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その他、印象的だったシーン
腰を振って踊る男達
冒頭、腰を振り振り楽しそうに踊るスーツの男性陣が印象的でした。
スタイル抜群の人があのダンスなら美しいですが、ぽっちゃり体型の男性ばかりで踊るとなぜか不快さマシマシなんですよね。
あのダンスはキャシーが男性全般に対して抱いているイメージそのものだったように見えました。
タクシーの窓に写る『HOTEL』
キャシーが最初の男性に持ち帰られていた時、乗っていたタクシーの窓ガラスに赤々と『HOTEL』の文字が反射していました。
あれはキャシーと一緒に居た男性の性欲を暗示しています。
滴る真っ赤なケチャップ
最初の持ち帰り男を成敗した後、キャシーはホットドッグを食べながら朝帰りしていましたが、彼女のホットドッグを持つ手には真っ赤なケチャップが滴っていて、まるで血のように見えました。
『ソーセージ』は欧米などでは男性器の例えとして頻繁に登場します。
日本でも男性器をポークビッツと例えて笑っている会話をたまに聞くことがあります(笑)
この男性器の例えとしての『ソーセージ』から血のようなケチャップが滴っていることでキャシーが持ち帰り男に何らかの成敗をしたことがわかると共に、そのホットドッグを食べているのも重要で、キャシー自身が持ち帰り男に対する復讐が生きる糧になっているのがよくわかる描写です。
しかしキャシー自身が復讐を楽しんでいる様子は全く見られないので、彼女は自分自身の生きる理由を作るために男たちへの復讐を続けていたという風にも受け取れます。
受け売りの知識ですが、依存症には、その行為を『楽しくないのにやめられない』という症状が出る方がいるそうです。
もしかしたらキャシーは復讐依存のようになっていたのかなとも感じました。
また、コメント頂いた「腕のケチャップはキャシーの血に見える」というのも納得のいく解釈で、『人を呪わば穴二つ(キャシーも彼女自身の将来を犠牲にしながら、しょうもない男たちを成敗している)』を表現していたようにも見えてきます。
復讐ノート
(引用:https://japan.topnews.cloud)
キャシーが記していた復讐ノートは書いた跡が前後のページにくっきり残る程の筆圧の高さでした。
この筆圧からも、キャシーが抱える怒りの強さがわかります。
ちなみに名前や数える棒線の色が違うのは意味があるのかな?と思っていましたが、特に説明的な描写や台詞は無いので、ただ3色ボールペンを適当に使っていたらこうなったのかなと解釈してます。
キャシーの部屋の内装とシェパードの絵
他のセンテンスでも触れてしまいましたが、キャシーのドロドロした心の内とは裏腹に、彼女の部屋はパステルカラーで統一された過剰な程女の子らしい部屋でした。
キャシーの母からのプレゼントの色から、彼女の色彩感覚は母親譲りであることが何となくわかりますが、キャシー自身の心は暗く常に怒りに駆られているので、せめて身なりや持ち物だけでも可愛らしくありたいという願望や『本当はこうありたい』というのが部屋や服装や小物に現れていたのかもしれません。
また、キャシーが1人暮らしを始めた自宅にシェパード犬の絵画が飾られていました。
シェパード犬といえば警察犬として活躍するイメージの強い犬なので、彼女の正義感が表現されているのかなと思っていましたが、ラストでキャシーの遺体がシェパード犬に発見されていたことを踏まえると、警察犬のお世話になることがサブリミナル的に表現されていたんだなとも解釈できます。
死にかけの蚊と熊のはく製
キャシーが殺された翌朝、ログハウスに居た死にかけの蚊のような羽虫と熊のはく製がアップで映されます。
蚊と言えば『血を吸う虫』ですが、血を吸うのは蚊の中でもメスだけです。
一方、映画『ミッドサマー』を観た方ならピンとくるかもしれませんが、熊は『男らしさ』や『二面性』を象徴する動物です。
この2種類の生き物を連続で映すことで、女は男に対して筋力的・体力的に圧倒的不利にあることを強調していたように見えました。
ラストメッセージの顔文字;)
キャシーがライアンに残していた最後のメッセージはウィンクを表す「;) 」の顔文字でした。
日本人には馴染みが薄いですが、欧米では横向きの顔文字が頻繁に使われます。
普通なら下のコンマが閉じたまぶたでウィンクに見えるんですが、私は日本人で横顔文字を普段使いしないせいなのか、このコンマはキャシーの涙に見えてなりませんでした。
以上です。読んで頂きありがとうございました。
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感想などお気軽に(^^)
キャシーのネックレスがコーヒー店のレジから出てきたのは、
あの店主に対するキャシーの挨拶だと思いました。
キャシーはニーナに友情を感じてニーナのネックレスをつけて復讐した。
残ったキャシーのネックレスは
あなたが持っててね。
お互いズケズケ言いあった仲だけど、私アンタの事けっこう好きだったよ。
ということなのかな?と咄嗟に思いました。
最後のウインクの絵文字は、
完全に涙にしか見えませんでした。
絵文字を横に見る習慣さえ知りませんでした。
丹念な解説ありがとうございます。
ケチャップのくだりは私は逆に思えました。
キャシー自身の血ではないかと。自分の将来を棒に振り男に警告を与える、毎週やってもそんな男が減るわけでもない。
彼女は復讐に楽しみは感じていない。虚しさを感じていた。弁護士が眠れずに苦しんでいたことを知ると、許してしまう。暴力を振るわせることもやめる。
交差点でのピックアップトラックにキレるシーンでも。彼女にも非があるとはいえ、性的な非難に怒りを覚えた末の行動(だと思いますが)。
男が走り去ったあと、がっくりと肩を落とします。
私は何をやっているのか、と虚しくなったからではないでしょうか。
くわちゃん さん
こんばんは、管理人です。
くわちゃんさんの見解、超が付くほどしっくり納得いきました。
そうですよね、キャシーは全く楽しんでないというのは出まくってましたね。
言葉の持つ意味に気が行き過ぎてました。。
大変勉強になりました!(そして修正しました。)ありがとうございました(^^)
キャシーのネックレスがレジ内にあった理由は冒頭で本人が述べてますね
「アタシはここが良い」
多分最後を覚悟していたんでしょう
お客さんのオーダーを無視してでもあの場所が良かった
だからこそあの場所にココロのマークであるハートを置いて行った
と考察します