アニメ映画「アリーテ姫」あらすじ結末ネタバレ・感想評価 | 映画鑑賞中。

アニメ映画「アリーテ姫」あらすじ結末ネタバレ・感想評価

アリーテ姫 青春

アリーテ姫
アリーテ姫は賢すぎるがゆえに城の別棟に隔離され、満足に外出もできない生活を送っていた。
ある日、王様は年頃になったアリーテ姫の花婿探しをはじめ、お城には多くの花婿候補者があふれた。
そんな中、姫のお城にボックスという名の魔法使いの生き残りが現れて「姫を嫁にしたい」と申し出た。
魔法の宝に目が眩んだ王様と重臣たちは姫とボックスの結婚を許可し、
姫は拒否する隙を与えられず、ボックスの城へ連れていかれた。

制作年:2000年
本編時間:105分
制作国:日本
監督:片渕須直
脚本:片渕須直
原作:小説/ダイアナ・コールス『アリーテ姫の冒険

アリーテ姫|声の出演・キャスト

アリーテ姫(桑島法子) ボックス/魔法使い(小山剛志) アンプル/城に食事を運ぶ村人(高山みなみ) グロベル/魔法で人に変えられたカエル(沼田祐介) 魔女(こおろぎさとみ) ダラボア/姫の花婿候補(竹本英史) 金髪の騎士/花婿候補(森訓久) 少年ボックス(陶山章央) 王様(長嶝高士) 老臣(石森達幸、麻生智久、高塚正也) 衛兵(永野善一、小和田貢平) 侍女(進藤尚美) 仕立て屋の親方(西松和彦) 仕立て屋の従弟(天神有海、小谷伸子) ナレーション(佐々木優子) ほか

これからこの映画を見る方へ
※この映画はエンドロールの途中にも映像があります。(本編とは関係ありません)

 

以降はあらすじ詳細でネタバレ含みます。

 

あらすじ詳細①起

アリーテ姫は宝石コレクターである王様の一人娘だった。

姫は大切に育てられ、普段はお城の中でめったなことでは外出も許されないような生活を送っているが、姫は、彼女の部屋の暖炉から秘密の抜け道を使ってときたま町に出て、城下町に住む人々の生活を観察する日々を送っていた。

その日も姫は町に出ており、お昼の食事時に合わせてお城に戻った。昼食を食べていると、外が何やら騒がしく、窓を見ていると召使が「今日は姫様の結婚相手を決めるために開かれた”宝さがし大会”の最終日です。きっと素敵な殿方がお相手に選ばれるでしょう」と説明した。
外では旅から帰ってきた何人かの候補者たちが各々手に入れた宝物を持って城に入っていった。候補者たち全員が城に集まると、宝物のお披露目が王様の前で行われた。不思議な水晶や、動く宝箱など、さまざまな宝が順番に王様の前で披露された。

夜になり、重臣たちは、姫の花婿候補者たちから受け取った沢山の魔法の道具や宝石を見て「これでしばらく金に困ることはなさそうだ」と話しながら宝を宝物庫にしまった。
アリーテ姫は召使いたちが姫の棟から出ていくのを待ち、再び暖炉を抜けて宝物庫に入り込んだ。姫は沢山の贈り物の入れられた箱を開けた。箱を開けると中には動く宝石箱がもぞもぞしていた。
姫は箱の中の1冊の本に惹き付けられた。それは魔法について書かれた本だった。姫はこっそり本を持ち出して自分の部屋に持ち込み、一息ついてから本を開いた。

その本にはその昔、不思議な力を人々が普通に使えていた時代のことや、魔法の一つ一つについて細かく書かれているもので、挿絵には神秘的な飛行船や、魔法で空を飛んでいる女性が描かれていた。

姫が本を読み始めようとしたその時、窓の外から姫を呼ぶ男性の声がした。
男は「怪しい者ではありません」と言いながら姫の部屋に侵入し、ダラボアと名乗るその男は姫の姿を見てひざまずいた。ダラボアは姫の花婿候補者のひとりで、今日の宝さがしで王に魔法の水晶を納めた男だった。
彼が部屋に忍び込んだ目的は、姫とお近づきになるためだった。

