映画『ジョーカー』ネタバレ解説|ラストについてなど5の考察 | 映画鑑賞中。

映画『ジョーカー』ネタバレ解説|ラストについてなど5の考察

ファンタジードラマ

バットマンの宿敵ジョーカーがジョーカーになるまでの過程を描いた話題作。

主演ホアキン・フェニックスのアカデミー賞主演男優賞をはじめ、数々の賞を受賞した。
日本アカデミー賞においても最優秀外国作品賞を受賞している。

原題:JOKER
制作年:2019年
本編時間:122分
制作国:アメリカ
監督:トッド・フィリップス
脚本:トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー
関連書籍:DCコミックス『バットマン』シリーズ

 

キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://cinema-tronix.com

アーサー・フレックホアキン・フェニックス

母親を介護しながら暮らしているコメディアン志望の男。ヘビースモーカー。
母子家庭で育ち父親は不明。
コメディアンとは思えないほど暗く、いつも陰鬱な雰囲気を醸し出している。
母ペニーからは『ハッピー』と呼ばれている。

 


(引用:https://www.koimoi.com

マレー・フランクリンロバート・デニーロ

エンタメ番組の司会者。
アーサーが最も尊敬するコメディアンであり、理想の父親のように思っている。


(引用:https://www.zonared.com

ペニー・フレックフランセス・コンロイ
若い頃…ハンナ・グロス

アーサーの母。
体が弱く外出出来ないため、アーサーに面倒を見てもらっている。
トーマス・ウェイン邸で働いていた過去があり、生活援助を求める手紙をトーマス宛に出し、返事を心待ちにしている。

 


(引用:https://www.cinemablend.com

ソフィーザジー・ビーツ

アーサーと同じアパートに住む一児のシングルマザー。
アーサーが一目で気に入る。

 

・その他のキャスト

トーマス・ウェイン…ブレット・カレン
ランドル(アーサーの同僚)…グラン・フレシュラー
ゲイリー(アーサーの同僚)…リー・ギル
ホイト・ボーン(アーサーの上司)…ジョシュ・パイス
ソーシャル・ワーカー…シャロン・ワシントン
ギャリティ刑事…ビル・キャンプ
バーク刑事…シェー・ウィガム
カール(アーカムの事務員)…ブライアン・タイリー・ヘンリー
ブルース・ウェイン…ダンテ・プレイラ・オルソン
アルフレッド…ダグラス・ホッジ
弁護士…フランク・ウッド
ジーン・ウフラント(マレーのマネージャー)…マーク・マロン
ドクター・サリー(番組出演者)…ソンドラ・ジェームズ
バリー・オドネル(番組出演者)…マーフィー・ガイヤー
アーカムの精神科医…エイプリル・グレイス
ジジ(ソフィーの娘)…ルッコ・ルナ
マーサ・ウェイン(トーマスの妻)…キャリー・ルイーズ・パトレロ
シャヴィア…ブライアン・カレン ほか

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あらすじ前半

バットマンことブルース・ウェインがまだ幼く、父トミーが新市長候補として世間の注目を浴びていた頃。
10月15日。ゴッサムシティは清掃組合のストライキでゴミ収集が停止されて18日が経過した。
ゴミと共にネズミが溢れ、普通のネズミよりも強い生命力を持つ『スーパーラット』が現れて市民を困らせていた。
経済の循環が滞り、困窮した人々による事件が急増したりと治安も最悪で、対策が急務となっていた。

コメディアン志望のアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、ピエロの派遣アルバイトをしながら母親ペニー(フランセス・コンロイ)とふたりで細々と暮らしていた。
ペニーは心疾患を抱え介護が必要な状態で、アーサーは献身的に彼女の世話をしている。
その一方でアーサーも脳と脳神経に障害を抱えており、それに伴う鬱症状などの精神疾患に苦しんでいた。
また、脳神経の損傷が原因で、緊張すると笑ってしまう症状があった。
『笑うのは許して、病気です その場の空気とは関係なく、脳と神経の損傷が原因で突然笑い出します』と書かれたカードを常備して、笑ってしまった時は人に見せるようにしているが、それでも周囲から気味悪がられていた。
症状の悪化で問題を起こして精神科病棟に強制入院させられていた時期もあるが、どんな問題を起こしたのかはアーサー自身も覚えていない。
アーサーは向精神薬に依存し、定期的にソーシャルワーカー(シャロン・ワシントン)のカウンセリングを受けながら何とか毎日やり過ごしていた。


