日本リメイク版『最後まで行く』(2023)の解説考察を紹介しています!
ラスト考察、仙葉(柄本明)の行動振り返り、砂漠のトカゲの意味、時系列整理などについて書いています。
鑑賞済みの方のための考察記事です。まだ観ていない方はネタバレにご注意ください。
原作となる韓国版の記事はこちらです。
キャスト紹介
工藤…岡田准一
殺人課の汚職刑事。
母の死に始まり運転中に青年をひき殺してしまうなど立て続けにとんでもない不幸に見舞われる。
矢崎…綾野剛
出世コースに乗る本庁勤務の監察官。
工藤が轢いた男と関わりがあり、執拗に工藤を追い詰める。
尾田 創…磯村勇斗
工藤に轢かれたチンピラの若者。
仙葉…柄本明
工藤の知り合いのヤクザの組長。
久我山(工藤の同僚)…駿河太郎
植松管理官(矢崎の上司、由紀子の父)…
淡島(工藤の上司)…杉本哲太
真由子(尾田の女)…清水くるみ
梶(交通課)…山中崇
工藤の後輩…黒羽麻璃央、駒木根隆介
由紀子(矢崎の妻)…山田真帆 ほか
あらすじ紹介
年末の12月29日の夜。東京からほど近い架空都市あいはら市での出来事です。
あいはら署所属の刑事 工藤(岡田准一)は、母親の危篤の連絡を受けて病院へ向かっている途中、突然道路に飛び出してきたチンピラらしき青年(磯村勇斗)を車ではねてしまいます。
工藤は慌てて駆け寄りますが、青年は既に息絶えていました。
焦った工藤はとっさに死体を車のトランクに詰めてそのまま走り始めた直後、まさかの検問に引っかかってしまいます。
工藤がピンチに陥った時、本庁勤務の監察官 矢崎(綾野剛)が現れたため、工藤は検問をうやむやにして逃げました。
矢崎は工藤が所属するあいはら署で噂になった裏金の件で監査に行く途中でした。
矢崎は「工藤刑事とも話がしたいので、署に一緒に行きましょう」と言いますが、工藤は母の死を伝えて断ると病院へ車を走らせます。
工藤は病院で別居中の妻 美沙子(広末涼子)と娘のミナと落ち合い、看護師に言われるがまま母の遺体を葬儀会社に移してもらい、棺に入れてもらいます。
お葬式は葬儀会社が日程を組んでくれて12月31日に善明寺というお寺で行い、午後に提携先の火葬場で火葬することになりました。
とにかく死体の処理に困っていた工藤は母の安置室に一泊させてもらう許可を取り、深夜にこっそり青年の死体を母の棺に隠してしまいました。
この夜、安置室に工藤の母のスナックの常連客だった暴力団組長の仙葉(柄本明)が訪れました。
仙葉は挨拶もほどほどに、工藤に仕事の依頼をします。
工藤の母が葬式をする予定の善明寺は裏金のマネーロンダリングをしていて、お布施という名のマージンでがっぽり儲けた金をしこたま貯め込んでるそうですが、先日、善明寺の金庫番だった尾田という若い男が金庫のカギを持って逃げたらしいのです。
仙葉の頼みは、尾田の逮捕と善明寺の摘発でした。
仙葉は善明寺が確保したマネロンの顧客をそっくり奪って自分の仕事にしてしまいたいのです。
工藤は渋りますが、仙葉に報酬の話をされると仕事を受けました。
解説・考察・感想など
原作の韓国版とは後半のあらすじが大きく変えられていて新鮮さがあり、韓国版との違いを楽しみながら見られました。
主人公の工藤を演じた岡田准一の困り顔やヘタレキャラの可愛さも見どころですが、悪役の矢崎を演じた綾野剛の怪演ぶりや、組長の仙葉を演じた柄本明のいやらしさ満点の表情は見事でした!
