『マシニスト』ネタバレ解説|アイバンとマリアの正体、伏線の数々など考察! | 映画の解説考察ブログ

『マシニスト』ネタバレ解説|アイバンとマリアの正体、伏線の数々など考察!

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サスペンス

映画『マシニスト』の解説、考察をしています。
1年前から不眠症に悩むトレバーの周囲で起こる不可解な出来事から、彼が不眠症になった原因と正体が徐々に明らかになっていく。

撮影のために体重を30kg落とした主演のクリスチャン・ベイルの不気味さも必見。

原題:The Machinist
制作年:2004年
本編時間:102分
制作国:スペイン、アメリカ
監督:ブラッド・アンダーソン
脚本:スコット・ソーサー

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キャスト&キャラクター紹介


(引用:https://www.youtube.com
トレバー・レズニッククリスチャン・ベール
不眠症の機械工(マシニスト)。仲間思いでジョーク好きだが、1年前から重度の不眠症状に悩まされていて周囲から心配されるほどこの1年で痩せこけてしまった。
やることリストを付箋に書いて冷蔵庫に貼る習慣がある。

 


(引用:https://ameblo.jp
アイバンジョン・シャリアン
ある日トレバーの前に現れた謎の男。
トレバーと同じ工場の溶接工だとかたっていたが、後に確認するとアイバンという名前の従業員は存在しなかった。

 


© 2004 Paramount Pictures Corporation All rights reserved.
スティービージェニファー・ジェイソン・リー
トレバーの馴染みの風俗嬢でトレバーの数少ない理解者。
最近離婚したばかり。

 


© 2004 Paramount Pictures Corporation All rights reserved.
マリアアイタナ・サンチェス=ギヨン
24時間営業の空港カフェの深夜番ウェイトレス。バツイチ子持ち。
毎晩のように現れるトレバーの体調を心配している。

 

ミラー(トレバーの同僚)…マイケル・アイアンサイド
レイノルズ(溶接工)…ジェームス・ディポール
タッカー(工場主任)…クレイグ・スティーブンソン
シュライク(大家)…アンナ・マッセイ
ニコラス(マリアの息子)…マシュー・ロメロ
ウェイトレス…ナンシー・クレイグ
ジャクソン(トレバーの同僚)…ラリー・ギリアード
ジョーンズ(トレバーの同僚)…レグ・E・キャシー
ファーマン監督官…ロバート・ロング
ロジャーズ検査官…コリン・スティントン ほか

あらすじ起:謎の同僚と事故

とある工場で働く機械工の男トレバー(クリスチャン・ベイル)は、1年程前から続く不眠に悩んでいます。
トレバーは昼夜を問わず隙あらば眠ろうとするものの、些細な音や光が気になって眠れません。
そのため、仕事を終えた後の夜は馴染みの風俗嬢スティービー(ジェニファー・ジェイソン・リー)と過ごしたり、少し遠い空港まで車を飛ばして24時間営業のカフェでウェイトレスのマリア(アイタナ・サンチェス・ギヨン)と雑談したり、それ以外は自宅で読書、テレビ、掃除などをして夜を明かす生活を送っていました。

ある日の深夜。帰宅したトレバーが体重を計ると54.9kgでした。

※トレバーの身長は作中で明かされませんが、クリスチャン・ベールの身長は183cmです。
身長180cmの男性の標準体重は70kg位です。

翌朝。トレバーは工場長に呼び出されて、痩せすぎからドラッグの使用を疑われて尿検査を命じられました。
トレバーは怒りを覚えますが、やましいことは無いため尿検査を受けました。

休憩中、トレバーは急に眠気に襲われました。
すかさず眠ろうとしたその時、同じ工場の作業服を着た男が話しかけてきました。
アイバン(ジョン・シャリアン)と名乗るその男は、同僚の溶接工レイノルズが逮捕されたため、代わりに出勤していると言いました。

翌日。同僚のミラー(マイケル・アイアンサイド)に「マシンの調整を手伝ってほしい」と頼まれたトレバーが振り返ると、少し向こうに仕事中のアイバンが見えました。
アイバンはトレバーを見ると、親指で首を切るジェスチャーをしてきました。
ジェスチャーの意味を考えて注意散漫になったトレバーは、調整中のマシンを誤って作動させてしまい、ミラーがマシンに巻き込まれて左腕を切断する事故が起きてしまいました。
ミラーは救急車で運ばれ、トレバーは帰宅させられました。

トレバーはTO DOメモを冷蔵庫に貼る習慣があります。
付箋に『公共料金を払え』と書いて貼ろうとすると、見覚えのない付箋が貼ってあります。
それは意味深に見えますが、何なのかさっぱりわかりません。


(冷蔵庫に貼られていた謎のメモ © 2004 Paramount Pictures Corporation All rights reserved.)

