「メメント」ネタバレ解説|時系列整理、それぞれの目的、電話の相手など考察! | 映画の解説考察ブログ - Part 2

「メメント」ネタバレ解説|時系列整理、それぞれの目的、電話の相手など考察!

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サスペンス

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時系列順のあらすじ(後半)

Watch Christopher Nolan Break Down The Complex Narrative Structure of  MEMENTO — GeekTyrant
(引用:https://geektyrant.com

テディの車のナンバー『SG137IU』を犯人の車のナンバーと思い込み、タトゥーを彫る。
タトゥー施術中、テディが店内に入ってきて「人目につく場所に車を止めるな!」と言われる。

レナードは殺したジミーの車に乗っていたので、テディは不用心だという意味で注意するが、レナードには記憶がないので意味が分からなかった。

テディは「悪い刑事が君を追っている。車も服も名前も変えて逃げろ。その刑事は麻薬取引を調べていて、君は巻き込まれた。見つかったら殺されるから、着替えてから逃げろ」と言う。

レナードは従おうとしたが、テディの写真に「奴のウソを信じるな」と書いてあったので着替えるのをやめた。
スーツのポケットにファーディーズバーのコースターと、焼かれて丸まった写真があったが、写真はゴミだと思って捨てた。

テディに見つからないように窓から外に出て車に乗り、ファーディーズバーへ。
バーの駐車場に入るとすぐにナタリー(バーの女店主、キャリー=アン・モス)が近づいてくるが、レナードが運転していたので驚き「人違いだったわ」と謝る。

・スーツのポケットに入っていたコースターはジミーの持ち物だったが、レナードは服を奪ったことを忘れているので自分宛てだと勘違いした。
・ポケットに入っていた焼けた写真はジミーの死体とレナードの笑顔写真だったが、レナードは焼いたことを忘れていた&思い出してはいけない気がして捨てた。
・車でバーに着いた直後、ナタリーが話しかけたのはジミーの車だったから。
ジミーだと思って話しかけたら運転していたのはレナードだったので動揺し、とりあえず謝った。

ファーディーズ・バーのコースターの裏に『あとで来て ナタリー』と書いてあったのでバーに入る。
ナタリーに「なぜその格好で来たの?」と聞かれるが意味わからず。
レナードの様子を見て、ナタリーは「『何でもすぐに忘れる男』をジミーと警察が探してたと聞いたけど、あなたね」と言う。

何故来たのか聞かれてレナードがコースターを見せると、ナタリーは顔をしかめた。
ナタリーはレナードの記憶障害が本当か確かめるため、近くにいたおじさん、ナタリー、レナードのツバ入りビールをかきまぜた。

・ナタリーが「なぜその格好で来たの?」と聞いたのは、レナードがジミーの服(ベージュのスーツ)を着ているから。
レナードはジミーを殺したことも服を奪ったことも覚えてないし、ナタリーがジミーの恋人である事も知らなかった。(テディから聞かされたかもしれないが、少なくともメモには残していなかった)
・レナードが出したコースターを見てナタリーが顔をしかめたのも、元は彼女がジミーに渡したメモだったから。

ナタリーに出されたビールを飲むと、カウンターに座っていたおじさんが笑った。
ナタリーは「これは汚いから変える」と言い、ビールを取り換えた。

ナタリーが出したビールはおじさんとナタリーとレナードの唾入りビールだったが、レナードは忘れてビールを飲んだのでおじさんは笑った。
ナタリーはレナードの記憶障害が本物と確信。

ナタリーの家に行き、妻が殺された事件について話す。
レナードは「逃げたもう一人の強盗を探しているが、その人物は証拠隠滅してから逃げたので、警察は「犯人は最初から1人だった」と断定して捜査を終わらせた」と語る。
ナタリーは「私は仕事に戻るけど、この家に居てもいい」と言って出ていった。
レナードはナタリーの写真を撮った。

約10分後。ナタリーが部屋に戻ってきて「ドッド(マフィアの男)が私を探してる。ジミーの金を私が盗ったと勘違いしてる。」と焦った様子で話しながら、部屋にあるペンを全部バッグにしまった。
ナタリーはレナードを罵り続け、怒ったレナードが殴ると満足そうにまた出ていった。
レナードはナタリーの人間性を疑い、ナタリーは信用するなとメモに残そうと慌ててペンを探すが、見つからない。

