映画『空白』ネタバレ解説|タイトルの意味、痴漢の真相、青柳のウソ、草加部の正義など考察! | 映画の解説考察ブログ - Part 2

映画『空白』ネタバレ解説|タイトルの意味、痴漢の真相、青柳のウソ、草加部の正義など考察!

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ヒューマンドラマ

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『添田充をよく知る人物』は誰だったのか

ニュース番組に『添田氏をよく知る人物』として匿名男性が登場して「添田はいつか問題を起こすと思っていた」など知ったかぶりで発言していました。

おそらくこの男性は添田をよく知る人物でも何でもなくて、番組が用意したサクラではないでしょうか。

添田は漁師仲間達に敬遠はされていてもそれなりに尊敬されていて、嫌われていた雰囲気は一切無かったので違う気がしますし、過去に添田と揉めたことのある人だとしたら沢山いる気はしますが、この人物に関する伏線らしき描写は無かったと思うので、番組が話題を盛り上げるために用意したサクラだと考えるのが一番しっくりきます。

 

野木が添田を気にする理由


©︎2021『空白』製作委員会

野木は冒頭では添田の厳し過ぎる指導に音を上げて「ホストに転職しようかな」と嘆く程悩んでいました。

そんな野木が添田のことをついつい助けてしまうのは、野木の亡き父親と添田を重ねてしまうからでした。
野木の父親も漁師で、恐らく添田と似たように頑固者で「1人で余裕だから」と言い張って1人で漁に出続けていてある日帰ってこなかったと明かされていました。

子を失くした親と親を亡くした子で、何か通じるものがありそうです。
今後は何かピンチがあれば支え合うような関係が築けたら素敵ですね。




添田が中山を無視した理由

中山楓は花音を轢いた軽自動車を運転していた女性で、罪悪感に耐えかねて自殺してしまいました。
彼女は作中では2回添田に直接会って謝りますが、添田は2度とも彼女をほとんど無視してしまいました。

恐らく添田は中山楓の態度で、彼女が心から反省しているのは感じていました。
しかし添田自身はその当時、花音の死を受け入れられていない状況で、中山に赦しを与えられる心の余裕も無かったため、無視するしかなかったのでしょう。
添田の性格上、中山楓に対して何か不審感があれば迷わず攻撃していたでしょうから、無視は添田が『中山楓は悪くない』と心の底では思っていた証拠です。

中山楓がもう少し長く自殺願望と戦えていれば、改心した添田と話が出来て自殺することも無かったのではと思うと切ないです。

 

添田が心変わりした理由

花音の万引き疑惑を頑なに認めず、青柳を責め続けていた添田の心境の変化について考えます。

添田の考え方が変わったのは、間違いなく自殺した中山楓の母親(片岡礼子)の言葉を聞いてからです。
楓の母親が涙しながら愛おしそうに娘についてすらすらと語る様子を見た添田は、恐らく「俺にはこの母親のように花音を語ることは出来ない」と思い知らされたのです。

翔子からも「花音の何を知ってるの?」と何度も聞かれていましたが、彼女は関係が近すぎたのと言い方がきついので真剣に聞けなかったんでしょうね。。

 

泣いた草加部

パートの草加部さんが最後に泣いてしまったのは純粋に失恋の涙もありますが、彼女が信じていた『正義』が青柳に伝わらなかったどころか全否定されてしまったからだと思います。

草加部がボランティア活動に熱心だったのも、結局は承認欲求を満たすためだったように思われます。
草加部は正義を盾にボランティア仲間の夏美にモラル圧力をかけたりしていたので、結局は周囲を自分の思い通りにするために正義を振りかざしていただけです。
目的を満たすために正義を利用していることを彼女自身が気付いていなかったような気もするので、なぜ青柳に拒絶されたのかも理解していないのではないでしょうか。

添田が草加部を偽善者呼ばわりしたのも、彼女の言動にそれが透けて見えたからなのでしょう。

 

ラストで青柳が土下座した理由

空白
©︎2021『空白』製作委員会

偶然再会した添田と青柳が海沿いで話をしていた時、青柳は添田がセカンドバッグに付けていた花音のキーホルダーを見て震えだし、土下座してただ謝ります。
青柳が取り乱してしまったのは、そのキーホルダーが事故当時花音が付けていたもので、トラウマが蘇ってしまったからだと思われます。

青柳は草加部が何を言ってもほぼ「別に良いです」とか「どう思われても良い」みたいな無関心発言ばかりで感情が読みにくかったですが、青柳は凄惨な事故現場を目撃していますし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症していたと思われます。
PTSDの症状のひとつには『辛すぎて現実感がなくなる』というのがあるので、この症状が現れていたのかもしれません。

 

青柳が欲しかった言葉

かけられて嬉しい言葉は人それぞれ違います。

青柳は草加部の言葉は全く響いていませんでしたが、ラストに登場したスーパーの常連客だった男性(奥野瑛太)に「焼き鳥弁当好きだったのでまた食べさせてください。お疲れさまでした」という言葉は響いていました。

つまり、青柳が求めていたのは『仕事を認めてもらうこと』でした。
職場の人間ではなくスーパーの利用者さんの声だったので、より沁みたんでしょうね。
草加部も青柳の仕事ぶりを褒めてはいましたが、彼女は同僚だったので忖度や好意による過大評価の可能性から信じられなかったのと、押しつけがましさが先に立って素直に受け取れなかったのかもしれません。

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