アニメ映画「アリーテ姫」ネタバレと感想! | 映画鑑賞中。

アニメ映画「アリーテ姫」ネタバレと感想!

ファンタジーアドベンチャー

アリーテ姫は賢すぎるがゆえに城の別棟に隔離され、満足に外出もできない生活を送っていた。
ある日、王様は年頃になったアリーテ姫の花婿探しをはじめ、お城には多くの花婿候補者があふれた。
そんな中、アリーテのお城にボックスという名の魔法使いが現れて「姫を嫁にしたい」と申し出た。
魔法の宝に目が眩んだ王様と重臣たちはアリーテとボックスの結婚を許し、アリーテはボックスのお城へ連れていかれた。

アリーテ姫

制作年:2000年
本編時間:105分
制作国:日本
監督:片渕須直
脚本:片渕須直
原作:小説/ダイアナ・コールス『アリーテ姫の冒険

声の出演・キャスト

アリーテ姫桑島法子


(引用:https://t.livepocket.jp

人間の国のお姫様。
いつからかお城の別棟に軟禁状態にされて暮らしている。
誰にも知られていない秘密の通り道を開拓していて、夜になるとよくお城から抜け出して冒険している。

 

ボックス小山剛志
少年のボックス…陶山章央


(引用:https://blog.goo.ne.jp

魔法使いの一族の生き残り。
巨大なお城に1人ぼっちで住んでいる卑屈な男。
魔法の水晶に『アリーテ姫に殺される』というお告げを受けたので、姫を殺してしまおうと企み、花婿候補に名乗りをあげた。
とにかく生きることに執着していて、お城から出ることは滅多になく、ほとんどのことは全て部下のグロベルにさせて、食事はお城の近くの村人アンプルに任せている。

・その他のキャスト

アンプル(城に食事を運ぶ村人)…高山みなみ
グロベル(魔法で人に変えられたカエル)…沼田祐介
魔女…こおろぎさとみ
ダラボア(姫の花婿候補)…竹本英史
金髪の騎士(花婿候補)…森訓久
王様…長嶝高士
老臣…石森達幸、麻生智久、高塚正也
衛兵…永野善一、小和田貢平
侍女…進藤尚美
仕立て屋の親方…西松和彦
仕立て屋の従弟…天神有海、小谷伸子
ナレーション…佐々木優子 ほか

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あらすじ①起

アリーテ姫は宝石コレクターである王様の一人娘だった。

アリーテは普段はお城の中で暮らし、めったなことでは外出も許されないような生活を送っているが、彼女は自分の部屋の暖炉から秘密の抜け道を使ってときたま町に出て、町に住む人々の生活を観察する日々を送っていた。

その日もアリーテは朝から町に出て、お昼の時間に合わせて城に戻った。
昼食の最中、外が騒がしいので様子を伺ったアリーテは、彼女の花婿を決めるための『宝探し大会』が王様主催で行われていることを知った。
旅から帰ってきた花婿候補らしき男たちが、各々手に入れた宝物を持って城に入っていく。
候補者が城に集まると、宝物のお披露目会が王様の前で行われた。
不思議な水晶や、動く宝箱など、さまざまな宝が順番に王様の前で披露された。

夜。重臣たちは、姫の花婿候補者たちから受け取った沢山の魔法の道具や宝石を見て「これでしばらく金に困ることはなさそうだ」と笑いながら宝をしまった。
アリーテは召使いが棟から出ていくのを待ち、秘密の通路を抜けて宝物庫に入り込んだ。
花婿候補たちが貢いだ宝物が入れられた箱を開けると、中には様々な金銀財宝に、動く宝石箱などもあった。
アリーテは箱の中にあった1冊の魔法について書かれた本に惹き付けられ、こっそり持ち出して自分の部屋に持ち込んだ。

その本には、人々が魔法を当たり前のように使えていた時代のことや、魔法の詳細について書かれているもので、挿絵には神秘的な飛行船や、魔法で空を飛ぶ女性の絵が描かれていた。

