ジブリ『思い出のマーニー』ネタバレ解説考察|マーニーが杏奈を和彦と間違えたのはなぜ? | 映画の解説考察ブログ - Part 2

ジブリ『思い出のマーニー』ネタバレ解説考察|マーニーが杏奈を和彦と間違えたのはなぜ?

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ヒューマンドラマ

あらすじ:結


(マーニーの日記を読む杏奈と絵を見る彩香 引用:https://bibi-star.jp

数日の療養で杏奈の体調は順調に回復し、彩香がお見舞いに来てくれてマーニーの日記の破られていたページと、湿っ地屋敷で新しく発見した絵を見せてくれました。

絵の裏には『to Marnie from Hisako(マーニーへ 久子より)』と書かれています。
よく川辺で絵を描いている久子がマーニーと知り合いだとわかった杏奈と彩香は久子に会いに行きました。

久子は「あまり良い話じゃないけれど」と前置きしてからマーニーの生涯を話してくれました。

久子とマーニーは幼馴染みでした。
子どもに無頓着だったマーニーの両親は、メイドにマーニーの世話を任せきりにして本宅ではなく別荘(湿っ地屋敷)に住まわせていました。

両親は年に1~2度マーニーに会いに来る以外は本宅で夫婦水入らずの気ままな暮らしをしていたのです。
マーニーは両親に会うたびに「一緒に暮らしたい!」と懇願しましたが、その願いが叶うことはありませんでした。
マーニーの世話を任された3人のメイドは、マーニーと湿っ地屋敷に住むことも、夫婦の代わりに子育てさせられることも気に入らず、腹いせのようにマーニーに辛く当たっていました。

そんな彼女の一番の心の支えだったは幼馴染みの和彦で、成長したマーニーと和彦は結婚して札幌に移り住みました。
2年後、マーニーと和彦に娘の絵美里(えみり)が誕生し、マーニーはやっと手に入れた温かい家庭で幸せいっぱいでした。

ですが幸せな日々は長く続かず、絵美里が生まれた数年後に和彦が病気で他界してしまいます。
マーニーは病気になりサナトリウムに入所し、絵美里のお世話に困ったマーニーは彼女を全寮制の学校に入学させました。

サナトリウム:
長期的な療養を必要とする人のための自然に囲まれた療養所。特に結核患者に多く利用される。

絵美里が13歳になった頃にマーニーは退院して一緒に暮らせることになりますが、成長した絵美里はマーニーを恨んでいて全く仲良くできませんでした。

さらに数年後に絵美里は家出して日本人男性と結婚しましたが、その後、絵美里と夫は自動車事故で他界してしまい、残された絵美里の子どもはマーニーが引き取ります。
マーニーは「この子には絶対に淋しい思いをさせまい」と育てていましたが、その翌年に持病が悪化してマーニーは亡くなりました。

マーニーが亡くなったのは今から10年程前のことでした。
マーニーは淋しい人生でしたが、いつも笑顔を絶やさず幸せになろうと一生懸命に生き、湿っ地屋敷が大好きだったと久子は語ります。
久子の話を聞いた杏奈と彩香は号泣しました。

夏休みが終わりに近づき、杏奈は札幌に戻ることになりました。
彩香とすっかり仲良くなった杏奈は、来年の夏休みも釧路に遊びに来ることを約束します。

杏奈の迎えに頼子が釧路に着く頃には、杏奈の心から頼子への不信感は消えていました。
元気な笑顔を見せる杏奈を見て、頼子は泣いて喜びます。
頼子と話した杏奈は、杏奈の母が絵美里であり、マーニーが祖母だったことを知りました。
マーニーは杏奈が心配で現れていたのかもしれません。

杏奈は信子に暴言を吐いたことを謝り、久子には手紙を書くと約束し、十一と彩香に手を振って札幌に帰りました。


(彩香と十一に手を振る杏奈 引用:https://bibi-star.jp




解説・考察や感想など

少女の心の成長を描いた不思議で素敵なお話でした。
本作はネット上では『百合映画』と騒がれていましたが、見る人によっては百合認定してしまう位「愛してる」、「大好き」とお互いに連呼していたのが印象的でした(笑)
普通に家族愛だったんですが、それがわかるまでは違和感がありますよね!

考察内容は、夢と現実の境界についてです。
杏奈はマーニーと生活していた頃、寝物語でマーニーの幼ない頃の思い出話を沢山聞いていました。
なので杏奈がマーニーと体験したことは、杏奈の記憶の奥に眠っていたおばあちゃんマーニーから聞いた話を追体験していたと思われます。

そのことを示す伏線が、杏奈とマーニーがサイロに行く途中、マーニーが杏奈を和彦と間違えていたことや、杏奈がマーニーを追ってサイロに入った時、マーニーがすでに和彦のコートを羽織っていた点、マーニーが「あなたはあの時あの場に居なかった」と言っていたことです。

久子がマーニーの生涯を語っていた時も、マーニーと和彦の結婚式の場に居るはずがない杏奈も登場していました。
これらは杏奈の夢での出来事がマーニーの過去の追体験だったことを示すと共に、杏奈の想像力の豊かさを表していたのではないでしょうか。

全てが杏奈の追体験妄想ではなく、杏奈が湿っ地屋敷で交流を持ったマーニーは、現世に帰ってきたご先祖様の魂的な存在だったと思われます。
サイロに行った辺りからマーニーに杏奈が認識できなくなったのは、杏奈の精神状態が落ち着いてきて、徐々に夢妄想の世界から離脱しつつあることを表現していたのではと解釈しています。

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