらにドラッグを服用していたから見えていた、というのもあると思いますが、ダニーがホルガの中に新しい家族を見出していたのも大きな理由だった気がします。

ただ、ダニーの妹が幻覚の中でもガス栓を付けた状態だったのは気になります。
ダニー自身は妹がガス栓を口に繋いでいた姿を直接見てはいないはずだからです。
妹は顔が覚えられる程登場しないので、ガス栓を付けてないと誰なのかわかりづらいという観客目線の理由だったのかもしれません。

もしくはダニーはホルガに新しい形の『家族』としての魅力を感じつつ、ホルガの『死に対する価値観』に共感していたことの表れでもあったのかもしれません。

ペレはダニーが好きだったのか

ペレはクリスチャンとダニーが別れるように仕向けて、メイクイーンになった時はダニーにキスしましたが、ペレもマヤと同じように、全ての行動がホルガ村民としての役目を果たすための機械的な行動で、感情は伴っていないと思われます。
友人を生贄として差し出すことをためらわず、むしろ誇りに思っている様子がそれを物語っていました。
「機械的にそれぞれの義務を果たす」みたいな伏線発言もしていました。

ペレは恐らくホルガ人の中でも特に優秀で、何をするにも『ホルガのためになるかどうか』が行動基準だったのではないでしょうか。
そしてペレがダニーに好意を見せるのは、恐らくダニーがペレにとって扱いやすいタイプだったからであり、ホルガの新しい仲間に加わってくれそうな貴重な人物だったからなのでしょう。

ダニーがホルガにとって貴重な人材である間は大事にされますが、そうでなくなった場合はホルガの決まりに則って対応されてしまうと思われます。

クリスチャンが受けた2つ目の儀式

ミッドサマー
(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

クリスチャンは『強さ』を象徴する動物クマの生皮を着せられた後、賢者らしき人物に「お前により最も罪深い罪を浄化する」的なことを言われていました。(うろ覚えです。意味合い違っていたらすみません)

罪だらけに見えるホルガの中で『最も罪深い罪』とは何かと考えた時、思い浮かぶのは『自分たちの村の繁栄のために無関係な外部の人間を利用したり生贄にしてしまうホルガの価値観』です。
もし罪深い罪がこれだとしたら、ホルガの人々は彼ら自身の罪そのものも全部生贄に押し付けて炎で浄化しようとしていることになります。
末恐ろしいですね(語彙力)

 

ダニーが最後に笑った理由

ミッドサマー
(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

ダニーはクリスチャンが入れられた神殿が燃え尽きた後、今までで一番満足気な心からの笑みを浮かべます。
このシーンについて、アスター監督は「ダニーは狂気に落ちた者だけが味わえる喜びに屈した。彼女は自己を完全に失い、ついに自由を得た。それは恐ろしくもあり、美しくもある」とコメントしています。
ダニーは狂気に落ちることで、彼女を苦しめていた悩みから解放されたのです。

本作はダニーがカルト集団に洗脳されてしまった話でもありますが、ダニーが依存して離れられなかった恋人と決別し、新しい家族を手に入れる救いの物語でもあります。

ダニーはクリスチャンを死に追いやったことで、過去の自分から解放されてホルガで新しい自分(自己を失くしてホルガの一部になること)を手に入れたのでしょう。

印象的だったのは、アッテストゥパンの説明をするシヴの話を聞いている時のダニーの表情です。
ホルガの『死に対する考え方』は非常に合理的で、悪いイメージを持たず、あくまで『次の段階へのステップ』として捉えています。
ダニーは死に対するプラスの解釈を知ったことで、ずっと避け続けてきた家族の死と向き合うことが出来たのではないでしょうか。

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ダニーのその後

ホルガで幸せを手に入れたダニーでしたが、彼女は祭りが終わった後どうなるのでしょうか。

ホルガの一員になるとしても、ダニーはペレと同様「巡業の旅の夏世代」ですし大学もあるので、祭りの後はペレと一緒にアメリカの大学に戻ることになるのでしょうか。
それか、彼女は「外部の血」なので例外的に居残り組になってペレの子どもを産む役目を担う可能性もあります。

帰ってこないクリスチャン、ジョシュ、マークを心配した家族は捜索願を出すのでしょうが、ホルガは今までも同じように外部の人間を殺したり取り込んだりしていたので、それなりに対策はしっかりしていたんだろうとは思います。

そもそも国が違うので捜査が難しいでしょうし、連れてくる人の家族に行き先を教えないようにさせたり、チケットの手配なんかも足が付きにくいようにペレが用意したものだったのかもしれません。

 

ダニーの妄想説

アリ・アスター監督は本作について「見方によってはダニーの願望を実現するためだけに存在する場所にも見えるようにも描いた」と発言されています。

よく思い出してみると、「もしかしてここからダニーの妄想(もしくは死後の世界)なのでは?」とも思えなくもないシーンがあります。

それはダニーがマッシュルームティーを飲んだ後、トイレで妹の亡霊を見て錯乱し、森の中を走り回った挙句気絶するシーンです。
その後目覚めてからは全て彼女の夢か死後の世界で、ホルガでの出来事はダニーの深層心理が反映された村だったと考えられなくもない構成になっています。
これもまた解釈が広がって面白いですね。

以上です!絵についてなどはパート2に書きます。
読んで頂きありがとうございました(^^)

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・参考サイト様

映画「ミッドサマー」公式サイト:観た人限定解析ページ

 

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