アリーテが本を読み始めようとした時、花婿候補の男ダラボアが、少しでもアリーテとお近づきになるために憲兵の目を盗んで窓から侵入してきた。
ダラボアは今日の宝さがしで魔法の水晶を納めた男だった。
ダラボアはアリーテに自分がいかに男らしく勇敢で紳士的かをアピールしたが、アリーテはダラボアが『宝探し大会』のために異国の村を襲って彼らが大切にしていた宝を力づくで奪ってきたことや、本来なら大人しいはずの魔物を殺してきたことを知った。
アリーテが動物をむやみに殺すのは良くないことや、もっと他人の気持ちを理解すべきだと指摘すると、ダラボアは苦笑いしながら入ってきた窓から出ていった。

やっと帰ってくれたと安心していると、再び窓から別の男が現れて、窓の外からアリーテに愛を語り始めた。
男が中々帰ってくれないので、アリーテは男が「旅先であなたのために摘んできました」と言い差し出してきたバラを、「それはこの城の庭に植わっていたものよね」と指摘して男を帰させた。

やっと静かになってアリーテが一息つくと、今度はどこから現れたのか、杖をついて歩く子どもが現れた。
アリーテは驚き、どこから入ったのか聞くと、子どもは暖炉の抜け穴を杖で指した。
その子は見た目は子どもだが、振る舞いや喋り方が老人のようだったので、アリーテはこの子どもが魔女だと気が付いた。
魔女はこの姿でイタズラして回っているうちに『魔法の源』を盗まれてしまい、元の姿に戻れなくなってしまったそうだ。
そして『魔法の源』を探し続けるうちに、このお城に盗まれた宝物が集まっていると聞きやって来たのだと魔女は語った。
アリーテは探し物は見つかったのか聞くと、魔女は首を横に振った。
魔女は魔法の道具の特徴を”水晶によく似ている”と話したが、アリーテは宝物庫でそういうものを見た記憶がなかった。

アリーテは「それがあれば誰にでも魔法が使えるの?」と聞くと、魔女は「そんなに甘いもんじゃない。お前たちには理解することすらできないだろう」と答えた。
さらにアリーテは「もし見つからなかったら、あなたはどうなるの?」と聞いた。
魔女は「私の永遠の命もこれまでだ。この姿から年を重ねていき、やがて老いてしまう。お前たちの限られた人生と同じさ」と答え、暖炉の抜け穴から出ていった。
アリーテは穴に向かって「すぐに一生が終わるわけじゃない!その間に出来ることがあるはずよ!」と叫んだ。
すると、魔女は「人生に意味があると信じているのかい?」と答えて消えた。
アリーテは「当たり前じゃない!」とつぶやいた。
その後、姫は部屋のあちこちから道具を引っ張りだして旅の支度を始めた。

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あらすじ②承

翌朝。アリーテの城にボックスと名乗る初老の魔法使いが現れた。

城の重臣たちは、魔法使いの生き残りがいたことに驚きながら要件を聞くと、ボックスはアリーテ姫を妻にしたいと申し出た。
ボックスは重臣たちと王様に、魔法使いと縁組して王様に損はないこと、彼の魔法の道具がこの国の経済にも役立つこと、そして現在は老人の姿だが、結婚が決まれば若返ると話した。
重臣たちと王様は喜んでアリーテとボックスの結婚に賛成した。

召使いはこのことをアリーテに伝えようとしたが、その時すでにアリーテは城を抜け出して旅に出た後だった。
アリーテが居なくなったことはすぐに城の中に知れ渡り、アリーテはすぐお城に連れ戻されてしまった。
アリーテは旅芸人に混じって城下を出ようとしていたところを、門番に魔法の本を持っているのが見つかり盗人として捕まってしまったのだ。
アリーテが成長した後の顔は召使い数名しか知らず、この時初めてお城の家来や重臣はアリーテの顔を見たのだが、彼女があまりに平凡な顔立ちだったので、家来や重臣たちは「これは何かの呪いなんじゃないか」と口々にささやいた。

アリーテは王様とお城の家来たちに「自分が何者なのか知りたい。私はお姫様じゃない何かになりたくて旅に出ようと思った」と、城から抜け出した理由を明かした。
王は「娘よ、周りの言葉に身をゆだねるのだ。お前は従うしかない」と答えた。