(ペニーの食事の支度をするアーサー 引用:https://www.vanityfair.com

アーサーはコメディアンになりたいという夢があり、将来舞台で披露するネタやジョークを考えては、ソーシャルワーカーに課されている『日記』を書くついでにネタもノートに書き溜めていたが、ネタも彼の性格同様陰気なもので、日記とともにネタを読んだソーシャルワーカーが笑ったことは無かった。

ある日、もうすぐ店じまいするケニーズ楽器店に派遣されたアーサーが『売りつくし 閉店セール』の看板を掲げて歩道を踊っていると、不良少年4~5人に看板を奪われた。
看板を取り戻そうと若者を追いかけて路地裏に誘い込まれ、そこで暴行を受けて所持金を奪われた上、看板も破壊された。

アーサーは楽器店に何も言わず仕事を放棄して、ソーシャルワーカーのカウンセリングに足を運んだ。
その後、薬局に立ち寄って帰宅するとペニーの夕食を作って与えた。
ペニーは今から30年前にウェイン邸でメイドとして働いていた時期があり、トーマス・ウェインに助けを求める手紙を何通か送り、返事を心待ちにしていた。
アーサーが帰宅する度に「ウェインさんから何か届いてない?」と聞くが、今日も郵便物はなかった。

アーサーとペニーは『マレーフランクリン・ショー』という生放送のエンタメ番組の大ファンで、毎週放送を楽しみに見ていた。
いつか観客としてスタジオに行き、そこで司会のマレー(ロバート・デニーロ)に気に入られて彼の隣に立ち、ハグしてもらうのもアーサーの夢のひとつだった。


(マレーの番組を見るアーサーとペニー 引用:https://images6.fanpop.com

翌日。出勤したアーサーは、ピエロ仲間の同僚ランドル(グラン・フレシュラー)に「昨日、不良に襲われたんだろ?これをやるからもっと気を強く持て」と銃を渡された。
アーサーは心配してもらえたことが嬉しく、「銃なんてダメだよ」と言いながらも笑顔で受け取った。
この後、アーサーは上司のホイト(ジョシュ・パイス)に呼ばれ、楽器屋に看板も返さないまま業務放棄したことを指摘され、「楽器店が『看板を返せ』と怒っているぞ」と言われた。
アーサーは盗まれたと説明したが、ホイトは「楽器店はそんなこと言っていなかった。返さないなら君の給料から引くぞ」と答えた。
さらに「私は君を良い奴だと思っているが、周りから君のことを『不気味だから居られると迷惑だ』と言う奴もいる。私は君の力になりたいんだ。」と説教された。

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夜になり、帰宅したアーサーはポストに何も入っていないことを確認し、エレベーターに乗った時、同じアパートに住むソフィー(ザジー・ビーツ)と娘のジジ(ルッコ・ルナ)に会った。
自分のことを気味悪がらず、気軽に話しかけてくれたソフィーに、アーサーは一目で好意を抱いた。

帰宅してから、ペニーをお風呂に入れた。
「ウェインさんからの手紙を郵便局員が間違って捨てたんじゃないかしら」と言うペニーに、アーサーは「局員はそんなことしないよ。彼は忙しいだけだ。金のことなら心配しないで」となだめた。

翌日、アーサーはソフィーを少々尾行して、彼女がジジを学校に送り届けた後、電車に乗って勤務先らしき建物の中に入るまでを見届けた。
その後、行きつけのバー『コメディ・クラブ』でステージに立つコメディアンを観察し、日記に『ウケるためのコツ』をメモした後、自宅に戻り、利き手の右手ではなく左手を使って苦悩を記した。
『心の病を持つ者にとって最悪なのは、心の病を隠して普通の人のように振る舞うよう周囲に期待されることだ』

翌日、アーサーは仕事で小児病棟に派遣されて、患者の子どもたちと一緒に『幸せなら手をたたこう』の歌に合わせて踊っていた時、はずみで隠し持っていた銃を落としてしまった。
とっさに取り繕って上手くしのいだつもりだったが、その日の内にホイトから電話でクビを宣告された。
アーサーは「盛り上がると思って小道具として持ち込んだ」と言い訳したが、ホイトは「病院に銃を持ち込む奴があるか!ランドルから銃を買おうとしてたと聞いたぞ!とにかく首だ」と切られた。

ピエロの恰好のまま電車で帰宅していたアーサーは、近くの座席にいた酔っ払いの若いサラリーマン3人組が、向かいの席の若い女性に絡んでいる現場に遭遇した。
若い女性はアーサーに助けを求める視線を投げかけている。
固まっていたアーサーに発作の『笑い』が出てしまい、3人組の標的は女性からアーサーに移った。
女性が他の車両に逃げた後、アーサーは3人組に絡まれて暴行を受けた。
切れたアーサーはとっさに銃を取り出し、車内で2人を撃ち、次の駅で降りた3人目も追いかけてホームで撃ち殺した。
我に返ったアーサーは駅から逃げ出し公共トイレに駆け込んだ。
何とも言えない爽快感と高揚感に包まれ、トイレの中で喜びのダンスを踊った。
その後も高揚感が抜けなかったアーサーはソフィーの部屋を訪ね、彼女がドアを開けるなりキスをして男女の仲になった。


