未来人が世界の逆行を計画した理由
主人公が阻止しようとしていたのは『未来人による世界逆行計画』でした。
世界逆行計画を未来人が立てた理由は、未来人が住んでいる地球は環境汚染が深刻で、地球に住めなくなる時が近づいていたからです。
計画を立てた未来のとある組織(恐らくオッペンハイマー博士の組織)は、この環境汚染問題を過去の人間達(祖先)が地球を粗末にしたせいだと考えます。
そして、地球の時間の流れそのものを逆行させれば地球は蘇って(若返って)住み続けられるようになるので、過去の人類から地球を奪おうとしていたのです。
ここで『先祖殺しのパラドックス』が出てきますが、少なくとも計画を立てた未来の組織は『たとえ先祖が居なくなっても自分達は存在し続けられる』と考えていたのです。
発明者はなぜ自殺した?
アルゴリズムを発明した科学者は自殺していました。
その理由は、未来にも過去にも人類の住処が無いと悟ったからです。
発明者が生きた時代は、環境汚染問題で近い将来地球に住めなくなってしまうことがわかっていました。
発明者がそもそもアルゴリズムを開発したのも、環境問題の打開策を見つけるためだったのでしょう。
しかし、それを使って世界を逆行させれば『先祖殺し』になってしまい、人類も都市も動植物も消滅してしまいます。
発明者は詰んでいることを悟って絶望し、せめて『先祖殺し』だけは起こらないようにという思いから、アルゴリズムを9分割して過去に隠してから自死しました。
アルゴリズムがプルトニウムと呼ばれた理由
自殺した発明者はアルゴリズムを使えないようにするために、過去に持って行って主人公やセイターが生きる時代の核保管施設に隠しました。
隠す際は『これは9つの核兵器だ』と説明して誰も近づかないように仕向けていたのです。
実際、逆行の仕組みそのものが放射能の乱反射のような説明をバーバラ博士がしていたので、アルゴリズムにも放射能の危険があったと思われます。
どうやってアルゴリズムを数代前の時代まで運んで、どのように当時を生きる人々に危険性を説明したのか情報が少なすぎて若干謎が残りますが、とにかくそういうことだったようです。
アルゴリズムは『逆タイムカプセル』で過去に運んで説明動画でも同封していたのでしょうか。
主人公の正体と目的
(引用:https://www.gamesradar.com)
主人公が黒幕(TENET作戦の考案者)だったことがラストで明らかになります。
これは『無知が最大の防御』の観点から主人公自身にもわからないようにしてありました。
主人公はTENET作戦が成功すると知ったので、これからニールとプリヤのスカウトのために動きます。
TENET作戦は実は数年をかけた大掛かりな『挟撃作戦』だったということです。
オスロ金庫で自分と戦った主人公
主人公はキャサリンのためにオスロの美術品倉庫まで逆行した時、過去の自分と戦いますが、あれはなぜなのでしょうか。
単純に考えれば、過去の主人公は黒づくめの男が未来の自分だとは思いもしないので、突然現れた男を敵だと思い殺そうとしています。
なので、未来の主人公は過去の主人公に基本的には『応戦しただけ』です。
では、なぜニールは「自殺しようとしていた」と言うのでしょうか?
それは恐らく、主人公が『祖父殺しのパラドックス』が気になって仕方ない様子がニールに伝わったからです。
眠そうなニールを寝かせてあげずに質問する主人公を見て『祖父殺しに執着している』と捉えたのではないでしょうか。
「過去の自分を殺そうなんて思ってないよな??」と心配になってしまったんでしょうね。
ニールが金庫室で見たことを話したらどうなっていた?