今日の宝さがしで花婿を決めると言われていたが、”姫の指示”で宝探しをやり直すことになった。自分が誰よりも素敵な宝を手に入れて満足させてみせるとダラボアは姫に話した。
それは姫の指示ではなく、もっと魔法の宝が欲しくなったが勝手に決めて候補者たちに告げたことだった。
姫は突然現れた男性に戸惑ったが、悪者でないとわかり恐るおそる、旅先で言葉の通じない人と話すのはどんな感じなのかたずねた。ダラボアは喜んで姫に冒険話を語った。
ダラボアは旅先で、襲い掛かってきた魔物や蛮族をなぎ倒し、彼らが大切にしていた宝を奪い取ってきたのだと身振り手振りで表しながら話した。姫はダラボアが話す魔物の特徴を聞いて、その魔物のことを昔、本で読んだことがあるのを思い出した。
姫は「なんで?」と殺してしまった理由を聞いたのだが、ダラボアは道具のことを聞かれたのだと思い「一家伝来の剣で!」と答えた。姫はその魔物が危険ではなかったことを説明すると、ダラボアは姫の教養の深さをほめたたえた。
姫は「私はここに閉じ込められているから、本位しか外の世界をのぞき見るすべがないの」と話したが、ダラボアは「本ならいくらでも積み上げましょう。姫が私の妻となれば、優しく私の愛で包み込み、城の奥深くで生涯、心穏やかにお過ごしいただきましょう」とにっこり答えた。
姫は自分の気持ちに気付いてもらえずがっかりして口を閉ざし、机の上に置いていたチェスを動かした。向かいにいたダラボアも駒を持ち、2人は無言でチェスをしたが、すぐに姫が勝ってしまった。

姫はダラボアに「もっと人の気持ちがわかるようでなければ、私の心を手に入れることはできない。魔物や人々があなたを襲ったのも、宝を守りたかっただけなのかも」と話した。
ダラボアは「あなたのためを思って大変な苦労をして宝を手に入れて来たのに!」と反論したが、姫は「私はそんな宝欲しくない」と返した。

ダラボアは、魔物や兵士から殺されそうになりながら必死で水晶を奪って逃げかえった時の記憶がよみがえり、苦労が報われず舌打ちした。
ダラボアは苦笑いしながら姫に「今日の所はひとまず帰ります」と、窓から出ていった。

姫がやっと帰ってくれたと安心していると、再び窓から物音がして、別の花婿候補の男性が現れて愛を語り始めた。

姫は男性がいる窓にそっと近づき、そのまま窓を閉めた。男性はめげずにもう一度窓を押し開けて姫に「旅先の遠い地で摘んできたバラです」と言い、一輪のバラを姫に差し出した。
姫はそのバラが庭に植わっているものだと気が付きあきれた。男性は苦笑いしながら「真実をありのまま語ることが必ずしも良いことではありません」と釈明を始めたが、再び姫はドアを閉め、今度は施錠して開かないようにした。男性は悔しがり、バラを地面に投げた。

※姫はとても賢くて知的好奇心の旺盛な女性だった。王は彼女の頭の良さを知り、それを隠すためにわざと彼女を周囲の目から遠ざけて誰にも会わせず城に閉じ込めていた。姫と男性を会わせてしまうと彼女の賢さと、見た目の平凡さを知った男性たちは敬遠してしまうだろうと思い、姫ことをよく知られる前に結婚相手をみつくろって結婚させてしまおうと王は考えていた。

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やっと男性陣が去り静かになって姫がため息をつくと、今度はどこから現れたのか、杖をついて歩く子どもが現れた。姫は驚き、どこから入ったのか聞くと、子どもは暖炉の抜け穴を杖で指した。

外見は子どもだが杖をつき、大昔のことを知っていて話し方もまるで老人のような様子を見て、姫はすぐにこの子どもが魔女だと気が付いた。
魔女はこの姿でイタズラして回っているうちに、魔法の源を盗まれてしまい元の姿に戻れなくなってしまっていた。魔法の宝がこの城に集まっていると聞き、盗まれたものを探しに来たのだと言う。
姫は探し物は見つかったのか聞いたが、魔女は首を横に振った。魔女は魔法の道具の特徴を”水晶によく似ている”と姫に話したが、姫にもわからなかった。

姫は「それがあれば、誰にでも魔法が使えるの?」と聞くと、魔女は「そんなに甘いもんじゃない。お前たちには理解することすらできないだろう」と答えた。
姫は「もし見つからなかったらあなたはどうなるの?」と聞いた。魔女は「永遠の命もこれまでだ。この姿から年を重ね、やがて老いてしまう。お前たちの限られた人生と同じさ」と答え、姫に背を向けて暖炉の抜け穴から出ていった。
姫は穴に向かって「すぐに一生が終わるわけじゃない。その間に出来ることがあるはずよ!」と叫んだ。すると「人生に意味があると信じているのかい?」と声がして、魔女は居なくなった。

姫は「当たり前じゃない」とつぶやいた。
その後、姫は部屋のあちこちから道具を引っ張りだして旅の支度を始めた。
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あらすじ詳細②承

