映画「億男」ネタバレ解説|九十九の行方、芝浜についてなど考察 | 映画鑑賞中。

映画「億男」ネタバレ解説|九十九の行方、芝浜についてなど考察

ヒューマンドラマ

「億男」ネタバレあらすじ・感想|お金の正体を探る旅
借金返済に苦しむ男・一男(佐藤健)が宝くじで当てた3億円が、10年ぶりに再会した大学時代の親友であり有名起業家の男・九十九(高橋一生)に盗まれた。
一男は九十九の居場所を突き止めるため、彼が大成功したきっかけとなった『バイカム』の元関係者を1人ずつ訪ねると、一男が知らなかった九十九の10年間が少しずつ明らかになっていく。

監督は実写映画『るろうに剣心』の大友啓史。

制作年:2018年
本編時間:116分
制作国:日本、モンゴル
監督:大友啓史
脚本:渡部辰城、大友啓史
原作:小説/川村元気『億男

キャスト&キャラクター紹介

「億男」ネタバレあらすじ・感想|お金の正体を探る旅

(引用:https://wonderfulnomadolife.com

大倉一男佐藤健
兄に肩代わりさせられた借金返済に追われる図書館司書。
真面目で堅実な性格。
福引で当たった宝くじで3億円を手に入れた。

 

「億男」ネタバレあらすじ・感想|お金の正体を探る旅

(引用:https://www.fashion-press.net

古河九十九高橋一生
一男の大学時代の友人。軽度の吃音がある。
『バイカム』を起業して大成功した話題の起業家で、ネット情報によると総資産は100億円を超えると推定されている。
一男の3億円を奪って逃走した。

 

「億男」ネタバレあらすじ・感想|お金の正体を探る旅

(引用:https://twitter.com

大倉万左子黒木華
一男の妻。
借金返済に取りつかれた一男に愛想をつかして娘を連れて出ていった。
仕事をしながらアパートで娘と2人暮らししている。

 

「億男」ネタバレあらすじ・感想|お金の正体を探る旅

(引用:https://www.cinematoday.jp

百瀬栄一北村一輝
バイカムの元CTO(最高技術責任者)で、バイカムのシステムを作り上げたスーパーエンジニア。
現在は3つの会社を経営している。
高い声に早口で関西弁を喋る、見るからに変わり者っぽいおじさん。

 

©2018映画「億男」制作委員会

千住清人藤原竜也
バイカムの元CFO(最高財務責任者)。
現在は経営コンサルタントとして『夢実現セミナー』の主催者や、『ミリオネア・ニューワールド』という集会の教祖を務めるいかがわしい男。

 

©2018映画「億男」制作委員会

安田十和子沢尻エリカ
バイカムの元広報担当で九十九の秘書だった女。
バイカム売却の際に10億円を手にしているが、何故か市営住宅に暮らしている。

・その他のキャスト
まどか(一男の娘)…菅野真比奈
あきら(パーティ女)…池田エライザ
一万円札を破った男…川瀬陽太
千住の付き人…本田大輔
落研メンバー…尾上寛之藤原季節前原滉大津尋葵大窪人衛立川志ら門師岡広明船崎良佐藤玲
一男の同級生…松田るか
十和子を買おうとする男…木村了君嶋麻耶今井隆文 ほか
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ネタバレあらすじ

物語の主人公・大倉一男は兄の借金の肩代わりをさせられて3000万円の借金を抱えていた。
昼は図書館司書、夜はパン工場のアルバイトで月収37万円、そこから家族と自分の生活費を引いた残りの15万円を毎月の返済にあてている。
借金が原因で妻・万左子は娘・まどかを連れて出ていき、現在は別居状態だ。
妻は「借金がなくなったらまた一緒に暮らす」と言うが、毎月15万円返済しても完済までには30年以上かかる。
一男は疲れ果てていた。

ある日、一男はまどかと一緒に行った商店街の福引で10枚1組セットの宝くじを当てた。
本当はまどかが欲しがっていた自転車の景品が狙いだったので一男は残念がったが、まどかは「ティッシュよりマシだよ」と笑った。

