押井守『イノセンス』の難解なセリフと名言まとめ②※引用除く | 映画の解説考察ブログ

押井守『イノセンス』の難解なセリフと名言まとめ②※引用除く

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イノセンス SF

押井守監督のアニメ映画『イノセンス』に登場した難解だった発言まとめ後編です。

イノセンス

制作年:2004年
本編時間:100分
制作国:日本
監督・脚本:押井守
原作漫画:『攻殻機動隊』士郎正宗著

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引用以外の名言や小難しかった台詞まとめ②

キム:外見上は生きているように見えるものが

イノセンス

©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

キム:外見上は生きているように見えるものが 本当に生きているのかどうかという疑惑
その逆に 生命のない事物がひょっとして生きているのではないかという疑惑
人形の不気味さはどこから来るのかといえば それは 人形が人間の雛形であり つまり 人間自身に他ならないからだ
人間が簡単な仕掛けと物質に還元されてしまうのではないかという恐怖
つまり 人間という現象は本来 虚無に属しているのではないかという恐怖
生命という現象を解き明かそうとした科学も この恐怖の情勢に一役買うことになるな
”自然が計算可能だ”と言う信念は ”人間もまた単純な機械部品に還元される”という結論を導き出す
バトー:人体は自らゼンマイを巻く機械であり、永久運動の生きた見本である
キム:18世紀の人間機械論は 電脳化と義体化の技術によって再び蘇った
コンピューターによって記憶の外部化を可能にしたときから 人間は生物としての機能の上限を押し広げるために 積極的に自らを機械化し続けた
それはダーウィン流の自然淘汰を乗り越え 自らの力で進化論的闘争を勝ち抜こうとする意思の表れであり それ自身を生み出した自然を超えようとする意思でもあり 完全なハードウェアを装備した生命という幻想こそが この悪夢の源泉なのさ
バトー:神は永遠に幾何学する

キムの屋敷の無限ループ2回目の会話です。

『完全なハードウェアを装備した生命という幻想こそが悪夢の源泉』は、バトーもトグサもキムも生物としての機能を押し広げるために電脳化しているが、電脳だからこそハッキングにより無限ループの悪夢を見せられているのだと皮肉を言っています。
確かに生身の脳だったらこの攻撃出来ないですもんね。

要約するとトグサとバトーが疑似体験の迷路に入っているのを暗に伝え、からかっていると思われます。

 

バトー:幸運が三度姿を現すように

バトー:幸運が三度姿を現すように 不運もまた三度兆候を示す
見たくないから見ない 気がついても言わない 言ってもきかない
そして破局を迎える

無限ループにはまっていたトグサをバトーが助けた際にかけた言葉です。

幸も不幸も、その出来事が起きる前に3度前触れがある。
不運の場合はその前触れを無視した結果、最悪の結果になる
というような意味です。

西洋には「三つの兆候によって死を迎える」というお話があります。
死神と契約した男がいました。
死神は「お前をあの世へ連れて行く前に、必ず三つの警告を示す。」と言って消えました。

それから男は年を取り、ある日死神が男をあの世に連れに現れます。
男は死神が突然現れたので「三つの警告がないじゃないか 約束が違う」と怒りますが、死神は

1 男の足腰が弱った
2 耳が遠くなった
3 目がかすんで見えにくくなった

これら3つが警告だったことを伝え、男をあの世へ連れていきます。

日本で言う『見ざる聞かざる言わざる』と類似する話ですね。
日本だと、何事も知り過ぎたり首を突っ込み過ぎるのはよくないという意味ですが、
この場合は、見ざる聞かざる言わざるの結果、破局を迎える(まんまと騙される)という意味です。

 

バトー:騙してやろうと待ち構えている奴ほど騙しやすいもんさ

キムの疑似体験の迷路を突破したときの発言です。

 

バトー:そう囁くのさ 俺のゴーストが

イノセンス

キムを捕まえたバトー ©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

ゴーストを信じないキムに対しての言葉です。
素子の口癖をバトーが真似しています。

 