アリーテは「私はまだあきらめません」と言い、王に背を向けて部屋に戻ろうとした。
その時、彼女の前にボックスが立ちはだかり「姫の呪いを解く自信がある者はこの中にいるか?」と皆に呼び掛け、広間は静まり返った。

ボックスは「姫の呪いを解くことが出来る者こそが、姫の婿である証だ!」と言い、丸い水晶のついた杖を姫に向けた。
すると突然アリーテの周りから白い煙が上がり、彼女は美人に変わった。
美しくなったアリーテにボックスが求婚すると、アリーテは「なんと嬉しいお言葉なのでしょう」と答えてプロポーズを受けた。
お城の者たちは感心して「この姿こそが本当の姫君だ!」と言い、広間に歓声が上がった。
アリーテは美人に変えられたと同時に、心を操る魔法をかけられてしまっていたのだ。

それからすぐにアリーテとボックスの結婚式が行われた。
アリーテは伝統衣装に身をつつみ、その日だけは子どもの従者が彼女の身の回りの支度をした。
この時、子どもの従者の中に、以前アリーテの部屋に現れた魔女が紛れていた。
魔女はアリーテに「魔法をかけられたか。しかし私にはどうすることもできない。私は人間として生きていくことにしたよ」とささやいた。
だが、アリーテはぼんやりと前をたまま動かなかった。
魔女は「この城を出れば私は今までの記憶を失い、本当に普通の人間として生きていくことになる。これももう要らぬ」と言って、アリーテの指に指輪をはめた。
魔女は「指輪をこすれば3つまで願いが叶う。これで自分をお救い」とささやき、アリーテの身支度を終えると城から出ていった。

ボックスの提案でアリーテはしばらくの間ボックスの城で暮らすことになり、アリーテはうずまき状の帆がついた小さな飛行船(イメージはレオナルド・ダ・ビンチのヘリコプターをご参照ください)に乗せられて、ボックスの城に飛び立った。
盛大な宴が開かれていた城下町の町民たちは、2人の結婚を祝って喜んでいた。

飛行船は野を超え山を越えてボロボロで廃墟のようなボックスの城にたどり着いた。
その時、お城の中からボックスがもう一人現れて、アリーテを連れてきた方のボックスはカエルに似た少年に変わった。
アリーテを連れてきた方のボックスは、彼の家来のグロベルが化けた姿だったのだ。
グロベルはボックスに魔法で人の姿に変えられたカエルだ。

グロベルは「言いつけ通り、姫をさらってきやした。ついでにこんなものも」と言い、魔法の本をボックスに見せた。
ボックスはアリーテを地下室に入れておくようグロベルに命じて「これで運命に逆らって辛い思いをすることも、もうないだろう。お前は幸せ者だ」と皮肉を言うと、アリーテは無表情でうなずいた。
グロベルはアリーテを汚い地下室に入れて閉じ込めた。
ボックスはアリーテを本当の妻にするために結婚したのではなく、彼の魔法の水晶が『アリーテ姫に寿命を縮められる』と予言したので、彼女がバカになる魔法をかけて死ぬまで監禁してしまおうと考え、アリーテに結婚を申し込んでさらったのだ。

アリーテは地下室で自分が今どうなっているのか考えたが、魔法の力が邪魔をしていつも通りに考えることが出来なかった。
『身体が思うように動かない。虜にされる魔法をかけられてしまったからだ。悪い魔法使いに捕まったのなら、王子様が助けに来て目覚めのキスをしてくれるまで、ここで眠って待つことにしようかしら』
そう思って部屋を見渡すと、部屋はボロボロでベッドもなく、ネズミがそこらじゅう走り回っていた。

食事を持ってきたグロベルに「ここは王子様を待つ部屋にふさわしくないわ」と文句を言った時、アリーテは魔女からもらった指輪がこすれた。
すると、ネズミがいっせいに外に出ていき、ボロボロの壁は星のちりばめられた群青色に変わり、天蓋付きベッドと椅子が現れた。

