映画『マイノリティ・リポート』徹底解説|それぞれの思惑など13の考察、原作との比較など | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『マイノリティ・リポート』徹底解説|それぞれの思惑など13の考察、原作との比較など

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SF

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ジョンがマイノリティ・リポートを求めた理由

ジョンとハイネマン博士が会う辺りから話が複雑化してくるので整理します。
ジョンは博士との会話でマイノリティ・リポート(少数報告)の存在を知ります。

ジョンの殺人予知は、プリコグの2人か3人全員が見たマジョリティ・リポートであり、ジョンはそれが捏造された予知だと確信しています。
なので、プリコグがもしジョンの事件に関して別の予知夢を見ていたとすれば、そちらが真実に違いないと考えたからです。

 

バーチャル・クラブで名誉欲を満たす男

マイノリティ・リポート

©2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

ジョンがアガサの予知内容を取り出してもらうために訪れたバーチャルクラブは、現実世界では叶えられない密かな願望、欲望をバーチャル世界で体験できる施設でした。

その客の中に、沢山の人々から称賛され名誉欲を満たしていた男が印象的でした。
後のバージェスの記者会見で、この客とバージェスが非常に似た立ち位置になるシーンがあったので、バージェスは名誉欲のために犯罪に手を染めていたことが示唆されています。
これは、彼が自殺を選んだ理由でもあります。




社会科見学の子どもたち

小学校高学年位の子どもたちと、彼らの教師らしき男性が犯罪予防局の前で校外学習していて、先生はプリコグについてこう説明しています。
彼らは騒音から隔離された場所に居て、部屋にはベッドやテレビ、ジムもある快適な生活をしている

これは実際のプリコグたちの生活とはかけ離れているものです。
なぜ教師がそのような説明を行ったのかというと、犯罪予防局(バージェス)がプリコグの普段の生活について、教師が話したような内容を世間に公表しているからです。
そもそも彼らは薬漬けにされて人間扱いすらされていませんから、本当の状況を知れば世間から非難の声が出るのは間違いありません。
このように情報操作をするのも、全てはシステム存続のためです。

 

ジョンの犯行現場に捜査官が来なかったのはなぜ?

ジョンの犯行時刻になった時、予防局の捜査隊は殺害現場に現れませんでした。
いつ来るのかとハラハラして待っていたのに、来なかったので逆に驚きました。
彼らは結局、プリコグが予知した犯行時刻までに現場を特定できず、通報後にしか駆け付けることが出来なかったのです。

冒頭で繰り広げられていた逮捕劇で、ジョン達が犯行現場付近に着いたとき、数軒並ぶ同じデザインの家を前に、どの家が現場なのかを特定するのに時間がかかっていましたが、ジョンの現場は巨大ホテルの一室だったので、難易度が特別高かったようです。

現場の特定が難しかったからこそ、ウィットワーはジョンが犯行現場に行く前に捕まえてしまおうと尽力していましたが、ジョンはアガサの力を借りて上手く捜査官たちから逃げ続け、犯行現場に到着しています。

ジョンがメインで犯人や場所の特定をしていた描写が印象的でしたし、実際に殺人ゼロで犯行前に容疑者全員を逮捕出来ていた点がジョンの捜査官としての優秀さを強調し、ごく限られた極めて優秀な捜査官にしか、システムを使いこなすことができない難易度の高さも示しているように見えます。

 

死んでないけど生きてもいない

アガサは自分自身を『死んでないけど生きてもいない』と言います。

それはプリコグとして生きている彼女自身の状態のことを言っていて、人間として生きることが出来ていないということです。

 

ショーン誘拐の犯人は

ジョンの息子ショーンを誘拐した犯人は結局一切登場しなかったのが残念でした。
アガサの発言の「ショーンを連れ去った男も足が速い」という発言しか手がかりがないですが、この発言から無理やり膨らませると、この誘拐犯は犯罪予防局の守備範囲であるワシントンD.C以外に逃げてしまっているのでしょう。

彼女が誘拐犯について多く語らなかったのは、彼についての現在などは見ることが出来なかったからです。
それでもアガサはショーンの誘拐現場の過去イメージを見たんですから、ルーファスにでも頼んで映像を取り出してもらって犯人を確認するなど、もう少し貪欲に行動しても良い気がしました。

アガサがショーンの将来について語っていたのは『ショーンがもし生きていたらどうなっていたか』というものです。
ショーンがもし生きていたら、父親似のスポーツ万能な青年になっていて23歳で結婚する未来があったようですが、アガサの発言が「彼はまだ6歳のまま」で締めくくられるのはショーンがもうこの世にいないからです。

次のページに続きます!

次はウィトワーの目的、システムの欠陥とは?、ラマー・バージェスの目的、原作小説との違いです。




感想などお気軽に(^^)

  1. 名無し より:

    すごく時間が経ってしまっていてすみません。
    最後の筆者様の質問に関してですが、私の拙い英語力で聴きとる限りでは、
    「殺せ、さもなくばシステムは崩壊する」と言っているようです。
    前後の文脈からしても、その時点ではジョンはシステムを信じ維持したいと思っているような台詞がある為、システム崩壊を回避したいなら予知通り殺すべき、という会話であると判断出来るかと思います。
    博士が非常に電波な喋り方な為、混乱させられますが、字幕も混乱しているのかも知れませんね。
    遅レスで大変失礼致しました。

    • mofumuchi より:

      名無し さん
      作品の該当シーンを見返すのに時間がかかってしまい、返信が遅れました。すみません。。
      回答くださって本当に助かりました!!
      大変参考になったと同時に、私の英語力の無さが浮き彫りになってしまいお恥ずかしい限りです(笑)
      質問は残しておく必要が無さそう(読んだ方まで混乱させてしまいそう)だったので削除しました。
      本当にありがとうございました((*_ _)

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