映画『ヒメアノ〜ル』ネタバレ解説|ラスト考察、原作との違いなど | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『ヒメアノ〜ル』ネタバレ解説|ラスト考察、原作との違いなど

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スリラー

原作との違い

続いて、原作漫画との主な違いを挙げていきます。

安藤先輩は原作漫画ではハッピーエンド

ヒメアノール

©古谷実・講談社/2016「ヒメアノ~ル」製作委員会

映画ではユカを岡田に奪われて失恋に苦しみ、挙げ句の果てに森田に銃で撃たれて重症を負うという悲しい運命を辿る安藤先輩ですが、漫画ではもっと救い(?)があるので、映画だけを観て安藤が可哀そうになっていた方は安心してください(笑)

以下、原作漫画の安藤先輩の恋をまとめているので興味のある方は読んでみてください。

漫画では、岡田とユカが付き合っていることを知った安藤は、ユカを忘れるために生まれて初めて風俗店に行き、風俗嬢に恋をしてすぐにユカの失恋は克服しています。
その後は頑張ってアプローチしますが、結局その子からも『気持ち悪い』とフラれてしまいます(悲)

その後『チョイ悪になればモテるに違いない』と思いつき、『同僚の独身女性に近づいて、向こうが本気になった所で残酷に捨ててやろう』と考え実行しますが、安藤先輩はその同僚女性のことも本気で好きになってしまいます。
2人は付き合う直前までいきましたが、結局女性は両親が持ってきた『歯医者さんとのお見合い話』に乗り、安藤との交際を断って退職しました。

次は、ヘルニア治療のために通うことにしたトレーニングジムで超美人のインストラクターと出会います。
安藤さんは美人インストラクターを好きになりかけますが『もう一生恋しない』と決めていたため、セクハラ発言をわざと連発して必死に嫌われようとしますが、なぜかインストラクターに好かれて両想いになり、最終的に晴れてお付き合いすることになりました。

 

原作との違い:森田の逮捕まで

映画では、森田がユカのいる部屋に侵入して襲い、岡田が駆けつけて森田を止め、その後警察が来てカーチェイスの末に森田は逮捕されますが、漫画では森田はユカや岡田と直接的な接触はしないまま逮捕されます。

漫画はどちらかというと森田のようないわゆる『社会不適合者』の心理描写がメインの物語になっています。

特殊過ぎる悩み(特殊性癖や、それに伴う殺人衝動など)を誰にも理解してもらえない苦しみや、「普通」に生きていくことが出来ない自分自身に対するやるせなさ、社会に対する不満などに焦点が当てられていて、特にこれといった山場が無いまま、森田は公園で昼寝している時に警察に捕まります。

逮捕される時、森田は涙を流しています。
涙の理由は語られませんが、まともに生きていけず罪を重ねるばかりで苦しんでいた森田にとって、逮捕は恐れていたことながら心のどこかで待ち続けていた「救い(もう罪を犯さずに済むという安心感)」だったのかもしれません。




グロさの度合い

映画は殺人シーンが多かったり、森田の足がなくなったりとグロ度合いが高めでしたが、漫画はエログロ度共に普通程度でエロに至ってはほとんどありません。
どちらかというと個人的には漫画の表紙の絵の方が猟奇がかっているというか、森田の内面がより良く表れていて不気味に思えました。

 

名言抜粋

森田の心理が少しでも理解しやすくなると思ったので、漫画から印象に残るセリフを抜粋しました。
おまけで安藤さんの名言も載せてます。

森田正一の名台詞

限界だな…
もう河島とか高橋とか…どうでもいい…
神がどうとか悪魔とか…まったく関係ない…理屈なんてないんだ
オレはどうしてもあの…7年前の瞬間を…また味わいたい…
最高に…”完璧に充実した時間”を…それをずっと探してる…
多分オレはもう そのためだけに生きている
(引用:漫画「ヒメアノ~ル」第13話より)
※高橋は高校時代、河島と一緒に森田をいじめていた同級生。

 

和草:
「森田… お前…罪悪感は無いのかよ?
死ぬ人や…その周りの人々の悲しみとか…想像したことないのかよ?
ただ快楽のために 本当にそこまでしていいと思ってるのか?
仮にお前と同じような人がいたとして…
その人は理性的に一生ガマンしてるかも知れないんだぞ?
ツイてないとか…自分が可哀想だとか…
まるで仕方ないみたいな事言ってるけど…
そんなのただのレイプ犯や放火魔と一緒じゃないか」

