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真一郎はなぜ隠蔽しようと言ってしまった?
無かったことにしようと最初に言ったのは、ウソをつくのが苦手だったはずの真一郎でした。
赴任したばかりだった真一郎は、大先輩の岡田(寺島進)から「小さな犯罪は真面目に取り締まるが、島民の人達が困る事態になりかねない場面では忖度が必要だ」と教わりました。
人口の少ないこの島では、上手く立ち回るために島民からの信頼を得ることがとても重要になります。
逆を言えば島民の信頼が無ければ、この島では生きていけません。
本来なら真一郎は犯罪を取り締まる立場のはずですが、狭い人間関係の場では、時には犯罪の取り締まりよりも島民の暮らしを優先して罪に目をつぶった方が良い場面が多々あったようです。
真一郎の先輩(寺島進)はその辺の采配が上手に出来ていたようですが、真一郎はまだ若かったからか采配を間違えてしまったのです。
赴任したばかりだった真一郎は小御坂の死亡に対するベストな対処方法がわからず、仲間意識だけを優先してしまったのでしょう。
真一郎が自殺した理由
真一郎は、「子供の頃からこの島の駐在員になるのが夢だった」と言っていたので、正義感や責任感が強い性格なのでしょう。
ところが実際に職務に着いてみると、前任者の岡崎は島民の違法行為を当然のように目をつぶり「この島で良い駐在員になるためには忖度が必要」とも言われ、夢と現実のギャップに驚いていました。
自死を選んでしまったのは、間違った正義のために警察を裏切って嘘をつき続けることへの罪悪感や、隠蔽を発案したせいで事態が泥沼化してしまったことに対するの自責の念に耐えられなくなったからではないでしょうか。
耐えられなくなってしまったけれど、島を守りたい気持ちに嘘はなく、前任者 岡崎(寺島進)の『島民のかさぶたになれ。どこかで血が流れていれば、自らが体を張ってその血を止めることに専念すれば良い』という教えを実行しようとしたのでしょう。
横田庄吉が庄司町長を襲ったのはなぜ?
横田老人(柄本明)は突然現れて町長(余貴美子)を襲ったので驚いてしまいました。
2人の関係性がわかる描写は無かったので何とも言えませんが、横田の娘や純は横田老人を「ボケてる」と言っていたので、町長に教えてしまったのも、襲ったのも、全てボケが原因なのかもしれません。(乱闘シーンもコミカルでしたし)
もしくは横田は長年の付き合いで町長の真の性格を知っていたし役立たず呼ばわりされていることもわかっていたので、横田は町長に長年の恨みがあり、最初から殺すために呼び出したのかもしれません。
襲い掛かった時に横田老人が叫んでいた内容や遺言が「圭太、頼んだ」以外ほぼ聞き取れなかったので、もっと聞けていたらわかるかもしれません。。
畠山の手の血
真一郎の遺言動画を見た後の畠山の手の平には血が付いていましたが、真一郎のスマホに血が付いていたわけではありませんでした。
あの手の血は、恐らく真一郎が言っていた『かさぶた』を畠山が剥がそうとしていることの暗喩だったように見えました。
純が圭太を嵌めたと畠山が気づいたのは?
©筒井哲也/集英社©2022映画「ノイズ」製作委員会
畠山は守屋のお墓の前で、純が圭太を陥れて罪を被らせたことを見抜いていたと明かし、「終わったと思うな」と宣戦布告しています。
確かに、圭太は正当防衛の末の死亡事故と死体遺棄ですが、純は庄司を殺意を持って殺した上に死体遺棄なので罪は純の方が重いです。
畠山は名探偵さながら色々なことによく気付きます。
圭太と純の関係について、畠山が何かおかしいと最初に感じたのは恐らく、圭太が小御坂の履歴書の存在を知らなかったことからです。
圭太の「なんのことだ?」は、疑っている側から見るととぼけているようにしか見えない気がしますが、畠山は圭太が本当に知らなかったと見抜いたのでしょう。
その後を予想
島民達が盛り上がっていた『5億円の復興支援金』は、残念ながら内定取り消しになってしまうでしょう。
駐在員だった真一郎の自殺、小御坂の犯行と殺害、島の要だった黒イチジク生産者の圭太が逮捕されてしまっては、どう考えてもありえません。
新町長になった野毛は、可哀そうですが5億円をもらえないとわかった島民から見放されてしまう気がします。
原作漫画では内容はかなり違うものの、純と加奈はその後結婚しています。
映画で圭太が逮捕された後の、加奈の「私は圭太を待ち続ける」という発言は、彼女が純の好意を知った上であえて言っているように見えます。
しかし、圭太の「純を信じてやれ」という言葉の裏には「俺と一緒に居ても苦労するから、これからは純と一緒に生きていけ」という含みが感じられます。
純も純で、いつか加奈を手に入れると心に決めているとしたら、純と加奈がくっつく日が来るのかもしれません。
そういえば加奈は島から出たがっていたので、もし圭太と別れたら島を出るのではないでしょうか。
恵理奈の紙芝居の意味
皆で遊園地に遊びに行きました
とっても暑かったので アイスクリームを食べました
とっても美味しかったです
冒頭とラストで3回も登場する恵理奈の紙芝居です。
もし覚え間違いがあったら申し訳ないですが内容は大体こんな感じだったと思います。(もし間違えていたらコメントください(__))
意図がわからなくて一晩考えたんですが、これは恵理奈が過去に遊園地に連れて行ってもらったなどの『思い出紙芝居』ではなく、『妄想紙芝居』だと考えたら納得いきました。
この紙芝居が妄想だとしたら、島から出てみたいという恵理奈の思いが込められていることになります。
この島に遊園地はありませんし、ヒマワリも見かけませんでしたし、圭太は加奈と恵理奈を島の外に連れ出したことも無さげだったので。
加奈がこの紙芝居を圭太に読み聞かせたのは、加奈に島の外で暮らしてみたい願望があり、恵理奈もそう思っていることを圭太に訴えていたのです。
そして、刑務所で圭太が泣きながら紙芝居のフレーズを繰り返すのは、圭太は加奈と恵理奈の意見もノイズ扱いしてきた(意に反することや都合の悪い意見は無視していた)ことを自覚して後悔していたように見えました。
以上です!読んで頂きありがとうございました。
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感想などお気軽に(^^)
加奈のセリフですが、
「圭太〜、恵里奈いたよ。庄吉さんちで遊んでたんだって」
でした。
匿名 さん
情報ありがとうございます!
再鑑賞できていなかったので助かりました(^^)
先ほど『ノイズ』を観てきました、
疑問に思ってた点がこちらですべての答えが見つけられて、大変スッキリしました‼︎ ありがとうございました‼︎もう一回人物の細かい変化に注目して観てみたいと思います。