映画「東京島」ネタバレ解説|元ネタのアナタハン事件を紹介☆ | 映画鑑賞中。

映画「東京島」ネタバレ解説|元ネタのアナタハン事件を紹介☆

ヒューマンドラマ(クライム系)
船の事故に遭い無人島で暮らすことになった清子が、男ばかりの島で唯一の女として『性』を武器に島から脱出しようと奮闘する様子を描いたヒューマンドラマ。
脚本を映画『重力ピエロ』(2009)の相沢友子が手掛けた作品。
 
制作年:2010年
本編時間:129分
制作国:日本
監督:篠崎誠
脚本:相沢友子
原作:フィクション小説/桐野夏生『東京島

キャスト&キャラクター紹介

清子木村多江


(引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

無人島で暮らす四十代女性。
夫との世界旅行で海難事故に遭い無人島にたどり着き、救助を待つ日々を送っている。
ルックスは普通(という設定)だが島で唯一の女性のため、男性陣からアイドル的な扱いを受けている。

 

GM(森軍司)…福士誠治


(引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

与那国島のアルバイトから逃げてきたフリーター集団の1人、
清子の3番目の夫で、与那国島のアルバイトから逃げ出すことを提案した人物。
当初はなぜか周囲には記憶喪失を装っていて性格も大人しかったが、記憶喪失のフリをやめてからは本来の性格に戻りリーダーシップを発揮する。

 

ワタナベ窪塚洋介


(引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

フリーター集団の1人。
無人島に着いてからは群れることなく単独行動している。
人が死んでいるのを見ても平気で笑っていたりする変わり者で、バイセクシュアルの気がある。
清子のことを忌み嫌っていて「女というだけで周囲からちやほやされて調子に乗っている奴」と語っている。

 

ヤンテイ龍進


(引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

中国人集団のリーダー。
仲間だと認めた者には情に厚いが、都合よく利用して切り捨てるような冷徹な面もある。
清子を自分のものにしようと画策する。

 

マンタ(トシオ、カズコ)…染谷将太


(引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

フリーター集団の1人。
無人島に着いてからは1人きりで洞窟の中で暮らしている。
二重人格で、引っ込み思案な人格のトシオと、トシオの姉のカズコという人格が同時に存在している。

 

キム(イラン人)…サヘル・ローズ


(引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

無人島に漂着した出稼ぎ外国人女性集団の1人。
日本に居た期間が長かったことから清子と親しくなる。

 

・その他のキャスト

隆(清子の夫)…鶴見辰吾
カスカベ(フリーター集団、清子の二番目の夫)…山口龍人
オラガ(フリーター集団)…柄本佑
犬吉(フリーター集団、童顔)…木村了
シンちゃん(フリーター集団)…南好洋
アタマ(フリーター集団)…清水優
ジェイソン(フリーター集団)…阿部亮平
ダクタリ(フリーター集団)…結城貴史
ミユキ(フリーター集団)…吉田友一
サカイ (フリーター集団)…松川貴広
シマダ(フリーター集団)…保科光志
ヒキメ(フリーター集団)…藤川俊生
フレディ(フリーター集団)…塩見大貴
ウッス(フリーター集団)…中村無何有
ムン(中国人)…趙珉和
チェン(中国人)…石田佳央
ウォン(中国人)…張天翔
リー(中国人)…張沫
シュウ(中国人)…孫良
マリア(フィリピン人、リーダー)…大貫杏里
パム(フィリピン人)…古藤ロレナ
ルース(フィリピン人)…Aive
シシー(フィリピン人)…渡辺万美
チキ…宮武祭
チータ…宮武祭 ほか

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あらすじ:起

1940年代後半。結婚20周年の記念に夫婦でヨット旅行に出た清子(木村多江)と夫の隆(鶴見辰吾)は、旅行の途中で海難事故に遭い無人島にたどり着いた。
外部への連絡手段がなく救助を呼べず、清子と隆は無人島で誰かが気付いて助けてくれるのを待つ日々を強いられた。

