『犬鳴村』解説考察|村の歌、ラストの意味、奏たちと犬鳴村の関係整理、元ネタ紹介など | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『犬鳴村』解説考察|村の歌、ラストの意味、奏たちと犬鳴村の関係整理、元ネタ紹介など

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犬鳴村 ホラー
(C) 2020「犬鳴村」製作委員会

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元ネタになった怖い話

私が知っている話で一番有名なのは、とある探偵に送られてきた犬鳴村に関する調査の依頼文が出回った形式の不気味な話です。
ちょっと長いので下には映画と無関係な部分を省略したバージョンを貼り付けますが、全文読みたい方は引用元の5ch掲示板に飛んでください。

依頼主  匿名希望
タイトル 『日本に在って日本でない村』
依頼内容
福岡県で犬鳴峠という地元ではとても有名な心霊スポットがあります。
私は心霊の類は一切信じないのですが、この地域はどうやら心霊だのなんだのを抜きにして非常に奇妙な場所のようなのです。

犬鳴峠の、あるトンネルの横に普通では絶対見落としてしまうような畦道があります。
その畦道を登っていくとどんどん道は狭くなっていきます。
それでも上っていくと、なんと地図に載っていない村があるのです。
畦道の途中には「この先、日本国憲法つうじません」といった旨の立て札もあるそうです。

(中略)

また、奇妙なことにその周辺では、どこのメーカーの携帯電話も圏外になるという奇妙な現象も起こります(私のもそうでした。)。
また、未確認ですが、そこからもっとも近い某コンビニの公衆電話は110番が通じないとのことです。
ある人から聞いたのですがこの村は、警察や国家権力の介入ができない「特別なんとか保護(?)地域」なんだそうです。
たしかに、地元ではとても有名な場所に関わらず、TV等の取材もなぜか峠止まりなのです。

一説には、この村は江戸時代以前とても酷い差別を受けていていつからか外界との接触を一切断ち、その村だけで自給自足し、また女性の絶対数が少ないため近親相姦を繰り返し、遺伝的に危ない人になったのではという話もありますが、それは単なる憶測に過ぎません。

一刻も早い調査をお願いします。
最近、興味半分でこの地域に行く若者が急増しているのです・・・。

進行状況 未調査
(引用:5チャンネル掲示板-犬鳴峠

この依頼文が創作なのか本当にあったのかは不明です。
この依頼文には近親相姦が登場しますが、映画化するにあたっては重すぎるので犬鳴という地名になぞらえて「犬と交わる女」の噂に置き換えたような感じがします。




犬鳴トンネルで起きた事件

犬鳴トンネルが有名な心霊スポットになったもうひとつの理由として、1988年に実際に起きた「犬鳴峠リンチ焼殺事件」があります。

1988年12月、福岡県内に住む未成年不良グループ5人が20歳の工場作業員男性と喧嘩になり、不良グループは工員を拉致して最終的に犬鳴トンネルに連れ去り、ガソリンをかけて火をつけ焼死させたという恐ろしい事件です。

心霊番組が流行していた時代、この焼殺事件を元に霊が出るとメディアで取り上げられて全国的にも有名になりました。
最強の霊媒師と呼ばれた宜保愛子さんも番組で犬鳴トンネルを訪れた時、トンネルに近づくなり「ここはシャレになってませんね。早く帰りましょう」と発言してスタッフが恐怖したそうです。
※宜保愛子(ぎぼあいこ)さんは昭和後期〜平成初期頃 特に活躍された作家です。霊能力があることで有名になり、当時は心霊番組などのオカルトメディアから引っ張りだこでした。

映画では犬に取り憑かれた女性やダムに沈められた村人の霊など呪いの根元がごちゃごちゃで萎えたという感想が多く見られましたが、実際に犬鳴トンネル、犬鳴村には恐怖伝説が多数あり、それを全て映画にも取り入れようとしてしまったのが原因な気がします。

 

実在した犬鳴谷村

犬鳴には昔「犬鳴谷村」と呼ばれる集落が実在していました。
犬鳴谷村は農林業を主な産業にしていましたが、1889年(明治22年)に町村制度の施行で周辺の村と合併して「吉川村」という集落の一部になりました。

村名が変わっただけで住人はその後も同じ場所で生活していましたが、昭和40年代には旧犬鳴谷村の居住地区にダム計画が立ち上がり、工事が本格的に始まった昭和60年代には住人全員が近隣地区か親戚のいる地域に移住し、犬鳴谷村があった場所は現在ダムになっています。

 

犬鳴という地名の由来

映画では「犬鳴」は村人が殺した犬たちの悲鳴が地名の由来のようにも感じられますが、実際には諸説あります。
ひとつはこの地域の峠は道が険しく、狼までもが峠道の険しさを悲しむように遠吠えする声がよく聞こえていたことが由来とされています。

もうひとつは犬鳴に伝わる昔話です。
犬鳴山で猟師が犬を連れて猟をしていたところ、突然犬が激しく鳴き続けるので、猟師は獲物が逃げてしまうと犬を鉄砲で撃ち殺しました。
その直後、猟師はすぐそばに1丈5〜6尺(約5m)の大蛇がいることに気づきます。
犬が危険を知らせていたことを知り、猟師は犬を殺したことをとても後悔しました。
その後、彼は猟師をやめて僧になり、この山に犬の塔を建てました。
それからこの地域は犬鳴と呼ばれるようになったそうです。

また、犬鳴峠の近くには猫峠もあるので、純粋に名前をつけた人が動物好きだっただけの可能性もありますね笑

 

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