関連画像

(福引を引く一男 引用:https://www.oricon.co.jp

後日。その宝くじで1等が当たり、一男は3億円という大金を手に入れた。
当初はただただ興奮していた一男だったが、冷静になるためにネットで宝くじの高額当選者が後に破滅した話をいくつも読んで、改めてお金の怖さが身に染みたと同時に、借金返済して手元に残る2億7000万円の使い道がわからなくなった。

そんな時、一男は大学時代に出会った友人・古河九十九の存在を思い出した。
九十九は大学中退後、『バイカム』を起業して大成功した起業家だ。
バイカムはいわばフリマアプリのようなもので、ユーザーに、ユーザー同士による不用品売買の場を提供する会社だ。
現在、九十九はバイカムを売却して別の会社を経営している。
彼ほどの金持ちなら3億円の事を話しても狙われることはないだろうし、一男にとって九十九は信頼できる唯一の友人でもあった。
『金の正しい使い方』を教えてもらうべく、一男は約10年ぶりに九十九を訪ねた。

お互いに久しぶりの再会を喜んだ後、九十九は一男を自宅に案内した。
一男が3億円を持参して九十九の部屋に行くと、九十九は言った。
「僕は金の『正しい使い方』は知らないが、金のことなら教えてやれる。
それには、まず使ってみることだ」

関連画像

(一男に語り掛ける九十九 引用:https://twitter.com
九十九は街にいくらでもいるパーティ好きを適当に集めて盛大にパーティを開くと、一男に高い酒を一気飲みさせた。
酔っ払った一男は一気にタガが外れ、パーティに来ている顔も名前も知らない人たちに大量の万札をバラまいた。
その後、一男はさらに酒を飲んでそのまま深い眠りに落ちた。

翌朝。目が覚めた一男は、3億円と九十九が消えていることに気が付いた。
九十九の携帯に電話をしても、すでに番号が変えられていて繋がらなかった。
この時、一男はまだ借金の返済すらしていなかった。
なんとしても九十九の居場所を突き止めようと、昨夜のパーティで連絡先を交換させられたアキラという女と会うことにした。

アキラは昨日初めて会ったばかりで職業などは不明だが、連絡先の名前欄の先頭に『億男』か『雑魚』のどちらかを必ず入れいた。
つまり、金持ちかどうかで人を判断しているような女だった。
一男はアキラを通じて、バイカムの重役の1人だったスーパーエンジニアの百瀬栄一という男に会うため、競馬場のビップルームに向かった。
百瀬はアキラによると、バイカムのシステムをほとんど1人で作り上げた天才的なエンジニアで、現在はバイカムを辞めて3つの会社を経営している「億男」らしい。
天才的なエンジニアほど変わり者が多いとよく聞くが、百瀬も間違いなく変わり者の1人に当てはまるような人物だった。
特徴は不自然なほどに出ているビール腹と、長髪に無精ひげに黒縁眼鏡、そして関西弁でとてもよく喋る。

百瀬は一男の話を聞くと、こう言った。
「九十九はバイカムで大成功したけど、あれはラッキーパンチみたいなもんや。
今は失敗続きでヤバそうって噂になっとったし、俺もあいつの居場所は知らん。
もう3億円は返ってこんと思った方がええ。」

がっかりする一男に、百瀬は『金に振り回される人間が見られて楽しかった』という理由でFacebookの友達になってくれただけだった。
「億男 十和子」の画像検索結果

(競馬に熱中する一男、あきら、百瀬 引用:https://www.youtube.com
SNSを使って手がかりを探す位しか、もう残された方法がないようだ。
一男はアキラと一緒に競馬場から出た。

帰りのタクシーで、一男は九十九と出会った大学時代のことをアキラに語った。
一男が九十九と出会ったのは大学の落語研究会の歓迎会で、べろべろに酔っぱらった九十九が一男の服に思いきりゲロをぶちまけたのが最初だった。
当時、九十九は今よりもさらに吃音がひどかったが、落語を披露するときだけは全くどもったり噛んだりしなかった。
九十九は特に『芝浜』が大好きで、一男が初めて九十九の落語を聞いたのも『芝浜』だった。
九十九と一男は落研で才能を発揮し、メンバーから『九十九と一男で100点コンビ』と呼ばれるほどになった。
特に九十九は人気者になり、彼の落語を見に来る観客は多かった。