清子と隆が無人島で暮らし始めてしばらく経った頃、島からそう遠くない場所にある与那国島から逃げてきたフリーターの男たち16人が住人に加わった。
彼らは与那国島で住み込みのアルバイトをしていたが仕事のきつさに耐えきれず、同調した者たち総勢16名で一斉に逃げてきたのだ。
彼らはその後いくつかのグループに分かれて暮らしたり、グループに属さず単独行動する者などそれぞれに無人島で生活を始めた。
やがて男たちの中の誰かがこの島を『東京島』と名付けた。


(逃亡出来た開放感から全裸で海に入る男たち 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

無人島生活に慣れてきた頃。大して働きもせず文句と願望ばかり漏らす隆に心底嫌気が差した清子は、隆を崖から突き落として殺した。
清子は隆が居なくなったことにせいせいし、罪悪感を感じる暇もなかった。
その後すぐ、清子はフリーター集団のリーダー格で元ヤンの男・カスカベ(山口龍人)を次の夫に選んだ。
カスカベは清子への独占欲を爆発させ、清子に優しく接する男を異常なまでに敵視するようになり、数人の子分たちから次第に反感を買うようになっていった。
カスカベは子分たちに対する態度が横柄過ぎたり、すぐに暴力で解決しようとする所が玉にキズだったが、清子のことだけは特別扱いしてくれたため、清子はカスカベを愛していた。

そんなある日。清子と男たちは食料を探していて中国人の集団5~6人と遭遇した。


(中国人集団と遭遇した清子 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

 

男たちは清子を置いて逃げ出し、カスカベに中国人のことを報告した。
その後、清子がカスカベの所に走ってきて「豚肉、分けてもらったよ!」と大喜びで報告した。
清子が中国人に体を売って豚肉をもらったんだと思い込み激怒したカスカベは、清子を置いて逃げてきた子分の1人を殴った後、木の棒を武器に持ち、鬼の形相で中国人たちの所へ行ってしまった。
清子は「誰か止めて!」と叫んだが、誰もカスカベを止めようとする者はいなかった。
その日の夜。清子は豚肉を調理して2人で食べようと半分に分けたものの我慢できずに1人で全部食べつくし、カスカベの帰りを待ちながら眠ってしまった。

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あらすじ:承

翌朝。清子はフリーター集団の1人オラガ(柄本佑)に起こされて目が覚めた。
そのまま崖の上に案内された清子は、カスカベが崖の真下で死んでいるのを確認した。
カスカベは中国人を襲いに行ってやり返されて殺された可能性が高いが、真相は誰にも分らなかった。
清子が泣き崩れ、他の男たちもショックを受ける中、フリーター集団の1人でグループに属さず単独で生活している男・ワタナベ(窪塚洋介)が現れて、カスカベの遺体を見てゲラゲラ笑い「ここをサイナラ岬と名付ける!」と言い出した。怒った清子はワタナベを追い払い、その後も泣き続けた。


(泣き崩れる清子と死体を見て笑うワタナベ 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

その後、ワタナベは中国人グループと遭遇し、すぐに意気投合して彼らの仲間になった。
ワタナベは中国語はわからなかったが彼らが言いたいことはテレパシーのように理解できたため、彼らが清子やフリーター集団と接触する際は通訳の役目を果たした。
数日後。カスカベを失った悲しみに暮れていた清子の所にフリーター集団の1人で男たちのまとめ役であるオラガ(柄本佑)が現れて、こう言った。
「島の皆で相談して、次の清子さんの夫をくじ引きで決めることにしました。
誰かが清子さんを独り占めしてしまうとカスカベのような事件がまた起きる恐れがあるので、これからは清子さんの夫はくじで決めて、1~2年ごとに交代することにします。」
物みたいに扱われているようで清子は不快に感じたが、考えてみれば女が清子しかいないことが全ての原因だ。
清子は自分のことを『天然記念物のトキ』のようなものだと考え、男たちの提案に納得した。