森田
罪悪感か…そんなの考えた事も無いな…
オレの頭の中はいつも あの首を絞める感触でいっぱいだ…
ガマンしてる奴はガマンできるからしてんだろ?
…だからオレはもう無理なんだって…
オレ 中学の時にさぁ…
『自分はただ 人を殺すためだけにうまれてきたんじゃないか?』
って超ゾっとした瞬間 今も覚えてるよ…
あの日から何か…半分夢見てるというかさ…
現実感が無いんだよ…毎日何をしてもまったく面白くない…
オレだって別に望んでこうなったワケじゃないよ…
オレのせいじゃないぜ
…やっぱ和ぐっちゃんでもわかってくれないか…

和草:
「そんなの…わかるわけないだろう…」(引用:漫画「ヒメアノ~ル」第22話より)

 

森田「オレはずっとそこにいる
みんな得体の知れない恐怖や正体不明の不安と死ぬまでずっと闘っていくんだろう?
あらゆる手段を使って少しでも正当化し…正体を暴き 安心を得る
例えば 通り魔が出た 人を殺した
殺した理由がほしいだろう? それは何でもいいはずだ
”わからないもの”ほど怖いものはないんだ
オレは7年前に人を殺した
こないだも まったく殺す気なんてなかった奴を殺した
つまりオレは世の中の…”わからないもの”のひとつだぞ
だって 生きててやりたい事がどうしてもたったひとつしか見つからないド変態野郎だぜ?
人を殺したい 人の首を絞めて 殺したい
お前だっていいんだ… お前だっていいんだぞ?
世の中はいわゆる”フツー”の奴のためにできてる
”毎日でも人の首を絞めて殺したい”と思ってる人は どうしたらいいんだよ?
たまたま…たまたまそんなのになっちゃった奴は
オレはこれからも…もっと人を殺すのか
捕まって病院に送られるか
ご迷惑をおかけする前にさっさと死んでやるか
まいったな…選択肢が超少ねぇ…
『周りの人が悲しむから殺しちゃいけない』って?
『罪悪感はないのか』って?
何マジメな顔してフツーな事言ってんだよ?ブタ野郎
テメーも一緒に河島殺したろ?ブクブク太りやがって
(引用:漫画「ヒメアノ~ル」第25話より)
※『ブタ野郎』は和草のことです。

 

※ユカの部屋の隣に住んでいた男と森田の会話です。
森田

別に何でもいいけどさ…そうやってすぐ分けんなよ
”病気”って言われると…けっこうムカつくんだぞ?
たまたまオレの普通がみんなと違ってただけでさ…
足が速いとか…歌がうまいとか…
実際そんなのと大して変わらね~んじゃねぇの?

隣人:
「違う!…それは才能の話だ
お前は病気で…人殺しで…犯罪者だ!」

森田
そうなんだよなぁ…
歌がうまくても足が速くても…逮捕されないもんな…
まぁ要するにさ…オレはこの世に”病気”って言葉自体…いらないと思うんだよ?だって意味ないだろ?
何か…歩いてる人に『歩いてますね』って言ってるみたいだ…
運悪く普通じゃなくなった人もいっぱいいるのに そんな人に病気って言ったら可哀相だろ?
オレはそのバカみたいな簡単さとクソ共の残酷さに…超ムカついてんだな
病気になる原因も…何にもわかってない連中に…それっぽい病名つけられて…
『じゃあしょうがない』『あいつはダメだ』って…強引に安心されちゃうんだぜ?
どう思う?何かズルくねぇか?
(引用:漫画『ヒメアノ~ル』第58話より)

 

安藤勇次の名台詞

 

岡田:
「安藤さんは…毎日 仕事終わった後…何してるんですか?」

安藤:
「? そういう君は何をしているの?」

岡田:
「僕ですか?僕はひどいですよ…もう 本当にただ帰って…
ゴハン食べて寝て…いつもそんな感じです
僕 趣味も無いし…彼女も…親しい友人もいないし…
とにかくヤバいんです…毎日ダラダラしてます…
そのクセ…それを不満に思ったりして…
安藤さんは無いですか?なんかそういう…イライラ感というか…モヤモヤした感じ…」

安藤:
何言ってんだよ岡田君 人はみんな不満なんだよ?
もっと言えば 不満や不安が無いと みんな生きていられないと思うよ
だって それを少しでもなくそうと毎日がんばってんじゃない
そして残念な事に 不満とか不安にはキリが無いんだ
そこそこ満足してもすぐまた次の”不満”が現れる…
ずっとその繰り返しだ…
完璧に満足してるヤツなんて多分この世にいないよ
どんな金持ちでも どんなにモテモテでも…
みんな何かしら不満なのさ…
だから岡田君 君は変じゃない!
イタズラに自分をイジメちゃだめだ!かわいそうだよ