その後、一男は百瀬のFacebookからバイカムの元CFO(最高財務責任者)だった千住清人という人物を発見、話を聞くことにした。
千住清人はバイカムを辞めた後は経営コンサルタントとなり、様々なセミナーの主催をしている。
一男は話を聞くため千住に数時間付き添ったが、セミナーの1つ『ミリオネア・ニューワールド』はかなりいかがわしく、新興宗教を思わせるような怪しい集会だった。
「金は大事だが、金に執着してはいけない!こんなものは所詮ただの紙切れだ!」と千住は叫び、参加者の1人に一万円を破らせ、最終的には参加者全員に財布の中身を全て会場内に捨てさせた。

(観客に訴えかける千住 引用:https://www.club-typhoon.com
金をバラまきながら興奮する参加者たちを見ながら一男は静かに席に座り、ただじっと会が終わるのを待った。
セミナー終了後、会場のスタッフは参加者がばらまいた金を拾い集め、集計を始めた。
バラまかれた金は全て千住の利益になる。

結局、千住も九十九の居場所を知らず、バイカム時代に九十九の秘書をしていた安田十和子という人物を紹介されただけだった。
また千住が言うには、バイカム売却の際に九十九と他の重役(千住と百瀬)との間にトラブルがあったという。
当時、バイカムを200億円で買ってくれる企業が現れて百瀬と千住は大喜びだったが、九十九だけは最後まで反対していたらしい。
その企業の狙いがバイカムの『利用者』だけで、もし売ってしまえばすぐにバイカム自体は亡き者にされてしまうことがわかっていたからだ。
金だけのためにバイカムを手放すのが嫌だったのだ。
しかし結局、九十九は百瀬と千住に言い負かされて渋々売却に応じた。

帰り際、一男は千住の『セミナーで客に捨てさせた金で儲ける』という手法について
「こんな、人を騙すようなことして心が痛みませんか?」と聞いた。
千住は札束を掴むと「私は彼らに『安心』を売っているんだ。金などただの紙切れだ。
金自体に価値などないとわかった彼らの今晩の夢見はきっと良いだろう。
彼らは金をただの紙だと判断して捨て、それを私は拾った。ただそれだけの話だ。」と答えた。

数日後。一男は万左子に盗まれたことは伏せながら宝くじの件を話し、
「もうお金のことは大丈夫だから、借金を返したらまた一緒に暮らしたい」と伝えた。
万左子は少し黙ると、「私は離婚したいと思ってる。借金してからあなたは変わってしまった」と告げて立ち去ってしまった。
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さらに数日後。
一男は安田十和子に会うため、メモに書かれていた市営住宅の一室に足を運んだ。
十和子はバイカムの売却で10億円を手に入れていた。
退職した後、十和子が人にこの話をすると、誰もに「羨ましい」ではなく「ずるい」と言われたという。
また、十和子は彼女を金で買おうとする男たちにうんざりして今の旦那と結婚したことを明かした。
十和子の旦那はお金に全く関心がなく、住む場所も食べ物も服も『あればいい』というタイプで、十和子はお金のことを考えなくて済むらしい。
この話を聞いて一男は彼女が市営住宅暮らしだったことに納得した。

九十九のことを訊ねると、バイカムが大流行した当時、裏では多くの若い女性が売春やその他特殊なサービスを売買していることが大きな問題になっていたことを教えてくれた。
十和子もまた九十九の場所を知らなかったが、
「九十九は、たまにあなた(一男)のことを楽しそうに話してた。
バイカムの仕組みは、あなたと行ったモンゴル旅行の最中に思いついたそうよ」と教えてくれた。
一男は九十九と行ったモンゴル旅行を昨日の事のように思いだした。

