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アイバンの右手の人差し指と足の親指が入れ替わっていた件
アイバンは右手の人差し指に足の親指を移植していて、そのことをアイバンは「事故で指を失くしたから、足の親指を付けた」と言っていました。
これは恐らく、ミラーの腕の事故が起きた直後だったからではないでしょうか。
もしかしたらトレバーは、責任感から自分の腕をミラーに差し出そうかと考えたのかもしれません。
しかし、筋肉隆々のミラーにガリガリのトレバーの腕を移植しても不釣り合いになってしまいます。
そういったトレバーの思考がアイバンの指に反映されていたのではないでしょうか。
血が流れる冷凍庫
あの冷蔵庫は、トレバーがひき逃げの記憶を心の片隅に仕舞い込んで封印している状況を表しています。
トレバーの強い逃避願望が、ひき逃げ前後の記憶を凍らせて(忘れさせて)いたのです。
中に人間の死体でも入っているかのように冷凍庫から血が溢れるのは、電気が止まって冷凍庫の中身がゆっくり溶けていくように、トレバーも封じた記憶を思い出しそうになっていることを表していたように感じました。
冷凍庫の中には魚しか入っていませんでしたが、この魚もトレバーがひき逃げのことを思い出す手掛かりになっている他、トレバーの心の時間がひき逃げ直後から止まったまま立ち直れずにいることを表していたのではないでしょうか。
ドエトフスキーの『白痴』
トレバーがドエトフスキーの『白痴』を読んでいるシーンがあります。
『白痴』のあらすじをざっくり紹介すると、重度の精神疾患を持って生まれた主人公ムイシュキンが、症状が改善したため病院から出て生まれ故郷のロシアに戻り、そこで知り合った女性ナスターシャと恋に落ちます。
しかしナスターシャはムイシュキンを愛していながら、富豪の男ロゴージンとの結婚を決めてしまいます。
ロゴージンは最初はナスターシャを愛していませんでしたが、徐々に彼女を愛し、身も心も支配したいと思うようになります。
一方ムイシュキンは一度はナスターシャを忘れて別の女性と結婚しましたが、次第にナスターシャへの愛を再確認するようになります。
最終的にはロゴージンは嫉妬に狂ってナスターシャを殺してしまい、そのことを知ったムイシュキンはショックから精神疾患が悪化して元の『白痴』に戻って今までの記憶も知能も失ってしまう、というお話です。
ムイシュキンは善人の象徴として描かれ、対してロゴージンは悪人の象徴として描かれています。
トレバーはムイシュキンに自分を重ね合わせて、自分自身を『善良な人間』だと思い込もうとしていたのでしょう。
また、『嫌な出来事の記憶は全て忘れた、消し去った』ということを心のどこかで覚えていることも示唆した上でのこの本のチョイスなのではないでしょうか。
マリアと会っている間、時計が止まっていたのは?
マリアと会っている間だけ、時計は1時29分~31分の間を行ったり来たりします。
トレバーはいつも不思議に思いながらも特に気にしてはいませんが、これはトレバーがひき逃げした時刻を指しています。
事故を起こす直前ににたまたま時計を見ていたので『1時30分』がトレバーの記憶に焼き付いていたんですね。
ROUTE666のアトラクション
(引用:http://emumemo.blog35.fc2.com)
ここはトレバーの妄想の世界だったこともあってか伏線だらけでしたね。
気付いた伏線をまとめました。
まず、『ROUTE666』というアトラクションの名前自体が伏線になっていました。
トレバーがポンティアックの車内に飾っていたのが『ROUTE66』の看板のキーホルダーでした。
『ROUTE666』と『ROUTE66』だと道が違っちゃう気がするんですが、なぜ統一されていないのかはわかりません。
インディアンが持っている腕は、トレバーが不注意で起こしてしまったミラーの事故(トレバーがミラーの腕を奪ってしまった意識)を表しています。
謎のメモの正解と、トレバーの罪の意識(自分は犯罪者だということ)が表れています。
『SLOW!SCHOOL ZONE』(速度落とせ!通学路)という看板を持つ警備員の男の立て看板が表れます。
その直後に男の子が車の前に飛び出してきて、トレバーとニコラスが乗っているおもちゃの車は男の子の立て看板を轢いています。
トレバーの事故の追体験です。
交通事故で亡くなったであろう子どもの遺体のおもちゃが登場します。
トレバーは自分が轢いてしまった男の子がその後どうなったか知らないはずですが、トレバー自身は殺してしまったと思っているのでしょう。
地獄のゾーンに入った後、トレバーがサングラスと信号機と車の速度メーターのフラッシュバックを見ています。
これも事故に関する伏線です。
これだけ伏線が多いとほぼネタバレ感があります(笑)
伏線とは関係無いですが、遊園地にいるときのトレバーは撮影時期の関係なのか少しふっくらしていてイケメン度が増して見えました。
マリアの部屋
マリアの自宅にお邪魔したトレバーがキッチンに入った時、廊下の前で立ち止まって首をかしげます。
マリアの部屋は置いてある家具は違いますが、トレバーのアパートの部屋と同じ間取りでした。
トレバーはマリアの部屋の妄想を自室で見ていたのでしょう。
マリアの部屋にもあったピエロの人形とガラスボウルは恐らくトレバーの母親の形見で、アパートを引き払う時に寄付した荷物の中に紛れていました。
恐らくマリアの部屋にあった全ての物が、トレバーが過去にどこかで見たことのあった家具だったのでしょう。
『I’D RATHER BE FISHING(釣りがしたい)』
トレバーが車にわざとはねられた後、『I’D RATHER BE FISHING(釣りがしたい)』という文字が書かれたプレートがアップで映ります。
最初、トレバーはレイノルズと釣りに行った帰りにひき逃げをしたのかと思いましたが、トレバーはひき逃げした時はパイソン柄の革靴を履いていたので、釣りとひき逃げは別の日の出来事だったようです。釣りに革靴で行かないですもんね。
この看板の後からトレバーの過去が明らかになっていくので、罪から逃げ回るトレバーを吊り上げるということで、観客に向けた「そろそろネタバレ始めるよ!」という意味の演出なのかもしれません。
以上です!読んで頂きありがとうございました。
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