ジブリ映画『紅の豚』のネタバレ含むあらすじと感想を紹介しています!
世界恐慌時代のイタリア地中海。名うての賞金稼ぎの豚ポルコ・ロッソは、見た目のチャーミングさとは裏腹な渋いキャラクターと確かな飛行艇操縦の腕前で国民中の人気者だった。
豚の人気に嫉妬したアメリカ軍人ドナルド・カーチスは、ポルコを陥れようと動き出す。
・本作の解説・考察記事はこちらです↓
キャスト&キャラクター紹介
©1992 Sutudio Ghibli・NN
ポルコ・ロッソ…森山周一郎
若い頃…古本新之輔
『紅の豚』と呼ばれる名うての賞金稼ぎ。元軍人。真っ赤な飛行艇が目印。
イタリア地中海の無人島で自由気ままに暮らしている。
豚になる魔法をかけられて、それから人間に戻れずにいる。
行きつけのバーがあるホテル・アドリアーノには彼の人間時代の写真が飾られている。1892~3年生まれ。
©1992 Sutudio Ghibli・NN
フィオ・ピッコロ…岡村明美
ピッコロ親父の孫でピッコロ社の設計主任兼飛行艇の整備士見習い。
活発で知的な17歳の美少女。
ポルコを驚かせる程の設計の才能を持っている。
©1992 Sutudio Ghibli・NN
マダム・ジーナ…加藤登紀子
ポルコの行きつけのバーがあるホテル・アドリアーノの専属歌手。
バーの常連客の賞金稼ぎ達のアイドル的存在で、ポルコとは幼馴染み。
3人いた彼女の元夫は皆戦争で死んでしまった。
©1992 Sutudio Ghibli・NN
ドナルド・カーチス…大塚明夫
惚れっぽいアメリカ人の男。マンマユート団ら空賊団体の用心棒。
飛行艇操縦はスピードカップを2連覇し、ポルコが認めるほどの腕前を持つ。
マンマユート団ボス…上條恒彦
バァちゃん…関弘子 ほか
あらすじ:起
舞台は飛行艇時代のイタリア地中海。(世界恐慌時代の1930年代頃)
賞金稼ぎの豚ポルコ・ロッソ(森山周一郎)は、高額な報酬で空中海賊と戦い、普段は孤島で自由気ままに暮らしている『豚になる魔法』をかけられた男です。
その日、ポルコは幼稚園児の女の子15人を人質に取った貧乏海賊マンマユート団を相手にしました。
ポルコは海賊に「賞金を半分やるから人質を解放しろ」とモールス信号でメッセージを送ると、海賊は人質の女の子達を解放しました。
(園児を保護したポルコ ©1992 Sutudio Ghibli・NN)
ポルコは小さな飛行機に15人の女の子を乗せて連れ帰り、その雄姿が新聞に載りました。
ポルコは確かな腕と渋可愛い見た目で住民たちから人気の賞金稼ぎで、大きな仕事はポルコがほとんど独り占めしていました。
アメリカ軍人のドナルド・カーチス(大塚明夫)をはじめとする同業者達はポルコの人気を妬み、何とかしてポルコを陥れようと画策します。
その日の夜、ポルコは行きつけのバーがあるホテル・アドリアーノに行くと、バーの人気歌手マダム・ジーナ(加藤登紀子)が「3年前に戦争に行った3人目の夫の訃報を今日受け取った。私の夫になった男は必ず戦死するみたい」としんみり告げました。
ポルコは「良い奴は皆死ぬ」と言い、彼女にワインを奢って慰めました。
数日後・ポルコは銀行で飛行艇のローンの支払いを済ませると、行きつけの銃器屋でいつもと同じ銃と弾を購入しました。
銃器屋の少年がポルコに焼夷弾なども勧めると、ポルコは「俺は戦争をしてるんじゃない」と言って去りました。
銃器屋の少年が「親方、戦争と賞金稼ぎと、どう違うの?」と訊ねると、親方は「戦争で稼ぐ奴は悪党だ。賞金稼ぎで稼げねぇ奴は能無しだ!」と笑いました。
あらすじ:承
ある日、マンマユート団は空賊仲間を集めて豪華客船『地中海の女王号』を襲います。
客船には専属の護衛パイロットもいましたが、あえなく金品を奪われてしまいました。
その後、マンマユート団はラジオを通じてポルコに「出て来い豚野郎!」と挑発メッセージを送ります。
しかし、ポルコは先日支払いが終わったばかりの飛行艇の調子が悪いことに気付き、休暇を取ってミラノに店を構える整備士に見てもらうことにしました。
ミラノに向かう途中、ポルコはドナルド・カーチスに襲われて逃げているうちに飛行艇のエンジンが壊れてしまいます。