モンゴルで泊まったホテルで『非常事態用に』と、靴の中にお札を隠して街を歩いたこと、
旅行中に一男が体調不良で意識を失いお店の商品を壊してしまった時、店主に足元を見られて弁償代として三十数万円を要求されたが、九十九は一男を早く病院に連れていくために、交渉することなく言われたままの額を一男の代わりに支払っていたこと、
九十九がモンゴルでも『芝浜』のテープを聞いていたこと、
一緒に広大な砂漠を眺めた後、砂の上で九十九の『芝浜』を聞いたこと、
当時 九十九は実は株で儲けて貯めた1億円を持っていて、金の使い道に困っていたが、旅行中にバイカムの仕組みを思いつき、すぐに実現したくなったために大学を中退して起業すると決意したこと、
そして、九十九が「『お金の正体』が知りたい」と語っていたこと。

モンゴルでお金について語る九十九 ©2018映画「億男」制作委員会

旅行の記憶と共に九十九の性格も改めて思い出した一男は、その日以来 九十九を探すのをやめた。

一男が九十九探しをやめて何日か経った。
一男は万左子に記入済みの離婚届を渡し「考え直してくれないか?」と聞いた。
「お金が戻ってきたら、借金返して家を買おう。
今まで我慢してくれてた分 好きな物も、美味しい物も何でも買ってやる。
そしたらまた昔の俺たちに戻れるはずだ。
だから、また一緒に暮らさないか?」とも付け加えた。
万左子は静かに答えた。
「やっぱりあなたは変わってしまった。
借金して、あなたの中に『お金』が住みついて、あなたから色んな『欲』を奪ってしまった。
あなたが変わらなければ、私はどれだけ借金があろうと耐えられた。
でも、今のあなたとはもう無理。
どれだけ贅沢な暮らしをしても、あの頃のように戻れるとは思えない。」
万左子は離婚届をバッグの中に入れた。

その後、一男と万左子は年に一度のまどかのバレエの発表会を鑑賞した。
楽しそうに踊るまどかを見ていると、一男は昔の自分と家族のことを思い出した。
万左子との出会いが一男の働く図書館だったことや、
本を通して徐々に万左子と仲良くなっていったこと、
やがて結婚してまどかが生まれ、一緒にまどかが成長していくのを幸せな気持ちで見ている自分と隣で笑う万左子。
気がつけば一男は声を殺して泣いた。
恐らく万左子も同じことを思い出していたのだろう、彼女も一男の隣で泣いていた。

1人帰りの電車に揺られていると、ある駅で、見慣れた大きなリュックとボストンバッグを持った男が乗車した。
男はボストンバッグを一男が座っている席の隣にドスンと置いた。
九十九だ。
九十九は驚いている一男の膝の上にリュックを置き、言った。
「あの日から1グラムも変わってない」
※本記事では省略しましたが、冒頭で九十九が「一万円札の重さは1グラムだ」と話しています。

一男は落ち着きを取り戻すと、九十九に聞いた。
「俺はお前を信じてた。
九十九が俺の金を持って逃げるとはどうしても思えなかった。
お前がやりたかったのは『芝浜』なんだろ?」
九十九は『芝浜』の女房のように、突然大金を手にした一男がおかしくならないように よく考えた上で、一男の金を持って一時的に消えていた、ということのようだ。

また、九十九は『お金の正体』について、大学時代に1億円を手に入れた時からずっと考えていたが、まだ答えが見つからなかった。
そしてその答えは、「一男に『お前を信じていた』と言われた瞬間にやっと見つかった」と明かした。
その答えとは『お金の価値を変えるのは人間で、使う人によって重くも軽くもなる』ということだった。
九十九は「一男、ありがとう。俺たちは100点コンビのままだ」と嬉しそうに言うと、次の停車駅で降りていった。
電車を降りた後、九十九は一男を振り返り「また夢になるといけねえ」とつぶやいた。

その後、九十九は空港で靴にお札を入れると海外へ旅立っていき、一男は戻ってきたお金で一番最初に、まどかが欲しがっていた自転車を買った。

・主題歌
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解説・考察・感想など!