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その後行われたくじ引きで、清子の次の夫は皆から『GM』と呼ばれている男・森軍司(福士誠治)に決まった。
男たちの話によるとGMは与那国島で仕事場からの逃亡を発案したリーダー的な存在だったらしいが、清子がその話をするとGMは「記憶が無くて全然覚えてないんだ」と答えた。
その夜は2人の結婚を祝い、食料を持ち寄って簡単なパーティーをした。
この時、中国人グループとワタナベが清子の所にやって来て、清子はリーダーのヤン(テイ龍進)から結婚のお祝いにと豚肉をもらった。
結婚初夜。GMはこの島に来るより前の記憶が無く、自分の本名すら知らないことを清子に語った。
『GM』というあだ名は、彼が与那国島に来た時に周囲に「俺のことはGMと呼んでくれ」と言っていたからだそうだ。
清子はGMを不憫に思い、そっとキスをして抱きしめた。
GMはいつも穏やかで優しく、清子は次第にGMをそれなりに好きになった。
ある日。清子は森で食料探しをしていて偶然 食事中の中国人集団と出会い、彼らが作った料理をわけてもらった。
中国人たちは海の漂流物を活用して中華鍋を自作したり、調味料となる塩や油を作ったりとアイデアを駆使しているのを見て清子は驚いた。
毎日がその日暮らしだった清子にとって、中国人たちの生活ぶりはとても魅力的に見えた。
この時、清子はヤンに一緒に暮らさないかと誘われたが、困った清子は返事をせずにその場を離れた。


(中国人の食事風景を見て驚く清子 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

その後、清子はオラガ、犬吉(木村了)、ミユキ(吉田雄一)などに、中国人たちを見習ってもっと今後のことを考えながら生活したいと訴えたが、誰もピンと来ていないようだった。
清子はフリーター集団が話を聞いてくれなかったことをGMに愚痴った時、GMは清子に機嫌を直してもらおうとドラム缶を磨いて作った鏡をプレゼントした。
清子は喜び、久しぶりに鏡で自分の姿を見てみると、無人島に着く前よりも太っているように見えてショックを受けた。
実際、清子は男たちから食べ物を沢山差し入れてもらえるし、GMも何かと料理を作っては食べさせてくれたので、少しずつ太っていたのだ。
清子はそっと鏡を伏せた。
その後、GMが「俺に新しい名前を付けて欲しい。新しく生まれ変わって、この島で君と暮らしていきたいんだ。」と言うので、清子はGMに『ユタカ』と名付けた。

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あらすじ:転

翌日。清子はダイエットしようと決意してジョギングを始めた。
ジョギングの途中、突然現れたワタナベに「ヤンが呼んでる」と言われてついて行くと、ヤンたちは島から脱出するために丸太で5~6人が乗れそうなボートを作っていて、それはもう完成しそうな状態だった。
ヤンはワタナベを通じて清子に「俺の女になるならこの船に一緒に乗せてやる」と言ってきた。
最初、清子は「私には夫がいますから!」と断って帰ろうとしたが、ヤンは本土に戻ったら食べられるであろう数々の美味しそうな料理の名前を言い続けた。
清子は欲望に負けて「ケンタッキーが良い!」と叫びながらヤンの元に駆け寄り、彼の女になることに決めた。
同時にボートが完成し、中国人グループと清子はボートに乗りこんだ。
続いてワタナベも一緒に乗ろうとしたが、ヤンはワタナベを乗せなかった。
この船は定員が7人のようで、中国人は6人いるため、彼らは元々清子かワタナベのどちらかしか連れていく気がなかったようだ。
そして清子が乗ったため、ワタナベは置き去りにされてしまった。
ワタナベを突き飛ばすとすぐにボートは出発し、ワタナベは船に向かって「女なんか全員死んじまえ!お前らも覚えてろよ!!」と叫んだ。