カーチスは自分の銃弾がポルコの飛行艇を仕留めたと勘違いして、大喜びでポルコの飛行艇の破片を証拠として持ち帰りました。
ポルコの飛行艇は大破して、無人島に取り残されてしまいました。
2日後。何とか無人島から本土に戻ってきたポルコは、マダム・ジーナに連絡を取ります。
ポルコはミラノに行くことを告げてカーチスへの挑戦メッセージを頼むと、ジーナは「どれだけ心配してたかわかってるの?」と怒りますが、ポルコは彼女の気持ちを理解しようとしませんでした。
(ジーナに電話するポルコ ©1992 Sutudio Ghibli・NN)
ミラノに着いたポルコは、飛行邸製造業社を営む整備士のピッコロおやじ(桂三枝)に飛行艇の修理を依頼しました。
ポルコが「カーチスに勝てるようにしてくれ」と注文すると、ピッコロおやじは「腕が鳴る」と言い喜んで引き受けました。
ポルコはボストンバッグに入れた有り金を全て修理代としてピッコロに渡しますが、ピッコロはポルコの宿泊代や食事代まで徴収した上に、「まだ足りないから残りはローンにしとく」と告げます。
ピッコロの会社は個人経営で、今までは3人息子が店の手伝いをしていましたが、今は彼の孫で17歳の美少女フィオ(岡村明美)だけでした。
息子たちは出稼ぎに行ってしまったそうです。
飛行艇の設計をフィオがやると知ったポルコは不安から店を変えようとしましたが、フィオは「設計図を見てから決めて欲しい。だめだったらお金は返す」と言います。
フィオの熱意に押されたポルコは、様子を見ることにしました。
ポルコは無一文になったので、ピッコロの家に泊まることになりました。
(ポルコとフィオ ©1992 Sutudio Ghibli・NN)
翌朝。ポルコはフィオの大まかな設計図を見て納得し、仕事を頼むことにしました。
ピッコロおやじはさっそく親戚一同をかき集めて働かせますが、来たのは女性ばかりで、男性陣は皆出稼ぎに行ってしまったそうです。
ポルコは修理代の高さが、この女性たちに支払う人件費や食事代だと気付きますが、彼女達がお金も仕事も無くて困っていたと聞かされると何も言えませんでした。
彼女達の働きのおかげで飛行艇製造は順調に進みますが、フィオが高額な部品を次々に要求するため、ポルコに続々と追加のツケが増えていきました。
飛行艇の完成を待つ間、ポルコは昔なじみのフェラーリン少佐と会いました。
フェラーリンはポルコが『半国家非協力罪』、『蜜出入国』、『退廃思想』、『ハレンチで怠惰な豚でいる罪』、『わいせつ物陳列罪』でこれから逮捕状が出される予定で、さらに今制作中の飛行艇も没収されると告げられて、ポルコは笑ってしまいました。
フェラーリンは「守ってやるから空軍に戻ってこい」と言いますが、ポルコは「ファシストになるより豚の方がマシだ」と断りました。
フェラーリンと別れた後、ポルコはフィオに『ファシストの秘密警察』に命を狙われていて、一刻も早く逃げなければならないと告げました。
しかし、ポルコの飛行艇はこれから試験飛行で、不具合の有無の確認と微調整が何も出来ていない状態でした。
あらすじ:転
ポルコは試験飛行せずに翌日の早朝に逃亡することにしますが、フィオはポルコに付いて行くつもりで飛行機を2人乗り出来るように改造し始めました。
フィオは飛行艇をちゃんと完成させるまで諦めたくなかったのです。
ポルコは危険だからと必死に止めますが、フィオは「私がポルコの人質になって、家族を守る意味もある」と言うと、ポルコは納得しました。
ポルコは飛行艇で倉庫から出発し、見張っていた秘密警察を撒いて無事に空に飛び立ちました。
その後、空に現れたフェラーリンの助言で、危険な地域を避けてアドリア海へ向かいます。
同じ頃、カーチスは彼が執筆したシナリオがハリウッドの映画会社に認められて、映画化と出演が決まりました。
カーチスはジーナにハリウッド移住を報告して「結婚して一緒に来て欲しい」とプロポーズします。
(カーチスとジーナ ©1992 Sutudio Ghibli・NN)
しかし、ジーナは「私は今『賭け』をしてるからだめ」と断りました。