グロベルが慌ててボックスにこのことを報告すると、ボックスは「あの願いが叶う指輪か。俺も小さい時に親に買ってもらったもんだ。せっかくの願い事を部屋の掃除に使うとは、ずいぶん悠長なお姫様だ。しかしこれは魔法がまだ効いている証拠だ」と話した。
ボックスは人間によって永遠の命と魔法を奪われて次第に減っていく仲間たちのことを悲しみ、いつか魔法が普通に使われていた頃の世界を取り戻そうと考えていた。
そのためには、まず自分だけはなんとしても生きのびて文明を長らえさせ、いつか自分にも助けが来る日を待ち続けていた。
グロベルは「おとぎ話でもあるまいし、『助けに来る』なんて、いくら待ったって来やしないものを。死ぬまで待ち続けるがいいや、バカが」と言いながら、食事係のアンプルが持ってきたスープをすすった。
ボックスは自分のことを言われたように感じて機嫌を悪くした。

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あらすじ③転

その後、アリーテ姫は誰かが助けに来てくれるのを静かに待ち続け、ボックスとグロベルは城にこもりきりで過ごし、城に来るのは食事を運んでくるアンプルだけだった。
美しい流れ星がいくつも流れるある夜。ボックスは流れ星を眺めながら「この流れ星もかつて魔法使いが作ったものだ」とグロベルに説明した。
流れ星のかけらが城の近くに落ち、青い光を放った。

翌朝。グロベルは昨夜 近くに落ちた流れ星を見付けてボックスに見せた。
ボックスはそのカケラを見て驚いた。
流れ星は石と水晶がくっついてできており、その水晶はボックスの魔法の杖の水晶ととてもよく似ていたからだ。
かつては誰かの魔法の道具だったのだろう。
そのカケラは、やがて砂になって消えてしまった。
ボックスは「退屈だ」とつぶやいた。

ボックスは魔法の本を読みながら、壊れたままになっていた飛行船を魔法で直そうとした。
だが思うように行かなかったので「ただ退屈しのぎに試してみただけさ」と魔法がうまく使えない自分に言い訳した。
そこにグロベルがやってきて姫の近況の報告を始めた。 姫は助けに来た王子様にささげるキレイな刺繍を縫うために、指輪を使って刺繍キットを出したそうだ。
グロベルは「明日をも知れぬ身なのに退屈しのぎだとさ。自分の状況がわかってないんですかね、バカが」と言った。
ボックスは自分のことを言われた気がして「黙れ!」とグロベルに怒鳴った。

その日の夜。眠れなかったボックスは寝床から起き上がり、熟睡しているグロベルを蹴り飛ばしてアリーテ姫の地下室に行ってみた。

ボックスが天窓からアリーテのいる地下室をそっとのぞくと、姫はまだ起きていた。
ボックスは「助けがくると本当に信じているのか?お前の城の者たちでさえ、誰もここに来ないではないか。一体何を待っているのだ?」と聞いた。
アリーテは「来ないということは、望みを抱き続けていられるということ。私はその長い時間を、刺繍に針を刺して過ごしましょう。あなたは何を待っているの?」と返した。
ボックスは姫に自分の心を見透かされて不機嫌になった。

翌朝。ボックスは大きな声でグロベルを何度も呼んだ。
グロベルが恐るおそる顔を出すと、ボックスはアリーテを地下室から出すことに決めたとグロベルに話した。
グロベルが理由を聞くと、ボックスは「姫君を手に入れようとした騎士たちは宝探しの旅に出された。姫にも同じことをしてやろう。姫は外の世界に放り出されれば、相当な恐怖を味わうはずだ。実際ひとりで生きてはいけまい。とびっきりの難題を用意してやろう」と答えた。

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同じ日、食事係のアンプルはアリーテを助けようと、窓に付けられている鉄の棒を壊そうとしていた。
だが、アリーテはアンプルの行動に目を向けることもなく、アンプルが持ってきた食事を食べ始めた。
アンプルの力では鉄の棒をはずすことが出来なそうだったので、アリーテに「下の扉はこじ開けられないかい?」と聞いた。
アリーテは「扉には触れたことがありません。あの方が『この扉はもう開かない』とおっしゃったから」と答えたので、アンプルは驚いた。
アンプルはいったん手を止めて、彼女の村のことと、ボックスがここに棲みついた経緯を話し始めた。
アリーテはアンプルの話を聞きたかったが、魔法の力に邪魔されて話に集中できずにいた。
心の中で『聞かなきゃだめ!』と自分に言い聞かせながら、必死でアンプルの話を聞いた。

