映画『アザーズ』の解説・考察をしています!
グレースの正体、トム・クルーズとの関連、チャールズ帰還の意味、キリスト教と地縛霊の関係などについて書いています。
鑑賞済みの方のための記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
制作年:2001年
本編時間:104分
制作国:アメリカ/スペイン/フランス
監督・脚本:アレハンドロ・アメナーバル
製作総指揮:トム・クルーズ ほか
キャスト紹介
©2001 SOGECINE Y LAS PRODUCCIONES EL ESCORPION.
グレース…ニコール・キッドマン
古びた屋敷に住む女性。
戦争に行った夫の帰りを待ち続けている。
2人の幼い子どもが重度の光過敏症のため、光が子どものいる部屋に入らないよう常に見張っている。
©2001 SOGECINE Y LAS PRODUCCIONES EL ESCORPION.
ミセス・ミルズ…フィオヌラ・フラナガン
グレースの屋敷で新しく雇われた召使い。
以前もこの屋敷で働いていた時期があるらしい。
©2001 SOGECINE Y LAS PRODUCCIONES EL ESCORPION.
アン…アラキーナ・マン
グレースの娘。いじめっ子気質な所があり、弟をバカにしていじめる時がある。
父チャールズの帰りを心待ちにしている。
©2001 SOGECINE Y LAS PRODUCCIONES EL ESCORPION.
ニコラス…ジェームズ・ベントレー
グレースの息子。アンの弟。怖がりで甘えん坊。
リディア(唖者の使用人)…エレイン・キャシディ
ミスター・タトル(男性使用人)…エリック・サイクス
謎の老婆…ルネ・アシャーソン
男の子…アレクサンダー・ヴィンス ほか
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あらすじ紹介
1945年、戦争に行った夫の帰りを待つ貴婦人のグレース(ニコール・キッドマン)は、古いお屋敷で幼い子どものアンとニコラスと一緒に暮らしています。
数週間前、グレースは事情があって使用人を全員解雇してしまったため、新しい使用人のミセス・ミルズ、ミスター・タトル、リディアの3人を雇いました。
グレースは3人に、アンとニコラスは重度の光過敏症で強い日光に当たると死んでしまうので、子供のいる部屋のカーテンは常に閉め、勝手に部屋を出てカーテンの開いている部屋に行ったりしないように、ドアの扉も通る時だけカギを開けて、いつもは施錠しておくようにと言いつけました。
ミセス・ミルズ、ミスター・タトル、リディアの3人が屋敷に来たのとほぼ同時に、家の中で謎の物音や施錠していたはずのドアのカギが開いていることが多くなりました。
グレースは最初は使用人のせいだと思っていましたが、不思議な現象は使用人が家に居ない時にも起こっていることに気付きます。
娘のアンも「家におばあさんやビクターという男の子がいる」と言いはじめ、グレースは不気味な現象の犯人捜しを始めます。
解説・考察・感想など
どんでん返しで有名なこの映画ですが、私も始めて見た時はラストで鳥肌が立ったのをよく覚えています。
時系列や登場人物の行動理由などを整理していると解釈を1つに絞れないシーンもありましたが、私なりの解釈を書いていきます。
『アザーズ』の結末は?
まず、グレースの家に来たミルズ、タトル、リディアの3人の使用人は死者でした。
彼らは舞台である1945年よりも50年以上前に結核で死に、地縛霊となって屋敷に住みついていたのです。
そして2つ目のオチとなるもう一つの真実は、グレース、アン、ニコラスもまた死者だったということです。
グレースは育児に疲れて心を病み、アンとニコラスを枕で窒息死させた後に彼女自身も銃で頭を撃って自殺してしまいました。
冒頭では自分の死に気付いていないグレース、アン、ニコラスにとって老婆や男の子ビクター、その他の不可解な騒音や現象全てが『アザーズ』のもたらす不気味な現象でしたが、ラストでは、グレースたちの存在自体が『アザーズ』になり、冒頭とラストでは立場や意味が逆転していて、よく考えられたタイトルだと思います。
3人の使用人について
使用人のミルズ、リディア、タトルは結核で亡くなった死者だったことは、本人たちの発言や、屋敷の写真に残っていた彼らの死後に撮影された写真からわかります。
死者を写真撮影して弔う『ポストモーテム・フォトグラフィー』は、ヴィクトリア朝時代である19世紀後半に主に上流階級の間に流行した風習です。
※当時、写真機は開発されて間もない頃で写真撮影は高価だったため。
グレースたちが死んだと思われるのは1945年なので、ミルズたちが死んだ時期はそれより50年以上も前になります。
ミルズたちはキリスト教における『救済霊』のような存在だと思われます。
救済霊というのは、死んだことに気付いていないグレースたちのような霊を救うために現れる魂です。
リディアが喋れなくなった理由は?
こちらはミセス・ミルズが説明してくれていましたが、リディアは生きていた頃は喋れましたが、幽霊になってから自分が死んだことを知った時にショックで話せなくなってしまったようです。
老婆と男の子の正体は?
アンが何度も見ていた老婆やビクターという名の男の子は、実は生きている人間でした。
生者の世界と死後の世界とは別世界ですが、この屋敷では頻繁に2つの世界が混ざってしまう現象が起きていました。
死者の立てた物音などが心霊現象と言われるように、死者の世界では生者が立てた物音が心霊現象のように感じられるようです。
アンが目撃したのは屋敷を購入した夫婦と一人息子のビクターで、老婆は恐らく心霊現象を不気味に思った夫婦が雇った霊能力者です。
アンが老婆を見た回数が多かったのは、老婆は死者の世界と繋がる能力があったからで、ビクターとアンが接触できていたのは、子どもは霊感が強いからなのでしょう。
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2ページ目は伏線まとめです。
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