この記事では主要人物の行動の振り返りや考察などをしています。
善明寺と植松、矢崎、尾田の関係
善明寺の住職はお偉いさんたちからの依頼でマネーロンダリングを行い、その見返りに多額の報酬を『お布施』として受け取っていました。
その金は住職の裏金として善明寺の墓地に作られた隠し金庫に貯えられていて、住職はその金庫番を矢崎の上司である植松管理官に依頼していました。
植松は金庫の管理を矢崎に丸投げし、矢崎はチンピラの尾田(磯村勇斗)を雇い、金庫の管理に関する何かの仕事をさせていました。(尾田は金庫の開け方すら知らなかったので具体的な仕事内容はいまいちわかりませんが、金を寺から金庫のある墓地に運ぶ役割だったのかなと思われます)
そんなある日、尾田が突然金庫のカギを盗んで失踪してしまいますが、そもそも尾田に「金庫を開けろ」と提案したのは仙葉だったことがエンドクレジットで明かされます。
尾田と話す仙葉はかなり強引な様子でしたが、恐らく「金庫を開けられたら報酬は弾むし、矢崎からも守ってやる」などと言っていたのでしょう。
12月28日の出来事
尾田にカギを盗まれたことを矢崎が知って植松に報告したのが12月28日です。
矢崎は尾田を1秒でも早く見つけるために地元のヤクザを頼り、うっかり黒幕の仙葉に尾田探しを依頼してしまいます。
恐らく仙葉の組がこの地域で一番大きな暴力団組織だったのでしょう。
同じ日、仙葉は工藤に賄賂を渡したことを週刊誌にタレコミます。
週刊誌にタレこむ理由がよく分からない気がしますが仙葉は金のためと言っていたので、恐らくすぐに現金が必要な状況になり記者に情報を売ったと解釈しています。
12月29日の出来事
この日は矢崎の結婚式の日です。
この日、尾田は恋人の真由子を式場スタッフに変装させ、矢崎の手形を取って指紋をゲットします。
恐らく手形を取るという方法や道具は仙葉が用意してやったと思われます。
尾田は手形をゲットしてすぐに金庫のカギのシステム管理をしていた男の所に行き、指紋認証の設定を矢崎から尾田に変更させました。
恐らく指紋認証の人物を変更するのに、変更前と変更後両方の人物の指紋が必要だったのでしょう。
矢崎は尾田に指紋を取られたことに後で気付き、怒った上司の植松にヤキを入れられます。
「今日中に尾田を殺してカギを取り戻せ」と命じられた矢崎は、仙葉に尾田の隠れ家を教えてもらうと結婚式が終わってから直行し、隠れ家で尾田を待ち伏せします。
同じ頃、仙葉も尾田に「矢崎から逃がしてやる」などと言って誘い出して部下に殺させようとしていました。
尾田は仙葉の部下から逃げて隠れ家に戻ってきますが、矢崎に待ち伏せされていて撃たれてしまいます。
尾田は撃たれた時に道路に飛び出していて、たまたま通りかかった工藤が轢いてしまいました。
工藤が尾田を轢き、トランクにしまうのを見ていたのは矢崎だけです。
仙葉は尾田を見失ったので、知人の刑事だった工藤に報酬をちらつかせて尾田探しを依頼しました。
矢崎はあいはら署で工藤を待っていましたが、工藤は尾田の死体隠しで忙しかったため、話すのは明日にすると言い出します。
矢崎は無関係の淡島(工藤の上司、杉本哲太)に執拗に質問することも出来ず、大人しく署から出ました。
その後、矢崎が事の経緯を植松に報告すると、植松は激怒して矢崎を戦力外通告します。
植松の横暴ぶりに我慢し続けていた矢崎はとうとうキレて、その場で植松を殴り殺してしまいました。
それから矢崎は自分が金庫の金を手に入れるために行動し始めます。
12月30日の出来事
工藤は車を修理に出してから出勤して矢崎と話をします。
矢崎は「話がわかる人」を演じて穏便に尾田の居場所を聞き出そうとしますが、工藤は何も喋りませんでした。
その後、工藤は仙葉に頼まれた通りに上司淡島に尾田の情報を伝えて令状を取りますが、尾田の写真を見て初めて「昨日轢いたやつだ」となります。
工藤が仙葉に教えてもらった尾田の隠れ家に行った時、矢崎は本格的に揺さぶりをかけるため『全部知ってるぞメール』を工藤に送り、工藤は目撃者の存在を知って肝を冷やします。
さらに、工藤の同僚の久我山(駿河太郎)が尾田の隠れ家付近に監視カメラを発見して自動車事故が起きたことに気付きます。
しかしカメラの画質が荒く、事故を起こした車の特定はすぐに出来ませんでした。
12月31日の出来事
この日は工藤の母の葬式です。
工藤は葬儀が始まる直前に謎の目撃者と電話で話し、正体が矢崎だと知ります。
矢崎は「今日の17時に尾田の死体を渡せ」と命じ、工藤の娘のミナを誘拐しました。
工藤が火葬場に運ばれた母の棺から尾田の死体を回収しようとした時、尾田の隠れ家付近で自動車事故を起こしたのが工藤だと気づいた久我山が工藤を問い詰めに来ました。
工藤は久我山に手伝ってもらって尾田の死体を回収し、遺体を調べると本当に金庫のカギが出てきました。
工藤と久我山は尾田のスマホに電話をかけ続けていた女 真由子が事情を知っていると推測し、彼女を尾田の隠れ家に呼び出して金庫と矢崎と尾田の関係を聞き出しました。
工藤と久我山は今後どうするか相談している最中、久我山が矢崎に殺されてしまいました。
工藤は金庫を開けるのに尾田の指紋が必要と知り、尾田の指を切断しました。
その後、工藤が仙葉に事の経緯を報告しに行くと、仙葉は工藤にお手製の爆弾を持たせてくれました。
約束の17時、工藤は爆弾を付けた尾田の死体を矢崎に渡してミナは無事に保護しました。
爆弾は矢崎が工藤の前から離れた直後に爆発し、真横にあった池に車ごと沈みます。
工藤は数分池を見張って矢崎が出てこないのを確認し、ミナを別居中の妻 美沙子(広末涼子)に託してから金庫がある善明寺の墓地に行きました。
工藤はカードキーと尾田の指を使って金庫を開け、中に兆単位の金があるのを確認します。
工藤が金をどうするべきか考えていた時、爆発から生還していた矢崎が金庫に現れました。
工藤と矢崎は死闘を繰り広げた末に工藤が勝利しますが、そこに仙葉が部下を引き連れて現れ、工藤をスタンガンで気絶させました。
仙葉は金庫の金を全て奪い、そのまま工藤を置いて帰ってしまいます。
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2ページ目はラスト考察、砂漠のトカゲの意味です。
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