映画『私の男』の主人公、腐野淳悟(浅野忠信)をメインに解説考察しています。
『淳悟の年齢』『淳悟の家族と生い立ち』『淳悟はどうなりたかったのか』『淳悟の指のにおい』『お前じゃダメ』『スーツにサンダル、赤い傘』について書いています。
鑑賞済みの方向けの解説考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください(__)
映画『私の男』概要紹介
この記事で言及する登場人物
腐野淳悟…浅野忠信
孤児になった花を養子にして育てた男。
花の実の父親だが、表向きは遠い親戚で養子縁組の親子。
腐野花…二階堂ふみ
9歳の頃に地震と津波で家族を失い、親戚と名乗り避難所に現れた淳悟に引き取られ、一緒に暮らすことになった少女。
淳悟は実の父親だとわかるが、成長と共に男女の関係になる。
尾崎美郎…高吉健吾
花が成人してからの初めての恋人。花の勤務先の社長の息子。
映画では淳悟が怖くなり花と別れているが、小説では結婚している。
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解説・考察
(引用:https://woman.excite.co.jp)
腐野淳悟の特徴は『幽霊のように不気味で寡黙で身なりも貧乏くさいが、長身の美男子で立ち振る舞いは優雅で気品があり、人殺し特有の鋭さを併せ持つ』という特殊なキャラでしたが、浅野忠信が完コピしていて素晴らしかったです。
小説に描かれていたイラストの淳悟ももはや浅野忠信の見えます。
原作小説と映画の違いや、淳悟が何を求めていたのかについて考えます。
淳悟の年齢は?
映画ではタクシー会社の人に年齢を聞かれた時、花は17歳、淳悟は34と言いかけて35歳と言いなおす場面がありました。
この発言が本当だとすると花は淳悟が18歳の時の子ですが、原作小説では、花は淳悟が16歳の時に出来た子です。
倫理的な観点から修正されたか、もしくは淳悟がとっさに嘘をついたかのどちらかです。
淳悟の家族と生い立ち
映画では淳悟の家族や過去の詳細は明かされません。
原作小説によると淳悟は一人っ子、漁師だった父親は淳悟が小学4年の時に船の事故で行方不明になり遺体も見つかっていません。
淳悟の母は父が死んでから、父の代わりをするように淳悟に厳しくなり、淳悟が高校卒業する頃に病死しています。
淳悟は厳しく豹変した母を憎み、母性を求めるようになりました。
また、映画の淳悟は母に暴力を振るったので距離を置くために花の両親の所に送られたことになっています。
小説では淳悟が16歳の時に母の病状が悪化して入院することになったので、花の両親に淳悟の世話を頼む形で託しています。
淳悟は奥尻島で高校卒業まで世話になる予定でしたが、花の母との関係がバレて半年で紋別に戻されます。
紋別に戻ってからは大塩一家が淳悟の面倒を見て、高校卒業後は京都にある海上保安学校で2年間勉強した後、紋別に戻って海上保安官になりました。
そして奥尻島の津波で花の安否が気になって避難所に駆けつけ、花の家族が全員死んだことを知って花を引き取ることにしました。
これは完全に想像ですが、淳悟の母と花の母は姉妹だったのかもしれません。
原作小説では、淳悟が花を『かあさん』と呼ぶことがあったのもそう思う理由です。
ちなみに東京に出てからの淳悟の職業は、映画ではタクシー運転手ですが、原作小説ではバイク便の契約ライダーの仕事(企業や個人からの急ぎの郵便物を運んで受取人に手渡す仕事)をしています。
淳悟はどうなりたかったのか
9歳の花を抱き上げて「俺の娘だ」と公言する場面を筆頭に、淳悟の発言には嘘がありません。
なので、淳悟の「俺は父親になりたい」という発言も、実際の行動とは矛盾していましたが本心だったと思われます。
花がいくつになっても淳悟が台所に立ち続けるシーンなどが、彼が父親になろうと努力していたことを物語っていたように感じます。
つまり淳悟は健全な普通の親子関係を目指していたけれど、実現出来なかったのです。
淳悟は欠損家庭で育ったため、そもそも健全な親子関係がどんなものか知らなかったのが実現できなかった理由のひとつではないでしょうか。
淳悟は普通の父親になりたいという理想はあったものの結局は大人になれず、淳悟自身の幼少期に満たされなかった母の愛を求める方向に走ってしまい、それが花の母とも実子のはずの花とも男女関係になってしまった原因だと解釈しています。
花が恋人を連れて来た時も、本来なら『父』として反対なり賛成なりすべきところですが、花(母)を誰にも渡したくないという感情が先立ってしまった結果だったのではないかと解釈しています。
淳悟の指のにおい
淳悟は会社の事務の女性に指のにおいを嗅がれて「不潔だと年頃の女の子に嫌われるよ」と注意されていました。
このシーンの前に淳悟のお弁当が傷んでいたので、食べ物の腐ったにおいがしたのかなと思ってましたが、原作小説で、事務の女性が感じたのは『性を感じるにおい』だったようです。
淳悟は事務員に指摘されて『花のにおい』が染みついていることに気付きます。
美郎の指を舐めたりにおいを嗅いだのは、花と美郎に肉体関係があるかかどうかを確認していたのかもしれません。
ちなみに淳悟が美郎の指を舐める行動は小説には登場しません。
「お前じゃダメ」
淳悟が美郎とダイスケに言い放つ「お前じゃダメ」は、「花は俺じゃなきゃダメだ」と言いたかったのではと解釈しています。
理由は淳悟自身が小町を愛せなかったことから『他人じゃダメ』だったので、淳悟の娘である花もそうだろうという確信めいた思いがあったのではないでしょうか。
スーツにサンダルを履き、赤い傘を差す淳悟
ラストで花とダイスケに呼ばれてレストランに現れた淳悟は『スーツにサンダルを履き、女物の赤い傘を差して歩く』というちぐはぐさでした。
この奇妙な格好で通行人にぶつかりながら歩く様子は、淳悟の社会性の欠如も上手く表していたと思います。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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