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メイナードとゼッドがブッチとマーセルスに怒っていたのはなぜ?
ゼッドとメイナードがブッチたちを恨んでいたのは、恐らく例の八百長試合でゼッドとメイナードが大損したからです。
ブッチが電話ボックスで弟に電話しているシーンから、ブッチは八百長を利用して大儲けしていたことが判明します。
ブッチは自分自身のオッズを上げるために、恐らく八百長の噂を意図的に広めました。
自分の試合で自分に賭けることはできないので、ブッチは弟だけに計画を打ち明けて、弟が代わりに大金をブッチに賭けて、払戻金を山分けする予定だったのです。
そうすればブッチはマーセルスから受け取った八百長代金と、ボクシング試合の賭けで得られるお金のダブルで儲かります。
そして、ブッチの計画の被害者になったのがメイナードとゼッドです。
この2人は恐らくブッチが試合に負ける八百長話を聞きつけて、勝つ予定だったボクサーの方に結構な金額を賭けて損してしまったのでしょう。
タイトル『パルプ・フィクション』の意味は?
(1)柔らかく湿った形状の無い物体
(2)質の悪い紙に印刷された扇情的な出版物
冒頭、『パルプ(pulp)』という単語そのものの意味が明記されます。
もう少し補足すると、パルプは紙製品に広く使われる植物繊維でもあります。
『フィクション』は『創作』『作り話』という意味があり、映画や小説好きなら目にする機会が多い単語です。
登場人物の中で最も『パルプ』に触れていたのはヴィンセントでした。
『柔らかく湿った形状の無い物体』は具体例が思い浮かばないので置いときますが、ヴィンセントがトイレで読んでいた本は、本の表紙の雰囲気からして『扇情的な出版物』だと思われます。
(2)に注目すると、タイトルはヴィンセントの生きる世界だったり、多くの登場人物たちの雰囲気そのものを表していたように感じました。
主人公ヴィンセントやマーセルスは裏社会にどっぷり浸かっていますし、ミアは裏社会のボスと結婚していて麻薬がやめられず、ゼッドとメイナードなどカタギな職業のはずの彼らには裏の顔があったり、ブッチは私欲に溺れて裏の裏をかく悪だくみをしてみたり、”F”ワードが頻繁に飛び交うなど、広い意味で彼らは『質の悪い扇情的な世界(パルプな世界)』に生きています。
そういう目で見ると、本作のDVDの表紙も『パルプ(扇情的な本)』を意識して作られていることに気付きます。
そんな中、ジュールスだけはパルプな世界から脱却しようと努力していました。
ジュールスは生きていることを神に感謝し、強盗(パンプキン)に銃を突きつけられた時は、今までなら迷わず返り討ちにしていたところでしょうが、殺意をこらえてパンプキンを説得し、有り金を全部渡してパンプキンの命を買ったことにしてお互い無傷で店を出ています。
ジュールスはまともに生きる決心をしたので、パルプの世界から抜け出したのです。
だからジュールスはトイレに入って以降登場しなかったのではないでしょうか。
逆にヴィンセントがトイレから出た直後にブッチに撃たれてあっさり死んでしまうのは、パルプな世界に染まり切った人間の末路が暗示されていたように思います。
その他の豆知識
カフナバーガー
ハワイ風が売りの『カフナバーガー』は現実には存在しない、タランティーノ監督作品だけに登場する架空のハンバーガー店です。
ジュールスがひとくち食べて絶賛し、飲み物で流し込むのを見ていると無性にハンバーガーが食べたくなります。
ミアが出演した『フォックス・フォース・ファイブ』
ミアはヴィンセントにお蔵入りしてしまったドラマのパイロット版に出演した話をします。
カンフーのプロに爆薬のエキスパートなど、何となく女版オーシャンズシリーズみたいなあらすじですが、ミアの役である『ナイフの達人』は、タランティーノ監督の後の作品でユマ・サーマン主演作『キル・ビル』の元ネタになっています。
以上です。この記事がお役に立てていたらハートマークを押してもらえると嬉しいです(^ ^)
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参考サイト様一覧
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現在大学2年生の20歳なのですが、チェンソーマンのアニメopにパルプ・フィクションがパロディされてたのを見てパルプ・フィクションを見てみようと思いました。タランティーノ監督の作品は初めてだったのですがとても面白かったです。ストーリー的に理解しやすい作品だったのですが、より理解したくて考察を検索してたところ、こちらのサイトを見つけてとても分かりやすく、豆知識もとても面白かったのでコメントさせて頂きました!出演者の情報も分かりやすく乗っていて、考察もとても深いところまで考察されていてとても感激しました!