映画『ミッドサマー』の解説考察をしています!
美しい自然の中で起こる残酷な儀式の数々に鳥肌が立ちました!
可愛いと怖いが見事に融合して独特の雰囲気を味わえる素晴らしい作品でした。
多くの伏線が張り巡らされていて、公式サイトにも解説ページが作られる程丁寧に作り込まれています。
解説読まないとわからない部分も多くありましたが、この記事では私なりに登場人物たちの行動などから行動理由や目的を考察します。
映画『ミッドサマー』概要紹介
あらすじ
家族を一気に失って心に大きなトラウマを抱えた女子大学生ダニーは、民俗学を勉強中の彼氏クリスチャンとその友人たちと一緒に、スウェーデンのホルガ村で90年に一度行われるという貴重なお祭り『大夏至祭(ミッドサマー)』の見学に同行しました。
美しくも恐ろしい祭りを体験していくうち、ダニーの心に少しずつ新しい価値観が芽生えていきます。
主要キャラ紹介
ダニー…フローレンス・ピュー
アメリカ人大学生。精神を患っていた妹が両親を道連れに心中し、心に大きな闇を抱える。
彼女もパニック障害を抱え、彼氏クリスチャンに依存している。
クリスチャン…ジャック・レイナー
大学院生。ダニーとは交際4年目になるが、本当はかなり前から別れたがっている。
ペレ…ヴィルヘルム・ブロングレン
クリスチャンの友人。スウェーデンのホルガ村出身で、ダニー達をホルガ村の大夏至祭に招待した。
ジョシュ…ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
クリスチャンの友人。北欧の民族文化を専門的に研究中で、ホルガ村の夏至祭を題材に論文を書こうとしている。
マーク…ウィル・ポールター
クリスチャンの友人。短絡的で人間の三大欲求を満たすことしか考えていない。
セックスとドラッグを期待して祭りに参加。
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大夏至祭りの概要
ホルガの人々の夏至祭りについて、作中の発言などから祭りの由来や目的を推察します。
巨人ユミルについて
ダニー達が最初に喋ったホルガの賢人の1人オッドが、彼自身が着ていた衣装について「巨人ユミルを讃えるため」と言っていました。
巨人ユミルは北欧神話で『大地や木々の元になった巨人』で、巨人族の祖先でもあります。
ユミルは氷の雫から産まれた存在で、ユミルと同じように雫から産まれた雌牛のお乳を飲んで育ちました。(雌牛が育ての親)
オッドと会う少し前に牛ちゃんが登場するのも、このユミルと雌牛との関わりからです。
この雌牛から産まれるのが北欧神話に登場する神様たちです。
ユミルは彼自身の体から分身のように産まれた巨人でグループを作りますが、巨人族は原始的な存在だったせいか非常に粗暴だったため、先ほどの雌牛から産まれた神々グループと対立して、最終的にユミルと巨人族のほとんどは神に殺されてしまいます。
ユミルが流した血で大洪水が起こり、巨人族で生き残ったのは男女一組のペアでした。
その後、死んだユミルの体のパーツを使って神が海、大地、山、岩などを作り、現在の自然豊かな北欧の土地が生まれたとされています。
ホルガの人々は巨人ユミルになぞらえて、生贄を捧げていたということなのでしょう。
ダニーがメイクイーンになった後に祝福の儀式でお肉を土に埋めていたのも、ユミルの血肉が大地になったことになぞらえられていたと考えられます。
『9』という数字
ミッドサマーでは数字の『9』が重要視されていました。
北欧神話で『9』は頻繁に登場する数字で、例えば神様の子孫オーディンは知識欲が非常に強く、片目と引き換えに膨大な知識を手に入れました。
さらに、ユミルから生まれた世界樹ユグドラシルに自分自身を9日9夜縛り付けて、自分自身にグングニル(神聖な槍)を突き刺して身を捧げた見返りとして『ルーン文字の秘密』を会得しています。
また、彼らの世代別の役割については18年ごとに変化して、季節になぞらえられていました。
・18~36歳→夏(巡礼の旅をする)
・36~54歳→秋(ホルガで労働)
・54~72歳→冬(ホルガの師となる)
・72歳→肉体を自然に還して生まれ変わりを待つ(休眠期?)