・ドッドはジミーの取引相手、もしくは仕事仲間。
ジミーが大金を持ったまま消えたので、探すためにナタリーに接触しようとしている。
・ナタリーが部屋にあるペンを全てバッグにしまったのは、レナードにメモさせないようにする(忘れさせる)ため。
・ナタリーがレナードを罵ったのは、レナードが手を上げるよう仕向けていた。

約10分後。ペンを探している内に忘れてしまい、同時にナタリーが戻ってきた。
ナタリーが顔を怪我していたのでレナードが心配すると、ナタリーは「ドッドに殴られた。あなたが『ドッドにテディのことを知らせに行け』と言うから、会いに行ったらやられた。
『明日までに麻薬と金を持ってこないと殺す』と言われた」と訴える。

レナードは「俺がドッドと話す。どんな奴か書け」と言い紙を渡した。
ナタリーは「向こうがあなたを見つけるはず。怖くてあなたの車を教えてしまったから」と言いながらドッドの特徴を紙に書いた。
レナードは自分の手に何かを殴った跡や感触があるのに気づくが、理由を思い出せなかった。

・補足の必要ないかもですが、ナタリーの顔の怪我はレナードが殴った跡。
ナタリーは実際にはドッドと会っておらず、家の外で待機してレナードが記憶を失くした頃に戻ってきてウソをついていた。
・ナタリーが「向こうがあなたを見付ける」と言ったのは、レナードがジミーの車を使っているから。

ナタリーの家から出て車に乗ると、助手席にテディがいて驚く。
テディは「あの女は信用できん。ナタリーの彼氏は麻薬の売人(ジミー)で、ナタリーは連絡係だ。彼女はお前のスーツも車も見た(元はジミーのスーツと車)。君を身代わりにするつもりだ。『ナタリーを信用するな』とメモしろ」と言う。
レナードには意味がわからなかったが、テディが真剣なので言われた通りメモした。
テディが去った後、テディの写真に「こいつのウソを信じるな」と書かれていたので「ナタリーを信用するな」のメモを消した。

車の中にいる。コースターの裏に『ディスカウント・イン』と書かれていたのでそこへ行き、ディスカウント・インの看板の写真を撮る。

部屋に入って壁に地図を貼り、電話帳を出してコールガールを呼ぶ。
コールガールに妻の遺品を渡し「これを適当に部屋に広げてほしい。俺が寝たらトイレに行って、俺が起きる位大きな音を立ててドアを閉めてくれ」と指示。

ベッドで目が覚める。妻がトイレに行ったと思い、ドアを開けたらトイレにコールガールが座って麻薬を吸っていた。
コールガールに帰ってもらい、妻の遺品を入れた紙袋を持って車に乗る。

人気のない場所で妻の形見(本、目覚まし時計、クシ、くまのぬいぐるみ)を焼く。

車を運転していたら白人の男に合図されて近場の駐車場に車を止める。
男が「この車をどこで手に入れた?」と聞いてくるが、レナードには質問の意味が分からず、ガラの悪い男だったので隙をみて逃げる。

レナードはまだ知らないが、この男がドッド。
ドッドはジミーの麻薬と金とジミー本人を探している。
ジミーの車を見つけて追いかけてみたら、運転していたのがレナードだったので「この車をどこで手に入れた?」と訊ねた。
レナードはジミーを殺して服も車も奪ったことは忘却の彼方なので、意味が分からず逃げた。

駐車場を全力で走っている間に記憶が飛ぶ。
男に追われていることに気付き、車に乗って逃げる。
ポケットの中に「ドッド 白人 五番通りのクレスト・イン6号室」のメモ(ナタリーが書いたもの)を見て、この男がドッドだと推測。
待ち伏せしようとクレスト・イン6号室に侵入し、トイレで酒瓶(武器)を持ってドッドを待つ。

酒瓶を持ってトイレに座っている間に記憶が飛ぶ。
なぜ酒瓶を持っているかわからなくなり、自分の部屋と勘違いしてシャワーを浴びる。
ドッドが戻ってきてもみ合いになり、気絶させてガムテープで縛りクローゼットに入れて写真を撮る。
ポケットに「ナタリーのためにドッドを消せ テディに連絡しろ」と自筆のメモがあったので、テディに連絡して到着を待つ。

モーテルの部屋のベッドで居眠りしたら記憶飛ぶ。
クローゼットに縛られた男(ドッド)が入っていて、理由がわからず慌てているとテディが到着。
テーブルの上にドッドの写真があり「消せ 詳細はナタリーに聞け」と自筆のメモがあった。
ドッドはとりあえず脅して町から追い出して、ナタリーに事情を聞きに行く。

