映画『22年目の告白 -私が殺人犯です-』ネタバレ解説|里香が殺された理由、犯行動機など10の考察 | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『22年目の告白 -私が殺人犯です-』ネタバレ解説|里香が殺された理由、犯行動機など10の考察

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クライムドラマ

主要人物について

主要人物たちの目的など整理、考察します!

曾根崎雅人の正体


©2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

事件の犯人を名乗っていた曾根崎の正体は、里香の婚約者の小野寺拓己だったことが判明します。

事件の時効が過ぎた直後、絶望から投身自殺した小野寺は奇跡的に助かりますが、顔面の損傷が激しい状態でした。
小野寺は自殺から生き延びたことで事件の犯人を自ら追うことを決意し、小野寺が事件の犯人に成りすまして真犯人を刺激する計画を立てました。

牧村も賛成し、同じ事件の遺族だった山縣医師に依頼して小野寺は顔面を一新して戸籍も抹消し、曾根崎雅人という真犯人をおびき寄せるためのツールに生まれ変わりました。

彼が犯人では無いことは、冒頭で曾根崎が上半身裸になるシーン(肩に撃たれた跡が無く、身体中の傷は自殺未遂の跡だった)で伏線が張られています。

 

牧村が辞表を出した理由

曾根崎と一緒にニュース番組の出演が決まった時、牧村は警察に辞表を出しています。

牧村が辞表を出したのは、捜査で知り得た情報で告白本を執筆しておとり捜査に使ったことを警察内部に黙っていたからです。

つまり、牧村は違法行為をしていたということになり、ニュース番組で犯人を暴くと共に曾根崎とグルだったことも公表するつもりだったのでしょう。

上司の若松(矢島健一)が理解を示して「時間稼ぎしてやる」と答えたのは、恐らく『時間を稼いでる間に犯人を特定して逮捕できる方法を探してこい』という意味が込められていたのでしょう。

もし奇跡的に犯人がわかって逮捕も出来れば、お咎め無しになる可能性が高いからです。




美晴の部屋の蛙


©2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

被害者遺族の1人だった美晴の部屋がカエルちゃんだらけだったのが印象的でした。

カエルは幸運を呼ぶ縁起物で、カエルグッズを置くと幸運を引き寄せるジンクスがあります。

また、カエルは『変える』という意味もあるため、美晴が克服出来ていない家族の死や不幸な現状を変えたいという思いの現れでもあったのかもしれません。

また、美晴の曾根崎に対する感情に蛙化現象が起こる伏線だったようにも感じました。

 

真犯人と犯行動機

『東京連続絞殺事件』の真犯人は元ジャーナリストのニュースキャスター仙堂俊雄(中村トオル)がだったことが明らかになりました。

仙堂は若かりし頃に海外の戦場に赴いて友人と一緒に取材をしていましたが、反政府組織に捕まってしまいました。
仙堂は何日も監禁された挙句目の前で友人を絞殺され、自分も殺されると覚悟していましたが、なぜか1人だけ生きて解放されました。
この事件で仙堂は心に深い傷を負います。

過去に深刻なトラウマを負った人間が 自分のされた行為を他者にふるうことはあるでしょうか
大切な人がいなくなって なぜ自分だけが生きているのかわからない
わからないと人は頑張る 心に開いた穴を埋めるために
戦地で友人を失ってから心に深い闇のようなものが広がって どれだけ仕事で褒められてもその闇は一向に照らされない
かろうじて光があるとしたら この世に自分と同じ境遇の人が居るということ

これらの発言から、仙堂の犯行動機は『心に開いた穴を埋めるために、自分のされた行為を他者にふるっていた』と考えられます。
虐待を受けて育った人間が、自分の子どもにも虐待してしまう心理と似たような感覚だったのではないでしょうか。

その後、仙堂が取材とかこつけて被害者遺族と食事までしていたのは、自分と同じ境遇の人間と接することで密かに共感や仲間意識を感じ、ある種の癒しを得ていたのでしょう。

仙堂は事件の再体験を繰り返すことでトラウマを克服しようとして、彼自身を癒してくれる仲間(同じ境遇の人間)を作るためだけに連続殺人を行ったのです。

 

真犯人はなぜ連続殺人をやめた?