(公衆トイレで密かに高揚感に浸るアーサー 引用:https://www.cinematoday.jp

翌日。荷物を引き上げるために職場に来たアーサーはロッカーの荷物をまとめ、知らん顔しているランドルに嫌味を言った後、タイムカードの打刻機を破壊し、出入口付近に貼られている『Don’t Forget To Smile!(笑顔を絶やさない)』と書かれた社訓ポスターの『Forget To』を油性マジックで消し、『Don’t Smile!(笑うな)』に書き換えた。

自宅に戻ると、ニュースでアーサーの『地下鉄殺人』の話題に触れていた。
あの時の3人組はウェインの会社の社員だった。
事件の目撃者の情報で、犯人は『ピエロの仮面をつけた男』になっていた。(実際には仮面ではなくペイント)
トーマスは事件について「仮面無しでは人を殺せない卑怯者だ 自分よりも恵まれた人たちを妬んでいる 素顔を晒すのが怖いんだ 彼らが改心しない限り、我々が築いたこの社会で彼らのような敗者はただのピエロだ」とコメントし、アーサーをイラつかせた。

翌日。ソーシャルワーカーの定期カウンセリングに行ったアーサーは、市の予算削減でもうここを利用できなくなり、向精神薬の処方も受けられなくなると告げられた。


(コメディバーの舞台に立つアーサー 引用:https://theriver.jp

その日の夕方、アーサーはいつも勉強していたコメディバーでステージに立った。
極度の緊張で笑いの発作が出てしまい全くウケなかったが、暖かい拍手をもらった。
ステージの後は、観に来てくれていたソフィーとデートした。
ソフィーは『地下鉄事件』の犯人について「彼はこの街のヒーローよ!」とコメントし、アーサーは嬉しかった。

上機嫌で帰宅してペニーとダンスしてからベッドに寝かせると、ペニーは「またウェインさんに手紙を書いたからポストに投函しておいて」と言う。
内容が気になったアーサーは手紙を勝手に読むと、そこには『あなたの息子と私は困っています』と書かれていた。
混乱してペニーを問い詰めると、ペニーは「私たちは恋に落ちたの。でもバレて問題になる前に別れようと言われた。誰にも相談できなかった。
書類にサインしたの。あなたのことも、世間が知ったら何と言われるか…」と涙声で明かした。

翌日。アーサーは特急電車に乗っていた。
読んでいる新聞にはトーマス・ウェインが市長選に出馬したと写真付きの大きな記事が載っている。
トーマスの写真を日記に挟んだ。
ウェイン邸の塀の外から中を見ると、少年のブルース(ダンテ・プレイラ・オルソン)がこちらを見ていた。
アーサーはピエロの付け鼻を付けてブルースを門の前に誘い出して定番の杖のマジックを見せたが、ちっとも笑わない。
ブルースの口角を引っ張り上げて「この方が良い」と笑っていると、執事のアルフレッド(ダグラス・ホッジ)が駆けつけた。
アーサーは「俺はペニー・フレックの息子、つまりウェイン氏の息子だ。彼に会わせてくれ」と要求するが、アルフレッドは「2人の間には何もなかった。全ては彼女の妄想だ。帰らないと警察を呼ぶぞ」とにらんだ。


(ブルースの口角を上げて笑顔にしようとするアーサー 引用:https://i.redd.it

落胆して帰っていたアーサーは、ペニーが救急車で搬送されているところだった。
一緒に救急車に乗ったアーサーは、医師に「最後に話したのはいつだ?薬は?」など聞かれたが、動揺してなにも答えられなかった。

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あらすじ後半※ネタバレしています

病院の外でペニーの治療を待っていた時、刑事のギャリー(ビル・キャンプ)とバリー(シェー・ウィガム)が現れた。
刑事は「君を訪ねたけどいなかったから、母親から話を聞いていたんだ。
そしたら急に過呼吸になって、倒れて頭を打った。我々が救急車を呼んだ」と明かした。
続けて「銃を持っているというのは本当か?ピエロの仕事はなぜクビになった?」などと聞いてきたので、アーサーは「クビになったのは『面白くないから』だって。信じられないだろ?」とだけ答え、逃げるように病院に入った。

