「BAD LANDS バッド・ランズ」解説考察|ネリのその後を予想、高城の正体と経歴、原作小説との違いなど | 映画の解説考察ブログ

「BAD LANDS バッド・ランズ」解説考察|ネリのその後を予想、高城の正体と経歴、原作小説との違いなど

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バッドランズ クライムドラマ
©2023『BAD LANDS バッド・ランズ』製作委員会

映画「BAD LANDS バッド・ランズ」のあらすじ紹介、解説考察を書いてます!
考察内容は「高城の正体と過去振り返り」「胡屋とネリの関係」「曼荼羅とネリ、高城の関係」「ラストのその後考察」「原作小説との違い」などについて書いています。

鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ見ていない方はネタバレにご注意ください。

バッドランズ

制作年:2023年
本編時間:143分
制作国:日本
監督・脚本:原田眞人
原作小説:「勁草」黒川博行 著

キャスト紹介

橋岡 煉梨(ネリ)…安藤サクラ
大阪に拠点を置く詐欺師 高城の下でオレオレ詐欺の受け子の指示役、闇ルートで使われる名簿作りなどをこなす半グレ女。
数年前まで東京の投資家の秘書をしていたが、訳あって大阪に逃げてきて現在に至る。
※安藤サクラの他出演作…映画「万引き家族」、映画「百円の恋」など

矢代 穣(ジョー)…山田涼介
ネリと血の繋がらない弟。
刑務所上がりで金に困り、ネリを頼って高城と仕事を紹介してもらう。
違法賭博で失敗し、ヤクザから250万円借金してしまう。
※山田涼介の他出演作…映画「鋼の錬金術師」シリーズ、ドラマ「金田一少年の事件簿」シリーズ など

高城 政司生瀬勝久
ネリとジョーの上司でありオレオレ詐欺組織を仕切る男。
かつては病院の理事長として病院ぐるみで入院患者の生活保護費と医療費扶助の不正受給事件を起こして世間を騒がせた。
現在は名簿屋の仕事もしながらオレ詐欺の運営管理もこなしている。
※生瀬勝久の他出演作…ドラマ、映画「トリック」シリーズ、ドラマ「警部補 矢部謙三」シリーズ など

曼荼羅(ふれあい荘住人)…宇崎竜童
佐竹刑事…吉原光夫
宇佐美教授(ふれあい荘住人、オレ詐欺受け子)…大場泰正
林田(ヤクザ)…サリngROCK
林田の部下…山田蟲男
胡屋賢人(ネリの元恋人、有名投資家)…淵上泰史
胡屋の部下…縄田かのん
新井(道具屋)…天童よしみ
日野(佐竹の上司)…江口のりこ
ヒトシ(ジョーの仲間)…前田航基
「BAD LANDS」の店主…鴨鈴女
湯川刑事…山村憲之介
徳田(ヤクザ)…伊藤公一
アロハの男…岡田准一 ほか

 

あらすじ紹介

主人公のネリ(安藤サクラ)は、大阪で犯罪組織の一員として生活しています。
ネリの仕事は上司の高城政司(生瀬勝久)という男の指示でオレオレ詐欺の受け子リーダー、犯罪に使われる名簿作成など指示されれば何でもします。

ある日、刑務所に入っていたネリの弟ジョー(山田涼介)が出所しました。
ネリとジョーは姉弟同然に育った間柄ですが、ジョーはネリの母親の元夫の連れ子なので、2人の血は繋がっていません。
数年ぶりにジョーと再会したネリはジョーを高城に紹介し、名簿関係の仕事を一緒にするようになりました。

そんなある日、ジョーがヤクザ主催の違法賭博に行きたいと言いだし、ネリも監視役としてついて行きますが、ネリが急な用事でジョーから目を離した数時間のうちに、ジョーは賭博で大負けしてヤクザから250万円の借金を作ってしまいます。

ネリが深夜に高城のいる事務所に戻ると、ジョーは仲間のヒトシ(前田航基)と一緒に高城を銃で脅して恐喝している最中でした。
怒った高城がナイフを取り出してジョーともみ合いになり、ネリは止めに入ったつもりが気づいたら高城を刺してジョーを助けていました。

ジョーは極度の興奮状態で高城を撃ち殺し、ヒトシも口封じで殺してしまいます。
ネリとジョーは2人の死体を山奥に埋めた後、高城の資産を調べると銀行口座や株などで合計2億円以上貯め込んでいたことがわかりました。