ナタリーの家に行き、ドッドについて説明を求める。
ナタリーは「あなたが私のためにドッドを殺すと約束してくれた」と答え、レナードは多少疑問を感じたが、一応納得した。
その後、ナタリーも恋人のジミーを亡くしたばかりで悲しみにくれていることを知る。
「ジミーはテディという男と会いに行って帰ってこなかった」とナタリーは語る。
ナタリーの写真に「彼女も恋人を亡くし憐れみで協力を」と書き込んだ。
そのままナタリーの家に泊まる。

ナタリーの寝室で目覚める。
また会う約束をして、別れ際、ナタリーはレナードにキスをした。

ナタリーの家から出た直後にテディが現れてランチする。
テディは「君はハメられて全く関係ない男を殺すかもしれないから用心しろ」と助言した。
宿泊しているモーテルの部屋の鍵が無いので店主バートに聞いたところ、レナードが忘れるのを良いことに2部屋借りさせられていた(2部屋分の料金を取られていた)ことを知る。

ナタリーと約束した午後1時が近いことに気付き、待ち合わせ場所のレストランへ向かう。

テディの言う『全く関係ない男』はドッドのような『ジミーを探している者』のこと。
テディはレナードがナタリーに利用されていることを仄めかして警告しているが、レナードはテディを信じない。

13時 レストランに到着。
持っていたナタリーの写真に「彼女も恋人を亡くし憐れみで協力を」と書かれていたので彼女を信じる。
ナタリーは、レナードが探している『SG137IU』の車の持ち主の免許証、車検証のコピー、殺すのに最適な廃墟の住所と、昨夜レナードがナタリーの家に置き忘れたモーテルの部屋の鍵を渡した。
レストランのトイレに入る。

トイレで記憶飛ぶ。トイレから出ると、ウェイターに封筒とディスカウント・インの写真と部屋の鍵を渡された。

ディスカウント・インに到着。
部屋の壁に貼った自作の地図にディスカウント・イン、ナタリー、自分の車(元はジミーの車)、テディの写真を貼り付ける。
封筒には「レナードへ ナタリーより」と書いてあり、中身はテディの免許証のコピーだった。
免許証の有効期限は「01-02-29(2001年2月29日=存在しない日付)」だったが、レナードは気付かない。
資料を見て、レナードはテディが妻殺しの犯人と確信する。
テディに電話してモーテルに呼び出す。

服を着替えて、テディの写真に「奴が犯人だ 殺せ」と書き込む。

受付でバートに「テディ以外からの電話を繋ぐな」と指示した直後にテディが来る。

廃墟へ連れて行ってテディを殺す。




解説・考察、感想など

ここからは本作を観て沸いた疑問について考えていきます。
この記事を読んでくださった方が探している内容があれば嬉しいです。

レナードの正体は

メメント
©2000 I REMEMBER PRODUCTIONS,LLC

レナードは表向き(?)は妻を殺した男に復讐しようという、いかにもクライム映画の主人公らしい目的を持つ人物ですが、実際のところは記憶障害に翻弄され、記憶がリセットされる度に湧き上がる負の感情に囚われた連続殺人犯でした。

レナードは「探偵ごっこ」を続けるために資料をわざと一部抜き取ったり、ジョン・Gを殺した証拠写真(復讐を果たした証)を破棄したりして記憶が消えるのを待ち、再びジョン・Gを探すことを繰り返していました。

胸に「I’ve done it.」のタトゥーと、そのタトゥーを撫でる妻がレナードの脳裏に浮かぶシーンが登場することから、レナードは心の底(無意識)では復讐が終わっていることを知っています。
それでもレナードが探偵ごっこを続ける理由は、復讐を終えた先の未来が、医療施設で虚しく余生を過ごすことになるとわかっているからなのでしょう。
妻の死を覚えていないサミーの方がレナードよりマシかもしれません。

施設に閉じ込められているよりは、たとえ偽りでも10分置きにこみ上げる悲しい記憶に対抗できる明確な目的を持って行動している方が精神的にも救われます。

 

レナードとサミー

Breaking Down The Twist: 'Memento' - mxdwn Movies
(引用:https://movies.mxdwn.com

レナードがタトゥーに刻んでいたサミーについてです。
おさらいですが、サミーはレナードが保険調査員をしていた頃のお客さんで、交通事故の怪我の後遺症で前向性健忘を患い、記憶が2~3分しか保てなくなった男性です。
医師による診断の結果、サミーは本当に病気だが、原因は怪我でなく精神的なものであることが判明しました。

