結末
(御前会議 引用:https://twitter.com)
大阪での御前会議の日。
ゼノックスの徳山社長(北大路欣也)、副社長の田部(木下ほうか)、常務の梨田と、もう1人の重役(井上肇)が参加します。
TKDからは宮野社長、村西副社長、北川部長が集まりました。
宮野と北川がネジの強度偽装について状況説明した後、村西は会議室に八角と坂戸を入れました。
宮野たちに責任追及する梨田をに、八角は『20年前の出来事』を語ります。
20年前、ある大手鉄道会社が座席の発注先を決めるためのコンペを開催し、当時のTKDは社運をかけてコンペに参加しました。
その当時、八角と北川の上司だった梨田は、コンペに提出する座席の強度に関する資料のデータを改ざんするよう2人に命じました。
耳を疑う八角と北川に、梨田は「もし不正が発覚しても『下請けが勝手にやった』と言えば問題ない」とも追い打ちをかけます。
この時、八角は悩んだ末に改ざんを断り、北川は梨田に従いました。
それ以降、八角は出世の道を閉ざされ、梨田に従った北川は出世街道を突き進むことになりました。
そのコンペでTKDは見事発注先に選ばれて、梨田は堂々たる実績を手にゼノックスに戻り、北川も出世しました。
しかし、その電車の座席が新品に交換されるまでの数年間、八角と北川は「いつ事故が起こるか」と気が気ではなかったと語りました。
次に、坂戸がネジの強度偽装を行うことになった経緯を話し始めました。
それは坂戸が一課長に就いたばかりの2年前にさかのぼります。
坂戸は、とある大手航空会社のコンペを「絶対に勝ち取れ」と北川から命じられました。
コンペで勝つためには、他社より少しでも安いコストで部品を仕入れる必要があります。
坂戸は北川からもらった取引先候補リストの企業に営業をかけていき、トーメイテックにたどり着きます。
そこで坂戸はトーメイテックの江木恒彦(立川談春)から、ネジ強度のデータを偽装してコストを抑える方法を打診されました。
坂戸は一度は断りましたが、北川からのプレッシャーに耐えきれず渋々誘いに乗ったと打ち明けます。
しかし、下請けが自ら不正を持ち掛けるのは普通ならありえない話でした。
「責任逃れの作り話では?」という声が上がる中、八角は数日前に江木と話した時のボイスレコーダーを流します。
そこには江木が「全部、宮野社長の命令でやりました」と白状する声が録音されていました。
当時、宮野は業績不振による将来への不安から、大手航空会社のコンペを勝ち取るために『ネジの強度偽装』を思いつき、同郷の後輩だった江木に声をかけて強引に承諾させました。
そして、トーメイテックの名前が書かれた新規取引先候補のリストを北川を通して坂戸に渡し、坂戸がトーメイテックにたどり着くように仕向けました。
宮野は「業績が安定してからネジを交換すればいいと思った。20年前に梨田常務が行っていた強度偽装を真似した」と言い訳しました。
梨田が徳山に睨まれて縮こまる様子に、北川は痛快感を抑えきれませんでした。
こうして不正の全容が明かされましたが、徳山は「この会議に議事録は存在しない」と締めくくって会議を終わらせます。
それは、徳山もまたネジ偽装の件を世間に公表する気がないという意味です。
「こうなったら自分でマスコミや国交省にリークするしかない」と考えた八角が会社に戻ると、TKDの社内からトーメイテックのネジに関する資料がまるごと消えていました。
御前会議をしている間にゼノックス社員がTKDに現れて、資料とデータを片っ端から持ち去っていました。
わざわざ大阪で御前会議をしたのは時間稼ぎのためで、徳山は初めから隠蔽するつもりだったのです。
その日の夜。北川は八角に「俺もお前みたいな勇気が欲しかった」と言い、北川のオフィスに落ちていたというトーメイテック社製のネジを渡します。
それはゼノックスの社員が見落とした唯一の証拠でした。
(八角にネジを渡す北川 引用:https://twitter.com)
1週間後。八角の活動と1本のネジが功を奏して国交省が動き、TKDのリコール隠しが世間に暴かれました。
その後、TKDには営業一課だけが残され、他の部署は全て村西が立ち上げた新設会社に吸収されました。
宮野は特別背任容疑で告訴され、坂戸は八角の知人の会社に再就職しました。
北川は脱サラして実家のバラ園を手伝い始め、今は食用バラの開発に励んでいます。
ゼノックスの徳山社長は全ての責任を梨田に取らせて社長の座に居座り、梨田は地方の子会社に左遷されました。
TKDの営業一課は膨大に残る残務処理のためだけの存在ですが、原島と八角が部下たちと仲良く仕事をしています。
浜本は予定通り退職した後は個人経営のドーナツ店に就職し、TKDに毎日ドーナツを運んでいます。
考察や感想など!