そうこうする内に、ネリとジョーは高城と連絡が取れなくなったケツ持ちのヤクザ「亥誠組」と、オレ詐欺組織の摘発を狙う警察の両方から追われることになります。




解説・考察・感想など

予備知識:オレオレ詐欺組織の構成

バッドランズ

オレオレ詐欺組織の構成をわかった上でないと話の流れがわかりにくいかもしれないのでこちらにまとめます。

オレオレ詐欺グループの主犯格は映画では「金主」と呼ばれ、ネリのグループの金主は高城(生瀬勝久)でした。
金主の仕事は基本的には初期投資と金の管理です。
金主は足のつかないスマホや車、場所の用意、カモとなる老人の電話番号が載っている裏名簿など、必要な物を買い揃えて部下に渡します。

実際に詐欺行為をはたらく実行犯は「掛け子」「受け子」などと呼ばれる下部グループです。
掛け子は裏名簿に載っている老人に電話をかけて老人を騙す役目、受け子は騙された老人が用意した金を受け取る役目です。
映画ではネリは受け子のリーダー、高城のスマホに連絡していたヒラオカ(本名:小沼)が掛け子のリーダーです。

高城のオレ詐欺は「劇場型」と呼ばれる手法で、ターゲットの息子を名乗る人物以外にも会社の上司や弁護士など複数の関係者が登場し、複雑なシナリオでターゲットを騙します。

掛け子の指示役の仕事は実際に電話を掛ける部下のサポートや演技指導、受け子の指示役の仕事は警察がいないかチェックしたり、金を受け取るタイミングを部下に指示するなどです。

指示役は実行犯でも金主(主犯格)でもないので、もし逮捕されたとしても大した罪にならないとネリは言っていましたが、実際どうなのかは不明です。

また、道具屋は直接オレ詐欺運営には関わりませんが、違法ルートで手に入れた足のつかないスマホなどの小道具を調達して金主に売ります。
映画では道具屋兼サブリーダーが新井(天童よしみ)でした。

高城がネリとジョーに作らせていた「名簿」は、特定の地域に住む高齢者をピックアップし、老人の財産や騙しやすいかどうかなど「カモとしてのランク付け」がされた一覧表です。
ネリやジョーが会社員に成りすまして老人の家を訪問したのは名簿を作りのためであり、その家に住む高齢者の総資産や家族構成、騙されやすい性格かどうかを査定していました。

 

警察の動向振り返り

警察が高城とネリを追いかける経緯は映画ではかなり省略されていて、流れが掴みにくかった方もいると思うので振り返ります。

冒頭でネリはターゲットである赤いバッグの女から金を受け取ろうとしますが、警察がいることに気づいて金の受け取りを中止しました。
この赤いバッグの女はオレ詐欺に騙されかけていましたが、金の渡す前に騙されていると気づいて警察に相談していました。

この赤いバッグの女の担当になった佐竹刑事たちは、女性に騙されているフリを続けてもらい、金の受け渡し直後に受け子を現行犯逮捕しようとしていましたが、ネリは警察に気づいて逮捕を免れました。

佐竹たちは受け渡しの際に赤いバッグの女の近くにいた怪しい人物を割り出して、先日起きた別件のオレ詐欺現場にもネリがいたことから、ネリを「受け子グループの指示役」と断定します。

警察はネリを調べて高城と繋がっていることがわかり、高城はその筋では有名人のため佐竹たちのテンションが上がりますが、高城は政治家たちから守られていたため日野班長(江口のりこ)がストップをかけました。

そこで佐竹は高城を直接狙うのではなく、赤いバッグの女を狙っていたオレ詐欺グループ(ネリのグループ)を追えば高城を芋づる式逮捕できると見込んで本格的に捜査を始めます。

その後、佐竹たちは受け子の下っ端を逮捕して取り調べを行い、掛け子のリーダーが小沼英二という男だと判明します。
小沼は「ヒラオカ」という偽名で高城と連絡を取り合っていた男で、ビル地下室のような場所を拠点に老人たちに電話をかけていた人物です。
佐竹が接触した美容師の崎田ゆりは小沼の元恋人です。

佐竹は崎田から小沼に電話をかけさせ、居場所を聞き出して掛け子グループの拠点を押さえ、小沼を捕まえました。
佐竹は小沼を尋問して道具屋の新井(天童よしみ)と高城の名前を吐かせます。
高城が金主だと知って佐竹が喜んだのは、オレ詐欺グループの金主の逮捕は刑事にとって大きな手柄になるからです。