(渡辺を気絶させた隙に船を出す中国人集団と清子 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

その後、数週間にわたり清子はヤン達と共に潮の流れに任せて海をさまよい、航海の途中で中国人の1人が栄養失調で死んだ。
その内、ようやく目の前に陸と森が見えてきたので、中国人と清子は大喜びで陸に向かって泳いだ。
苦労して岩を乗り越えて陸にたどり着いた清子だったが、そこが出発したはずの東京島だったことに気が付くのに時間はかからなかった。
清子はGMとフリーター集団を見付けると すぐに駆け寄って「中国人に拉致されて船に乗せられていた」と嘘をついたが、ワタナベが本当の成り行きを既に皆に喋っていたため、フリーター集団は必死で言い訳している清子を白い目で見ていた。
GMは「清子さんが戻ってきたことに感謝しよう!この島で唯一の女性なんだから、大事にしよう!」と男たちに呼びかけた。
この時、清子はGMが以前と雰囲気が変わっていたので違和感を感じた。
以前は大人しかったGMが集団のリーダーになっていたからだ。
その後 清子はGMから「清子さんがいない間に記憶を取り戻した」と打ち明けられた。
彼の記憶喪失は本当だったのか装っていたのか定かではないが、清子が居なくなってショックを受けていた彼の前に、フリーター集団の1人で二重人格(解離性障害)のマンタ(染谷将太)が現れて、マンタの中のもう一人の人格であるカズコが「あなたの本名は『森軍司』よ!」と伝えた時、完全に記憶が戻って性格も『森軍司』に戻ったようだ。

GMは与那国島に来る前は大学院生で、結婚を約束した同級生の彼女もいたそうだ。
GMは清子と暮らしていた頃は、気は弱いが穏やかで優しいタイプで、清子は彼のそういう所が好きだったのだが、今のGMはリーダーシップに溢れ、頭の切れる意識高い系に進化を遂げていた。
清子はGMのあまりの変わりように困惑した。
GMは死ぬまで東京島で生きていくことに決めたようで、男たちそれぞれに『酒造り』や『衣類・服飾雑貨作り』などの仕事を割り振り、島で独自の文化を発展させようとしていた。

困惑しながらも清子がGMと住んでいた家に行ってみると、家の中はもぬけの殻になり、誰も住んでいる気配が無かった。
清子がいない間にGMは引っ越し、中も掃除されてしまったのだ。
自分の荷物も無くなっていたので、清子はオラガに荷物をどうしたのか聞きに行くと、オラガと男たち数人は「もう帰ってこないと思ったので処分しましたが、残っていた物は森さんにお渡ししました」と答えるとどこかに行ってしまった。

清子がGMの所に行くと、GMはフリーター集団数人に命じて中国人グループを縛り上げて罰を与えていた。
清子は止めさせようとしたが、GMは「清子さんを拉致したんだから当然です。
この島には法と秩序が必要なんです」と答え、止めようとしなかった。
この罰の後 中国人集団は清子たちの前から消えてどこかに行ってしまったが、誰も彼らを探さなかった。
さらにGMは「清子さんは これからは僕だけでなく、この島にいる男たち全員を愛してあげてください」と言うとその場から立ち去った。
つまり、清子は『GMの妻』ではなく『島の男全員の女』として生きていくように言われたのだ。

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その後、清子は1人で海岸を歩いていてワタナベと遭遇した。
清子は事実を言いふらしたワタナベに殴りかかったが、ワタナベは清子の攻撃をするりとかわして「良いザマだ!もう誰もお前なんか必要として無いんだよ!もうお前はただのババァだ!」と言うと、笑いながら逃げていった。
実際、清子が海で漂流していた間に1組だけだが、犬吉とシンちゃん(南好洋)のゲイカップルも誕生していた。