池井戸潤原作、監督はドラマ『半沢直樹』を担当された福澤克雄ということで、かなり半沢直樹の雰囲気を彷彿とさせる作品でした!
会議が七つあったかどうか確認
タイトルの七つの会議が実際にはどの会議だったのかが気になったので、思い出しながら整理していきたいと思います。
原島がまだ二課長だった頃の売り上げ報告会議です。
初っ端だったこともあって強く記憶に残っています。
②6月定例会議
坂戸が一課を去り、原島が一課長になって初めての定例会議です。
このとき原島が座っていたセルーラが壊れました。
③社内環境改善会議
浜本がドーナツ企画を提案していた会議です。
④4月の秘密会議
八角がネジの不正に気付いて北川に報告した後、屋上で行われた秘密会議です。
外での立ち話だったので微妙ですが、関係者が揃っていたので会議と捉えます。
⑤6月の秘密会議
ネジの不正について宮野社長が隠蔽すると発表した会議です。
⑥トーメイテックでの会議
八角、原島、浜本が不正の真相を探るためにトーメイテックの江木に尋問を行った会議です。
真犯人が暴かれる重要な場面です。
⑦御前会議
ゼノックスの徳山社長が参加した一番最後の会議です。
以上で七つの会議になると思うんですが、原作小説ではもっと多くの会議が行われていたようです。(原作未読です、すみません。)
八角が会議中に居眠りしていた理由
八角が会議中に居眠りしていたのは、坂戸課長を怒らせるための演出のひとつだったようです。
もうひとつの理由は、八角は社長に「リコールは検討するから待て」と言われていた待ち期間でもあったので、「果報は寝て待て」を北川の目の前で行うことで、「賢明な判断をしてくれると信じて待ってます」とアピールしていたようにも見えました。
七つの大罪との関わりは?
また、「七つの○○」というフレーズからは「七つの大罪」を連想します。
七つの大罪というのは、キリスト教における『人間を破滅へ導く七つの罪深い感情』みたいな教えで『傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲』です。
八角が「人間は愚かで強欲だ」というような発言もしていましたし、登場キャラの性格などをよくよく思いかえしてみると、わりと当てはまっていたと思うのですが、皆さんはどう思われましたか?
キャラクターの性格や行動を七つの大罪の感情に当てはめてみます。
ゼノックスの常務 梨田(鹿賀丈史)のキャラクターそのものです。
・憤怒=北川
部下からは「鬼」と恐れられ会議で怒鳴り散らかしていた北川(香川照之)が当てはまります。
・嫉妬=飯山
この映画で最も嫉妬深かったのは、北川に出世で先を越されていた経理部長の飯山(春風亭昇太)ではないでしょうか。
・怠惰=八角
怠惰キャラだったのは八角(野村萬斎)です。
・強欲=佐野
1人のキャラに絞るのは難しいですが、一番強欲だったのは1つのネタから三兎を得ようとしていたカスタマー室長の佐野(岡田浩暉)だと思います。
これに関しては梨田、宮野、徳山なんかも当てはまりそうではあります。
・暴食=新田?
難しいですが、ドーナツ泥棒で破滅したのは経理部の新田(藤森慎吾)なので、当てはまるかな?
・色欲=浜本?
新田か浜本か迷いますが、新田は暴食で挙げてしまいましたし、不倫に囚われていたキャラで女性社員の浜本(朝倉あき)が妥当かなと思います。
実質的な主人公だった原島が七つの大罪の罪に何も当てはまらない人物でした。
ついでに私個人の感想を書くと、現代の物語として描かれた作品でしたが、雰囲気はかなり昭和~平成初期の香りが漂っていたように感じました。
「御前様」という言い方もそうですが、パワハラやセクハラの意識が社会に浸透した今、あんなにあからさまにパワハラ行為が横行している会社ってあるのかなと思ってしまいました。
私が世間知らずなだけかもしれませんが。
あとは、野村萬斎さんが現代人役を初めて演じたということもあってか萬斎さんの浮きっぷりが半端なかったです(笑)
全体的な声の出し方もそうでしたけど、「ヒッヒッヒ」が特に違和感ありました。笑
悪口みたいになってしまいましたが、私は野村萬斎さんが好きです。
以上です!読んで頂きありがとうございました。
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