『ダークナイト』解説考察|ジョーカーのその後、バットマンの悩み、ジョーカーの意図、手紙を燃やす理由など |

『ダークナイト』解説考察|ジョーカーのその後、バットマンの悩み、ジョーカーの意図、手紙を燃やす理由など

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ダークファンタジー

映画「ダークナイト」についての疑問を解説、考察しています!
クリストファー・ノーラン監督によるバットマン・シリーズリメイク第2作目です。
見ていて感じた疑問などを解説、考察しました。

本作を鑑賞済みの方向けの解説記事です。
未だ観ていない方はネタバレにご注意ください。

本作のあらすじ記事はこちらです↓

「ダークナイト」ネタバレあらすじ|歴代最恐ジョーカーと私欲に囚われるバットマン
映画「ダークナイト」のあらすじを紹介しています! 映画『バットマンビギンズ』(2005)の続編。 バットマンの最大の敵ジョーカーとの戦いと、名検事ハービー・デントの闇堕ちをシリアスに描く。 本作公開前に死去したジョーカー役ヒース・レジャーの...

 

作品概要

ダークナイト
原題:DARK KNIGHT 制作年:2008年
本編時間:152分
制作国:アメリカ、イギリス
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン
原作:ボブ・ケイン/『バットマン』シリーズ(DCコミック)

主なキャスト&キャラクター

ブルース・ウェイン/バットマンクリスチャン・ベール
バットマンの正体でウェイン家の当主。

ジョーカーヒース・レジャー
バットマン大好きな犯罪者。

ハービー・デント/トゥーフェイスアーロン・エッカート
正義感溢れるやり手の新人検事。後のトゥーフェイス。

レイチェル・ドーズマギー・ギレンホール
ブルースの想い人。ハービーの恋人。

アルフレッドマイケル・ケイン
ブルースの執事。

 

バットマン(ブルース・ウェイン)について

ダークナイト

©2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ブルースの心境の流れを整理します。
まず、ブルースが悩んでいたのは、バットマンの存在が本当に街の平和に貢献しているのか疑問に感じたからです。

ブルースは当初、純粋に平和のために奮闘していたのでしょうが、レイチェルと「ゴッサムがバットマンを必要としない日が来たら結婚する」という約束をしてから、どちらかというとレイチェルとの約束を実現するために悪を根こそぎ排除しようとしていました。

バットマン(自警市民代表)、ゴードン(警察)、ハービー(検察)が手を組んでギャングを強引に根こそぎ逮捕したので、残されたギャングはイチかバチの賭けになったとしてもジョーカーと手を組むしか生き残る道は無いと思ってしまう程、バットマンは彼らを追い詰めたのです。

アルフレッドの助言もあり、ブルースは自分の『行動と結果』を振り返り、『レイチェルとの結婚』というエゴが悪を倒す目的にすり替わっていた自分にも気付き、『正義の味方として失格』だと思い知らされたのではないでしょうか。 
この『正義の味方として失格』という考えが、ハービーの罪を被ったことにも繋がっている気がします。




ブルースがハービーに希望を見た理由

ハービーはどんな時も常に純粋な正義感に従って行動していました。
ハービーに『高潔さ(私欲に動かされない心)』を見たブルースは、自分自身がレイチェルという『私欲』に動かされていたことに気付いたでしょう。

その後、ハービーの高潔さは世間にも認められてゴッサムの正義の象徴になります。
『正義の象徴』は市民にとっての希望になり、ブルースの目的でもある『悪の撲滅』に繋がる可能性のある貴重な存在です。

ブルースはハービーに希望を見出す一方で、バットマンの在り方と比較して色々思い悩んでしまうことにも繋がりました。 

 

正義のヒーローではなかったバットマン

レイチェルとハービーが別々に監禁された時、バットマンはあっさりレイチェル救助を選んで、ハービーの救助はゴードンに任せて現場に向かいます。

この時の選択は、彼が『正義のヒーロー』ではないことを決定的にしていると言えます。
彼が本当にゴッサムの平和を一番に考える正義のヒーローであれば、ハービーを救いに行ったはずだからです。