翌朝、姫の城にボックスと名乗る長いひげをたくわえた初老の魔法使いが現れた。

城の重臣たちは、まだ生き残っていた魔法使いがいたことに驚くとともに対応を決めかね、出方をうかがうことにした。重臣たちがここに来た要件をたずねると、ボックスはアリーテ姫を妻にしたいと申し出た。
ボックスは重臣たちに、魔法使いと縁組して王に損はないこと、ボックスの魔法の道具がこの国の経済にも役立てること、そして今現在の姿は、姫と結婚が決まった時には美しい姿に変わると話した。
重臣たちは話を聞いて相談し、この話を受けようと考えて王に伝えると、王も姫とボックスの結婚に賛成した。


姫の結婚相手が決まったことを召使いたちが姫に伝えようと部屋に入った時、姫は旅に出ていた。

姫が居なくなったことはすぐに城の者たち全員に知れ渡ったが、姫の成長した顔を知っているのは彼女の身の回りの世話をする召使い数名だけだった。

だが意外にあっけなく、姫はすぐにお城に連れ戻されてしまった。

姫は旅芸人たちに混じって城下を出ようとしていたところを、門番に魔法の本を持っているのが見つかり盗人として捕まってしまったのだ。姫の顔を知らない者たちは「こんな凡庸な顔の子が姫なのか」とざわめいたが、召使いたちは間違いなく姫だと認めた。
姫は周りの皆に「自分が何者なのか知りたい。私はお姫様じゃない何かになりたくて旅に出ようと思った」と城から抜け出した理由を話した。
聞いていた王は「娘よ、周りの言葉に身をゆだねるのだ。お前は従うしかない」と言った。

姫は「私はまだあきらめません」と言い、王に背を向けて部屋に戻ろうとした。見ていた周りの者たちは「これは呪いだ」とささやいた。
広間から出ようとしていた姫の前に魔法使いボックスが立ちはだかり、姫は後ずさりした。ボックスは「姫の呪いを解く自信がある者はこの中にいるか?」と皆に呼び掛け、広間は静まり返った。

ボックスは「姫の呪いを解くことが出来る者こそが、姫の婿である証だ」と言い、丸い水晶のついた杖を姫に向けた。
突然、姫の周りから白い煙が上がると姫は美しい姿に変わり、ボックスが改めて求婚すると「なんと嬉しいお言葉なのでしょう」と言って受け入れた。

見ていた城の者たちは感心して「この姿こそが本当の姫君だ!」と言った。姫は魔法をかけられて見た目を変えられ、操られてしまったのだ。

姫の結婚式がとり行われることになり、姫は伝統衣装に身をつつみ、子どもの従者たちが姫の身の回りの支度をした。

子どもの従者の中には姫が部屋で出会った魔法使いが紛れており「魔法をかけられたか。しかし私にはどうすることもできない。私は人間として生きていくことにしたよ」とささやいた。姫は前を見すえたまま動かなかった。
魔法使いは「この城を出れば私は今までの記憶を失い、本当に普通の人間として生きていくことになる。これももう要らぬ」と言って姫の指に指輪をはめた。

指輪をこすれば3つまで願いが叶う。これで自分をお救い」と言い姫の身支度を終えると城から出ていった。

ボックスは「この町の王になる準備が整うまで、姫は私の城であずかる」と言い、姫をうずまき状の帆がついた小さな飛行船に乗せて飛び立った。

城下町では盛大な宴が開かれ、町民たちは姫の結婚を祝って踊った。

野を超え山を越え、船はボックスの城にたどり着いた。城は見るからに汚れていてボロボロだった。城に着くと同時に船は壊れ、乱暴に地面に着地した。

ボックスが船から出ると、城からボックスがもう一人現れ、姫を連れてきたボックスはもう1人のボックスに水晶を投げた。

城から出てきたボックスは持っていた杖に水晶をはめて、杖を姫を連れてきたボックスに向けて振ると、カエルに似た少年グロベルに姿を変えた。姫の城に来たのはボックスに化けたグロベルで、本物のボックスはずっと城で待っていたのだ。
グロベルは「言いつけ通り、姫をさらってきやした。ついでにこんなものも」と言い、魔法の本をボックスに見せた。ボックスはグロベルに、姫を地下室に入れておくよう命じて「これで運命に逆らって辛い思いをすることももうないだろう。お前は幸せ者だ」と皮肉を言い、姫はうなずいた。

ボックスはグロベルに地下室のカギを投げて城の中に戻っていった。

グロベルは姫を汚い地下室に入れて閉じ込めた。

グロベルはボックスに「姫に本当のことを言うと、姫は『それでは、あのお方は姫を虜にして、さらってここに閉じ込める悪い魔法使いなんですか?』なんて言うんで『人の寿命を勝手に縮めようとするお前たちの方が悪いお姫様なのかもよ!』って言ってやりました」と自慢げに報告した。
ボックスは「殺されないだけ感謝すべきだ。俺は文明人だからな」と返した。
ボックスが魔法の本に目を通しているとき、城に食事を運んでいるアンプルがやってきた。