病室にはソフィーも駆けつけてくれた。
部屋にあったテレビで『マレー・フランクリン・ショー』を見ていると、マレーか「彼が現代のジョーカーです」テレビ画面に、先日アーサーがネタを披露したコメディ・クラブでの映像が流れた。
大抜擢されたのかと喜んで見ていたが、マレーはアーサーが大スベりしているボケにツッコミを入れて笑いを取っただけだった。
大好きなマレーに大恥をかかされたアーサーはテレビ画面をにらみつけた。


(テレビ画面をにらむアーサー 引用:https://www.mariblog.jp

その日の深夜。点けっぱなしにしていたテレビから、ゴッサムの市民がピエロ姿で上流階級に対する抗議デモを起こしている様子が流れた。
トーマス・ウェインの『地下鉄殺人事件』についての『我々が築いたこの社会で、彼らのような敗者はただのピエロだ』というコメントは、市民をピエロ呼ばわりしたと捉えられ、元々高まっていた市民の反感がさらに助長し、デモが起きたのだ。
アーサーは、ピエロ姿で『金持ちを殺せ!』と書いたプラカードを掲げて抗議する人々を見て笑顔になった。
そのニュースで、明日のウェイン・ホールでの慈善イベントにウェインが参加することを知った。


(トーマスに会いに来たアーサー 引用:https://www.pinterest.jp

翌日、アーサーはウェイン・ホールに忍び込み、トイレに立ったウェインを追いかけてトイレでウェインと話した。
ウェインは「ペニーはうちで働いてた頃に君を養子にしたんだ。聞いてないのか?君の父親は当然私じゃない。ペニーは当時から言動がおかしかった」と言った。
ペニーとも血が繋がっていないと聞かされて動揺したアーサーに笑いの発作が起きた。
アーサーは涙目で「なぜそんな嘘をつく?なぜ皆、母を悪く言う?僕は愛情が欲しいだけだ!僕の父親はあなただろ?」と訴えたが、ウェインはアーサーの顔を殴ると、「二度と私の息子に近づくな」と警告して立ち去った。
アーサーは帰宅し、泣きながら冷蔵庫に閉じこもった。

翌朝。マレー・フランクリンの番組担当のシャーリー・ウッズと名乗る女性から電話があった。
番組で流したアーサーのライブ映像が大反響を呼び、ぜひ来週の放送に出演して欲しいという依頼だったので、アーサーは快諾した。

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アーサーはウェインが言っていたことの真偽を確かめるために、ペニーが一時期収容されていたというアーカム州立病院に行った。
患者たちの異様な様子を見て、アーサーが事務員のカールに「ここに入院するのは全員犯罪者なのか?」と聞くと、カールは「犯罪者や、頭がいかれて危害を加える連中がここに来る。ここ以外に行き場がないんだ」と答えた。
カールはペニーの診断書を見付けて一部読み上げてくれたが、「正式な書類か、ペニー・フレック本人によるサインがないと渡せない」というので、アーサーは診断書を奪い取って逃げた。
人けのない場所で診断書に目を通すと『妄想性精神症、自己愛性人格障害』の診断結果や、彼女は自分の子どもに対する虐待、ネグレクトで逮捕され、当時幼かったアーサーはボロアパートでヒーターに縛られた状態で発見され、栄養失調、頭部にひどい外傷、全身のアザが見受けられたことなどが書かれた資料があった。
アーサーの脳および脳神経の損傷は、この時の虐待が原因だ。
実際に虐待していたのは当時のペニーの恋人で、彼女自身も暴力を振るわれていた。
彼女が問われたは、アーサーが虐待されるのを助けず傍観していた罪だった。
ペニーは「トーマスが私を陥れた」と証言していた。
診断書の中には、捨てられた子どもをペニーが養子に迎えた書類も含まれていた。

アーサーは土砂降りの雨の中を帰宅すると、ソフィーの部屋に入った。
ところが、現れた彼女はアーサーに怯えて「部屋を間違えてるわ。お願いだから出ていって」と言う。
つまり、デートしたことや、病院に現れた彼女は全て妄想だったのだ。

翌日、アーサーは病室でペニーに「僕は『ハッピー』だったことなんか一度も無い」と言い、枕を押し付けて窒息死させた。
帰宅したアーサーはマークの番組に出るための予行演習に励み、髪の毛を緑色に染めた。

番組出演当日。ペニーの化粧台で顔を白く塗っていた時、彼女が若い頃の写真を見付けた。
裏には『素敵な笑顔だ T・W』と書かれていた。
興味なさげに写真から手を放したと同時に、ランドルとゲイリーが様子を見に来た。
ゲイリーはただ心配で一緒に来たようだが、ランドルは事件の件で職場に警察が聞き込みに来たため、アーサーが銃をどうしたのか知りたかったようだ。
アーサーは隠し持ったペティナイフでランドルを刺し、憎しみを込めて壁に頭を何度も叩きつけて殺した。
ゲイリーはいつも優しかったため、ドアを開けてあげるとおでこにキスして解放した。