©2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

仙堂は犯行時の行動から犯人の性格をプロファイリングした結果、几帳面な自己陶酔型で、自己顕示欲、復讐心が強く、完璧主義であると語られていました。

仙堂が殺人をやめたのは、5人目のターゲットだった牧村を殺すことに失敗し、ルールが守れなかったからだろうと推測しています。

仙堂は復讐や死刑を恐れていなかったので、刑事法が改正される前に犯行を終わらせてしまおうと特別意識していたわけではなかったようですが、進んで逮捕されるつもりも無かったように見受けられます。
自ら伏線発言を連発していたのは、本当は自分が犯人だと言いたくなっている心理状態(自己顕示欲)が現れていたように見えます。

 

新刑法が適用された理由

仙堂を法律で裁けることがわかったのは、彼が出してきた新しい証拠(里香の動画)に、東京タワーが午前0時を過ぎて消灯した瞬間が映っていたからです。

東京タワーの消灯が日付が変わった証拠になるのはわかったんですが、牧村が春日部の「もう時効過ぎてるんですから」に異常に反応した理由はいまいちピンときませんでした(笑)




仙堂はなぜ番組に曾根崎を呼んだ?

仙堂がいち早く曾根崎に反応して番組に呼んだのは、曾根崎が真犯人ではないことを世間に知らせたかったからです。

しかし、1回目の対談では曾根崎が上手く振る舞ったため多くの視聴者に『曾根崎は偽物かもしれない』と思わせることが出来ませんでした。

そこで、仙堂はもう一度、今度は牧村も巻き込んでスタジオに呼んでリベンジを行いました。
2回目の対談に代行屋も用意して牧村も一緒に呼んだのは、真相を確かめるだったのでしょう。

仙堂は告白本を読み込んでいたので、この本の制作に警察内部の人間が関わっていることは見抜いていたと思われます。
なので1回目の対談の後、仙堂は恐らく事件関係人物を洗って曾根崎が遺族関係者だろう位までは予想していたのではないでしょうか。
さり気なく万年筆を差し出していたのが、曾根崎が激怒して代行屋を襲う可能性を想定していた(遺族関係者だとはわかっていた)証拠です。
曾根崎に代行屋を殺させたかったのは、仙堂は彼の狙いを察した上で、あわよくば曾根崎を本物の殺人犯にして排除したかったと思われます。

さらに、里香の殺害シーンを牧村(と遺族関係者)が見る瞬間を間近で見られるチャンスでもありました。

 

里香はなぜ殺された?

仙堂は曾根崎をニュース番組に呼んだ際、「牧村に里香の死を見せるために殺したのではないのか?」と問い詰めていたので、何らかの形で爆破事件の直後に牧村が死ななかったことを知り、代わりに里香を殺したものと思われます。

また、仙堂は「彼女が死を望んでいたから殺した」とも言っていました。
里香は阪神・淡路大震災の被災者で、彼女もまた大きな心的外傷を抱えていました。
仙堂は里香が仙堂自身と同じ闇を抱えていることを察して、里香の「あの時死ぬべきだった」という発言にも大いに共感して望みを叶えてあげた感覚もあったのでしょう。

仙堂が里香を殺したのは22年前でしたが、殺す現場を牧村(もしくは小野寺)に見せるルールは達成出来ていませんでした。
録画映像ではあるものの、里香の死の映像を牧村に見せ、映像を見た牧村の絶望を間近で見たことが、仙堂の中でも事件の完結だったと思われます。

 

刑法39条とは

ニュース番組の中での解説で『刑法39条』が争われるとされていました。

■刑法第39条
1、心神喪失者の行為は、罰しない。
2、心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

映画やドラマなどでもよく登場するやつです。
心神喪失者が起こした犯罪は罰せられるべきではないという法律で、客観的に見ても、犯人が犯行当時に心神喪失あるいは心神耗弱状態だったと判断されれば、刑が軽くなるかあわよくば罪に問われません。

 

曾根崎のその後

事件解決後、曾根崎(小野寺)が日本から出ることを決めたのは、派手なパフォーマンスで世間に顔を知られ過ぎていたからです。

小野寺は事件解決に安堵しつつ精神疲労が激しい状態なので、しばらくは顔を知られていないどこかの国で事件に関するニュースも一切遮断して、里香の死や彼自身と静かに向き合って心の整理をする必要があったのでしょう。

ストーリーとは関係無いですが、藤原竜也さんのチェックシャツ姿が似合わな過ぎて(個人的には香川照之さんのチェックシャツと同じ位)ちょっと笑ってしまいました。

ラストの後、どうなる?

エンドロールの合間、仙堂が収容されている留置場に橘組構成員の戸田が忍び込み、仙堂を見つけるとナイフを持って突進していきました。

戸田も美晴と同じく被害者の子どもで、事件の犯人に深い恨みを持つ人物でした。
仙堂は絞殺で死にたがっていましたが、あの後は戸田にさっくり刺されて無念の死を迎えると思われます。

以上です!読んで頂きありがとうございました。
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