悔しさが爆発した清子は、以前GMが作ってくれた鏡を持って会議中だったGMと男たちの所に向かったが、途中に仕掛けられていた落とし穴に落ちてしまった。
その落とし穴は清子をいじめるために作ったのか、それ以外の用途で作ったのかはわからないが、清子は駆けつけたGMと男たちに助けられて穴から抜け出した。
GMが清子に「気を付けてくださいよ、もう若くないんですから…」と言うと、男たちはクスクス笑った。
清子は男たちを睨みつけると「生きるために必死になって何が悪いのよ!
私はあんたたちみたいに仲良しごっこしながらこの島で一生を終えるなんて絶対に嫌!
どんな手を使っても、この島から出てやる!」と怒鳴り、GMからもらった鏡を何度も踏みつけて立ち去った。


(男たちに啖呵を切った清子 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

その後、1人で家に居た清子の前にワタナベが現れて「俺を裏切って自分だけ助かろうとしたんだから当然の報いだ。
これでも食って食中毒でさっさと死んじまえ」と言うと、果物が入ったかごを投げつけて去っていった。
清子は絶対に食べまいと思ったが、とうとう空腹に耐えかねてフルーツを食べてしまった。
数時間後。清子は体調不良に襲われて道端で吐いていると、どこからかマンタが現れて清子に「大丈夫ですか?」と声をかけた。
清子はマンタの中のカズコから「あなた、きっと妊娠したのよ!おめでとう!」と言われてショックを受けた。

一晩考えた清子は、GMに妊娠のことを打ち明けた。
本当の父親はヤンの可能性が高かったが、清子はあえてGMの子だと報告すると、再び清子とGMは同居することになった。
オラガに「島から出ていくんじゃなかったんですか?」と聞かれた清子は「あの時は頭がおかしくなってたのよ。
私がここに戻ってきたのは運命だったのよ!
私は東京島の『トキ』じゃなくて、『母』だったのよ!」と語った。
妊娠がきっかけで、険悪だった清子とフリーター集団たちとの仲は徐々に回復していった。

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あらすじ:結

数か月が経ち、清子のお腹が大きくなってきた頃のある日。
浜辺にドラム缶が大量に増えていて、ワタナベがいなくなっていた。
状況からすると、ドラム缶を不法投棄するためにどこからか船が現れて、浜辺を寝床にしていたワタナベがそれを見付けて助けてもらったのだと思われた。
清子とフリーター集団は、ワタナベが助かったことをきっかけに芋づる式に自分たちの存在も外部に知られれば、助けに来てくれるかもしれないと信じて浜辺に拠点を移して救助を待つことに決めた。
GMを始めフリーター集団は「この島で暮らしていく」と語っていたが、いざ助けてもらえる希望が見えてくると、誰もこの島に残ろうとする者はいなかった。
浜辺で待機することに決めた直後、フリーター集団の1人であるミユキ(吉田友一)は様子がおかしくなり、海には何も見えないのに「船が来た!」と叫んで海に入って行き、そのまま戻ってこなかった。

数週間後のある日の昼間。出産間近になった清子の所にマンタがやって来て「出産をぜひスターハウス寺院でして欲しい」と言った。
スターハウス寺院はマンタが住み家にしている洞窟のことで、『スターハウス』の由来は、与那国島に来る前にマンタが住んでいた実家の集合団地の中の分譲棟の名前で、マンタの姉カズコはそこの屋上から落ちて死んだそうだ。
清子は「縁起悪くない?」と苦笑いしたが、マンタは「いいえ、分譲棟は皆の憧れでした!」と笑顔で語った。
そこに、ゲイカップルの犬吉とシンちゃんが現れて「さっき、中国人たちを見たよ!サイナラ岬の下の岩場で何かしてた!」と清子に報告した。

数日後。清子は「中国人たちの方が頼りになりそう」と思い、ヤンに会いに行くことにした。
犬吉とシンちゃんに協力してもらってサイナラ岬の崖を降りた清子は、ヤン達の居場所を探した。
そこには犬吉が言っていた通りヤン達が居たが、5人の若い外国人女性たちもいた。
彼女たちは世界各国を旅する踊り子で、出稼ぎに行くため乗っていた船が事故に遭い、救助ボートに乗って東京島にたどり着いたそうだ。
彼女たちが出会ってグループを結成したのは日本の宇都宮だったそうだ。
清子はフィリピン人女性を通じてお腹の子どもがヤンの子だと伝えると、ヤンは清子の妊娠を喜んだ。
また、この時清子はイラン人女性のキム(サヘル・ローズ)と仲良くなった。
キムには2人の子どもが居て、今は離婚した夫の所に預けているが、いつか一緒に暮らすことが夢だとキムは清子に切なげに語った。