グロベルは「姫はこの本を城から盗んで旅に出ようとしていました。魔法使いにでもなるつもりだったんですかね?」と笑いながら話した。
グロベルはアンプルに気が付き「これから食事は3人分必要だ」と言った。アンプルは「お前のご主人は退屈しのぎの話し相手に、また何かを人に変えたか」と呆れたように言った。

グロベルは「それはおいら1人で十分さ」と答えた。グロベルはボックスに、魔法で人に変えられたカエルだったのだ。

姫は地下室で自分の状況を考えていた。

『身体が思うように動かない。虜にされる魔法をかけられてしまったからだ。悪い魔法使いに捕まったのなら、王子様が助けに来て目覚めのキスをしてくれるまで、ここで眠って待つことにしようかしら』

そう思って部屋を見渡した。部屋はボロボロでベッドもなく、ネズミがそこらじゅう走り回っていた。
同時に、グロベルが食事を持って地下室に現れた。
姫は「ここは王子様を待つ部屋にふさわしくないわ」とつぶやくと、身体が勝手に指輪をこすってしまった。ネズミがいっせいにグロベルの開けた窓に押し寄せ、ボロボロの壁は星のちりばめられた群青色に変わり、天蓋付きベッドと椅子が現れた。

 

グロベルはすぐにボックスにこのことを報告した。ボックスはアンプルが持ってきた茶色くて美味しくなさそうなスープを飲みながら「あの願いが叶う指輪か。俺も小さい時に親に買ってもらったもんだ。せっかくの願い事を部屋の掃除に使うとは、ずいぶん悠長なお姫様だ。しかしこれは魔法がまだ効いている証拠だ」と話し、口の周りや周辺にスープをまき散らしながら食事を進めた。
「永遠の命を約束された私の水晶が『アリーテ姫によって寿命を縮められる』と予言したのだから、これも仕方ない」と付け加えた。
ボックスは水晶の予言を聞いて、アリーテ姫を魔法でバカな娘に変えて死ぬまで幽閉しようとしていたのだった。
ボックスは人間によって次々に永遠の命と魔法を奪われ減っていく仲間たちのことを悲しみ、いつか魔法が普通に使われていた頃の世界を復興しようと考えていた。そのためにはまず自分だけはなんとしても生きのびて文明を長らえさせ、いつか自分にも助けが来る日を待ち続けていた。
グロベルは「おとぎ話でもあるまいし『助けに来る』なんて、いくら待ったって来やしないものを。死ぬまで待ち続けるがいいや、バカが」と言いながらスープをすすった。
ボックスは自分のことを言われたように感じて怒り立ち上がった。グロベルが「姫のことですよ!」と慌てて言うと、ボックスは「相変わらず人間の食べ物は口に合わん」と言いながら座った。
グロベルは「お願いですから、魔法の国の料理を出してくださいよ。絶品なんでしょ?」と笑った。

ボックスは再び立ち上がってグロベルに杖を向け「いつから偉そうな口をきけるようになった?俺の魔法で料理を出せだと?貴様のような存在のために、この俺が?貴様に似合いのくだらぬ物ならいくらでも出してやる!」と言って机の上にカエルを出した。
グロベルはあやまり、怯えた。

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あらすじ詳細③転

その後、アリーテ姫は誰かが助けに来てくれるのを静かに待ち続け、ボックスとグロベルはどこへも出かけず城で過ごし、城に来るのは食事を運んでくるアンプルだけだった。
美しい流れ星がいくつも流れるある夜、ボックスとグロベルは流れ星を眺めながら、この流れ星もかつて魔法使いが作ったものだとグロベルに説明し、グロベルは感心した。流れ星のかけらが城の近くに落ち、青い光を放った。

翌朝、グロベルは落ちた流れ星を見付けてボックスに見せた。ボックスはそのカケラを見て驚いた。流れ星は石と水晶がくっついており、その水晶はボックスの杖の水晶とよく似ていたからだ。かつては誰かの魔法の道具だったのだろう。

ボックスがそのカケラを見ていると、水晶は砂になって消えてしまった。ボックスは「退屈だ」とつぶやいた。
ボックスは魔法の本を読みながら、壊れたままになっていた飛行船を魔法で直そうとした。だが上手く行かず「ただ退屈しのぎに試してみただけさ」と自分に言い訳した。
そこにグロベルがやってきて姫の近況を報告した。姫は助けに来た王子様にささげるキレイな刺繍を縫うために指輪を使って刺繍キットを出したそうだ。

