映画『母性』ネタバレ解説考察|ルミ子はなぜ首を絞めた?ラスト考察など | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『母性』ネタバレ解説考察|ルミ子はなぜ首を絞めた?ラスト考察など

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母性 サスペンス

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清佳(永野芽郁)はなぜ自殺しようとした?

ナレーションで言われていたかもしれませんが、清佳が首吊り自殺しようとしたのは母への愛情からです。

ルミ子に首を絞められた時、清佳は母になら殺されても良いと思うと同時に、母を殺人犯にさせたくないと考え、それなら自分で死ぬしかないと思い至った結果でした。

母が望むなら死ねるほどの強い愛情欲求は理解できない方もいると思いますが、清佳は幼少時に親からの愛情がちゃんと受けられなかった分、人一倍愛情欲求が強かったのでしょう。

 

ルミ子(戸田恵梨香)はなぜ清佳を殺そうとした?

母性

©2022映画『母性』製作委員会

ルミ子は母から「あなたの娘を大切に育ててあげて」と言われたことを実行し続けていましたが、本心ではずっと清佳を許せずにいました。

大人になった清佳が「母性は女全員に備わっているものではない 中には母性を持たない女もいる」と語るように、ルミ子は母性を持たないか、あるいは『娘』であり続けたいために無意識のうちに母性を排除してしまったタイプでした。

ルミ子が母親っぽくいられたのは『ルミ子の母のマネ』をして母に言われた言葉をそのまま言う時だけで、ルミ子本人に母性はありませんでした。
ルミ子が哲史の母を献身的に世話したのも、彼女が『娘』であり続けたかったことを現しています。

つまり、ルミ子にとって清佳は娘ではなく『妹』と似た存在であり、母の愛情を奪い合うライバルだったのです。
ルミ子の母の自殺はルミ子にとって、ルミ子ではなく清佳を選んだ瞬間なので、清佳に対して憎しみに近い嫉妬を抱いたと思われます。

なので、ルミ子が清佳の首を絞めたのは、清佳が母の自殺の話をしたことで当時のことを鮮明に思い出し、心の内に閉じ込めていた清佳に対する憎しみが湧き上がってしまったのです。

 

哲史と仁美はどうなった?

映画で語られていたか忘れてしまったので、哲史と仁美の浮気発覚後について紹介します。
哲史は浮気がバレた上に、清佳が自殺未遂したことに負い目を感じて逃げるように仁美と駆け落ちしてしまいますが、約15年後(清佳31歳頃)にふらっと帰ってきます。

哲史は駆け落ちした翌年には仁美に捨てられてしまいますが、ルミ子と清佳の所には帰れずどこかでひとりで暮らしていたようです。
ルミ子はあっさり哲史の帰宅を受け入れ、それからはルミ子と哲史と哲史の母の3人で暮らしますが、哲史の母は認知症になっていて、死ぬまで哲史が自分の息子だと思い出すことはありませんでした。

 

ラスト考察:清佳に母性はあるのか?

清佳に妊娠が判明したとき「私はどっちかな?」と呟きます。
清佳は自分に母性があるのか無いのかが気になっているのです。

この問いは映画を見た方がそれぞれに答えを出すものなので私が思ったことを書くだけになりますが、清佳はしっかり自己分析出来ているし、母親にして欲しかったことを子どもにしてあげたいとも言っていたので、清佳はしっかり母性を持って生まれてくる子どもを愛してくれるのではないか、そうであってほしいと願います。




原作小説との違い

映画と小説で大きな違いはありませんが、映画で省略されていた内容について主に書いていきます。

高校教師が清佳であるとわかるのは最後

映画では清佳の職業が教師ということは最初からわかりますが、小説では母性について語る教師の正体が清佳だという点はオチになっていました。

小説では清佳が首吊りで死んでいなかったことがわかると同時に、冒頭の女子高生の飛び降りと、清佳の高校時代の自殺未遂が全く別の事件だとラストでわかる演出になっていましたが、映像化するにあたってそこの再現は難しかったのかもしれません。

 

ルミ子は1度流産している

ルミ子は火事の後、哲史の実家である田所家で暮らすようになってから1度妊娠しました。
哲史も清佳も喜び、ルミ子は妊娠がわかった時にお腹の中にいる子がルミ子の実母の生まれ変わりに違いないと確信して『桜』と名付け、生まれてくるのを心待ちにしていました。

しかし、哲史のもう1人の妹で律子の姉にあたる憲子と1人息子の英紀が原因でルミ子は流産してしまいます。
憲子と英紀は映画未登場なので念のため補足しておきます。

憲子は結婚して田所家から出ていましたが、その後生まれた英紀にはADHD(注意欠如、多動性障害)の傾向がありました。
憲子は英紀の問題行動にうまく対処できず嫁ぎ先で居心地が悪くなり、やがて英紀と一緒に実家(田所家)にほぼ毎日来るようになりました。

憲子は母とのお喋りに夢中で、その間、英紀の面倒はルミ子が見ることになります。
英紀はルミ子をとても気に入ったため、憲子は好都合だとばかりに英紀の世話を押し付けますが、妊娠中のルミ子は疲労がたまって体調を崩し、医師から絶対安静を命じられます。

憲子はルミ子が体調を崩したと知り実家通いを控えようとしますが、英紀が「ルミ子に会いたい」と暴れるため結局連れて来てしまいます。
ルミ子は無理して英紀を散歩に連れていった時、英紀は突然「僕より赤ちゃんの方が大事なんだ」と怒りだしてルミ子を突き飛ばし、ルミ子は転んで流産してしまいました。

なお、英紀がルミ子を突き飛ばした背景には清佳とルミ子の言動両方が関わっています。
ルミ子は英紀に「英紀くんが一番大事」と嘘をついていて、英紀はルミ子の言動を信じていました。
一方で清佳は母を疲れさせる英紀が嫌いで、ルミ子が絶対安静を命じられる少し前、清佳が「赤ちゃんが大事なんだからまとわりつくな」と英紀に言ったことが、英紀が公園で激怒した原因です。

悲劇の原因はルミ子がウソをついていたからですが、ルミ子自身は桜を流産したのは、清佳が英紀に真実を告げたせいだと考え不快に思っていました。
ルミ子は相手が求めることをしてあげることが1番の親切だと思い込んでいる節があり、そこに自分の本音は関係ありません。
ルミ子の本音は『英紀と憲子はただ仕事を増やすだけのうっとうしい存在』でしたが、英紀と良好な関係を築くことは義母に好かれることに繋がると思い、ルミ子は英紀に親切にしました。
英紀は愛情に飢えた子どもだったので、ルミ子は「英紀が誰よりも大事」と嘘をつき続けました。

そのため、清佳が英紀に真実を教えたことは、ルミ子にとっては理解できない裏切り行為になったのです。

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