翌日。トレバーはミラーの事故の状況説明を求められました。
正直に「アイバンに気を取られていた」と答えると、工場長もタッカー主任も「そんな奴はいない」と不審がります。
トレバーは工場内を見渡しますがアイバンの姿はなく、彼が「逮捕された」と言っていたレイノルズは普通に出勤していました。
トレバーは正気を疑われて自宅謹慎を命じられました。

 

あらすじ承:謎のメモと母の日

工場から出たその足で空港カフェに行ったトレバーは壁のポスターを見て、母の日が近いことを思い出しました。
ちなみにトレバーの母親はもう亡くなっています。

トレバーを何かと気にかけてくれるウェイトレスのマリアが、母の日に彼女の息子と一緒に遊園地に行こうと誘ってくれました。


(マリアとお喋りを楽しむトレバー 引用:http://horohhoo.hateblo.jp

翌日。レイノルズはアイバンが言った通り逮捕されましたが、シロと判断されてすぐ出てきていたことが判明しました。
同僚達がレイノルズを逮捕の件でからかうので、トレバーが止めようとすると、今度はトレバーが同僚たちから「お前と一緒に働きたくない」と言われてしまいます。
レイノルズが知らん顔したので、トレバーは彼に怒りを覚えました。

工場から出て車に乗った直後、トレバーはアイバンの真っ赤な愛車が道路を走っていくのを見かけました。
トレバーは大急ぎで彼を追いかけて最寄りのバーに入りました。

トレバーがアイバンに周囲から頭がおかしいと思われていることを愚痴ると、アイバンは「事故は俺のせいじゃなく、お前のせいだ。それにお前は痩せすぎだ。薬を疑われてもおかしくないぜ」と率直に答えてトイレに立ちました。

テーブルに置きっぱなしだったアイバンの財布を盗み見ると、中にレイノルズとアイバンが釣りをしている写真が入っていました。
トレバーはその写真を見て、アイバンは工場が雇った人物ではなく、レイノルズが個人的に『替え玉』を頼んだ友人もしくは家族だと判断しました。
それは労働法に違反しているので、トレバーはとっさにその証拠写真を財布から盗みました。

帰宅後、冷蔵庫にまた不気味な付箋メモが貼られています。
前回の絵のようなものに追加で線が描かれ、その絵の下には『_ _ _ _ E R』と書かれていました。


(2枚目のメモ 引用:http://emumemo.blog35.fc2.com

猛烈な不安に襲われたトレバーはスティービーに会いに行きました。
「誰かが俺を陥れようとしている」と語るトレバーを、スティービー優しく慰めました。

母の日。トレバーは約束通り、マリアと小学生のニコラスと一緒に遊園地に遊びに行きました。
メリーゴーランドの前で親子の記念写真を撮った時、トレバーは奇妙な感覚に襲われました。

その後、トレバーとニコラスがホラー系アトラクションに乗った時、ニコラスが突然泡を吹いて倒れてしまいます。
トレバーが大慌てで救急車を呼ぼうとすると、駆け付けたマリアが「この子は『てんかん』なの」と告げて慣れた手つきで対処しました。

マリアとニコラスを自宅に送り届けた時、トレバーはマリアの部屋に上がって一緒にワインを飲み、次は一緒に映画を見に行く約束をしました。
この時、トレバーはマリアの家の内装に違和感を抱くと共に、マリアと一緒にいるといつも時計がおかしくなる(1時29分~31分の間で進んだり戻ったりする)ことに気が付きました。

その後、帰宅したトレバーは、『_ _ _ _ E R』に入る文字は『MOTHER(母)』ではないかと推理します。
トレバーの亡き母親が心霊現象を起こしているのではと思ったのです。
しまいこんでいた古いアルバムを引っ張り出して眺めると、幼いトレバーと母親が遊園地のメリーゴーランド前で撮影した写真があったので、遊園地で感じた奇妙な感覚は、ママの霊とノスタルジーのせいだと納得しました。




あらすじ転:解雇

週末開け。工場にミラーが来て退職の挨拶をしていました。
トレバーがミラーに心から謝罪すると、ミラーは「おかげで多額の補償金がもらえたよ。あれは事故だ。お前のことは恨んでない」と男らしく工場から去りました。