(アーサーの自宅を訪ねたランドル、ゲイリー 引用:https://murder–ing.tumblr.com

その後、上機嫌になり外に出て踊っていると、刑事のバークとギャリティが再び聞き込み調査に訪れた。
声をかけられたアーサーは一目散に逃げて地下鉄電車に乗り込んだ。
車内にはデモに向かう途中だったピエロの仮装をした人々がたくさん乗っていて、アーサーは偶然にも車内で殴り合いの騒ぎを起こすきっかけになった。
アーサーを追って電車に乗ったバーク刑事が誤って無関係の市民を撃ってしまい、2人は市民に捕まり集団リンチを受けた。
刑事が暴行を受けるのを眺め、アーサーはバークに向かって満面の笑みで小躍りして立ち去った。

スタジオの控室に到着すると、マレーが挨拶に来てくれた。
ピエロ姿のアーサーを見て、マレーのマネージャーは顔をしかめ「さっきまた地下鉄でピエロに関する事件が起きたばかりだ。彼の出演時間を減らそう」と言ったが、マレーが「君はデモの参加者じゃないだろ?なら気にすることはない」と止めた。
アーサーは「前の放送で僕のことを『ジョーカー』と呼んだろ?だから今日も本名じゃなくてジョーカーと紹介してほしい」と頼んだ。


(番組出演中のジョーカーとマレー 引用:https://sahiwal.tv

番組が始まると、アーサーは踊りながらスタジオに現れて、出演者のドクター・サリーに熱いキスをして会場を盛り上げたが、自身が地下鉄事件の犯人だと明かしてその場を凍りつかせた。
その後も社会に対する不満やトーマス・ウェインへの怒りを訴えた後、マレーを生放送中に射殺した。
アーサーの行動が引き金となり、世間に不満を持つ市民たちが興奮して暴徒と化した。
スタジオで逮捕されたアーサーは、連行中にゴッサムの至る所で暴動が起きている様子を楽しそうに眺めた。
警察官に「笑うな」と言われた直後、暴走した救急車が突っ込んできてパトカーに直撃した。
救急車から降りてきたピエロの男たちがアーサーを車から降ろし、パトカーのボンネットの上に乗せた。
意識を取り戻したアーサーは自分の周りに人が集まり歓声を上げているのを見て、喜びのダンスを踊った。


(混沌と化したゴッサムの街並みを見て喜ぶジョーカー 引用:https://www.youtube.com

同じ頃、家族3人で出かけていたウェイン一家は、暴動を避けて帰宅しようとしたところをピエロの仮面をつけた男に襲われ、トーマスと妻のマーサが死亡した。
ブルースの顔に両親の血しぶきがかかった。

それからしばらく、アーサーは逮捕されてアーカム州立病院に強制入院させられていた。
小さな部屋で精神科医のカウンセリングを受けている途中、アーサーにまた笑いの発作が起こった。
医師が「何がおかしいのか教えて」と聞くと、アーサーは「ジョークを思いついただけだ。あなたには理解できない」と答えた。
その後、アーサーは医師を殺して小部屋から脱走し、追いかけてくるスタッフから逃げ回った。

挿入曲:
『TEMPTATION RAG』Claude Bolling
『ROOFTOP』Hildur Guðnadóttir and Jóhann Jóhannsson
『THE MOON IS A SILVER DOLLAR』Lawrence Welk and his orchestra
『Here Comes The King』Steve Karmen
『Everybody Plays the Fool』The Main Ingredient
『if you happy and you know it』
『Smile』Jimmy Durante
『Slap That Bass』Fred Astaire
『My Name Is Carnival』Jackson C. Frank
『That’s Life』Frank Sinatra
『Send In The Clowns』Frank Sinatra
『Toy Dept (Toy Waltz)』North German Radio Simphony Orchestra 『Rock ‘N’ Roll (Part 2)』Gary Glitter
『Spanish Flea』Ray Davies and His Button Down Brass
『White Room』Cream
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解説・考察・感想など


(引用:https://www.cinemablend.com

やっとやっと見れました。
不気味なダンスに選曲のセンスは抜群だったし面白かったですが、全体的に痛々しすぎて笑いどころがないのが残念でした。
それこそもう少し喜劇的に描いてくれたらもっと好きになっていたのに。
唯一笑えたのは、アーサーが病院の出口専用ドアから入ろうとしたけど出口専用だから当然開かなくて、ドアにぶつかって、気付かずにドアセンサーを感知させようと手を振ってたところくらいです。

