最上について
己の正義のために犯罪者になってしまった最上について整理します。
最上が犯した罪とは
最上が考えた都合の良いストーリーは以下です。
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情報を買って一攫千金を夢見たが、トップクラスの万馬券情報は100万円だった
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都筑に新たに借金を頼むが断られる
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犯行当日、松倉は包丁を持って都筑宅へ行き、土下座してもう一度「金を貸して欲しい」と頼み、「貸してもらえないなら切腹する」と言って包丁を見せた。
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それでも断られ、カッとなって包丁で都筑夫をめった刺し
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倉庫に居た都筑妻も殺した
ついでに、「松倉は都筑夫妻宅にあったもう一枚の借用書を犯行後に抜きとっていた」と最上が語りますが、これは恐らく作り話です。
最上は松倉を犯人に仕立てるため、松倉自宅の家宅捜索に同行して、松倉の競馬新聞と歯ブラシを盗みました。
その後、弓岡が自宅に置いたままにしていた凶器のナイフを回収し、真犯人の弓岡まで殺してしまいました。
その後、ナイフに松倉のDNAを付けて競馬新聞で包んで証拠を捏造しました。
そして、周囲に松倉を犯人に仕立て上げるためのストーリーを作り上げたことです。
最上が料亭で会っていた2人は誰?
最上が高級料亭で男2人と食事してトマト料理らしきものを食べていました。
あの2人は最上と同じ大学の法学部だった友人なのでしょう。
外見年齢が最上と2人とでかなり違って見えました(キムタクがかなり若く見えた)が、最上がため口だった点、丹野の話題が出ていたことからそう判断しました。
最上は高級料亭やレストランで優雅に会食する一方、沖野は大衆居酒屋に立ち飲み屋だった所に、2人の所得の差ももちろんですが、沖野の『若さ』の強調が上手く描かれていたように感じられました。(SMグッズに慌てふためく様子も含めて)
最上が千鳥に呼ばれた訳は?
(引用:https://ameblo.jp)
弓岡が捜査線上に上がったすぐ後、最上は都筑夫妻の息子でヤクザの千鳥(音尾琢真)に呼ばれてボーリング場に行きます。
千鳥は弓岡が居酒屋で夫婦を殺したと喋っていたことも、最上が松倉に固執していることも知っていて、「弓岡を野放しにする気なら俺らがやるからな」と警告していました。
千鳥は弓岡が犯人だと確信していたので、最上に「弓岡を逮捕しないなら、ヤクザのやり方で弓岡に制裁を加える」という意味だったのでしょうが、最上は「弓岡にはまだ触るな」と答えます。
恐らく最上もこの時既に弓岡が濃厚と判断していて、殺害状況を聞いたり凶器を回収したりするために、千鳥に介入されるのが嫌だったのでしょう。
どうせ千鳥に処理してもらえるなら弓岡は千鳥に任せれば良いのに、と少し思ってしまいましたが、恐らく最上は単純にヤクザと繋がりを持ったり弱みを握られるのが嫌だったんでしょうね。
引くな引くな引くな?
最上が松倉の再逮捕の許可を取りに検察庁に行った際、隣の席で上司と口論していた女性検事(黒澤はるか)の会話を漏れ聞いた最上は『引くな引くな引くな!』と女性検事に激励を送っていました。
最上が彼女に声援を送ったのは、彼女が担当していた強姦事件の犯人が高島グループの一員だったからです。
最上の会話と女性検事の会話が重なるので聞き取るのが大変でした(1回じゃ無理でした)。
何度か聞きなおした情報によると、とある女性ジャーナリストが強姦被害に遭い、被害届を出したようなんですが、そのジャーナリストを強姦したのは『高島グループのブレーン』と言っていました。
つまり強姦の加害者は高島進だったと思われます。
会話内容から、女性検事は「強姦の証拠を期日までに準備するのが難しいけど、なんとしても証拠は手に入れるから起訴させてほしい」と訴えていて、上司は「期限以内に証拠が準備できないなら無理」と却下しようとしていました。
このシーン、東京地検で最上と脇坂が話す場所がエントランスみたいなオープンな場所だったのが気になりました。というかかなり疑問でした。
刑事事件の捜査内容について話すなら、少なくとも第三者に聞かれにくい場所じゃないといけない気がしたので。
最上が弓岡を殺した理由
弓岡は放っておけば千鳥に捕まってしまう未来が待っていました。
最上は自分の計画のために浮いてしまう弓岡が、千鳥に拷問の末に殺されるのを「妥当ではない」と考えたのではないでしょうか。
かと言って、クズで信用出来ない弓岡を自腹を切って匿っておく善意も最上は持ち合わせていませんでした。
生かしておくといつ逃げるかわかりませんし、松倉の冤罪をネタに一生脅され続けるかもしれません。
なので、弓岡を一思いに殺してしまうのが最上にとって一番合理的な方法だったのでしょう。
ラストの別荘で最上が持ったのは何?
ラストで最上が持っていたのはハーモニカです。
映画ではラストにしか登場しませんが、原作小説では、このハーモニカは由季が大事にしていた物だそうです。わかりにくいですね。
純粋に由季を忍んでいたと同時に、最上が松倉に冤罪を着せようとしたことを全く後悔していないことが強調されていたように感じました。
振り返ってみると、最上は由季の無念を晴らすために松倉に執着し、次は親友の丹野の無念を晴らすために高島グループに立ち向かうし、お気に入りの場所は祖父の別荘ですし、なんか死者に囲まれているような佇まいですね。
なんというか、無念を晴らすことが生きがいになっていて、死者にしか心を開けず、今生きている家族との関係(特に妻)をおろそかにしてしまっているのが寂しく思えました。
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パート2に続きます。
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