その後、トレバーはタッカー主任から、いつもとは違う業務を任されました。
そのマシンが故障していたので、トレバーはタッカーの嫌がらせだと確信します。
修理しているとトラブルが起こり、ミラーと似たような事故になりかけました。
激怒したトレバーはタッカーに掴みかかって解雇されてしまいました。
トレバーはクビになる前にレイノルズの不正も暴こうとしましたが、アイバンの写真はなぜか紛失していました。

家に帰ると、公共料金の支払いを忘れていたせいで電気が止まっていました。
トレバーは懐中電灯片手にレイノルズとアイバンの写真を探しますが見つかりません。

トレバーがランタンをいくつか購入して帰宅すると、大家のシュライクが「メモを読んで水漏れを見に来た」と突然部屋に入ってきます。
しかし、トレバーはシュライクにメモを残した覚えは無いし、シュライク夫人は「ひどいにおいがする」と不審がるので彼女を部屋から追い出しました。
冷蔵庫からはなぜか血が漏れ出てていますが、トレバーはそれよりも、冷蔵庫に貼られていた新たなメモに目が釘付けになりました。

メモには新しく線と丸とアルファベットが増えていて、文字は『_ I L _ E R』になっています。
トレバーはこの文字が『MILLER(ミラー)』に違いないと思い、不気味な出来事も解雇もミラーの復讐だと確信しました。

翌日。トレバーはミラーの自宅に押し掛けますが、切れたミラーに追い返されてしまいます。
その時、道路の向こうでアイバンがニヤつきながらこちらを見ていました。
アイバンとミラーがグルだと思ったトレバーは急いでアイバンを追いかけますが、見失ってしまいました。

数日後、トレバーは陸運局でアイバンの車のナンバーから彼の住所を探ろうとしますが、担当者は「事件絡みでないと教えられません」の一点張りです。
その後、トレバーはわざと車にはねられてから陸運局に戻り「ひき逃げにあった」と言うと、渡された書類にアイバンの車のナンバー『743CRN』を記入しました。

数十分後。担当者は不審そうに「このナンバーはあなたの前の車のものでしたよ。1年前に事故で廃車にしています。虚偽の事故申請は犯罪ですよ」と告げました。
トレバーは『犯罪』という単語を聞いた途端、慌てて逃げ出しました。

自宅に戻ろうとするとアパートの下にパトカーが止まっていて、シュライク夫人が警察官と話しているのが見えました。
通報されたと思ったトレバーは、スティービーの所に行きました。

 

あらすじ:結


(トレバーを介抱するスティービー 引用:http://horohhoo.hateblo.jp

トレバーが車にはねられて傷だらけだったので、スティービーは驚いてすぐに介抱してくれました。
トレバーが「今晩泊めてくれないか?」と頼むと、スティービーは「毎晩でもいいのよ。意味わかるでしょ?」と笑ってキスをしました。

その後すぐ、トレバーが失くしていたアイバンとレイノルズの写真がスティービーの部屋に飾られているのを発見しました。
『スティービーの元夫はアイバンで、アイバンは俺が彼女の客だと知ってミラーの復讐に利用している』と確信したトレバーは激怒して、スティービーに「アイバンはどこだ?!」と怒鳴りました。
スティービーは「そんな男知らない。それに、その写真に写ってるはあなたよ」と言います。
彼女が訳の分からない嘘をついていると思ったトレバーは、彼女を口汚く罵ってアパートを出ました。

トレバーはマリアに会うために空港カフェに行きますが、マリアはいません。
別のウェイトレスに聞いてみると、ウェイトレスは「そんな名前のウェイトレスは居ない。あなたはここによく来てくれるけど、私、あなたの声を今日初めて聞いた。喋れないのかと思ってた」と答えました。
混乱したトレバーは「皆グルなのか?皆で俺を笑いものにしてるんだろ!」と叫んでカフェを飛び出しました。

その後、トレバーは空港の駐車場でアイバンを発見したので後をつけると、アイバンはトレバーのアパートの前で車を停めました。
アイバンの車からマリアの息子ニコラスが降りてきて、2人はトレバーのアパートに入りました。
トレバーも追いかけて部屋に入るとニコラスの姿はなく、アイバンはバスルームで髭をそっています。
ニコラスをどうしたのか聞くと、アイバンは「どうしたか知ってるだろ?それと、お前は専門医に診てもらった方が良い」と、にやけ顔で答えました。
ニコラスが殺されたと思ったトレバーはアイバンに襲い掛かり、乱闘の末にナイフでアイバンを刺し殺しました。

その後ニコラスを探しますが、見つかりません。
血がしたたる冷蔵庫も恐る恐る開けてみますが、中からは腐った魚が出てきただけだけでした。
この魚を見て、トレバーは以前レイノルズと釣りに行ったことを思い出しました。
スティービーが言っていた通り、あの写真に写っていたのはレイノルズとトレバーだったのです。