それから佐竹は高城が契約している物件を調べて事務所の特定に至りますが、高城はすでに殺され矢代も死に、ネリには逃げられてしまいました。




高城政司(生瀬勝久)の正体と経歴振り返り

高城は自分の役職を「番頭みたいなもん」と言っていたので、ネリは高城が幹部でトップはどこぞのヤクザだろうと思い込んでいましたが、蓋を開けてみると金主は高城であり「亥誠組」のヤクザはただのケツ持ち(用心棒)だったことがわかりました。

高城は昔、病院の理事長としてとある病院を運営していました。
高城はホームレスが入院すると生活保護費が即時支給&医療費が全額支給される仕組みを利用して、病気のホームレスを捕まえては高額な医療費を請求できる検査ばかり受けさせて長期入院させ、治療はろくにせずホームレス患者の生活保護費と医療費をかすめ取る違法行為を病院ぐるみではたらきました。

ホームレス患者が大勢死んだことで犯罪行為が明るみになり大問題になりますが、高城は別の人間に罪を着せて逮捕を逃れます。

その後 高城はしばらくは闇ルート用の名簿を作って売る「名簿屋」で生計を立てていましたが、平成20年にNPO法人「大阪ふれあい運動事業推進協議会」を立ち上げます。
表向きにはホームレスなどの生活困窮者に対して救済活動を行う組織ですが、本業はオレオレ詐欺でした。

この組織には多くの大物政治家が関わっていたことから、高城は政治家たちにオレ詐欺の収益金を分配することで守られていたことがわかります。

日野班長(江口のりこ)が高城逮捕に燃える佐竹刑事を止めたのは、高城をつつかれると困る大物政治家と繋がっている警察上層部から睨まれることを恐れたからです。

そのため、佐竹は高城を直接マークするのではなく、高城が仕切るオレ詐欺組織の関係者から芋づる式に高城を逮捕すれば お咎めなしで済むだろうということで日野からの承諾を得ました。

芋づる式の逮捕(下っ端メンバーの自白などで上層部を逮捕)なら、高城が逮捕された要因は高城自身が部下選びを失敗したニュアンスが強くなるので、日野や佐竹に大きな被害はないだろうと読んだからです。

 

曼荼羅(宇崎竜童)とネリ、高城の関係

曼荼羅は元々ヤクザでしたが組を追い出され、高城の下で働くようになった男です。
若い頃の曼荼羅は仕事が出来たので長年高城の秘書をしていて、銀行口座の暗証番号を教えてもらえるほど信頼されていましたが、高齢になってから覚せい剤の後遺症か認知症かわかりませんが混乱症状が出てしまい、仕事できなくなったため「ふれあい壮」で余生を過ごしていました。

曼荼羅はネリが幼い頃から面識があり、当時は幼かったネリをとてもかわいがっていたようです。

 

胡屋賢人(淵上泰史)とネリの関係

胡屋はネリが東京で働いていた会社の代表です。
胡屋は暗号資産の運用に成功した著名な投資家ですが極度のサディストであり、ネリは胡屋に気に入られて彼の秘書兼性奴隷をしていました。
ネリは胡屋に毎日のように殴られて左耳の聴力を失い、身の危険を感じて大阪に逃げて高城を頼って現在に至ります。
胡屋はネリに執着し、数年かけて探しあてて連れ戻そうと画策していました。

ちなみに佐竹刑事のグループにいた「左耳の聞こえない女」についてリークしていた警察官は胡屋が買収した警察関係者の友人で、胡屋はこの警察官のリーク情報を頼りにネリの居場所を突き止めました。

 

ジョー、ヒトシ、タクヤがヤクザの林田から受けた仕事とは?

ジョーと悪友のヒトシ、タクヤは滝沢組のヤクザから「成功報酬300万円」の暗殺依頼を受けていました。
ジョーが賭場でホイホイ借金してしまったのは、このあとの仕事に成功すればすぐに返せると思い気が緩んでしまったのもあります。

報酬額についてヤクザの林田(サリngROCK)とヒトシ、タクヤがモメていたのは、ジョーが調子に乗って借金しすぎたからです。
林田は「報酬は300万円からジョーの借金を差し引いた金額でいいか」と提案しますが、ヒトシとタクヤはジョーの借金を払う筋合いはないので怒り、「1人100万円ずつにしてほしい」と念押ししました。

なので、暗殺に成功したらヒトシとタクヤは100万円ずつもらえますが、ジョーは借金が減るだけで儲けはゼロです。

 

次のページに続きます!

2ページ目はネリのその後を予想、原作小説との違いです。




感想などお気軽に(^^)

  1. とくめい より:

    バッドランズの解説ブログ、とても分かりやすかったです!

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