映画「億男」解説・考察|九十九の行き先、お金の正体、芝浜についてなど

一男に起きた出来事は、九十九が落語の『芝浜』に基づいた行動を一男に仕掛けて、一男にお金のことを考えてもらおうとしたものだったんですが、そもそも『芝浜』ってどんな話だったんでしょうか?
私自身もあまり落語に縁がないため、本作で初めて知った落語のお話です。

『芝浜』の簡単なあらすじ

魚屋の旦那は大の酒好きでした。
最近は仕事もせずに酒浸りの生活を続け、もうじき月をまたいでしまうほど何日も働いていません。
見かねた女房が旦那に説教して、旦那は明日から仕事に行くと約束しました。

翌朝。旦那は女房にたたき起こされて、朝方に魚市場に出ました。
しかし、女房に起こされた時間が早すぎて市場はまだ開いていませんでした。
旦那が時間つぶしと目覚ましがてら海で顔を洗っていると、旦那が立った場所のちょうど真下に、砂に埋もれていた革の財布を見付けました。
拾って中を見てみると、42両も入っていました。
(現在の物価から換算すると、1両=13万円になるようなので、旦那は42両=546万円を拾ったことになります。)
旦那は大喜びして魚市場には目もくれずに帰宅し、女房に拾った財布を見せました。
そして「これでしばらくは働かなくていい!お祝いだ!」と友人を集めて酒を飲みまくりました。

翌朝。旦那はまた女房に無理やり起こされて「仕事に行っておくれ!」と言われました。
旦那は「大金を拾ったんだから、働かなくていいだろう」と言いまいたが、女房は「そんなお金どこにもありませんよ。お金欲しさのあまりに夢でも見たのかい?」と言うばかりです。
女房が言うには、旦那は昨日も働かずに友人と酒を飲んで寝ただけだったそうでした。
ショックを受けた旦那は酒をきっぱりとやめて真面目に働く決意をします。

それから3年が経ちました。
旦那は元々腕が良かったので、やがて常連客が何人もつき、巷でも「旦那にさばいてもらうと同じ魚でも味が違う」と言われるほどになりました。
お客さんに褒めてもらうと旦那も嬉しくなり、今では働くのが大好きになりました。

そんなある日。旦那の機嫌がいいのを見計らい、女房は旦那に『財布についての真相』を告白しました。
旦那が大金が入った財布を持って帰ったのは事実でしたが、女房は『まともに働いていない旦那が突然贅沢をするようになれば、窃盗を疑われて逮捕されてしまうかもしれない』と考え、旦那が寝ている隙に大家さんに相談することにしました。
そして大家さんのアドバイス通り、旦那には「財布は最初から拾っていなかった」ことで貫いて、財布は落し物として役所に届け出ていたのでした。
そして月日が経っても落とし主は現れず、財布は拾った旦那の物となり女房が役所から受け取りました。
旦那に本当のことを話すまでの間、財布は大家さんに預けていたんだそうです。

今、財布は旦那と女房の目の前にあります。
女房は騙していたことを旦那に謝りました。
旦那は女房を責めることなく、女房に感謝した。
「騙してくれてありがとう。
あの時の俺は舞い上がってて、疑われるかもなんて考えてもみなかった。
金をすぐに使っていたら、今頃は牢屋で震えてたかもしれねぇ。
俺はおかげで酒もやめられて、仕事は楽しくて仕方がねぇ。
今となっちゃこんな大金、何に使っていいのかも考えつかねぇや。」

女房は使い道を考えていたようで、旦那の新しいお店の開店資金に使ってはどうかと提案すると、旦那は喜んでそうすることに決めました。

女房は3年間頑張ってきた旦那をねぎらおうと「今日ぐらいは飲んでください」と特別良い酒を用意しました。
旦那は頷いてお酒を口に近づけましたが、「よそう。また夢になるといけねぇ」と言って酒を飲みませんでした。

少々長くなってしまいましたが、こんな感じの話でした。
説明せずともわかると思いますが、一男=旦那、九十九=女房として、九十九は一男の金を持ち去りました。

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ちなみに作中で一男が演じていたのは『死神』という演目でしたね。
私でもざっくりしたあらすじを知っている演目なので、もしかしたら一番有名な話なのかもしれません。