トレバーはアイバンの死体をカーペットに包み、車で運んで海に捨てようとしていると、後ろから人が近づいてきました。
トレバーが慌てて死体をカーペットごと蹴り飛ばすと、アイバンの死体は消えていました。
そして、近づいてきた人物は殺したはずのアイバンでした。

その時、トレバーはずっと忘れていた釣り前後の記憶を思い出すと同時に、身の回りで起きていた不気味な出来事の正体がわかってきました。
アイバンもマリアもニコラスも、トレバーが作り出した幻だったのです。
アイバンは「お前が何者なのか、わかっただろ?」と囁きます。

帰宅した部屋の冷蔵庫に貼られた新しいメモには、クビを吊る棒人間の絵がほぼ出来上がっていて、下の文字は『_ I L L E R』に更新されていました。
トレバーはサインペンを手にとり、最初の空白に『K』を付け加えました。
『KILLER(人殺し)』です。
トレバーが彼自身の記憶から葬り去ろうとしていたのは、人を殺した記憶でした。


(メモを完成させたトレバー 引用:https://ameblo.jp

約1年前、トレバーが赤いポンティアックに乗っていた頃のことです。
トレバーは午後1時30分頃、運転中によそ見をしていてうっかり信号無視してしまい、小学生の男の子を轢いてしまいました。
倒れる男の子に母親が駆け寄ります。
トレバーは動揺と恐怖のあまり、ひき逃げしてしまいました。

その後トレバーはショックのあまり事故の記憶を失いましたが、心に残る罪の意識が不眠症や幻覚などの形で現れていたのです。

翌日。トレバーはアパートを引き払い、家具は全て寄付し、最小限の荷物を持って陸運局に行きました。
トレバーが陸運局の入り口の前で振り返ると、アイバンがお別れの合図を送っています。
受付で「ひき逃げした」と申告すると、警備員と検査官が別室に案内しようとしました。
トレバーは「その前に眠らせてくれ」と頼んで収監部屋に入れてもらうと、真っ白な部屋でようやく安眠できました。

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解説・考察・感想など


(引用:https://ameblo.jp

多くの伏線が張り巡らされていて、雰囲気も含めて個人的には好きな作品です。
何というか、トレバーの思い込みの激しさや、よく考えたら筋が通らないのにそれに気付かない様子が、幻や妄想(幻覚症状)に苦しむ人の世界をとてもリアルに描いているように見えて圧倒されました。

張り巡らされていた伏線についてをメインに解説していきます。

懐中電灯

冒頭、トレバーは死体をカーペットに包んで海に捨てに行った時、後ろから黄色い懐中電灯を持った誰かが近づいてきます。
この後にトレバーの部屋に場所が変わりますが、そこにも黄色い懐中電灯が置かれているのが大きく映されています。

観客に謎を提示していると同時に、自分で自分を追い詰めている状況を示しているのかなと思います。

アイバンの正体は?

アイバンはトレバーが作り出した幻の存在でした。
トレバーにとって事故を起こす前の過去のトレバーを象徴する存在であり、分身のような存在です。
それは、アイバンの赤いポンティアックがトレバーが以前乗っていたものだったことや、アイバンの車のナンバー『743CRN』はトレバーの車のナンバーを逆にしただけの番号だったこと、アイバンが愛用していたサングラスが、実はトレバーが以前愛用していたもの(ひき逃げした日につけていた)だったことなどからわかります。

トレバーは自分が起こした事故の記憶を失くしていたものの、罪悪感だけはしっかり残っていて、それが形として現れたのがアイバン、マリア、ニコラスの幻や、謎のメモです。
記憶が消えていたのは、トレバーの強い逃避願望の結果です。
トレバーは子どもを車で轢き殺した現実から逃避して、罪を記憶ごとアイバンというもう一人の自分に押し付けていたということです。

マリアとニコラスはトレバーが轢いた男の子と母親でしたね。
2人の名前は恐らくトレバーが勝手に名付けたものです。
ひき逃げした被害者の名前を知りようがありませんし、マリアという名前にも救いを求めている感があります。
この2人をトレバーが作り出していたのは、この親子とトレバーが仲良く(親切に)することで、無意識のうちに罪悪感を少しでも和らげようとしていたのでしょう。

 

手を洗うトレバー

作中に手を洗うトレバーのシーンが何回もありました。
これは、トレバーの『罪を洗い流したい』という気持ちを表す心理描写です。
漂白剤を使っているあたりに思いの強さを感じます。

次のページに続きます!




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