それは『ポルコが飛行機から降りてジーナの自宅の庭を訪ねて来たら、その時は本気でポルコを愛する』という賭けでした。
その時、ポルコが完全復活した飛行艇と無事な姿を見せにジーナの前に飛んで現れて、すぐに去っていきました。
ジーナは「降りてきてくれなかったから、また私の負け」とつぶやきます。
カーチスはジーナの想い人がポルコだと知って嫉妬に燃えました。
ポルコはジーナの庭を通過した後、給油のために顔なじみの店に立ち寄りました。
ポルコはそこで『政府が空賊連合を抱き込もうとしている』『だから、これから賞金稼ぎは仕事がなくなる』という噂を耳にしました。
ポルコとフィオは、ポルコが生活拠点にしている無人島のアジトに到着しました。
すると、ポルコのテントの中に隠れていたマンマユート団が飛び出してきてポルコを取り囲み、飛行艇を壊そうとします。
フィオはマンマユート団の前に立ちはだかり「ポルコはカーチスにリベンジするために戻ってきたのよ!それなのに、あなた達はみっともない!」と叱って、マンマユート団の男性陣の心を鷲掴みしました。
(マンマユート団に説教するフィオ ©1992 Sutudio Ghibli・NN)
そこにカーチスが現れて、ポルコとカーチスはリベンジマッチをすることになりました。
この時、カーチスはフィオに一目ぼれしたので、カーチスが勝ったらフィオはカーチスと結婚。
ポルコが勝ったら、ポルコの新しい飛行艇の追加料金は全てカーチスが支払うことになりました。
この対決はマンマユート団と空賊団体が取り仕切ることになり、決闘は明日の早朝に決まりました。
その日の深夜。寝ていたフィオが目覚めた時、ポルコが人間に戻っているように見えましたが、フィオの方を向いたポルコはやっぱり豚でした。
目が覚めてしまったフィオは「なぜ豚になっちゃったの?」と聞きますが、ポルコは「俺にもわからん」と言います。
フィオは、キスすれば魔法が解けるかもしれないと思いポルコに提案しますが、「大事な時に取っとけ!」と叱られました。
フィオがポルコに寝物語をせがむと、ポルコは戦争が終わった年の夏の体験を話してくれました。
その夏、ポルコはパトロールのため仲間と共にイストリアを目指してアドリア海を出た後、敵のパイロットと鉢合わせて戦闘になりました。
仲間の中にはベルリーニという、2日前にジーナと結婚したばかりだった優秀なパイロットがいましたが、彼も死んでしまい、イタリア軍はポルコだけになってしまいます。
その時、ポルコの目の前が急に真っ白になって、すぐに雲の中に入ったのだと気づきました。
ポルコは疲れ果てて操縦していませんでしたが、飛行機は墜落せず、やけに明るい雲の中を突き進み、気付くと雲の平原が広がる真っ青な空の下に出ていました。
ポルコは雲の平原のさらに上空に、一筋の雲のようなものがあるのを見ました。
その直後、雲の平原の中から先ほどまで一緒に戦っていたイタリア軍の仲間達や敵軍の飛行艇が浮かんできました。
その中にベルリーニが居たのでポルコは声を掛けますが、ベルリーニが無反応なので、ポルコにはここが生と死の中間のような場所だと直感でわかりました。
ポルコ以外の飛行艇は皆、上空にある筋雲の中に吸い込まれるように飛んでいきます。
ポルコは「俺が代わりに行く!」と叫びますが、ポルコの飛行艇は動きませんでした。
筋雲をよく見ると、それは雲ではなく、戦争で死んだ男達の飛行艇の群れでした。
次の瞬間、ポルコは元居た海の海面を1人きりで飛んでいたそうです。
(ポルコが見た筋雲の正体 ©1992 Sutudio Ghibli・NN)
フィオが「神様がまだ来るなって言ったのね」と思った通りに言うと、ポルコは「俺には『お前はずっとそうして1人で飛んでいろ』と神様に言われた気がしたね」と答えました。
フィオが思わず「ポルコは良い人よ!」と叫びますが、ポルコは「良い奴は皆死ぬ」と言います。
フィオは「私はポルコが好きよ」と言うと、ポルコのほっぺにキスして寝袋に戻りました。
ポルコは頬を赤らめますが、魔法は解けませんでした。
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