グロベルは「明日をも知れぬ身なのに退屈しのぎだとさ。自分の状況がわかってないんですかね、バカが」と言った。ボックスは自分のことを言われた気がして「黙れ!」とグロベルに大きな声を出した。

その日の夜、眠れなかったボックスは寝床から起き上がり、熟睡しているグロベルを蹴り飛ばしてアリーテ姫の地下室に行ってみた。

ボックスがそっと窓から地下室をのぞくと、姫は気付いてベッドから出ようとした。
ボックスは気付かれたことに慌てて「出てくるな!そのまま答えろ」と命じた。

ボックス「助けがくると本当に信じているのか?お前の城の者たちでさえ誰もここに来ないではないか。一体何を待っているのだ?」
姫「来ないということは、望みを抱き続けていられるということ。私はその長い時間を、刺繍に針を刺して過ごしましょう。あなたは何を待っているの?」

ボックスは姫に自分の心を見透かされて悔しがり、怒った。グロベルはおびえて姿を隠した。


翌朝、ボックスは大きな声でグロベルを何度も呼んだ。グロベルが恐るおそる顔を出すと、ボックスは姫を地下室から出すことを決めたとグロベルに話した。

グロベルが不思議がると「姫君を手に入れようとした騎士たちは宝探しの旅に出された。姫にも同じことをしてやろう。姫は外の世界に放り出されれば、相当な恐怖を味わうはずだ。実際ひとりで生きてはいけまい。」
グロベル「さすがボックス様。あいつの気持ちが手に取るようにわかるなんて」
ボックス「貴様はもうしゃべるな!とびっきりの難題を用意してやろう」

グロベルは地下室の鍵を開けるため、魔法でカエルに変えられているカギを探した。
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この日、アリーテ姫の地下室に窓から食事を下ろしたのはアンプルだった。アンプルが姫に声をかけると、姫はゆっくりと顔を上げた。アンプルは自己紹介をしながら、窓に付けられている鉄の棒を壊そうとしていた。

姫はアンプルの行動に目を向けることなく、ゆっくり食事を始めた。

アンプルは鉄の棒をはずすことが出来ず「下の扉はこじ開けられないかい?」と聞いた。姫は「扉には触れたことがありません。あの方が『この扉はもう開かない』とおっしゃったから」と答え、アンプルは驚いた。
アンプルは姫を出すことをいったん諦めて「この村は長いこと水に不自由していたんだ」と話し始めた。
姫はアンプルが運んできてくれた水をごくごく飲みながら『聞かなきゃだめ!』と心の中で自分に言い聞かせた。

アンプル「そこにやって来たのがあの魔法使い。やつは村人たちに『俺の魔法で水を出してやろう。代わりに俺には飯を食わせてくれるだけでいい。』と言ったんだ。これは私のおばあちゃんが娘だったころの話。

そのおばあちゃんも7年前に死んだ。なのにあいつはずっと水を出し続け、私たちの作ったものを食べている。年取ることも死ぬこともなく。

あたしは井戸を掘ってやる。おばあちゃんが死んで、やつの食事の面倒は私が引き継いだ。いずれ産まれてくるかもしれない私の子供には、自分の運命くらい自分で決められるようにしてやりたい。

その昔、このあたり一面は緑の草原だったって、羊なんて星のように飼い放題だったって聞いたことがある。」
姫は食事を終え、アンプルの言葉に返事もせずうつむいたままだった。だが姫の心は『この人と話したい!』と思い、姫は立ち上がった。

 

アンプルの話を聞いていたグロベルはカギのカエルを探しながら「井戸を掘るなんて無理に決まってる。この辺りは水が出ない土地のはずだ。ご主人に言いつけて、お前もカエルに変えてやる!」と言った。
アンプルは「お前もカエルのままだったら幸せでいられたのににね」と言った。グロベルは「うるせえや。なに言ったって水は出ねえんだ!死ぬまで今と同じ暮らしさ!」と言いながらアンプルの元を離れた。
アンプルは姫の方に向き直り「あんたのことはそこから早く出してやれるように考えるよ」と声をかけた。姫は「ここだと何もすることがなくて退屈です」と答えた。
アンプルは「そういう時には、心の中でお話を作って過ごすんだ。物語を頭から順番にひとつずつ。次はどうなるんだろう?って考えるんだ」と答えた。

