映画『ジョーカー』ネタバレ解説考察|ラストの意味、犯行動機、ブルース弟説など | 映画の解説考察ブログ

映画『ジョーカー』ネタバレ解説考察|ラストの意味、犯行動機、ブルース弟説など

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スリラー

ホアキン・フェニックスさん主演の映画『ジョーカー』の解説・考察記事です!

大好きなホアキンさんが演じたジョーカー!不気味なダンス最高でした。

闇落ち系にそこはかとない魅力を感じてしまう筆者が、ジョーカーや周辺人物達の行動理由や心理についての考察をしています。

鑑賞済みの方向けの考察記事です。
まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。

映画『ジョーカー』概要紹介


原題:JOKER
制作年:2019年
本編時間:122分
制作国:アメリカ
監督:トッド・フィリップス
脚本:トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー
関連書籍:DCコミックス『バットマン 』シリーズ

あらすじ

ゴッサムシティで一流コメディアンになることを夢見るアーサー・フレックは、母親の介護と自分自身の病に苦しみながら、ピエロのアルバイトで食いつなぐ辛い生活を送っています。

辛い中にも希望を見つけようとするアーサーですが、頑張り続けるアーサーに対して世間はあまりにも冷酷です。

そんなある日、アーサーは若いサラリーマンに絡まれてとうとう切れてしまい、ピエロ仲間がくれた拳銃でサラリーマンを殺してしまいます。

主なキャスト

アーサー・フレックホアキン・フェニックス
ジョーカーになる男。

ペニー・フレックフランセス・コンロイ
アーサーの母。

マレー・フランクリンロバート・デニーロ
アーサーが最も尊敬するコメディアンで人気テレビ番組の司会者。

ソフィーザジー・ビーツ
アーサーが一目ぼれしたシングルマザー。

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解説・考察

まず初めに『本作は原作コミックとも映画版とも全く関連を持たせていない』とフィリップス監督はコメントしています。
なのでハーレークインも出てこないし、アーサーは今までのジョーカーのようなインテリタイプでもないけれど、それでも彼はジョーカーです。

ランドルの銃

ジョーカー

© 2019 Warner Bros. Japan LLC All rights reserved.

ランドルがアーサーに銃をプレゼントした理由を考えます。
ランドルは『良い奴』ではないので、アーサーに銃をタダで渡すのは不自然です。
しかも個人同士で銃のやりとりって違法だと思うので、ランドルもアーサーに銃をプレゼントした時点で違法行為をしたことになります。

ではなぜ渡したのかとなると、恐らくランドルは事情があってあの銃を持っていたくなかったのでアーサーに押し付けた、と考えた方がしっくりきます。
なので、あの銃はランドルか彼の仲間が何かの犯罪に使用していて、もし何かあったら罪を簡単になすりつけられそうなアーサーに持たせたという流れだったのではないでしょうか。




刑事がアーサーを訪ねた理由

2人の刑事がアーサーの所に聞き込み調査に来ます。

恐らく刑事は地下鉄殺人事件の捜査をしていて、『ピエロ』と『銃の種類』を手掛かりに犯人捜しをしていたのでしょう。

犯行に使われた銃と同じ種類の銃をランドルがアーサーに譲渡したと噂を聞きつけて、確かめようとしていた可能性が高いです。

ペニーを殺した理由

ジョーカー

© 2019 Warner Bros. Japan LLC All rights reserved.

アーサーが母ペニーを殺したのは、彼の不幸の元凶がペニーだったことを知ったからです。
アーカムの診断書でわかったことは、彼女が『妄想性精神病』『自己愛性人格障害』と診断されたことと、アーサーはペニーの実子ではなく養子だったこと、彼女の当時の恋人がアーサーを虐待し、それをペニーが黙認していたことです。

アーサーの『脳および脳神経の損傷』は、ペニーの恋人による暴行の後遺症でした。
アーサーにとっては、彼が不気味がられる原因はペニーが虐待を黙認していたせいだと考えたのでしょう。
「なぜ守ってくれなかった」という気持ちが憎しみに変わったのではないでしょうか。