アンプルの祖母がまだ子どもだったころ、村は昔は水不足で困っていたそうで、そこに現れたのがボックスだった。
ボックスは村人たちに「俺の魔法で水を出してやろう。その見返りに俺に飯を食わせてくれ。」と交渉し、村人たちはボックスを受け入れたそうだ。
現在ではアンプルの祖母も7年前に死んで村人は代替わりしたのに、ボックスは年取ることも死ぬこともなく、ずっと村に水を提供し続けて、アンプルが作った食事を食べ続けていた。
アンプルの祖母がボックスの食事係をしていたため、祖母が亡くなった後は彼女が引き継ぐことになってしまったそうだ。
この村の水が枯れる前は、広い草原に草が青々と茂っていたそうだ。

アンプルはこんな生活から脱出しようと、自力で村に井戸を掘ってボックスとの契約を破棄する計画を立てていた。
今のままでは、アンプルの祖母のように一生をボックスの食事に捧げることになってしまう。

姫はアンプルの話に返事もせず、うつむいたままだったが、心の中では『この人と話したい!』と強く思っていた。

アンプルの話を盗み聞きしていたグロベルは「井戸を掘るなんて無理に決まってる!この辺りは水が出ない土地のはずだ。ご主人に言いつけて、お前もカエルに変えてやる!」とわめいた。
アンプルは「お前もカエルのままだったら幸せでいられたのにね」と答えた。
グロベルは「うるせえや。なに言ったって水は出ねえんだ!死ぬまで今と同じ暮らしさ!」と言いながら、その場から立ち去った。
アンプルはアリーテの方に向き直り「あんたをそこから出してやれるように考えるよ」と声をかけた。
アリーテは「ここだと何もすることがなくて退屈です」と答えた。
するとアンプルは「そういう時には、心の中でお話を作って過ごすんだ。物語を頭から順番にひとつずつ。次はどうなるんだろう?って考えるんだ」と答えた。
姫はワクワクする気持ちを抱いたが、同時に魔法の影響で『考える?せっかく考えることなどしなくて良くなったのに』とも思った。

アリーテが魔法の指輪で出した刺繍が全て完成してしまった頃。
退屈になったアリーテはアンプルの言葉を思い出し、心の中で物語を作ってみることにした。
『とても豊かな王国があり、そこには幸せに暮らす王女と王様がいました。
しかし、姫が産まれると同時に王女はこの世を去ってしまいました。
やがて成長したお姫様は”城の棟にこもり清らかなその身を守って、いつか訪れる花婿にふさわしい人を待ち続けているのだ”と、人々の口は言うのでした。
けれど、お姫様自身は・・・』
この時、アリーテはお城にいた頃のことを思い出してきた。
「お姫様自身は、毎日窓から外を眺めながら過ごすのでした。
その窓の下には素敵な城下町が広がり、たくさんの屋根の下にはたくさんの人々の暮らしがあり、たくさんの生き方があるのでした。
姫は、その窓から見える小さな人影一つ一つの人生に思いをはせるようになりました。
それがお姫様にとって、人と繋がる唯一のひとときだったのです。
いつしか、お姫様の心は愛しさとうらやましさに溢れていました。
ここから見える全ての人にそれぞれの物語があって、すべての人が主人公。なのに私は・・・」

ここまで考えると、アリーテは昔抱いていた感情を思い出した。
「私だって、そのひとりのはず・・・」
同時に、アリーテはの中の魔法にかかった部分がささやいた。
「こんな話つまらない。もっとドラゴンや魔女が出てこなければ!」
『魔女』というフレーズでアリーテは彼女の部屋に現れた魔女のことなどを思い出すと、彼女の口は勝手に動き出した。
「すると魔女は言いました。
『おやおや、人生には意味があると、まだ信じてるのかい?』
お姫様は答えて言いました。 『当たり前じゃない!』」

そのとき、アリーテから煙があがり、かけられていた魔法が解けた。

姫はすっかり元通りになった。
扉を開けようとしたり窓に登ろうとしたりしたが、ダメだった。
どこからか水の音が聞こえたので、水の流れる音が一番聞こえる場所の地面を壊して穴を空け、部屋の真下の用水路に抜けることができた。
アリーテは用水路に降りて光の指す方に進んだ。
脱走できるかと思ったが、用水路の出口には鉄格子がはめてあり、そこから出ることは出来なかった。

