『クリムゾン・ピーク』ネタバレ解説考察｜幽霊の色の違い、殺人の証拠を保存する理由など

ダークファンタジー

2022.04.202023.03.16

解説・考察２ページ目

トーマスをダシに金持ちの女性を騙して財産を奪う計画を考案したのはルシールですが、姉弟がここまで貧乏になってしまったのは恐らくトーマスの事業が原因でした。

トーマスは彼が考案したニュータイプの掘削機作りに没頭しますが、中々成功せず資金だけが消えていたようでした。

シャープ家に元々どれくらいの資産が残っていたのかはわかりませんが、トーマスが事業に手を出したのは一族復興のためでもあり、同時にルシールから離れて自分の時間を過ごしたい思いも少なからずあったからではないでしょうか。

恐らくトーマスが初めて自らやる気を出したのが掘削機の開発で、それはルシールも応援していましたが、トーマスは開発の過程で資産を食いつぶして金策に困ってしまいます。
正攻法にスポンサーを募ろうとしても、カーターの時のように毎回失敗していたのでしょう。

このままでは生活にも困ってしまうと危険を感じたルシールが結婚詐欺を思いつく流れになると思われます。
イーディスの前に３人もの女性から財産を奪っていたのに姉弟が貧乏だったのは、恐らく彼女達の財産もトーマスがほとんど開発費で使い切ってしまったからです。

ルシールが３人の女性を殺してしまったのは財産を奪って不要になったからでもありますが、１番の理由は簡単に言うとルシールの独占欲と嫉妬からで、彼女達がトーマスとの『許される恋』をする様子が、『許されない恋』をしているルシールを刺激したからだと思われます。

アランが探偵からもらった新聞記事で、ルシールが実の母親を殺していたことも判明しました。
この時ルシールは「母にもケダモノと言われた」というようなことを言っていたので、母親はルシールとトーマスが姉弟以上の関係にあると気付き、ルシールを責めたので殺されたと推測できます。

振り返ってみると、イーディスがバスルームで見た斧で頭を割られていてお化けがルシールとトーマスの母親だったことになります。
この時なにげに母が「彼の血であなたの手が染まる」と盛大にネタバレしちゃうところ結構好きです。

ルシールは殺してきた人物の書類や写真、髪の毛を保存していました。
画像の髪の毛は左から姉弟の母、ロンドンの女性、エディンバラの女性、ミラノの女性（エノーラ）、イーディスのものです。

連続殺人犯が被害者達の体の一部を集めるのは『思い出の保存』としての行為であることが多いですが、ルシールの場合はどうなのでしょうか。

ルシールの行動理由は基本的には全てトーマスへの愛からで、彼女の興味はトーマスにしかありません。
そうだとするとルシールがこれらを残す理由は、彼女達の情報がトーマスとルシールをつなぎ留めるための材料になり得るからではないかと思いました。

幽霊も様々なものに縛られている　私たちと同じように
土地や屋敷だったり　時代だったり　凄惨な事件の現場だったり
でも　それ以外に　感情に縛られた幽霊もいる
衝動　喪失　復讐　愛
彼らはさ迷い続ける

作中に登場した幽霊は黒、赤、白の３色パターンがあり、恐らく囚われているものや感情によって色分けされていました。
上記はラストのイーディスの台詞であり彼女が執筆した小説の一節となる文章で、幽霊たちはこの発言に出てくる中のいずれかに縛られています。

イーディスの母、ルシール：黒
→黒は恐らく『愛』に捕われた色です。
イーディスの母はイーディスに対する愛、ルシールはトーマスに対する愛と思われます。

シャープの母、エノーラ、赤ちゃん：赤
→赤は『凄惨な事件の現場』に縛られた色かなと思いました。

トーマス：白
→他に同じ色の幽霊が出なかったので難しいですが、白は『喪失』ではないでしょうか。
トーマスは感情を捨ててルシールの操り人形のように生きてきた点、シャープ家を捨ててイーディスと生きる未来を夢見ましたが、その未来もルシールに奪われた点からです。

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