主演のホアキン・フェニックスは役作りのために20kg以上もダイエットしたのだとか。
『マシニスト』のクリスチャン・ベイルを思い出すような、浮き出た背骨や肩甲骨の不気味さはさすがです。

本作は原作コミックとも映画版とも全く関連を持たせない物語だとフィリップス監督はコメントしています。
思い返せば原作版ジョーカーは薬品タンクに落ちて生まれた怪人だったので、不可抗力ではなく自らの意思でジョーカーになる過程は『薬品タンク』よりも断然現実的で楽しめました。

ランドルと銃

アーサーがランドルからもらった銃について、善人ではないランドルが純粋な気持ちで銃を渡したとは考えにくいので、理由について考えます。
ペニーを殺した後、アーサーの自宅にランドルとゲイリーが訪れます。
まず訪れている時点で、ランドルに何か狙いがあることが伺えます。
彼はゲイリーのようにただ純粋に心配だから様子を見にくるキャラではないし、そもそも心配などしてないだろうし、仲が良かったわけでもなく、何ならアーサーがクビになった時に上司ホイトに嘘の報告をしたり知らん顔したりして険悪な別れ方をしていたからです。

ランドルは警察がじきに聞き込み調査に来ることを打ち明けて、既に刑事と話していたアーサーに「警察に何て言った?口裏を合わせよう」と申し出ます。
ランドルはアーサーが地下鉄の犯人だとは思いもしないのに、なぜ真剣にこんな提案をするのか。
それは、おそらくあの銃がアーサーが使う前に何か他の犯罪行為に使用された銃だからでしょう。

ランドルが何かしたのか、別の犯罪者の知人にでも押し付けられたのかはわかりませんが、とにかく、ランドルは恐らくあの銃を持っていたくない状況にあって、もし何かあったら罪を簡単になすりつけられそうアーサーに押し付けた、と考えた方がしっくりきます。
ランドルが潔白だったらこんな行動はしないはずです。

ペニーを殺した理由

アーサーが母ペニーを殺したのは、彼の不幸の元凶がペニーだったことを知ったからです。
アーカムの診断書でわかったことは、彼女が『妄想性精神病』『自己愛性人格障害』と診断されたことと、アーサーはペニーの実子ではなく養子だったこと、彼女の当時の恋人がアーサーを虐待し、それをペニーが傍観していたことです。
彼の『脳および脳神経の損傷』は、ペニーの恋人による暴行の後遺症でした。
笑いの発作で周囲に不気味がられるのも、アーサーから見れば全部ペニーのせいです。

資料写真に写っていた幼いアーサーは見た目4〜5歳位に見えますが、覚えていなかったようなので、虐待されていた頃の記憶はすっぽり抜け落ちていたのでしょう。
一方で、アーサーが誰かに暴行されると抵抗せず全く動かないのは、虐待によって植え付けられた暴力に対する恐怖心から、身体が硬直していた、ということで納得できます。

ペニーを献身的に世話していたのにあっさり殺してしまったのは、長年に信じて疑わなかった親子の信頼が崩れ、強烈な憎しみに支配されたからです。

以下、ペニーを殺害する直前のジョーカーの発言の抜粋です。

アーサー
ペニー、ペニー・フレック 嫌な名前だ
言ってたよね?僕の笑いは病気だって 僕はおかしいって
違う これが本当の僕だ

ペニー:
ハッピー・・・

アーサー
ハッピー、ふふ、何がハッピーだ
幸せなど一度もなかった
笑えるのは・・・マジで笑える
人生は悲劇だと思ってた
だが 今わかった 僕の人生は喜劇だ

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ブルースとアーサーは兄弟なのか

これが本作一番の謎ですが、制作側の意図で残された謎なので、個人的な解釈をで考察していきます。
監督のトッド・フィリップスは制作過程でアーサーの本当の両親が誰なのかについても設定をハッキリさせた上で作品作りをしたとのことで一応正解はあるようですが、私たち観客に明かされる予定はないようです。

ペニーがトーマスに宛てた手紙に、アーサーがトーマスの息子だと示唆している一文があり、アーサーは混乱します。
その後、アーサーはウェイン家をかぎまわってアルフレッドにもトーマスにも「すべて彼女の妄想」と一蹴され、アーカム病院でもペニーの発言の信用性が無くなる情報が次々に出てきます。

しかしその後、アーサーはペニーの化粧台で若い頃の彼女の写真を見つけ、その裏には『素敵な笑顔だ TW』と書かれていました。
アーサーは興味なさげに写真をポイっとあった場所に落としていますが、TWはトーマス・ウェインのイニシャル以外に考えられず、ペニーの語った過去が本当だったことが示唆されているように見えます。