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あらすじ④結

同じ頃。ボックスは魔法の本を読み漁り、姫に課す難題を思いついた。
ボックスがアリーテを地下から出そうとしていることを知り、アリーテは急いで地下室に戻った。
そして魔法が解けていることがすぐにはバレないように、天蓋の布と刺繍糸で底上げ靴を作り、壁にかかっていた油絵の赤いインクを唇に塗って、ボックスがドアを開けるのを待った。(魔法で美人になっていた時は身長も伸びていたため)

やがてグロベルが地下室の鍵を開けた。
ボックスはアリーテに直接会うのを怖がって、食事を下ろす天窓から叫んだ。
「聞け!姫に3つの宝探しの難題を与える!貴様の花婿になろうともくろんだ者たちもさせられたことだ。
まず一つ目は、ここより北の方角に、天へ届かんばかりの岩山が連なる。貴様も空から見たであろう。
その最も高き山に登り、さらにその上にある空を見上げよ。
そこには我が一族が魔法の力で作り上げた巨大な金色のワシが、今なお飛び続けている。
その目にはまるルビーのカケラを持ち帰れ!それは魔法のルビーだ!
それを持ち帰ることが出来れば、2つ目の難題を与える。
3つの難題全てをクリアすれば、お前は自由だ!」

アリーテはゆっくり地下室から出て周りを見回したが、どこにもボックスとグロベルはいなかった。
そのまま歩いてお城の外に出たところで、ボックスは城の中から再びアリーテに向かって叫んだ。

「その指輪にかけて誓え!宝を手に入れるまで決して後戻りはせぬことを!
一歩でも道を戻れば、その頭にいかずちが落ちるだろう!
いざというときは、指輪の魔法を使え!」

アリーテは指にはまっている魔女からもらった魔法の指輪を見つめ「ボックス様の言われた通りに!」と言い、指輪をこすると、頭の上で雷雲が鳴った。
アリーテの指輪は3つの願い事を叶え、金色からくすんだ灰色に変わった。
お城から遠ざかっていくアリーテを見ながら、ボックスは「これでやつが戻って来ることはない」と満足げに笑った。

アリーテはお城からある程度離れたところで恐る恐る後戻りしてみたが、ボックスが言っていた雷は落ちてこなかったため、ボックスの言葉がアリーテをお城に戻って来させないための方便だと知った。
アリーテをは安心してお姫様の服を脱ぎ、厚底靴代わりにしていた布を放り投げ、自由をかみしめた。

その頃、アンプルはボックスの食事を城に運ぶために家から出たところだった。
アリーテはアンプルを見付けて駆け寄ったが、アンプルはアリーテの見た目がすっかり変わっていたので誰だかわからなかった。
アンプルはアリーテの説明を聞いて、ようやく目の前の少女が地下室に居た少女だとわかった。

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その後、アリーテ姫はアンプルに成りすましてボックスとグロベルの部屋に入り込み、食事の準備をしながらボックスの机の上に置いてあった魔法の本を取り戻した。
ボックスは水晶でアリーテ姫の様子を見ようとしたらこの部屋が映ったので、水晶が壊れたんだと思った。
ボックスの焦る様子を見たグロベルは「こんなの魔法で直せないんですか?あれだけ偉大な魔法使いだって言ってたのに!じゃあほんとは、ほんとは・・・」と後ずさった。
ボックスはグロベルをにらみつけ「うるさい!」と言い、魔法でグロベルをカエルに戻してしまった。
ボックスは杖を放り投げ、椅子に座ってうつむいた。

本を取り戻したアリーテは、城の出口付近で本を開いて役に立ちそうな魔法を探すと、あるページが目に留まった。
水蛇の小石  この石を器に入れ水を満たせば、そのあといくらこぼしても水は減らず、常に器は水で満ちるであろう”
アリーテは中庭に行き、噴水のてっぺんの水が出ている所に壺が置かれているのを発見した。
壺の中に入っていた小石を取り出し、それが水蛇の小石であるのを確認した。