姫はわくわくすると同時に『考える?せっかく考えることなどしなくて良くなったのに』とも思った。

時はしばらく流れ、指輪で出した刺繍の糸が底をつきてしまった。退屈になった姫はアンプルの言葉を思い出し、心の中で物語を作ってみることにした。
『とても豊かな王国があり、そこには幸せに暮らす王女と王様がいました。しかし、姫が産まれると同時に王女はこの世を去ってしまいました。やがて成長したお姫様は城の棟にこもり清らかなその身を守って、いつか訪れる花婿にふさわしい人を待ち続けているのだ と、人々の口は言うのでした。けれど、お姫様自身は・・・』
ここから先を思い浮かばずつっかえてしまった。しばらくして、自分のお城にいた頃の記憶が思い出され、思いつくまま物語を続けた。
『お姫様自身は、毎日窓から外を眺めながら過ごすのでした。その窓の下には素敵な城下町が広がり、たくさんの屋根の下にはたくさんの人々の暮らしがあり、たくさんの生き方があるのでした。

姫はその窓から見える小さな人影一つ一つの人生に思いをはせるようになりました。それがお姫様にとって、人と繋がる唯一のひとときだったのです。
いつしか、お姫様の心は愛しさとうらやましさに溢れていました。ここから見える全ての人にそれぞれの物語があって、すべての人が主人公。なのに私は・・・』
姫は自分のお城にいた頃の感情を思い出した。「私だって、そのひとりのはず・・・」
同時に、姫の中の魔法にかかった部分が言うのでした。

「こんな話つまらない。もっとドラゴンや魔女が出てこなければ」

”魔女”というフレーズで姫はまた思い出し、姫の口が勝手に動き出した。
『すると魔女は言いました。”おやおや、人生には意味があると、まだ信じてるのかい?”

お姫様は答えて言いました。”当たり前じゃない!”』
この感情を思い出したとき、姫から煙が出てボックスにかけられた魔法が解け、見た目も元に戻った。

姫は扉を開けようとしたり窓に登ろうとしたりしたが、ダメだった。
どこからか水の音が聞こえたので、地面に耳をつけた。水の流れる音が一番聞こえる場所の地面を壊して穴を空けると、部屋の下は用水路だった。姫は用水路に入って光の指す方に進んだ。

だが用水路の出口には鉄格子があり、そこから出ることは出来なかった。姫が様子をうかがっていると、用水路の出口は城の中庭のようだった。

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あらすじ詳細④結

同じころ、ボックスは魔法の本を読み漁り、姫に課す難題を思いついた。グロベルに「まだか!」と声をかけたが返事はなく、ボックスはグロベルを探し始めた。
グロベルはカエルが沢山いる噴水のある中庭でカギのカエルを見付けた。他のカエルたちも、ボックスに魔法でカエルに変えられた何かのようだ。ボックスにを急かされ、グロベルはカエルの捕獲に奮闘した。
グロベルがようやくカエルを捕まえて城に上がって来た時、しびれを切らしたボックスがグロベルに杖を向けた。グロベルは気まずそうに笑いながらボックスにカギのカエルを見せた。ボックスは「遅い!」と言いカエルをカギに戻した。

ボックスが姫を地下室から出そうとしていることを知り、姫は急いで地下室に戻って天蓋の布をはぎとり、刺繍の糸をほどいた。

魔法が解けたことが一目でバレないように、天蓋の布で底上げ靴を作り、絵の赤いインクを唇に塗った。
やがて地下室の鍵を開かれ、ボックスは姫に直接会うのは怖いので食事を下ろす窓から姫に向かって叫んだ。
「聞け!姫に3つの宝探しの難題を与える!貴様の花婿になろうともくろんだ者たちもさせられたことだ。まず一つ目は、ここより北の方角に天へ届かんばかりの岩山が連なる。貴様も空から見たであろう。

その最も高き山に登り、さらにその上にある空を見上げよ。そこには我が一族が魔法の力で作り上げた巨大な金色のワシが今なお飛び続けている。

その目にはまるルビーのカケラを持ち帰れ!それは魔法のルビーだ。それを持ち帰ることが出来れば2つ目の難題を与える。3つの難題全てをクリアすれば、お前は自由だ!」
そう言って声は止んだ。
姫はゆっくり地下室から出て見回したが、どこにもボックスとグロベルはいなかった。

やがて城の外に出たところで、ボックスは城の中から再び姫に叫んだ。
「その指輪にかけて誓え!宝を手に入れるまで決して後戻りはせぬことを!一歩でも道を戻れば、その頭にいかずちが落ちるだろう!いざというときは、指輪の魔法を使え!」
姫は指にはめられた指輪を見つめ「ボックス様の言われた通りに」と言い指輪をこすると、姫の上で雷が鳴った。