フィリップス監督は設定の一部に『トーマスとペニーは肉体関係を持ったことがある』と明かしています。
この答えを前提に考えると、ウェイン家執事のアルフレッドやトーマスが30年以上も前に退職しているペニーを覚えていたことや、アーサーがトーマスに会いに行った時、市長選を目前にした大切な時期にトーマスが一市民であるアーサーを感情的に殴った点、アーサーが養子だとトーマスが知っていた点を考えると、納得がいきます。

だとすると、ペニーの「トーマスにはめられた 書類にサインした」という発言が全くの嘘ではなく、例えばトーマスは若い頃に遊びのつもりでペニーに手を出して失敗し(ペニーの妊娠と、彼女がトーマスに本気になったこと)、金と権力を使ってもみ消した可能性が出てきます。
父親の足がつかないようにアーサーを捨て子だったことにして、ペニーの養子として戸籍情報を書き換えたのです。
これが真実ならトーマスは相当の悪漢ですが、彼の人物像がわかるような描写があまり無かったので何とも言えませんし、30年前となるとトーマスの両親がまだ存命で彼にアドバイス出来たり、権力を行使出来る立場にあった可能性もあるので、本当の悪者は誰なのか判断がつきません。
それに、トーマスとペニーに肉体関係があったとしても、イコールトーマスが父親とはならないのでやはり謎が残ります。

本当の両親についてはジョーカーに変身するにつれてアーサーにとってどうでもよくなっているし、アーサーが入手した情報には真実も嘘も、もしかしたら妄想も含まれているので、結局わかりません。

アーサーがソフィーとの恋愛妄想を抱いていた点は、ペニーの持病でもある『妄想性精神病』を彼も受け継いでいて、アーサーとペニーが本物の親子であることを示唆しているように感じるので、少なくとも養子については偽装された情報(ペニーとアーサーは本物の親子)だと思います。

長々と書いてしまいましたが、他作でジョーカーが「俺とお前はコインの表と裏だ」と発言していたように、アーサーとブルースは異母兄弟だと考えた方が個人的に面白いので、そうあって欲しいです。

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マレーを殺した理由


(引用:https://en.pressemag.fr

アーサーがマレーを殺したのは、番組内でマレーがアーサーを笑いものにしたからです。
マレーはアーサーにとって理想の父親像そのものでした。
アーサーがマレーに「君が息子ならこの地位もスタジオもすべて捨てられる」と言ってもらう妄想からよくわかります。

マレーの番組でアーサーのライブ映像が取り上げられたとき、アーサーは褒められることを確信しますが、全く逆の結果になりました。
マレーはアーサーのジョークに冷酷な突っ込みを入れて笑いを誘いました。

アーサーはマレーに憧れていたからこそ、絶望と憎しみが何倍にも膨れ上がりました。
出演を承諾したときの表情から察するに、アーサーはマレーに何か仕返しするために番組出演を引き受けたのだと思われます。
恐らく最初はジョークとして自殺しようとしていたようですが、市民が暴走しているのを見るとハッピーなので自殺はやめて、代わりにマレーを殺害します。

以下、ジョーカーとマレーの番組中の会話を抜粋します。

マレー:
そのメイクだが、政治的な意図はないと話してたね?

ジョーカー
僕は政治には無関心 人を笑わせたいだけ

(中略)

ジョーカー
証券マンを3人殺したんだ

マレー:
・・・オーケー、それでオチは?

ジョーカー
オチはない ジョークじゃない

マレー:
君が地下鉄で3人を撃ち殺した?どう信じろと?

ジョーカー
僕にはもう失うものはない 傷つける者もいない
僕の人生はまさに喜劇だ

マレー:
人殺しが笑えることか?

ジョーカー
そうさ 自分を偽るのは疲れた
喜劇なんて主観さ そうだろ?
みんなだって この社会だってそうだ
善悪を主観で決めてる
同じさ 自分で決めればいい 笑えるか笑えないか

マレー:
つまり君がこの番組に出たのは
ブームを起こしてシンボルになるため?

ジョーカー
勘弁してよ 僕がブームの火付け役?
奴らが最低だから殺した それだけだよ
どいつもこいつも最低で狂いたくもなるさ

マレー:
君は狂ってるから人を殺してもいいのか?

ジョーカー
違う 本当は音痴だったから死んでもらった
(観客からのブーイングを聞いて)
なぜ彼らに同情する?
僕が歩道で死んでても踏みつけるだろ 誰も僕に気付かない
だがあの3人はウェインが悲しんでくれた!

マレー:
ウェインと問題でも?

