『ベイビー・ブローカー』ネタバレ解説考察｜ラストのサンヒョン、ドンスは？赤ちゃんが捨てられた理由など

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スジン刑事（ペ・ドゥナ）がソヨンに厳しいのはなぜか

この映画の一番最初の台詞は、ソヨンが赤ちゃんを捨てる瞬間を見たスジン刑事の「捨てるなら産むな」でした。

その後もスジンは何かとソヨンに厳しく、相棒のイ刑事（イ・ジュヨン）も「彼女に厳しすぎない？」と指摘します。
彼女が何らかの個人的な思い入れからソヨンに厳しいのは明らかでしたが、詳しくは語られませんでした。

ここで思い出されるのが、ソヨンが『必ず迎えに来る』とメモを残したことに、ドンスが何度も突っかかっていた点です。
ドンスがソヨンに突っかかるのは、彼も捨てられた時に似たようなメモを母親が残していたけれど、結局迎えに来なかったからでした。

ドンスの件と、スジンが「産んでから捨てるより中絶の方がマシ」と言っていた点を踏まえると、もしかしたらスジンは過去に子どもを中絶していて、それを悔やみ続けていたのかもしれません。
そして彼女は今子供を作れない体になったか、年齢やパートナーとの意見の不一致などで子どもを諦めざるを得ない状況にあるか、どちらかではないでしょうか。

スジンは泣く泣く中絶したのに、子供を産んだのに捨てたソヨンが理解できず、怒りを感じていたのでしょう。

スジンが恋人と電話した時、お店から流れていた音楽を電話越しに恋人に聞かせる所が伏線っぽくもありましたが、その時にかかっていたのが何の曲か私にはわからず調べれていないので、また何かわかれば追記します。

ラスト、サンヒョンは何をしていた？

サンヒョンは、ウソンを狙うマフィアの男（リュ・ギョンス）が現れると、ソヨンとドンスにウソンを預けて先に行かせました。

サンヒョンはマフィアに「その４千万ウォンで一緒に商売を始めよう」「もうドンスに俺は必要ない」と語ります。
マフィアが持っていた４千万ウォンは、殺された男の妻がウソンを買うためにマフィアに渡したお金でした。

しかしその後、サンヒョンは１人で駅のような場所に居て、近くにあったテレビからは『ソウルでマフィアの死体と４千万ウォンが見つかった』というニュースが放送されていました。

恐らくサンヒョンが男に「一緒に商売」などと言ったのは、マフィア男と二人きりで話すための口実です。

サンヒョンは話し合いで解決しようとしたものの男を殺してしまい、今後の身の振り方に迷ってあの場所にいたと思われます。

4000万ウォンにサンヒョンが手を付けていなかったことから、純粋にウソンを守ろうとしていたのはわかります。
サンヒョンもソヨンと一緒で、もみ合いになって事故が起こっただけなのかもしれません。

サンヒョンとマフィアの男の関係は？

サンヒョンはマフィアを「知り合いの息子」と言い心配する素振りをしていましたが、この２人の関係がはっきり明かされることはありませんでした。
サンヒョンとマフィアの男の態度から推測すると、マフィアの男はもしかしたらサンヒョンの隠し子だったのかもしれないなと想像しています。

サンヒョンとドンスはどうなった？

人身売買が暴かれてスヨンとドンスは逮捕されましたが、ラストで描かれた３年後のシーンにサンヒョンとドンスは一切登場しませんでした。

ただみんなで撮ったプリクラみたいな写真が車に飾られているだけです。
人身売買がどの程度の罪になるのかわかりませんが、ドンスはまだ服役中だったのかもしれません。

サンヒョンは逃げたのか逮捕されたのすら描かれないので予想が難しいですが、もしかしたらラストでプリクラが飾られた車を運転していたのは、逃亡の道を選んだサンヒョンだった可能性があります。

彼らのその後について色んな可能性が考えられるように撮るのは、是枝監督の得意な手法ですね。

ウソンのその後

ウソンは誰に育てられることになるのでしょうか。

最終的にウソンの売買は阻止されてソヨンは逮捕され、約３年の実刑判決を受けました。
ウソンを買おうとし、ソヨンも認めていた愛ある夫婦（名前を忘れてしまいました…）も逮捕され、何らかの刑罰を受けて３年後のソヨンが釈放された時点では保護観察中と言われてましたね。

ソヨンが刑務所に居る間、ウソンは児童養護施設には行かずスジン刑事（ペ・ドゥナ）が預かっていました。
女刑事は釈放後のソヨンにも、ウソンを買おうとした夫婦にもウソンと会わせていたので、最終的には３歳のウソン自身に誰と暮らしたいかを選んでもらうんじゃないかなーと想像しました。

理解できていない謎

ヒントが少なくて理解できない謎がまだいくつかあるので残しておきます。
解決次第更新予定です。

①ドンスはなぜサンヒョンに協力するのか
→ドンスがサンヒョンとどういう関係で、なぜ自分が犯罪者になってまでサンヒョンに協力していたのか今イチ掴めませんでした。
合法的な里親探しに尽力するのではなく、なぜサンヒョンの違法行為に手を貸すのか。務めている教会を裏切ってまで。
サンヒョンのように借金を抱えていた様子も無く、実母探しの延長だったわけでも無さげでしたし。
サンヒョンの里親探しに同行することで自分が捨てられた理由を探そうとしていたのかもしれませんが、いまいちピンと来ません。

②スヨンはなぜ刑事に居場所を教えたのか
→刑事がサンヒョンのバンに付けたGPS発信機をドンスが見つけて他の車に付けたので、刑事２人はサンヒョン達の居場所を見失いましたが、スヨンがメールで刑事に居場所を密告しました。
スヨンは刑事についてきて欲しいから居場所を教えたのはわかりますが、スヨンの目的を考えるとなぜそうしたのかよくわかりませんでした。
スヨンの目的は、ウソンがよさげな里親の養子になるのを見届けることだったと思いますが、刑事に連絡してしまったらスヨンの目的は果たされません。
元々スヨンは捨てるか育てるかの段階でも迷っていたので、里親探しに同行するうちにウソンを里親に出したくない方に気持ちが傾いていたのかもしれません。

以上です！また何か思いついたことがあれば追記していきます。
読んでいただきありがとうございました。
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