ボックスは「さぁ行け、道はお前を自由へ導くであろう!」と威厳のある声で叫んだ。

姫の指輪は3つの願い事を叶え、金色からくすんだ灰色に変わった。姫は歩き出し、ボックスは「これでやつが戻って来ることはない」と満足げに笑った。

姫はお城からある程度離れたところで後戻りしてみた。だが頭に雷は落ちてこなかった。

姫は安心して「これでもう自由よ!魔法使いは魔法をかける相手を間違えた!これでどこへでも行ける!」と笑いながらお姫様の服を脱ぎ、厚底靴代わりにしていた布を放り投げた。姫は崖の上から下に広がる土色一色の土地を見つめて「いっぱいの草原だったのか。それも見てみたいな」とつぶやいた。

アンプルは食事を城に運ぶために家から出たところだった。小道に出たところで姫はアンプルを見付けて走り寄った。アンプルは姫の見た目が変わっていたので誰だかわからなかったが、顔と話す様子をよく見て姫だと気が付いた。

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やがてボックスとグロベルの部屋の奥には食事を用意しているアンプルの姿があった。
ボックスは杖を持ち水晶に「千里眼モード、アリーテ姫の現在位置」と話すと、水晶は姫の姿を映し出した。すると見慣れた景色が水晶に映り、グロベルが「これは、ここですぜ」と言った。
ボックスは水晶が壊れたんだと思い水晶を何度かたたいたが水晶の景色は変わらず、自分たちの食事を用意するアンプルの姿が映されている。ボックスたちはその女性をアンプルだと思い込んで疑わなかったが、ここにいたのはアンプルに変装したアリーテ姫だった。
ボックスの焦る様子を見たグロベルは「こんなの魔法で直せないんですか?あれだけ偉大な魔法使いだって言ってたのに。じゃあほんとは、ほんとは・・・」と後ずさり、ボックスはグロベルをにらみつけた。
姫は2人が争っている隙に魔法の本をこっそりふところにしまった。
ボックスは「うるさい!」と言いグロベルに杖を向けると、グロベルはカエルに戻った。ボックスは杖を机の上に放り投げ、椅子に座ってうつむいた。

本を取り戻したアリーテ姫は部屋から出て、城の出口付近で急いで本を開いて役に立ちそうな魔法がないか見ていると、あるページが目に留まった。
水蛇の小石 この石を器に入れ水を満たせば、そのあといくらこぼしても水は減らず、常に器は水で満ちるであろう”
姫は中庭にやってきて、噴水のてっぺんに水が出ている壺が置かれているのを見付けた。姫は壺の中から小石を取り出し、それが水蛇の小石であるのを確認した。

 

ボックスは唯一の話し相手を失ったことに落ち込み、アンプルがまだいることを思い出して、杖を持ちアンプルを探した。

姫は急いで変装用に持ってきた鍋や容器をボックスの部屋に取りに戻り、中庭に戻って鍋の中に水を入れた。そして姫が乗ってきた壊れた飛行船のある場所へ行った。

城からはボックスがアンプルを呼ぶ声が響いている。
姫は鍋の水の中に小石を入れて鍋を倒し、飛行船の中に水を入れながら「もうこれ動かないのかな?」とつぶやいた。

すると船の先端のわっかがぼんやりと光り、音を出し始めた。姫が船の中をよく見ると、船の内側に張り巡らされた回路のようなものが光っていた。
姫が良く見ると、回路が途中で切れているのがわかった。姫はつけていた指輪を回路の切れている部分に付けた。すると回路はつながり、船の帆の先端が持ち上がった。
だが船は水の重みでやがて壊れてしまい、船の本体が倒れて中から水があふれた。

 

ボックスはアンプルを探して城を出て、村に近づいていた。ボックスの姿を見た村人は急いで家の中に逃げ込んだ。

ボックスは大声でアンプルを呼ぶと、アンプルは少し離れた場所におり「お前、あの子に何をした!お前みたいなやつの面倒を見るのはもうごめんだ!」と返し、井戸を掘り当てようとしていたスコップを地面にさした。
アンプルは「そんなに食べたきゃ、自分の魔法で食べ物を出すがいい!本当は出来ないんだろ!」と言った。

ボックスは舌打ちして村人たちに言った。
「誰でもいいから俺に食事を運んで俺を生かせ!さもないと水を止めるぞ!」
だが村人は「もうとっくに水は出てないんだが・・・」と言い、ボックスが水路を見ると、水は止まっていた。

アリーテ姫は船から水を出して城の中を水で満たし、城に穴を空けようとしていた。
ボックスは水が止まった原因を探すために城に戻ろうとしていたが、城の壁にアリーテ姫がいるのを見付けて驚き、全て彼女の仕業だと悟った。