次は『死神』についてもざっくりあらすじ載せておきます。
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『死神』の簡単なあらすじ

映画「億男」解説・考察|九十九の行き先、お金の正体、芝浜についてなど

金に困って自殺しようとしている男がいました。
死に場所に迷っていた男の前に死神と名乗る老人が現れて言いました。
「お前さんの寿命はまだたっぷりあるから、死のうとしても死ねないよ。
お前とは3代前の先祖からの縁があるから、ここはわしが1つ、お前さんに金もうけさせてやる。」

老人は、男に死神が見えるまじないをかけたから医者になれと言います。
もし患者の足元に死神が居れば、※呪文を唱えれば死神は消え、患者はまた元気になるのだそうです。
※呪文は演者が自由に決めて良いので、特に決まった呪文はありません。

ただし、死神が枕元にいたときは、その人の寿命はもう尽きかけているので、何もしてはいけないと忠告されました。
「そうして人助けをして金もうけをすればいい」と言うと、死神は男に呪文を教えました。
男が呪文を繰り返すと、死神は消えてしまいました。

男は家に帰ってすぐに医者の看板をかかげました。
その後、男は足元に死神がいる患者に呪文を唱えて死神を消すと、患者はたちまち元気になって、男は医者として大成功しました。

しばらくは順調で豪華な生活を送っていましたが、それから何人も枕元に死神が居る患者に当たってしまい、男の評判はガタ落ちしてしまいます。
気が付けば男はまた貧乏になっていました。

ある日、町でも有名な店を経営している富豪の部下が、男に助けを求めてきました。
男が言われるがまま患者を見てみると、やはり今回も枕元に死神がいます。
男はもう諦めるように部下を説得しますが、部下は「一か月だけでも寿命を延ばしてくれたら大金を支払うから」と引きません。
部下の粘りと報酬の多さに負けた男はどうしようかと考えて、手伝いを数人頼んで再び患者の前に立ちました。
男の合図で患者の布団を180度回転させて、死神が足元になった隙に急いで呪文を唱えると、死神は消えました。
患者はすぐに元気になり、男は多額の報酬を手に入れることができました。

その後、男の前に死神の老人が現れて、男をろうそくがいくつも並ぶ部屋に案内しました。
「このろうそくは人間の寿命だ。
例えば、この太くて長いのがお前の息子のろうそく。
お前のろうそくはこれだ。」

そのろうそくはとても短くて火も弱く、今にも消えてしまいそうでした。
男はびっくりして「はじめて会った時、俺の寿命はまだまだあると言ってたじゃないか!」と言いました。
死神いわく、男が富豪を救うためにズルをしたため、富豪のろうそくと男のろうそくが入れ替わってしまったそうです。

死神は「こっちに火を移せたら、お前の寿命は延びる」といい、消えて転がっていた燃え残りのろうそくを差し出しました。
男は震えながら消えかけの自分の火を燃え残りのろうそくに移そうとしましたが、火は移すまえに消えてしまい、男は死んでしまいました。

この話のラストは色々とアレンジされていて、演者によって様々なラストがあって楽しいです。
デフォルトのラストは『ろうそくの火を移すのに失敗して死ぬ』ですが、『火を移すのに成功して生き延びるけど、その後何かがあって火が消えて死ぬ』バージョンもあります。
気になった方は聞いてみてくださいね(^o^)

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九十九はクラブで何をしていた?

一男と十和子が話をした際、十和子の過去の回想で、クラブで派手に着飾った十和子が座っていて、何人もの男に口説かれていて、その十和子の姿を九十九が少し離れた場所から見ているシーンがあります。
九十九はクラブで何をしていたのかが一瞬わからなかったので、考察していきます。

作中では明確に明かされませんが十和子と九十九は元恋人で、原作小説ではお金絡みで破局したと書かれています。
九十九は恐らく、十和子と一緒にお金の正体を知るための実験のようなものをしていたのだと思われます。
十和子を着飾らせて金持ちが集まるクラブに1人でいるように指示したのは九十九で、九十九は十和子をエサにして男たちに十和子を口説かせて、『女と金(と男)』の関係を探ろうとしていたのでしょう。
恐らく十和子はどこかに盗聴器の類のものを付けて、九十九は少し離れた場所から男と十和子の会話を盗み聞きしていた図だったんだと思われます。