資料写真に写っていた幼いアーサーは見た目4〜5歳位に見えましたが、彼自身は虐待されていたこと自体を覚えていない様子だったので、その頃の記憶はすっぽり抜け落ちているようです。

一方、アーサーが暴力に対して無抵抗なのは、幼少期の虐待による『暴力に対する恐怖心』から身体が硬直してしまっていた、ということで納得できます。

ペニーを献身的に世話していたのにあっさり殺してしまったのは、長年信じて疑わなかった親子の信頼が崩れ、強烈な憎しみに支配されたからです。

ブルースとアーサーは兄弟なのか

ジョーカー

© 2019 Warner Bros. Japan LLC All rights reserved.

これが本作一番の謎ですが、制作側の意図で残された謎でもあるので答えは出ません。

監督のトッド・フィリップス氏は制作過程で『アーサーの本当の両親が誰なのかはハッキリさせた上で撮影に臨んだ』とのことで一応正解はあるようですが、私たち観客に明かされる予定はないようです。

個人的には、アーサーはトーマスの子どもだったと思ってます。

アーサーはウェイン家をかぎまわってアルフレッドにもトーマスにも「すべて彼女の妄想」と一蹴され、アーカム病院でもペニーの発言の信用性が無くなる情報が次々に出てきます。

しかしその後、アーサーはペニーの化粧台で若い頃の彼女の写真を見つけ、その裏には『素敵な笑顔だ TW』と書かれていました。
アーサーは興味なさげに写真をポイっと落としていますが、TWはトーマス・ウェインのイニシャル以外に考えられず、ペニーの語った過去が本当だったことが示唆されているように見えます。

フィリップス監督は『トーマスとペニーは肉体関係を持ったことがある』とまでは明かしてくれましたが、肝心な親子かどうかは秘密のままです。

しかしトーマスが父親であり、それを隠しているという前提で考えると納得がいく行動が多々ありました。

・アルフレッドやトーマスが、30年以上も前に退職したペニーを覚えていた(名前を聞いただけでわかった)
・トーマスは市長選を目前にした大切な時期だったにも関わらず、ゴッサムの一市民であるアーサーを殴った(それほど感情的になった)
・トーマスはペニーと浅い関係だったと主張するわりに、アーサーが『養子』であること(浅い関係ならば知っているとは考えにくい情報)をなぜか知っていた

以上3点は納得いきます。
特に養子の件は、トーマスが父親ではなかった場合だと理解出来ないところです。

ペニーの「トーマスにはめられた 書類にサインした」という発言も真実だったと考えると、トーマスは昔「遊び」でペニーに手を出して妊娠させてしまい、金と権力でもみ消したということになり、父親の足がつかないようにアーサーを捨て子だったことにして、戸籍情報を書き換えたのです。

これが真実ならトーマスは相当の悪漢ですが、彼の人物像がわかるような描写があまり無かったので何とも言えません。
トーマスとペニーが本当の親なのかどうか、アーサーには次第にどうでもよくなっていますし、アーサーが入手した情報には真実も嘘も、もしかしたら幻覚も含まれているので結局わかりません。

アーサーがソフィーとの恋愛妄想を抱いていた点は、ペニーの病でもある『妄想性精神病』を彼も受け継いでいて、アーサーとペニーが本物の親子であることを示唆しているように感じるので、少なくとも養子については偽装された情報(ペニーとアーサーは本物の親子)だと思います。

また、年齢差問題については、そもそも1作目バットマンを演じたジャック・ニコルソン氏とブルース・ウェインを演じたマイケル・キートン氏が14歳離れているし、本作のトーマスは60歳前後だったので、若気の至りでできちゃった子がアラサー設定のアーサーならありえるとは思います。

トーマスとアーサー親子説を信じる理由はもう1つありますが、後述します。

次のページに続きます!

後半はソフィーについて、冷蔵庫の謎、ラストシーンについて、マレーを殺した理由、名言紹介などです。




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