アリーテ姫が近づいてくるのを見て、ボックスは後ずさりしながら「小石を盗んで仕返ししようって魂胆か。しかしあんなものは他愛もないものだ。魔法の内にも入らん。小石を返せ!」と手を出した。
アリーテ姫は「他愛もないものなら、また自分で作ればいい。なぜそうしないの?あなたたちの魔法って、技術はとっても進んでいるけど、世界中にいる職人たちと同じ、人の手で作った道具のことなんでしょ?」とボックスに詰め寄った。

ボックス「そうさ!しょせん他の誰かが作った魔法の道具を使い続けるだけなのだ、俺は。仕方ないんだ。俺が大した魔法を習わないうちに世界がひっくり返っちまったんだ。俺たちの大陸が海に沈んだとき、俺はまだ・・・」

ボックスは水晶を自分のひたいに当てると、ボックスは賢そうな老人から少年の姿に変わった。

ボックス「おれはまだ、こんな子どもに過ぎなかったんだ!」
姫「だったらしょうがないじゃない!それだけのことを認められずに、あなたは周りに八つ当たりばっかり!」
ボックス「うるさい!俺が自分の手でできるのは、なにかを役に立たないものに変えることだけだ!それが俺が身に着けた、最初で最後の魔法なんだ!だがこれで何が出来るか見るがいい!」

ボックスは城に杖を向けた。
最もくだらないものになるがいい!」

すると城が音を立てて煙をあげ、城は巨大なボックスの銅像に変わり、ボックスは泣きそうになった。

姫「なんでそんなに自分のことを貶めるの?」
ボックスは「うるさい!何もかも踏みつぶしてしまえ!」と叫んだ。銅像は動き始めたが、すぐに動きを止めて口から煙が出た。

やがて銅像の足元から水が噴き出し、銅像が壊れて中から大量の水が出て来た。ボックスは水から逃げようとして転び、水晶を失くしてしまった。

やがて大量の水は枯れた大地に行きわたり、一面が水に覆われた。

アリーテ姫は高い場所から水に覆われた大地を見つめた。アンプルが姫の隣に来て「あんた、やったじゃないか」と言った。姫はアンプルに抱き着いた。

数か月後、土地には村人たちの手で水路が作られ、水のおかげで一面に草が青々と茂った。ボックスはまだ水晶を探していた。アンプルはボックスに声をかけた。
アンプル「水晶を見付けてどうするんだい?村人たちを全員カエルに変えるのか?」
ボックス「うるせえ。俺は生涯をかけて水晶を探す」
アンプル「永遠の命を持ってた魔法使いなんて、もうみんな滅んだんだよ」
ボックス「まだ俺が滅びてはいない。俺は俺の魔法を・・・」
ボックスはアンプルの後ろに誰かを見付け、動きが止まった。アンプルが振り返ると、ヤギを連れたアリーテ姫が居た。ボックスは後ずさった。
アリーテ姫「もっと別の魔法だってあるのに。やってみる? 目を閉じて、思い浮かべてみて。一番行きたいと願う場所を」

ボックスは渋々目をつぶった。

ボックス「俺の願う場所は、一番楽しかった場所だ。一度だけ海辺を訪れたことがある」
アリーテ姫「私まだ海を見たことがない」
ボックス「そうだな、果てしなく広く、水は塩辛く、温かく、常に波が打ち寄せている。俺は子どもの頃に海に来て、波をよけて走り、とても身体が軽かった。そうだ、母もいた。」

ボックスは母の笑顔を思い出してよく見ようと目を開けたが、そこは元の、水晶を探していた場所だった。

アリーテ姫「海辺に立ってた?その思いを未来に向けることだって出来る」

ボックスはその時、海に来たのは星へ飛び立つ船を見送るためだったこと、いつか自分もあの船に乗って星へ旅したいと子どもの頃に思ったことを思い出した。

アリーテ姫「同じ魔法はあなただけでなく、すべての人に備わっているということを忘れないで」

姫はそう言ってボックスに背を向けた。

アンプル「いつでも帰って来るんだよ!ここはもうあんたの村だ!」
ボックス「あいつはどこへ?」
アンプル「金色のワシの所へ行くらしい」
ボックス「なぜだ?私が課した難題を解くためにか?魔法の宝を手に入れるためにか?」
アンプル「・・・まさかね?」

アリーテ姫はボックスが言っていた岩山の頂上にたどり着いた。姫が当たりを見渡すと、金色のワシは本当にいた。姫は誰が何のために作ったのか考えたが、わからなかった。だがそのワシが飛ぶ姿はとても美しく、姫は笑顔になった。
姫は山から下りて港町にたどり着いた。アリーテ姫はこうして旅をしながら生きていくことを決意した。
ボックスは水晶を探す手を止めて自分の両手を見つめ、姫が言っていたことの意味を考えて立ち尽くした。

主題歌:大貫妙子『金色の翼』

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