解説・考察後半
ポルコが秘密警察に追われた理由
©1992 Sutudio Ghibli・NN
ポルコがファシストの秘密警察に追われていたのは、ホテル・アドリアーノで悪だくみしていた空賊連合の男達の仕業です。
ポルコがどこかの店のおやじから「政府が空賊連合を抱き込むつもりらしい」と言っていたのも、政府と空賊連合のつながりを示す伏線です。
それに『半国家非協力罪』、『蜜出入国』、『退廃思想』、『ハレンチで怠惰な豚でいる罪』、『わいせつ物陳列罪』という罪の数々にはどう見ても悪意が含まれています。
フィオが付いてくるのにポルコが納得したのはなぜ?
フィオがポルコに付いて行くつもりだと知るとポルコは大反対しますが、ピッコロ一族を守るためだと知るとすんなり受け入れました。
このままだとピッコロおやじをはじめとするフィオの家族も『反逆者ポルコに協力した罪』で逮捕されてしまう可能性があったからです。
フィオがポルコについて行くのは、ポルコがフィオを人質に取ってピッコロたちに無理やり作らせたことにしておけば、政府に調べられた時に言い訳が出来ます。
ドナルド・カーチスはなぜポルコに会いに来た?
©1992 Sutudio Ghibli・NN
ポルコとフィオが無人島に戻ってきた時、カーチスも同じ場所に現れました。
カーチスはポルコが復活したことと、リベンジマッチを望んでいることを知って待ちきれずに自ら駆け付けたものと思われます。
カーチスの話しぶりから、彼は最初から条件付きの勝負を吹っ掛けるつもりで来ていたのです。
現れた時点ではまだフィオにホレていないので、当初の目的はジーナに関する条件を出そうとしていたのではないでしょうか。(ジーナがポルコを諦めるような条件か、ポルコにカーチスとジーナのキューピッドになってもらうなど)
しかし、フィオに一目ぼれしたので直前で条件を変えたのです。
ポルコが豚になった理由
©1992 Sutudio Ghibli・NN
まず、宮崎監督は『ポルコは自分で自分に魔法をかけて豚になった』というヒントというか答えを明かしてくれています。
答えが出てしまったので、なぜ豚になることを選んだのかを考えます。
まず、ポルコはファシストになりたくなかったことが挙げられます。
「ファシストになるより豚の方がマシ」
これらの発言は、ポルコがファシスト政権を嫌悪して、イタリア人であることでのしかかってくる『政府に対する忠誠』から、逃れようとする意志の表れです。
ポルコはイタリアが大好きで離れたくないけれど、お国の意向に従ってファシストになるのは嫌だったのです。
次に思い浮かぶのはジーナのことです。
ポルコは恐らく少年時代からジーナが好きで、ずっと彼女の近くに居ましたが、決定的な関係になるのは避けていました。
それは恐らく、ジーナの元夫がポルコの親友だからです。
ジーナの元夫の1人でポルコの親友でもあったベルリーニは、彼女と結婚した2日後に戦争で死んでいます。
ポルコはジーナと親密になることはベルリーニに対する裏切りになると思っていたのかもしれません。
なので、豚になることでジーナとの恋愛の土俵から降りたつもりでいたのではないでしょうか。
エンディングに登場する写真の中に、ポルコ以外の『豚』が沢山登場します。
彼らもまた、何かから逃げるために自分で自分に魔法をかけた豚だったのでしょう。
ポルコの魔法はなぜ解けた?
決闘の後、カーチスがポルコの顔を見たがっているので、この時ポルコの魔法が解けたと思われます。
魔法が解けたっぽい要素が沢山あって中々特定が難しいので、可能性を上げていきます。
→おとぎ話的に愛のキスで魔法が解けた
②ジーナがポルコを愛してると知った
→密かに愛する人に密かに愛されていた衝撃で魔法が解けた
③カーチスとの殴り合いが効いた
→男同士の友情で魔法が解けた
④ポルコが『人間でいるのも悪くない』と心から思えたから魔法が解けた
思いつく限りでは以上です。
決まった答えは無いので、こうだと思う説(ここに書いていない物でも)が答えです。
私は④を推してます。
ポルコとジーナのその後
2人の恋がその後どうなったのかは『私達だけの秘密』として明かされていません。
フィオとジーナが仲良くなって交流を続けていたのに、『フィオはその後ポルコと再会していない』という状況から判断すると、くっついていないようにも思えますが、ポルコがジーナの愛を聞かされた時の表情や、魔法が解けたことを考えるとくっついている方が自然ではあります。
もしポルコとジーナがくっついていたとすると、ポルコがフィオに会わないのはジーナのためなのかもしれません。
ポルコはフィオの初恋の相手のようなので、もしフィオとポルコが再会したら、ジーナが浮気を心配するかもしれないからです。
答えが出ていなくて申し訳ないですが、私は2人がくっついた説を信じます。
登場した実在のパイロットたち
作中に登場したパイロット達は大体実在していた方々だったので、まとめてみました。
・ドナルド・カーチス
ポルコのライバルのアメリカ人『ドナルド・カーチス』の名前の由来は、1916年に設立されたアメリカの航空機製造メーカー『カーチス・ライト社』初代社長の『グレン・カーチス』ではないかと思われます。
・シニョール・バラッカ
作中では豪華客船『地中海の女王号』の専属護衛パイロットの1人でした。
実在のモデルはフランチェスコ・バラッカ伯爵(1888-1918)で、イタリア空軍のエースパイロットだった人物です。
・ヴィスコンティ中尉(ティベレの狼)
作中ではもう1人の豪華客船『地中海の女王号』の専属護衛パイロットでした。
実在のモデルはアドリアーノ・ヴィスコンティ(1915-1945)で、同じくイタリア空軍のエースパイロットだった人物です。
・フェラーリン少佐
作中ではポルコの友人で何かと助けてくれた人物です。
実在のモデルはイタリア人パイロットのアウトゥーロ・フェラーリン(1895-1941)。世界で初めて欧亜連絡飛行を成功させた人物です。
・ベルリーニ
ポルコの昔ばなしに出てきたパイロットで、戦死したジーナの夫です。
名前の由来はイタリアの作曲家ヴィンチェンゾ・ベッリーニ(1801-1835)から来ていると思われます。
※マルコ・パゴット大尉は架空
『マルコ・パゴット』は架空の名前でポルコの本名です。
フィオが「嵐の中、敵のパイロットを助けたマルコ・パゴット大尉の話が大好き」と語っています。
ポルコは敵を助けたことで戦争中の英雄にもなっていました。
以上です!読んで頂きありがとうございました。
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