映画「御法度」の解説・考察をしています!
「映画の元ネタ」「加納が山崎に色仕掛けした理由は?」「加納が沖田を好きだった伏線は?」などについて書いてます。
ネタバレありきの考察記事です。まだ見ていない方はご注意ください。
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解説、考察や感想など
本作の元ネタは?
映画「御法度」は司馬遼太郎の短編集「新撰組血風録」に収録されている「前髪の惣三郎」と「三条磧乱刃」を参考に作られています。
「前髪の惣三郎」は、新撰組の隊長である近藤勇の書簡に書かれていた「隊内で衆道が流行している」という意味ありげな一文と、加納惣三郎という実在が確認できない『粛清された隊士』の記録を元に描かれた半ノンフィクション作です。
衆道が流行する経緯や、そこに加納惣三郎が関わっていたのかなど詳細は記録に残っていないので真相はわかりませんが、妄想が膨らんでしまう記録であることは間違いありません(笑)
新選組『局中法度』の現代語訳
新選組には局中法度という、隊内における決まり事があります。
本作にも登場していたので、訳をのせておきます。
■原文
一、士道ニ背キ間敷事
一、局ヲ脱スルヲ不許
一、勝手ニ金策致不可
一、勝手ニ訴訟取扱不可
一、私ノ闘争ヲ不許
右条々相背候者 切腹申付ベク候也
■訳
士道に背きまじき事
(侍の道理に反する行動を取ってはいけない)
局を脱するを許さず
(勝手に組を辞めてはいけない)
勝手に金策いたすべからず
(許可なく借金してはいけない)
勝手に訴訟を取り扱うべからず
(許可なく他人の揉め事の仲裁をしてはいけない)
私の闘争を許さず
(個人的な理由で喧嘩をしてはいけない)
右の条々にあい背き候者は切腹申し付くべく候なり
(これらの決まりに違反した者には切腹を命ずる)
加納が山崎に色目を使ったのはなぜ?
©1999 松竹/角川書店/IMAGICA/BS朝日/衛星劇場
監察官の山崎は加納を女に目覚めさせるため遊郭に連れ出そうとしたとき、加納は山崎を誘惑しました。
加納の誘惑には、女好きの山崎ですら心揺さぶられるものがありました。
この山崎の葛藤には、加納の妖艶さにはノンケの隊員でもやられかねないという加納の持つ「魔性の魅力」が強調されています。
山崎は理性を奮い立たせて何とか誘惑を振り切りましたが、普通の人なら魅了されていたでしょう。
山崎はその後、変装した加納に襲われて偽の証拠である『田代の小刀』を掴まされます。
この一件から、恐らく加納が山崎を誘惑したのは山崎に気があったからではなく、監察官の山崎を自分に惚れさせて、『田代を湯沢殺しの犯人に仕立てる計画』の共犯者になってもらいたかったからです。
平たく言えば加納は山崎を利用したかったから誘惑したのです。
しかし加納は山崎を落とすのに失敗したので仕方なく変装して山崎を襲い、田代の小刀を落として拾わせました。
加納が沖田に惚れていたことを示す伏線は?
©1999 松竹/角川書店/IMAGICA/BS朝日/衛星劇場
加納の本命が沖田だったことは終盤で明らかになります。
終盤で加納が前髪に願掛けしていると発言したり、沖田が『菊花の契り』を読んだという話が伏線です。
『菊花の契り』は雨月物語の話のひとつで、男2人が意気投合して家族同然の関係になり、まるで夫婦のようにお互いを慕い合うという、同性愛を匂わせる話です。
沖田は「衆道は嫌い」と発言しているし男好きの気配は無かったですが、
加納の気持ちを知ったことで衆道について考えてみようと思い『菊花の契り』を読んでみたと思われます。
これらの伏線や加納と沖田の行動から推測すると、恐らく加納は田代を殺せと命じられてから実行するまでの間に、沖田に愛の告白をしていたのです。
加納が田代を殺した後、沖田は土方と別れて加納に会いに行きました。
田代を殺した後に加納がどこに行ったのか沖田が知っていたことから推測すると、加納は事前に『田代を殺せたら付き合って欲しい(もしくは2人きりで話したい)』などと沖田に伝えて川辺付近のどこかで待ち合わせしていたのでしょう。
加納にとって田代(今彼)を殺すことは『沖田に対する愛の証明』になるので、だから加納はあっさり田代殺しを引き受けたのです。(沖田にその愛情表現は伝わらなかったですが)
解説考察②に続きます。読んで頂きありがとうございました。
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