押井守「イノセンス」解説考察|人形になりたくないの意味、正反対のバトーのトグサなど | 映画の解説考察ブログ

押井守「イノセンス」解説考察|人形になりたくないの意味、正反対のバトーのトグサなど

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イノセンス SF

アニメ映画「イノセンス」のあらすじ紹介、解説・考察をしています!
「対照的なバトーとトグサ」「草薙素子(少佐)はどうなった?」「たくさんのハダリが攻撃してきたのはなぜ?」「人形になりたくないの意味」「バトーの失恋」について書いてます。

イノセンス

制作年:2004年
本編時間:100分
制作国:日本
監督・脚本:押井守
原作漫画:『攻殻機動隊』士郎正宗 著
主題歌:『Follow me』伊藤君子
声の出演:大塚明夫(バトー)、山寺宏一(トグサ)、田中敦子(草薙素子)、大木民夫(荒巻)、仲野裕(イシカワ)、平田広明(コガ)、寺杣昌紀(アズマ)、武藤寿美(アズマ)、榊原良子(ハラウェイ検視官)、竹中直人(キム)、堀勝之祐(鑑識課長) ほか
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解説・考察や感想など

対照的なトグサとバトー

イノセンス

©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

本作ではトグサとバトーの対照的な性格が描かれています。
人間味の強いトグサと、人形(サイボーグ)に近いバトー。
トグサの人間らしい一面が描かれることで、バトーの孤独や人形らしさが際立ちます。

一方で、バトーが犬を飼っていることや、素子を思う発言には、バトーにもまだ人間らしさが残っていることが垣間見えます。

 

草薙素子はどこに行ったのか

バトーは素子について
あいつは行っちまったのさ 均一なるマトリクスの裂け目の向こう
広大なネットのどこか その全ての領域に融合して
自分が生きた証を求めたいなら その道はゴーストの数だけあるのさ

と発言しています。

バトーは素子が体を捨てて意識だけの存在になったことを知っています。
バトーが自分の体をあまり大事にしないのは、素子が体を捨てたことに影響を受けているからです。

トグサは素子が体を捨てたことを知って初めてバトーの最近の無茶っぷりに納得がいきました。
そして「俺は生きて家に帰りたい」とバトーに念押ししています。

 

ハダリがたくさん出てきて攻撃していたのはなぜ?


(草薙素子がハッキングしたハダリ 引用:https://happyeiga.com

バトーが船に侵入した後、保管されていた無数のハダリがロクス・ソルスの社員たちもバトーもだれかれ構わず攻撃しています。

これは、捕まったキムが最後の悪あがきでウィルスをまき散らしてハダリを暴走させたからです。

私は最初、ロクスソルス社員がハダリを動かしたのだと勘違いしていました。
コメントで教えてくださりありがとうございました!

 

「人形になりたくない」の意味は?

イノセンス

©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

ハダリの持ち主たちを殺した犯人はゴーストハックされた少女たちでした。

女の子は殺人事件を起こしたおかげでこうして助けてもらえたと嬉しそうに語りますが、バトーは人形側の目線で怒ります。
すると女の子は「私は人形になりたくなかったんだもの!」と泣きだしました。

女の子が言った『人形』はハダリに魂を入れられることではなく、ダビングを繰り返して廃人になった女の子たちの状態を『人形』と言っていたと思われます。
なので女の子が言いたかったのは「廃人になりたくない」ということです。

犯人の女の子たちは、廃人になった女の子たちが人形になってしまったと勘違いしていたのでしょう。

ハダリに入れられるのはコピーされた魂なので、女の子たち自身はハダリに入れられた後は誰かに買われていくこと位しか知らないはずです。

具体的にどうしたらハダリが人を殺すようになったのかはわかりませんが、ダビングされる時に「買った人を殺す」と強く念じたりするのでしょうか。

 

バトーが失恋から立ち直る物語でもある

イノセンス

©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

バトーは素子が消えてからいつもどこかふてくされ、気分が沈んでいました。
それは荒巻部長をはじめ、他のメンバーが心配するほど明らかでした。

バトーは人間なので、どうしても『幸か不幸か』など人間特有の価値観で自分を見てしまい、バトーにとって素子がいない状態は不幸だったでしょう。

一方で素子は考え方も進化して幸せか不幸せかで何かを判断する価値観は捨ててしまったらしく、今はまた別の価値観で生きているようです。
人形使い(AI)と融合したことにより孤独感などの一部の感情もなくなってしまったのではないでしょうか。

押井監督が「バトーは前作で素子にフラれてふてくされていた」と説明していたので、バトーは前作で素子が旅立つ時は強がってあっさり見送ったものの、
それからずっとさみしくてふさぎこんでいました。
ガブリエルを飼い始めたのも恐らく孤独を紛らわすためでしょう。

今回の事件でバトーは素子と再会して、素子から「あなたがネットにアクセスするとき、いつもあなたの傍にいる」という言葉をもらいました。

バトーがあまりにもさみしそうだったからなのでしょう。
「私が見ていることに気付いて あなたはひとりじゃない」という意味です。
この言葉はバトーを孤独の闇から救いました。

素子は今や、ネットの世界の中に住む特定の体を持たない特殊な生命体です。
ネットがつながる場所であればどこへでも行けます。
直接会ったり会話をすることはなくても、素子はいつも9課メンバー全員を見守っています。

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