ボックスは唯一の話し相手グロベルを失ったことに落ち込んだ後、新しい話し相手を求めてアンプルを探しはじめた。
アリーテは急いで持ってきていた鍋の中に水を入れ、壊れかけの飛行船のある場所へ行った。
城からはボックスがアンプルを呼ぶ声が響いている。
飛行船のある場所に着くと、アリーテは飛行船に乗り込んで鍋の中に水蛇の小石を入れて、飛行船の中に水をためながら、飛行船を修理する方法を考えた。
やがて船の先端のわっかがぼんやりと光り、音を出し始めた。
船の中をよく見ると、船の内側に張り巡らされた回路のようなものが光っていて、それを目で追っていると回路が途中で切れているのがわかった。
アリーテは魔法の指輪をはずして回路の切れている部分に付けてみた。
すると回路がつながって船は直り、帆の先端が持ち上がった。
だが船は水の重みでやがて壊れてしまい、船の本体が倒れて中から大量の水があふれた。

ボックスはアンプルを探して城から出て、アンプルの村に近づいていた。
ボックスの姿を見た村人は急いで家の中に逃げ込んだ。
ボックスは大声でアンプルを呼ぶと、アンプルは少し離れた場所で水源を掘りあてようとしていた。
アンプルは「お前、あの子に何をした!お前みたいなやつの面倒を見るのはもうごめんだ!
そんなに食べたきゃ、自分の魔法で食べ物を出すがいい!本当は出来ないんだろ!」と大声で言った。
ボックスは舌打ちして村人たちに言った。
「誰でもいいから俺に食事を運んで俺を生かせ!さもないと水を止めるぞ!」
だが村人は「もうとっくに水は出てないんだが・・・」と言う。
ボックスが水路を見ると、水は止まっていた。

アリーテ姫は飛行船から水を出して城の中を水で満たし、城に穴を空けようとしていた。
このお城そのものを大きな壺にするつもりなのだ。
ボックスは水蛇の石を確認するために城に戻ろうとして、城の中にアリーテ姫がいるのを見付けて驚いた。
アリーテがずんずん近づいてくるので、ボックスは後ずさりしながら「小石を盗んで仕返ししようって魂胆か!しかし、あんなものは他愛もないものだ、魔法の内にも入らん!小石を返せ!」と手を出した。
アリーテは「他愛もないものなら、また自分で作ればいい。なぜそうしないの?
あなたたちの魔法って技術はとっても進んでいるけど、世界中にいる職人たちと同じ、人の手で作った道具のことなんでしょ?」とボックスに詰め寄った。
ボックスは「そうさ!しょせん他の誰かが作った魔法の道具を使い続けるだけなのだ、俺は。仕方ないんだ。
俺が大した魔法を習わないうちに世界がひっくり返っちまったんだ!
俺たちの大陸が海に沈んだとき、俺はまだ・・・」
そう言いながらボックスが水晶を自分のひたいに当てると、賢そうな老人の姿から少年の姿に変わった。
「おれはまだ、こんな子どもに過ぎなかったんだ!」

姫は「だったらしょうがないじゃない!それだけのことを認められずに、あなたは周りに八つ当たりばっかり!」と答えた。
ボックスは「うるさい!俺が自分の手でできるのは、なにかを役に立たないものに変えることだけだ!
それが俺が身に着けた、最初で最後の魔法なんだ!だが、これで何が出来るか見るがいい!」
と言い、城に杖を向けた。
最もくだらないものになるがいい!」

城は音を立てて煙をあげ、巨大なボックスの銅像に変わったので、ボックスは泣きそうになった。
アリーテは「なんでそんなに自分のことを貶めるの?」と聞くと、ボックスは「うるさい!何もかも踏みつぶしてしまえ!」と叫んだ。
銅像は動き始めたが、すぐに動きを止めて口から煙が出はじめた。
やがて銅像の足元から水が噴き出し、崩れて中から大量の水が出て来た。
ボックスは水から逃げようとして転び、波に飲まれ、水晶は水でどこかに流れてしまった。

やがて大量の水が枯れた大地に行きわたり、一面が水に覆われた。
アリーテは高い場所から水に覆われた大地を見つめていた。
アンプルがアリーテの隣に来て「あんた、やったじゃないか!」と言った。
アリーテはアンプルに抱き着いた。