ジョーカー
その通りだ! マレー、外の世界を見たことあるか?
スタジオの外に出たことは?
誰もが外で罵り合っている 礼儀も何もない
誰も他人のことを気にかけない
ウェインみたいな奴らが僕の気持ちを考えるか?
奴は他人の気持ちなど考えない こう思うだけさ
『黙って いい子にしてろ 狼にはなれない』

マレー:
終わった?
自分を憐れんで殺人の言い訳を並べてるだけだ
みんなが最低ってわけじゃない

ジョーカー
あんたは最低だ

マレー:
私が?私がどう最低なんだ?

ジョーカー
僕の映像を流して この番組に呼んだ
笑いものにするために
奴らと同じだ

マレー:
私を知らないくせに
君が引き金になって暴動が起きた
重症の警官たちを君は笑った
君のせいで今日も殺人が起きてるんだぞ!

ジョーカー
知ってるよ
ジョークを言ってもいいかな?

マレー:
聞きたくないね

ジョーカー
心を病んだ孤独な男を欺くとどうなるか
社会に見捨てられ ゴミみたいに扱われた男だ!

マレー:
警察を呼んでくれ!

ジョーカー
報いを受けろ クソ野郎!

 
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ラストシーンについて


(引用:https://tagg.com.au

ラストの、アーサーが白い部屋の中で精神科医と話した後、血の足跡を付けて部屋から抜け出し、病院の職員と追いかけっこしているシーンについてです。

これはジョーカーが病院から脱走しているシーンで、血の足跡については、彼は不意をつくのが上手いので、恐らく精神科医が持っていたペンを奪うなどして攻撃したのでしょう。

気になるのは、彼の緑に染めた髪の色が地毛の茶色に戻っている点です。
このシーンの直前の、ボンネットに立っていた時からはかなりの月日が経っている(染めた髪が自然に元に戻る位は時間が経っている)ことになるなのか、もしくは彼の「面白いジョークを思い付いた」という発言と絡めると、物語自体がこの男の想像だった可能性もあります。

全て想像だったと考えると、仕事をクビになった時に不自然に入ったガラスのヒビ、アーサーが見ていないはずの、ブルースが死んだ両親のそばに立ち尽くす様子の回想、カルテを持ち去っても追手が来なかった点、行われていないペニーの葬儀、などの筋が通ります。
また、ジョーカーの過去が不明であるという特徴や、『ダークナイト』で彼が自身の過去を思いつきで語っていたこととも結びつきます。

名言など


(引用:https://www.pinterest.jp

 

『この人生以上に硬貨な死を望む』
英語の原文は『I just hope my death makes more cents than my life.』です。
アーサーお気に入りのジョークのようですが、この意味不明なところにアーサー独特のセンスが表れています。
 
 
アーサー
ちょっと前まで誰も僕を見てなかった
僕は存在するのかなって

ソーシャルワーカー:
残念なお知らせがあるの

アーサー
僕の話は?聞いてないよね 何ひとつ
毎週同じ質問ばかり『仕事は?』『落ち込んでない?』
もちろん落ち込んでばかりさ でも何も聞いてくれない
こう言ったんだ
『僕はずっと自分が存在するのかわからなかった』
でも僕はいる 世間も気づき始めた

ソーシャルワーカー:
市の予算削減でここは来週で閉鎖よ
全面的な予算カットで福祉も例外じゃない
面談は今日が最後よ
市にはどうでもいいの あなたたちも私たちも

印象的だったので載せました。
アーサーが言うように、ソーシャルワーカーの女性はアーサーの話を全く聞いておらず、指摘しても直そうとせず、ただ事務的な情報を伝えるだけです。
彼女もアーサーと同じく社会からむげに扱われ、アーサーの話を聞く心の余裕を失くしてしまったのでしょう。
 
 
心の病を持つ者にとって最悪なのは世間の目だ こう訴えてくる
”普通の人のようにしてろ” と
アーサーが日記兼ネタ帳に書いていた一文です。
原文は『The worst part about having a mental illness is people expect you to be have as if you DONT.』
ありのままの自分では社会に受け入れられない苦悩が書かれていますが、ジョーカーになったアーサーはもう彼が抱える闇が心の病だとは考えなくなっています。

 

突然現れたけど 困らせる気は無い
なぜ皆 僕を邪険にする?
僕が欲しいのは温もりとハグだよ パパ 優しい言葉をくれよ!
なぜあんたらは母を悪く言う?
アーサーが父親かもしれないトーマスに訴えた本音です。

トーマスは冷たく追い返してアーサーの抱える闇は一層深まります。

以上です!読んでくださりありがとうございました。
少しでも作品理解の参考になればうれしいです(^^)

 

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