 

ブルースがレイチェルに選ばれたと思い込んだ理由

レイチェルの死後、ブルースは「レイチェルが選んだのは俺だった」と発言しています。
しかし、実際にはレイチェルはハービーを選びました。
ブルースはなぜレイチェルが自分を選んだと勘違いしていたのか整理します。

バットマンの引退を決意した時、ブルースがレイチェルに「バットマンをやめたら結婚する約束はまだ有効?」と聞くと、レイチェルは「有効よ」と答え、2人はキスしました。
この時の答えとキスが、ブルースがレイチェルに選ばれたと思った理由です。

しかし、この後にレイチェルが「でも正体を明かしたら話は別」のような発言をします。
これは『バットマンとは絶対に結婚できない』という意思表示です。
何だかずるい気がしますが、それが彼女の考えです。

この発言が、翌日の記者会見でブルースがハービーを止めなかった理由にも繋がります。
ブルースがハービーを止めなかったのは「正体を明かしたら話は別」と言われたからでもあるので、またブルースは己の欲望に負けてしまったのです。 




ハービー・デントについて

Dark Knight
(引用:https://www.moviestillsdb.com

ジョーカーにそそのかされてトゥーフェイスに堕ちてしまったハービー・デントについて整理します。

ハービーがバットマンに「正体を明かすな」と言ったのは?

バットマンが正体を明かすことをハービーに告げた時、ハービーは必死で止めようとしました。

ハービーが反対した理由は、正体を明かすこと自体がジョーカーの要求を呑む(屈する)ことになるからです。
それに、バットマンが正体を明かしてもジョーカーが約束通り犯行を止めるかどうかは疑問で、どちらかというとバットマンの正体を知って次の犯行に利用することがジョーカーの目的です。
だからハービーは意味がなくむしろ状況が悪化することを危惧して食い止めようとしたのでしょう。

 

トゥーフェイスがコインを使う理由

トゥーフェイスは全ての決断をコイントスの結果で決めるのが特徴です。

ハービーが父の形見として持ち歩いていたコインには裏表がなく、どちらも表のコインでしたが、爆発の被害に遭った時、コインが片面焼けて真っ黒になり『裏』が出来てしまいます

コインに真っ黒な面が出来てしまったことがトゥーフェイス誕生のメタファーでもあります。

今までの自分の決断に自信を持ってきたハービーは、レイチェルを失って初めて『レイチェルを選んだこと』を深く後悔し、選択をコイントスに委ねることで、選択に伴う責任を放棄しました。

しかし、自分の中で既に答えが決まっていることについては自分が欲しい答えが出るまでコインを投げ、無駄なコイントスを楽しむ一面もあります。

トゥーフェイスのコインは彼自身の分身であり父親の形見でもあるので、いつも触っていたいだけなのかもしれません。

次のページに続きます!

後半はジョーカー、レイチェル、アルフレッドについてなどです。




感想などお気軽に(^^)

  1. RYO より:

    解説で作品への理解が深まりました。ありがとうございます。

    個人的にひっかかるのは、レイチェルの発言です。
    「正体を明かしたら結婚は夢」だとブルースに言ったにもかかわらず
    ハービーの記者会見でブルースが名乗り出なかったことに対して
    「卑怯だ」と批判していました。
    「正体を明かしたら結婚は夢」だと発言していた時には、記者会見のような状況は想定していなかったでしょうが、一貫性という視点で見ると
    少し気になる点でした。
    とは言えケースバイケースだと思うので、レイチェルにとったら記者会見のような状況では正体を明かして欲しかったのでしょうね。

    • mofumuchi より:

      RYOさん
      コメントありがとうございます!
      レイチェルの行動は私も疑問というか、悪く言ってしまいますがそもそも結婚する気が無さそうというか、結婚をダシにブルースを都合の良いようにしていたようにしか見えませんでした。。笑
      とはいえレイチェルはブルースとハービーどちらを選ぶか迷ってハービーを選んだという過程もありますし、そういった気持ちの揺れが言動に表れていたんだろうと思っています。

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