そしてこの実験は十和子の考え方に影響を与えてしまったらしく、十和子は『男の金銭感覚』のみで結婚相手を決めました。
十和子の過去は語られていないのでわかりませんが、作中の言葉を借りて言うとよくも悪くも十和子の中にもお金が住みついてしまったんでしょうね。

最後、九十九はどこに行ったのか

物語のラストで、九十九は空港にいます。
流れ的には、九十九はあの後モロッコに飛び立つと考えるのが自然だろうと思います。
靴の中に忍ばせていたのも多分モロッコの紙幣でしたし、モロッコは一男にとってもですが、九十九にとっても特に思い出深い場所です。
お金についての答えを見つけた後で旅するモロッコは、九十九に当時とはまた違う景色を見せてくれるのではないでしょうか。

それぞれにとってのお金について

映画「億男」解説・考察|九十九の行き先、お金の正体、芝浜についてなど

(引用:https://movie.jorudan.co.jp

主人公の一男はバイカムの元重役3人に会い、それぞれのお金に対する価値観を知っていきます。
バイカムの元重役や一男はお金のことをどう考えていたのかしらと思ったので振り返ります。

まず、九十九が一男と再会して発見したお金の正体は『お金で性格が変わる人は沢山いて、変わった原因はお金が持つ力のせいだと思い込んでいるが、本当は自分を変えたのは自分自身だ』ということです。
九十九がそばで見てきたバイカムの元重役はお金によって変わってしまった人々です。
一男が会った百瀬、千住、十和子はお金によって変わった後の姿でしたが、九十九はバイカムの起業からずっと一緒だったので、3人の変化を一番知っています。
特に百瀬と千住はバイカムを起業したばかりの当時は(見た目が今よりまともだったので)、それぞれが夢や信念を持って日々努力しながら働いていたんだと思います。
その判断材料が口調と見た目でしかほぼわからなかったので、個人的にはもう少し百瀬と千住のビフォーアフターを詳しく描いてほしかったです。

謎の女あきらはあまり主要キャラではなかったですが、彼女にとってお金は『男の良し悪しを測るためのもの』でした。
それは、彼女がアドレス帳の名前欄に「億男」と「雑魚」と振り分けていることから判断できます。
ちなみに、本作の主要キャラの名前に数字が入っていますよね。
一男、万左子、百瀬、千住、十和子はわかりやすく、まどかはひらがなですが、漢字に直すとしたら「円」が連想できます。
あきらも平仮名で何か数字と関連がないかなーと考えましたが特に何も思い浮かばないですし、彼女はどちらかと言うと一男が九十九の関係者に出会うためのきっかけの役割だけだったので、数字とは関係ないのかもしれません。

百瀬にとってのお金は『実体の無いもの』です。
百瀬が一男にかけた言葉は『お金は実体があってもなくても、お前の頭の中を出たり入ったりした。お金とはそういう物』という類のことでした。
また、百瀬はお金の力を利用して一男とあきらをもて遊ぶような言動をして『お金は実体が無い』ことを証明しようとしていましたね。
後にあきらが「百瀬さんは会社が上手くいってないらしい」とも言っていたので、それが事実だとしたら、百瀬は恐らく競馬場のビップルームにいただけで、本人も実は競馬はしていなかったのかもしれません。
じゃぁ百瀬は何をしていたのかということになりますが、現実逃避(息抜き)か、金持ちの気分に浸るため(自分がそう思い込む、または周囲に思わせるため)にあの場にいたか、ビップルームで誰かがお金儲けの話を持ってきてくれるのを待っていたのかもしれません。

千住にとってお金は『誰もが信仰する宗教のようなもの』でした。
その価値観を象徴していたものが『ミリオネア・ニューワールド』です。
作中では特に語られていませんが、原作では、千住が『ミリオネア・ニューワールド』を立ち上げたのは脱税目的だったことが明かされています。
一番金を崇めていたのが千住だったわけですが、彼には愛人(?)と子供が何人もいて、彼女たちを養うためにもお金がたくさん必要なのかもしれません。