ある日。清子はキムたちが乗ってきたエンジン付きの救助ボート(中国人たちの手で修理中)を見せてもらっていた時に破水した。
清子はすぐに女性たちが寝泊まりしている洞窟に運び込まれ、彼女たちに見守られながら元気な女の子と男の子の双子を出産した。
数日休憩して元気を取り戻した清子は、女の子にチキ、男の子にチータと名付けることに決めた。


(赤ん坊を抱く清子とキム 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

双子に名前を付けたことをフィリピン人のマリア(大貫杏里)に報告した時、清子はマリアに救助ボートが直ったらどうするのか尋ねた。
救助ボートは小さく、頑張っても5~6人しか乗れないサイズだったからだ。
マリアは彼女自身と他のメンバー3人とヤンの5人で出発する予定で、キムは置いて行くと答えた。
彼女いわく、キムはもう若くないのでメンバーに必要ないそうだ。
さらに、マリアは「ヤンの夜の相手をしてくれるなら、清子さんも連れて行ってあげる。
でも、これで定員オーバーだから一緒に来るなら子どもは置いて行くのよ。
大丈夫、キムが育ててくれるわ」と清子に言った。

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翌日の夜明け。「おらがおらがの我を捨てて、おかげおかげのげで生きよ」という父親からの言葉が口癖だったオラガが発狂した。

オラガは大事にしていた黒縁メガネを叩き壊すと「もう助けを待ってわずかな希望にすがり続けるのはうんざりだ!
たった今から、この島に居る者は全員脱出することを禁じよう!
俺たちは一生この島で生きていくんだ!
出ていこうとする者、俺の意見に反対する者は殺す!
まずは、いつまた俺たちを出し抜くかわからない中国人たちを殺す!
清子もあいつらと一緒にいるなら、殺すしかない!」と言い出した。
GM以外のフリーター集団全員がオラガの意見に賛成して叫びだし、中国人たちを襲うため走りだした。
フリーター集団が木の棒などの武器を持って岬の下に現れて中国人グループと戦争が始まった。
十数人がもみくちゃになり、誰が生きていて誰が死んでいるのかもわからない状態の中、清子とマリアは子どもを抱いてボートの方へ走った。
途中、オラガがチータ(男の子)を抱いていたキムからチータを奪って岩に打ち付けて殺そうとした時、GMがオラガを襲ってチータを助けた。
清子はチータを助ける間もなくボートに乗り込むと、チキとマリアの3人で島から脱出した。
チータを抱いたGMは、どんどん小さくなっていく清子を見つめながら「この子は俺が育てる!」と呟いた。

10年後。東京島に残された生き残りのフリーター集団、中国人グループ、フィリピン人グループは和解して1つになり、今では仲良く暮らしていた。
この10年の間にGMとマリアがカップルとなり村長になっており、チータ(宮武祭)は『王子』と呼ばれ、2人の子どもとして大切に育てられていた。
他の女性陣もそれぞれ夫を持ち子どもを設けたり、男同士のカップルもいる。
ドラム缶には10年前の闘争で死んだ男たちの名前と、島から脱出したキム、清子、チキの名前が刻まれていた。
その他、かすれていて読めない名前もあるが、オラガ、アタマなど10人前後が命を落としたようだ。

その日はチータの10歳の誕生日のお祭りが開かれていた。
チータは皆の前に立ち、島の平和と繁栄を願う立派なスピーチを終えた後、ドラム缶の位牌の前で手を合わせた。
その時、どこからともなく清子の「お誕生日おめでとう」という声が聞こえ、チータは空を見上げた。
そんなチータの様子を、ヤンは近くで微笑みながら見つめていた。


