「バニラ・スカイ」ネタバレ解説|現実に戻れたのか、夢と現実の境目など考察。 | 映画の解説考察ブログ - Part 2

「バニラ・スカイ」ネタバレ解説|現実に戻れたのか、夢と現実の境目など考察。

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SF

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デイヴィッドが殺したのは誰?

バニラスカイ
TM & Copyright © 2013 Paramount Pictures. All rights reserved.

冒頭で、デイヴィッドは『殺人の容疑者』とされ、独房に留置されていました。
終盤で明らかになりますが、デイヴィッドが殺したのは『自分自身』です。

ヴェンチュラや精神分析官のマッケイブが語っていたように、精神状態は常に夢に多大な影響を及ぼしています。
デイヴィッドが自殺した記憶はLEに消されていましたが、無意識にある自殺したことへの無念や罪悪感が夢に影響してしまい、自分自身を投獄していたと思われます。

 

デイヴィッドの葬式が行われたのはなぜ?

ブライアンがデイヴィッドのお葬式をしたのは、デイヴィッドがLEとの契約を秘密にして表向き死んだことにしたからなのでしょう。
ベンチュラの言い方だとデイヴィッドがLEと契約したことはブライアンもソフィアも知らない雰囲気だったので。

 

猫になって

デイヴィッドとソフィアの間で「猫になって会いに行く」というやり取りが2回位ありました。

調べてみましたが、ことわざだったり特別な意味のある言い回しではないようなので、純粋に「生まれ変わって人間じゃなくなったとしても、またあなたと恋がしたい」というニュアンスではないでしょうか。

 

精神分析官マッケイブが自分の名前を言えない理由

ラストでマッケイブが自分の名前を言えないシーンは、ここが夢の世界だと確かめるためにデイヴィッドがあえて投げかけた質問です。
マッケイブに名前が言えないのは、それがデイヴィッドが望んだ反応だったからです。
他人が自分の思い通りになりすぎるのがLEの夢の特徴です。
もし現実なら病人でもないマッケイブが自分の名前を忘れるのはありえないので、デイヴィッドの期待通りマッケイブが名前を答えられないことが夢であることの証拠です。

 

デイヴィッドは現実に戻れた?

バニラスカイ

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夢を見続けていたことを知ったデイヴィッドは現実に戻る決意をしてビルの屋上から飛び降りますが、次に目が覚めた時、本当にデイヴィッドはバニラスカイ(甘い夢)から脱出して現実に目覚めることができたのでしょうか?

デイヴィッドのその後についてはネット上でも様々な考察がなされていますが、私自身はデイヴィッドは現実世界に戻ったと考えています。

デイヴィッドは現実に戻る意思があったし、LE社目線で考えれば支払いできない人をいつまでも置いておけないので、ベンチュラがデイヴィッドに「お金がもうないけど、起きるかこのまま夢を見続けるかどっちがいいか」と聞いたのは「現実に戻って出て行くか、このまま安楽死という選択肢もあるがどうするか」という意味だったのではないかと思います。
そういう意味でもデイヴィッドは現実に戻ったのではないかと推測しています。

デイヴィッドがLEと契約した理由は失恋うつも1つだと思いますが、大きな理由は当時の医療では治せないと言われた後遺症の激しい頭痛と、顔をもとに戻す整形技術が未来で発達していることを期待していたからです。

ただベンチュラが話していた通り、150年後の医療は発達していますが、デイヴィッドにはもう資産がほとんどないので、生き返ってもすぐに手術を受けるのは難しいでしょう。
それにソフィアやブライアンを始めデイヴィッドの知人は全員死んでいるので、夢から覚めると孤独とも戦うことになりますし、150年も眠っていた体を元どおり動かすのには少なからずリハビリが必要になるはずです。

現実に戻ったら苦労することは目に見えていますが、それでもデイヴィッドが生き返ることを望んだのは、周囲の人たちが語っていた『人生には酸っぱさ、苦さがあるからこそ甘さが感じられる』という言葉を身を持って体験したくなったからなのでしょう。

それとジュリーが言っていた『あなたにとっての幸せは何?』という言葉の答えを見つけたくなったのもあるのではないでしょうか。
それに、ジュリーへの罪悪感、自殺への後悔が深層心理に残ったままでは、また記憶を消去して夢に戻っても似たような悪夢を繰り返してしまうかもしれません。
なのでデイヴィッドは心の問題を克服するためにも現実に戻る決意をした、とも言えると思います。

個人的には植物状態や仮死状態などではなく『死後』に凍結されたのに、生き返れるという話自体に疑問を感じたんですが、皆さまはいかがでしたか?
でも本当に死亡した前程で考えてしまうと、全て死後の体験ではないかという話になってきてLE社も関係なくなってしまうので、『死んだ』と言うのは「実際には死んでいないけれど社会的には死んだように扱われる」ということと、「デイヴィッドが150年後に生き返られる保証もない(150年後にもLE社があるかもわからないし、恐らく前例もない)ので死ぬ覚悟でやる必要がある」という意味だと解釈しました。

作中に何度も「Open your eyes.」と囁く声が流れます。 単純に「目を覚まして」という意味でもありますが、本作の原作映画のタイトル「オープン・ユア・アイズ」にも由来しています。

また、問題から逃げて甘い夢ばかり追いかけていたり、現状に甘んじるばかりでなく、生きる目的や、あなたにとって幸せとは何かを考えること、問題に立ち向かう勇気を持って欲しい、などのデイヴィッドや視聴者に対するメッセージが込められていたように感じました。

難解映画と言われている作品の1つですが、皆さまはどのように感じましたか?
以上です。この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^^)

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感想などお気軽に(^^)

  1. 匿名 より:

    ELじゃなくて、LEでしょ。

  2. 散歩中 より:

    さっきまでテレビで見てました(笑)以前も映画館で観たのですが
    けっきょく「でも死んだんでしょ??」「なんで生き返れるのさ」
    という疑問がずーーっと解決できないまま、今日ここでこちらのブログを読み
    やっぱりそういう解釈をしていいんですよね、でないと矛盾しますもんね、
    という結論でようやく追われそうです(;´∀`)ありがとうございました。

  3. 通りすがり より:

    以前一度見たのですが、内容はすっかり忘れてしまっていて
    今日テレ東の午後ロードでやっていたのを見て初めて見たように楽しめました。

    吹き替え版だったので、最後の「目を覚まして」がソフィアと同じ声優さんだったのもあり、もう一度夢の中に目覚めたか、そもそもLE社との契約とかも全部普通の夢だったか、実はソフィアもLE社と契約していて150年後に生きていて起こされたか、150年後の現実で偶々ソフィアに似た声の女性に起こされたか、と様々想像させられるました。

    夢オチってなんでもありの反則で本来扱うのが難しいはずなのに、それをさらに謎を深める要素にするなんて。

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