サミーの症状が回復する希望を捨てきれなかった妻は、悩んだ末に自らを犠牲にしてサミーを試しました。
糖尿病を患っていた妻は毎日決まった時間にインシュリンの注射を打つのが日課で、注射を打つのはサミーの役目でした。
妻はサミーが忘れるのを見計らって数分置きにインシュリン注射を何度も打たせて、サミーが注射を打ったばかりだと思い出してくれるのを待ったのです。
妻の願いも虚しくサミーが注射したばかりだと思い出すことはなく、妻が頼めば何度でも注射を打ちました。
結果、妻はインシュリンの過剰投与で亡くなりました。
サミーはその後、施設に入れられて妻が死んだことも忘れて過ごしています。

以上がレナードが話すサミーの話の概要です。

しかしテディの話によると、サミーは一応実在の人物ですが、実際にはサミーの症状は演技だったことが判明して保険金の許可が出なかった客でした。
しかもサミーは独身で、糖尿病だったのはレナードの妻であり、しかもレナードの妻は強盗事件の時には死なず、妻を殺したのはレナード本人だったとさえ言っています。

テディの話が真実という前提で考えると、サミーはレナードの分身であり『レナードの葬りたい過去』を背負わせた存在だと解釈できます。
レナードの記憶のフラッシュバックに妻に注射するシーンが登場したのは、テディが語る『サミーの話』がレナードの本当の過去だという証拠なのかもしれません。

そうなると、レナードの身に置きた真実は以下のようになる可能性が高いです。

強盗事件で妻は強姦され、レナードは暴行を受けるが2人とも生き残った。
その後、レナードは前向性健忘を患ってしまい10分以上記憶が保てなくなる。
妻はレナードを看病し続けるも、次第に限界が来る。
妻は死を覚悟でレナードにインシュリンの注射を10分置きに打たせて、レナードが記憶を取り戻してくれることを願ったが、レナードは気付かず、妻はインシュリンの過剰摂取で死んでしまう。
妻の死亡後、レナードは一人暮らしは危険と判断されて施設に入れられた。

この真実が受け入れられないレナードは無意識のうちに自分に起きた出来事をサミーに置き換えて記憶を捏造し、強盗犯への復讐を生きがいにするという選択をしたのでしょう。
簡単に言うと現実逃避です。
レナードは妻が死んだ後、記憶障害に加えて精神障害も発症してしまったのかもしれません。

では本作に登場したレナードは、施設から脱走したか、レナードが施設の中で暮らしつつ脳内で繰り広げている妄想ということになります。
そうなると、現実か妄想かを判断する手がかりとして『テディの免許証の日付』が登場します。


(引用:https://www.reddit.com

ナタリーが用意したテディの免許証の有効期限は存在しない日付(2001年はうるう年ではない)でした。

この書類はナタリーが作らせた偽造書類か?とも考えたんですが、ちゃんとテディの顔写真もありますし作るの難しいですよね。。
そうなると、この物語はまるっきりレナードが作り出した妄想である可能性が高くなってきます。

すべて夢なら、多少の矛盾は『夢だから』で片付いてしまいます。
リアリティを追及すればそもそもの設定に若干無理があるというか、10分間しか記憶が保てないなら、そのほとんどは現状の把握や入れ墨の確認に使われてしまい、把握できた頃にまた忘れて振り出しに戻ってしまったり、10分以上経ったのに自分の車を覚えている点など、細かい所で弊害が沢山出てきます。
レナードが事件よりも前のことを覚えているなら、注射のやり方は覚えていて妻の糖尿病は忘れているというのも変ですよね。
なんなら『注射』と『妻が糖尿病』はセットで覚えていて良いはずですし。

駐車場所や部屋番号、入れ墨の内容など細かい事も全て忘れていちいち立ち止まっていたら話が進まないので、そこはしれっと進めてしまって、細かい矛盾は『夢だから』で済ませようとする制作側の『逃げ場』としての日付設定だったような気もします。

すべてが妄想だとすると、テディやナタリーも(全部なんですが)レナードの分身ということになります。

だとすると、テディはレナードが『現実と向き合いたい』という思いを反映した存在で、ナタリーは『復讐心』や『憎しみ』を象徴する存在に置き換えられます。
本作は、レナードが抱える葛藤を夢妄想という舞台を通して表現したものだったのかもしれません。

次のページに続きます!

次はテディを殺した理由、テディの目的、遺品を焼く理由、タトゥーの意味、電話の相手、ナタリーの目的などについてです。




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