岡田:
「あ…安藤さん…けっこう…いい事言いますね…」(引用:漫画「ヒメアノ~ル」第1話より)

 

安藤
「岡田君…オレはねぇ…もう一生恋をしない!!!」

岡田:
「えぇっ一生!? 一生って死ぬまで!?」

安藤
そうだ!!死ぬまでしない!!
一生誰にも心を奪われない!!
オレは入院中ずっと考えていた…
なぜオレの心はしょっちゅうズタズタになるのか?
どうしてこんなにも辛く悲しい毎日を…
死のニオイすらプンプン感じているのか…
それは恋をするからだぁ!!
じゃぁ その”恋”とは何だ!?
オレは一体”恋”に何を求めているのかと…
厳しく深く…超サディスティックに己に問い詰めてみた…
するとその答えは『運命の人と究極に心と心が繋がり合い わかり合い…
最高に美しく幸せに満ちた日々を送る』というものだった…
言葉にした瞬間オレはゾっとした!!
”そんなものは無い”と!!
どー考えたってそんな完璧なもの この世に無いだろうと気付いてしまったんだ!!
つまりオレはずっと幻を追っかけていたんだよ!
すべては自己愛であって!心のオアシスを!
己の存在意義を求めていただけだったんだ!!

岡田:
「で…その髪型にした理由は?まさか恋をしないタメに?」

安藤:
「そうだ!だってこんなヤツ恋できないだろう!?
オレなりの自主規制だ!!髪型だけじゃないぞ!
オレは今日から下ネタを言う!ダジャレを言う!
女子に嫌われるエッセンスをジャンジャン取り入れ 恋との距離をグングン離す!!」(引用:漫画『ヒメアノ~ル』第35話より)

※安藤が変な髪型にした理由を説明している時の発言です。

 

安藤
「いや~岡田君
”恋しない”修行はけっこういいぞ
それに付随したいろいろのモノまで見えてくる」

岡田:
「? 例えばどんなものですか?」

安藤
そうだな…まだうまく言えんが…
世の中の錯覚というか…
人生は”楽しくあるべきだ”という思い込み…
その脅迫観念に囚われている人が…実はたくさんいる事に気付いた

岡田:
「え?…だって楽しくあるべきじゃないんですか?」

安藤
もちろんだ…だがオレが言っているのは 自分にとって何が楽しいのかをよくわかっていないフワフワした連中の話だ!
AさんよりBさんの方が楽しそうだ…
BさんよりCさんの方が楽しそうだ…
自分も毎日を楽しみたい…
そんなフワフワ連中は酒や女…ドラッグやギャンブル…
ものすごく安易に手に入るありとあらゆる快楽にひじょ~に弱い!
岡田君…自転車は止まるとどうなる?
自転車に乗っている人が…地面に足をつけず…止まっているとどうなる?

岡田:
「そりゃ…プロの人以外…すぐ倒れちゃいますよね」

安藤:
そうだ 自転車は走ってこそ安定する
フワフワ君達も同じだ…何としてでも自分を走らせ…
どうにかして楽しんでいるフリをしないと…とても不安定になるのだ
彼らにとって止まるという行為は非常に危険だ…
どうしたって”己”という人間がガッシリ見えてきちゃうからな…
その時こそ本当の精神力が問われ…真の自分の姿が露呈する…

ごまかしようがないんだ
腐ってどんどんバカになるヤツ…
惜しくも負けて人を殺したり…自分を殺すヤツもいるだろう…
だがオレは勝った…なぜならオレは最初から”人生はつらいものだ”とわかっていたからな!
(中略)
何たって俺は無敵の男…いや
今や超自然体の慈悲満ちあふれる完璧な男…
岡田君…すべては”許す心”だよ… 己を許し 他人を許す…
皆がオレのレベルに達すれば世界から戦争などなくなるだろう
(引用:漫画『ヒメアノ~ル』第42話より)

以上です。読んで頂きありがとうございました。
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感想などお気軽に(^^)

  1. さな より:

    最近見ました。二重人格ではなく、白い犬を見たことで昔のことがフラッシュバックした、のほうが近い気がしました。

  2. 匿名 より:

    映画では。生理中の女性も結果殺された描写な気がしました。

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