9の法則になぞらえると、恐らく72歳で死亡してから18年後の90年間で1サイクルが終わり、その後また0から始まる、ということを永遠に繰り返すのがホルガの『輪』の考え方です。
祭りが9日間無かった件について
祭りの開会式で、司祭のシヴが「大夏至祭は9日間続きます」と説明してくれますが、本作はどう見ても6日位しかありません。
実は、私達が見た通常版は、お祭りの日程が3日間ほどカットされていたのです。
私はまだ観れていないですが、ディレクターズカット版には『池の儀式』でコニーが死亡するシーンや、ダニーとクリスチャンの関係がより明確にわかるようなやり取りなどが含まれているとのことです。
ダニー達のキャラクター構成と童話『オズの魔法使い』
アスター監督は、アメリカ人作家による童話『オズの魔法使い』の要素を取り入れているとコメントしていました。
その要素は、ダニー、クリスチャン、マーク、ジョシュのアメリカ人学生のキャラクター構成に取り入れられています。
オズの登場人物とダニー達をあてはめてみると、家族を求める主人公のドロシーがダニー、勇気が欲しいライオンがクリスチャン、脳(知識)が欲しいカカシがマーク、心が欲しいブリキの木こりがジョシュでしっくり当てはまります。
クリスチャンがダニーと別れたいのに別れられない理由も、明らかに怪しい飲み物を断れずに飲んでしまうのも、全て勇気がないことに由来しています。
マークが三大欲求に忠実で、倒木の神聖さが理解できないのも考える能力の欠如故ですし、ジョシュは論文のために友人やホルガを裏切る様子が目立ちました。
共鳴し合うホルガの人々
(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.
ホルガの人々は、彼らの誰かが喜べば一緒に喜び、苦痛に泣き叫べばみんな一緒に泣き叫んでいたのが印象的でした。
彼らの行動は、ホルガ全体で1つの家族(集合体)であることを強調していたように見えました。
崖から飛び降りた老人ダンが、すぐ死ねずに痛みで叫べば、ホルガの人々も痛みを共有して苦しみ、ボランティアで生贄になったウルフが焼け死ぬことへの恐怖から悲鳴を上げれば、ホルガの人々にも恐怖が伝染していました。
何というか、ホルガの人々はそれぞれが個々の人間というよりも、彼ら全員で1つの生命体で、個人個人はホルガを形成するための細胞の1つのような印象を受けました。
ダニーがクリスチャンの浮気(性の儀式)を目撃して泣き叫んだ時に、一緒にいたホルガの女性達も泣き叫んだのは、ダニーがホルガの人々に家族と認められた証拠だったのでしょう。
ペレの親の死因
ペレはダニーに「私の両親は炎に焼かれて死んだ」と言っていました。
これは9人の犠牲者たちが最期にどうなるのかを示す伏線でもあり、ペレの両親もまたボランティアで生贄になったことを意味しています。
さらにペレの両親も生贄になったということは、ホルガで人間の生贄を捧げるのは90年に1度ではなく、もっと短いスパンで行われていることも意味しています。
大夏至祭以外の祭の説明が無かったので推測しづらいですが、ペレがダニーに見せていた去年のメイクイーンの写真から、少なくとも夏至祭自体は毎年開かれているのがわかります。
今回の大夏至祭(90年に1度)がマックスの生贄9人、その他は、例えば9年に1度だったり毎年1人だったり、詳細は分かりませんが定期的に生贄が捧げられているのかもしれません。
9人の生贄をおさらい
(C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.
ざっくり死亡した順に生贄メンバーをおさらいします。
①イルヴァ…ホルガの老人。72歳を迎えアッテストゥパン(崖から投身)で死亡。
②ダン…①と同じ。
③コニー…ロンドン女子。川の儀式で溺死。(ディレクターズカット版に収録)
④マーク…アメリカ男子。ウルフにより愚か者の皮剥ぎの刑。
⑤ジョシュ…アメリカ男子。書物を盗もうとした時にハンマーで撲殺される。
⑥サイモン…ロンドン男子。古代ノルウェー発祥の人身御供を捧げる儀式『ブラッディ・イーグル(血のワシ)の刑』
⑦ウルフ…ホルガの秋世代のボランティア。神殿で焼死。
⑧イングマール…ホルガの夏世代。神殿で焼死。
⑨クリスチャン…アメリカ男子。性の儀式に利用された後、ダニーに選ばれ熊の生皮を着せられて神殿で焼死。
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次は『イングマールとウルフが生贄になった理由』、『マヤがクリスチャンを選んだ理由』、『ペレについて』、『ラストの笑顔について』、『ダニーのその後』などです!
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