もしもニールが金庫に居た黒づくめの男の正体が主人公だったことを明かしていたらどうなっていたのでしょうか。
ニールは「もし教えていたらほんとに自殺してたでしょ」的なニュアンスだったので、もし事前に知っていたらもっと別の方法で殺す手段を考えていたのかもしれません。
直前まで教えず、主人公に考える時間を与えないことがニールにとっての優しさでもあり、彼の主義である『起きたことは変えられない』を貫くことにもなります。
カーチェイスを逆行した目的
主人公がカーチェイスを逆行していた目的は、キャサリンが撃たれてしまった過去を変えることができないか試すためです。
主人公は倉庫を出た所に止まっていたシルバーの普通車(サーブ)を見て、241をとっさに投げ込んだ車を運転していたのは自分自身だったことを悟ります。
後部座席を見たのは241がちゃんと中にあるか(投げ込んだ車で間違いないかどうか)を確認するためです。
その後セイターのアウディを追跡してキャサリンを救うチャンスを伺っていましたが、ケースの受け渡しの瞬間、セイターにサーブの運転手が主人公だということも、サーブに241が投げ込まれていたことも気づかれてしまいました。
結果、主人公はアウディに追突されて転覆。
セイターは「連携プレーか」と言いながらサーブに火を放ちました。
その後、セイターは部下に命じて『無人のサーブに241が転がっているタイミング(主人公が初めて外に出る直前位)』で241を手に入れたのではないでしょうか。
主人公とキャサリンの関係
(引用:https://www.stalberttoday.ca)
主人公は一見キャサリンに好意を抱いていたかのように見えましたが、主人公は常にキャサリンを『セイターの妻』としてどう有効活用出来るかを考えながら接しています。
平たく言えばずっと利用していたのです。
キャサリンに心を開いてもらうために『男の魅力で迫る』を実行していただけです。
彼女に対しての恋愛感情は(恐らく)無くて、1人の『巻き込んではいけない一般人』だったと思われます。
オペラハウスで爆弾から観客を守ろうとしたのと同じ行動原理です。
男の魅力で迫っただけなのがわかるのは「贋作絵を処分してあげる」と言っておいて、その後「処分した」とウソをついている所です。
贋作絵の処分を持ちかけた真意は、セイターの秘密の隠し場所を知るためでしたし、キャサリンと親密になろうとしたのも、セイターの気を引くためでした。
最期にプリヤから彼女を救うのは、主人公の『一般人を巻き込んで殺してはいけない』という主義と、『ニールの母親』を大切に思う気持ちからです。
そう考えると、主人公は友情は大切にするけど恋愛には関心がないというか、女性に対してあまり信頼が置けないような感じでしたね。
過去に悲惨な恋愛経験でもあるのでしょうか。。
プリヤを殺した理由
主人公がラストでプリヤを殺してしまうのは『後始末』のためです。
そもそも主人公とプリヤは価値観に相違がありました。
主人公は敵と味方の区別がハッキリしているタイプで、敵(悪)と判断した人物は容赦なく殺しますが、仲間や無関係の一般人は生死にこだわり必死に守ろうとします。
プリヤは思考回路が悪人っぽいというか、目的を果たした後は知りすぎた人間は殺してしまう非情なタイプでした。
TENET作戦の終わりにコンテナに入っていった大勢の兵士達がどうなったのか心配です。
『武器商人に対する引き金は軽い』と言っていたように、主人公は計画に必要だったからプリヤを利用しただけで、プリヤは主人公にとって最初から後始末の対象(事情を知りすぎた危険因子)だったのではないでしょうか。
利用されるだけされて殺されてしまうプリヤは何となく可哀想ですが、プリヤの行動は主人公の主義に反していたのでしょう。
また、私は主人公は役目を終えたと同時にプリヤに殺されたと推測しています。
理由はプリヤについて記載している②の方に載せてます。
『別の結果』とは?
ニールが死んでしまうとわかった時、主人公は「別の結果になることはあり得た?」とニールに聞きます。
ニールは「無い」と答えますが、『別の結果』とは『ニールが死なずにアルゴリズムを奪還できる計画はあるのか』ということです。
プリヤ、ニール、セイターについては次のページです!
感想などお気軽に(^^)
世界を滅ぼす逆行装置を発明した科学者を、原爆を発明したオッペンハイマーに例えただけで科学者=オッペンハイマーではないと思います