キム:人間もまた生命という夢を

キム:人間もまた生命という夢を織り成す素材に過ぎない
夢も知覚も いや ゴーストさえも 均一なマトリクスに生じた裂け目や歪みなのだとしたら…
バトー:俺もお前と同じくだらねえ人間だが 俺とお前じゃ履いてる靴が違う
ゴーストが信じられねぇようなヤローには 狂気だの精神分裂だのと結構なもんもありゃしねぇ
お前の残り少ない肉体は破滅することもなく ”分相応な死”ってやつが迎えに来るまで 物理的に機能するだろうよ

キムがバトーに捕まる直前の会話です。
キムはまだ隙あらばバトーを疑似体験の迷路に引きずり込もうと悪あがきをしていますが、バトーの言葉で抵抗を諦めました。

「靴が違う」はゴーストを信じるか信じないか、バトーは信じていて、キムは信じていないということ
「ゴーストが信じられねぇ(中略)ありゃしねぇ」は『ゴーストが信じられない奴はゴーストの異常(心の病気など)も認知出来ない可哀想な奴らだ』

「お前の残り少ない肉体は(中略)だろうよ」は、人形に憧れて見た目は人形そのものになっていても、キムはやっぱり人間であり、キムもまた『不完全な死』しか選択肢がないことへの皮肉を浴びせていたのではないかと受け取りました。

 

バトー:思い出をその記憶と分かつものは何も無い

バトー:思い出をその記憶と分かつものは何もない
そしてそれがどちらであれ それが理解されるのは常に後になってからのことでしかない

キムの屋敷から出たトグサが「本当に疑似体験から抜け出せたのかどうかわからない」と不安を見せた際にバトーが返した言葉です。

思い出と記憶はほぼ同義語ですが、もしも記憶と事実が違っていたとしても、それは後になってからでないとわからない、という意味でしょうか。

つまり、まだ疑似体験の中なのかどうかは今考えても仕方ない(後にならないとわからない)とトグサを慰めているのだと思います。

 

バトー:昔の人はいいこと言ったぜ

バトー:昔の人はいいこと言ったぜ。
『理非無きときは鼓を鳴らし攻めて可なり』ってな。
談判破裂して暴力の出る幕だ!

引用文の所にも載せましたが、バトーらしくて好きだったので名言としてこちらには全文を載せます。
『談判破裂~』は引用ではなくオリジナルのようです。
談判破裂は交渉決裂とほぼ同じ意味だと思って良いと思います。

 

バトー:ひとつ聞かせてくれ

イノセンス

©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD

バトー:ひとつ聞かせてくれ 今の自分を幸福だと感じるか?
素子:懐かしい価値観ね 少なくとも今の私に葛藤は存在しないわ
孤独に歩め 悪を成さず 求めるところは少なく…
バトー:林の中の象のように…
素子:バトー 忘れないで
あなたがネットにアクセスするとき 私は必ずあなたのそばにいるわ

事件が解決し、素子がネットの世界に戻る直前のバトーと素子の会話です。

バトーは9課から去った素子の素直な心境が知りたかったのでが、今の素子は体を手放して意識だけの存在になっています。
幸か不幸かなどの、人間特有の価値観や悩み、葛藤から解放されているのでしょう。

万が一、素子が「不幸」と答えていれば、バトーは素子に戻って来いと言っていたかもしれませんが、素子の答えを聞いて、もうお互いに住む世界が違うのだと悟りました。
バトーの「林の中の象のように」は、「もう一緒にいられないんだな」と寂しさを訴えているのでしょう。

最後の素子の「あなたのそばにいるわ」は、お互いに『林の中の象』かもしれないけれど、彼女なりにバトーに愛情を持っている(彼女なりの愛の形)と伝えたんだろうと解釈しています。

素子とバトーの関係について押井監督は「素子はめちゃくちゃエゴイストだけど、バトーに優しい言葉もかけちゃう」的なとコメントをされていました。
『素子が愛しているのはあくまでも自分だけだが、バトーに元気が無い原因は自分にあると素子もよくわかっているから優しい言葉をかけて慰めている』ことになるのかな~と思いました。

以上です。長い文章を読んで頂きあやsりがとうございました。
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・150年目の移民:映画「イノセンス」全引用・名言まとめ

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