(ドラム缶に手を合わせるチータとヤン 引用:©2010 『東京島』フィルムパートナーズ)

同じ日の日本。
無事脱出に成功していた清子、マリア、チキは日本で幸せに暮らしていた。
3人はマンションの屋上に机とテーブルを広げ、ささやかなチキのお誕生日会を開いた。
ワタナベも無事に日本に帰って来ていてチキの誕生日会に呼んでいたが、現れる気配はなかった。
食事が済んだ後、清子はマリアと相談してチキに東京島での出来事を話す決意をした。

 

主題歌
『(YOU MAKE ME FEEL LIKE )A NTURAL WOMAN』Superfly

挿入歌
『黄色いさくらんぼ』スリー・キャッツ

 

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解説・考察や感想など


(引用:http://www.p-movie.com

元ネタのアナタハン事件の記事を最近読んだので、気になって観てみました。
実際の事件はもっとドロドロしていたので、だいぶソフトに仕上がっているな~という印象でした!
窪塚洋介の演技も相変わらずで(^o^)
というわけで、元ネタとなったアナタハン事件を知らない方のために、この事件に紹介していきます。

小説の元ネタ「アナタハン事件」とは

この事件は『アナタハンの女王事件』とも呼ばれ、1945~1950年にかけて起きた事件で、場所はグアムの近辺にある孤島アナタハン島です。
主人公・清子の元ネタとなる沖縄出身の女性・比嘉和子は、1945年の第二次世界大戦中に、国策会社員の夫とその上司と、海軍人29名の計31人の男たち(全員日本人)と共にアナタハン島に派遣されました。
※国策会社:日清戦争~第二次世界大戦終結までの間に国家の発展を目的として設立された半官半民の会社のこと。

染谷将太が演じたマンタの中のもう1人の人格だったカズコという名前は、恐らくこの比嘉和子が由来でしょう。
彼らは和子の夫の会社からの物資支援を定期的に受けながら、島でほぼ自給自足の生活を送ることになりましたが、男たちは全員10代~20代の若者だったこともあり、次第に男たちが和子を巡って争うようになります。
彼らが何月に島に来たのかは不明ですが(調査不足すみません)、終戦する同年8月までに2名が行方不明になっています。

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終戦後、アメリカ軍はアナタハン島まで出向いて終戦したことを知らせましたが、和子たちはアメリカ人の言うことが信じられなかったのか、誰もこの島から出ていこうとしなかったため数年間放置されます。
また、終戦後は会社からの物資支援がなくなったため、和子たちは本格的な自給自足生活を始めます。

翌年の1946年には漂流物の中から銃が見つかり、和子を巡る争いは本格的な殺し合いに発展しました。
その後、そんなこんなで和子の夫が死にます。
それから和子は男たちのリーダーが選んだ新しい夫をパートナーとして生活を続け、島に来てから彼女の夫は3回変わったそうですが、実際には和子は夫以外の男でも望まれれば肉体関係に応じていたようです。

彼らが島から救助された1950年には男の生存者は19人なり、総勢13名が亡くなったことになりますが、病気や事故で亡くなった人も中にはいるでしょうから実際に何人が和子を巡る争いで亡くなったのかは不明です。
ちなみに、彼らが正式に救助される前に1人だけこの島から脱出した男がいて、その人物が窪塚洋介演じたワタナベの元になっています。

この事件は日本で記事にされてブームになり、アナタハンの女王となった和子の写真は当時バカ売れしたんだそうです。
和子や生き残りの男たちは記者からの取材を受けていますが、和子を巡る争いの話になると誰も多くを語らなかったんだとか。


(1952年に撮影された比嘉和子のブロマイド 引用:Wikipedia

ちなみに和子本人は取材で「私を巡って死んだのは2人だけ」と答え、記事は誇張されていると主張していたそうですが、彼女が知らされていない争いも多々あったでしょうから、真実は今となっては誰にもわかりません。

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