十和子は『お金を持っていること』に意味を見出すタイプでした。
バイカム売却で手に入れた10億円を、狭い団地住宅の一室の壁と床にびっしり入れて保管していました。

最後は一男になりますが、彼にとってお金は、最初は『家族を取り戻して元の幸せな生活に戻るために必要なもの』でした。
百瀬、千住、十和子、九十九と接して一男はお金のことを知り、万左子にも「変わった」と指摘されて、お金に翻弄されていた自分に気付くことができます。
そして九十九との再会と万左子との別れを経て、一男は初心に返り、お金にとりつかれる前の自分を取り戻しています。
九十九に3億円を帰してもらった後に一男が最初に買ったのは『娘の自転車』だったので、一男にとってのお金は『愛する人に喜んでもらうために使うもの』に変わったのではないでしょうか。

感想~

(引用:https://ameblo.jp
シリアスめな内容の映画でしたが、違和感がたくさんあって私はあまり楽しめませんでしたm(__)m
なので、今回は辛口(悪口)になってしまうと思います。

まず、佐藤健が妻子持ちの男に全く見えません。

次、一男がお金と九十九が消えたことに気付いた朝、床に一男がばらまいた一万円札が何枚も散らばっています。
あり得ないと思いました。だって絶対に誰かが全部拾うだろと思いませんか?
私だったら絶対に拾って帰りますww
あのクシャッとなって床に落ちていた万札が、これから一男がお金を失う暗示なんだろうとは思いますが。。
もしかしたら九十九が気を利かせてお金持ちしか呼んでなくて、誰も拾わずに帰ったのかもしれませんが、それでもやっぱりお金持ちにもケチがいたりお金好きな人は沢山いるはずなので、散らばってたお金の量が異常というか、違和感がぬぐえません。

そして、パーティ中の一男とあきらの出会いも。
初対面で突然携帯奪って勝手にライン交換して「消したら殺す」とか言う人います?笑
ラブコメとかなら許容範囲だと思うんですが、誰にでも起こりそうなリアルさを演出しようとしている作品だと思ったので、余計に変に感じてしまいました。

北村一輝が演じたエンジニアの百瀬は、もはやコントでしょ。
『変人っぽさ』と『胡散臭さ』を出したかったのかなーと思いますが、毛はヅラと付け髭にしか見えなかったし、お腹も夫が妊婦体験の時に着けるようなやつとか入れてるように見えて不自然だし、『これは演技です』感がすごいというか何というか、とにかく違和感ありすぎで・・・
北村一輝 好きな俳優さんなんですけど、全然ピンときませんでした。

藤原竜也が演じた千住も、アドバイザーの時と教祖の時とで名前は一緒なのに、わざわざカツラをかぶる(外見を変える)意味がわからなくて違和感でした。

最後に一男があっさり九十九を許しちゃうのも、というか盗まれてすぐの時に警察に行かない一男に違和感。
途中で九十九の狙いに気付いて探さなくなるのはわかるんですが、もし私が同じ目にあったらお金と友人が一緒に消えて、携帯も繋がらない時点で警察に駆け込むと思いますww
いくら親友だとしても会うのが10年ぶりだし、お金を持って消えた友人を信じてあえて警察に行かないって中々出来ることじゃないと思います。

そもそもストーリーの要だった『芝浜』もどんな話なのか説明が無いので、私みたいに落語を全然知らない人にとってはわかりづらい。。
というか、『あなたにとってお金とは何?』と問いたいのはわかるんですが、登場人物全員が富豪だし普通の人があまりしない体験をしてきたような人ばかりでどこかぶっ飛んでたり、『お金持ちが考えるお金とは』みたいな考え方しか出てこなくて共感できるような『お金とは』があまりなかったです。

・・・指摘ばっかりですみませんm(__)m

良かった点は、佐藤健のオーラの消し方、お札を入れると何度も返って来る牛丼屋の券売機、藤原竜也の「お金は神」の辺りの演技、お金について考えさせられること、でした!

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