『LAMB/ラム』解説考察|マリアが生き残った理由、ラストの意味、キリスト教とギリシャ神話との関連など | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『LAMB/ラム』解説考察|マリアが生き残った理由、ラストの意味、キリスト教とギリシャ神話との関連など

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ラム ダークファンタジー

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娘のアダはなぜ死んだ?

ラム

© 2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

マリアのお墓参りのシーンから、マリアとイングヴァルは過去に一人娘を失くしていたこと、『アダ』が元は夫婦の死んだ娘の名前であることが発覚します。
冒頭のタイムマシンの話のときにマリアが過去に未練のある素振りを見せたのは、娘の死からなのでしょう。
その後、イングヴァルがアダにディンマリンの童話を読み聞かせながら、湿地帯のような場所で必死でアダを探す回想シーンがあります。
さらにアダが母羊にさらわれた時、イングヴァルは真っ先に川に探しに行きました。
これらから、2人の娘のアダは恐らく水に関する事故で亡くなってしまったのではないかと思われます。

 

アダは羊小屋の前で何を見た?

ラム

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マリア、イングヴァル、ペートゥルが酔って騒いでいる間、アダは外に出て羊小屋の近くに行きます。
そこでアダは何かを見て逃げ出し、その直後に鏡で自分の容姿を確認しました。
アダが目撃したのは大人の羊人間で間違いなく、そのあとアダが鏡を見たのは、その大人羊人間こそが本当の親族なんだとアダが幼心に気付いたシーンです。

このとき夫婦が飼うボーダーコリーがアダの父に襲いかかってしまい、返り討ちにあい殺されてしまいます(悲)
今までボーダーコリーはアダの父の異様な気配を恐れていたようだったのに、あの時は逃げずに襲い掛かったのはなぜなのでしょう(;_:)

 

マリアとペートゥルの関係は?イングヴァルはなぜ泣いていた?

ラム

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イングヴァルの弟ペートゥルは、マリアのお風呂を覗き見した翌日にマリアを誘惑します。
このときマリアはペートゥルの求愛を慣れた様子であしらい、別の日には脅されて関係を迫られたにも関わらず、別れ際にはへそくりを渡したりします。

マリアの反応はペートゥルとマリアに何も無ければ疑問が残りますが、昔何かあったと考えるとしっくりきます。
イングヴァルとペートゥルの再会シーンでは隠れた関係の亀裂を具現化するように窓枠がふたりの間に立ちはだかっていたり、イングヴァルの「そんなに人の幸せを壊したいか?」という攻撃的発言などからも、マリアとペートゥルは過去に不倫関係にあり、イングヴァルもそれを知っている可能性が高いです。
マリアとペートゥルの交際時期は不明確ですが、何となくマリアは人間のアダを失った慰めをペートゥルに求めたのではないかと想像しています。

また、イングヴァルがトラクターの中で一人泣いているのは、イングヴァルもまたひとり娘のアダを失った悲しみから立ち直れていないことを表していたように見えました。




マリアが生き残りイングヴァルと犬が殺された理由

この考察は完全に私個人の想像になってしまいますが、マリアとイングヴァルは、アダが羊のお腹に入ったクリスマスから連れ去られる日までの間、神に監視され試されていたのではないか?と感じました。

旧約聖書のレビ記によれば、『配偶者の兄弟姉妹との不貞(不倫)』と『動物との性交』は死刑に値する罪です。
※レビ記に書かれている死刑に値する罪は沢山ありますが、関係ありそうな罪だけピックアップしています。

そう考えるとペートゥルが夫婦の家に来たのもマリアを誘惑したのも実は神の意思で、神はペートゥル(元不倫相手)を使ってマリアを試しましたが、彼女が愛し合ったのは夫だけでした。
マリアは神の試練に合格したから生かされたのです。

そうなると、イングヴァルは神の誘惑に負けたから殺されたのかもしれないと推測できます。
イングヴァルに他の女の影は無かったですし、羊小屋でひとり立ち尽くすシーンには怪しさを感じたので、イングヴァルが犯した罪は動物との性交がではないかと推測しています。

また、愛犬が殺されたしまった理由は、レビ記の「目には目を 歯には歯を」のルールが当てはまります。
レビ記では動物をむやみに殺すことを禁じていて、動物をむやみに殺したら動物の命をもって償いなさいと書かれています。
マリアはアダの母羊を自分勝手な理由で殺してしまったので、愛犬が殺されたのはその代償だったのではないでしょうか。

 

ラストシーンの意味

ラム

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イングヴァルが撃たれてからのラストシーンは台詞が一切無く、ヒントになりそうな描写も少なくて「どういうこと?」となりますが、マリアの素振りや表情を見る限り彼女の中で確実に何かが起きている雰囲気だけは感じます。

まずマリアが撃たれたイングヴァルを抱きかかえている時、何か聞こえたかのように周囲を見回したり、アダが連れ去られた方向を見つめたりしています。
妄想で補完するしかないですが、あのシーンはマリアに神の声(またはアダの声)が聞こえていて、アダが本来いるべき場所に行ってしまったことをマリアが知らされた瞬間なのかなと思いました。

また、最後はマリアが立っていて、お腹のあたりを見下ろしてから空を仰ぎ、大きな吐息で終わります。
こちらも妄想補完が入ってますが、マリアはあの瞬間にイングヴァルの子を妊娠していることに気付き(または神かアダから受胎告知されて)、唯一の希望が芽生えたことに安堵した瞬間だったように感じました。
また、アダはアダの父が連れ去ってしまうので、レビ記の「目には目を 歯には歯を」ルールになぞらえて、マリアはアダを奪われる代わりに新しい命を授かったとも考えられる気がします。

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参考サイト様一覧

Word Project:レビ記

Wikipedia:サテュロスパーン

 

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