数か月後。土地には水路が作られ、豊富な水のおかげで草が青々と茂っていた。
アンプルが話していた、この村の過去の景色を取り戻したのだ。
一方、ボックスは失くした水晶をまだ探し続けていた。
アンプルが「水晶を見付けてどうするんだい?村人たちを全員カエルに変えるのか?」と聞くと、ボックスは「うるせえ!俺は生涯をかけて水晶を探す!」と答えた。
アンプルは「永遠の命を持ってた魔法使いなんて、もうみんな滅んだんだよ!」と言うと、ボックスは「まだ俺が滅びていない。俺は俺の魔法を・・・」と言いかけた所で、ボックスはアンプルの後ろにアリーテを見付けたので口が止まった。
アリーテは「もっと別の魔法だってあるのに。やってみる? 目を閉じて、思い浮かべてみて。一番行きたいと願う場所を」とボックスに言った。
ボックスは渋々目をつぶりながら「俺の願う場所は、一番楽しかった場所だ。一度だけ海辺を訪れたことがある」
アリーテは「私、まだ海を見たことがない」と答えた。
ボックスは「そうだな、果てしなく広く、水は塩辛く、温かく、常に波が打ち寄せている。
俺は子どもの頃に海に来て、波をよけて走り、とても身体が軽かった。そうだ、母もいた。」とつぶやいた。

ボックスは海辺で笑う母の顔をよく見ようとして目を開けたが、そこは元の、水晶を探していた場所だった。

アリーテは「海辺に立ってた時のその思いを、未来に向けることだって出来る」と言った。
ボックスは、海に来たのは星へ飛び立つ船を見送るためだったこと、いつか自分もあの船に乗って星へ旅することが子どもの頃の夢だったことを思い出した。
アリーテは「同じ魔法はあなただけでなく、すべての人に備わっているということを忘れないで」と言い、歩き始めた。
アンプルはアリーテが旅立とうとしていることを察して「いつでも帰って来るんだよ!ここはもうあんたの村だ!」と声をかけた。

後日。アリーテ姫はボックスが言っていた、金色のワシがいるという岩山の頂上にたどり着いていた。
周囲を見渡すと、金色のワシは本当に飛んでいた。
アリーテは誰が何のためにこの金色のワシを作ったのか考えたが、わからなかった。
だが、そのワシが自由に空を飛ぶ姿はとても美しく、彼女の顔に笑みがこぼれた。

その後、姫は山から下りて港町にたどり着き、こうして旅をしながら生きていくことを決意した。
ボックスは水晶を探す手を止めて自分の両手を見つめ、アリーテ姫が言っていたことの意味を考えながら立ち尽くした。

主題歌:大貫妙子『金色の翼』

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感想!

大人向けのお話。お姫様が可愛くないというのも珍しいし、登場人物の発言がいちいち印象的で心に残る作品でした。

あまり抑揚がない淡々とした作品なので、ジブリ作品のようにもっとファンタジー要素が多ければヒットしたような気がしますが、片淵監督はあえてそういうことをしなかったんだそうです。
片淵監督らしいですよね。

お城に閉じ込められても自分の力で抜け道を探して、活発に生きる意味を模索し続けるアリーテ姫と、いつまで待っても来ない助けを待ち続け、危険を恐れてひたすらお城に引きこもるボックスの対比が良かったです。
アリーテ姫にかけられた魔法を解くのは王子様ではなく彼女自身だった点にも、アリーテ姫の強さが感じられました。
人々が考える『お姫様像』や『女性像』からの脱出が描かれていたそうです。
3つの願いが叶う魔法の指輪も、願い事の使い方が残念だったのがアリーテ姫の性格を表しているようで逆に印象的でした。

ボックスは精神的に子どものまま年老いてしまった魔法使いでしたが、お城を「最もくだらないもの」に変える魔法をかけたとき、お城が彼自身になってしまったシーンは切なくなりました。。
ボックス自身も内心では、自分で動かなければ何も始まらないことがわかっていたのでしょうね。

原作が海外だからか、海外アニメを思わせる絵のタッチも好きでした。
原作小説とはまた印象が違っているみたいなので、いつか読みたいです。

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