映画『花束みたいな恋をした』の主人公絹が浮気したかどうかについて徹底考察しています。
『花束みたいな恋をした』概要紹介
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絹が浮気したと思われる伏線
『絹が加持(オダギリジョー)と浮気をした可能性』に関する意見や考察が話題を呼んだことも、この映画がヒットした理由のひとつです。
私は絹は浮気をしたと思っています。
ただし、体の浮気ではなく心の浮気です。
理由はいくつかありますが、順を追って説明します。
絹は天竺鼠のライブに行こうとしていた時、前に1度デートしたことのある男性と偶然再会します。
絹はすぐその男に名前を覚えられていないことに気付きますが、ライブに行かずにその男とのデートを選びました。
好きなお笑い芸人のライブに行くのをやめて、名前を覚えてもらえてない程度の、しかも下に見られていることもわかっている男の誘いに乗ってしまうあたり、絹はかなりの寂しがり屋だと思われます。
絹は基本夢見がちなので「もしかしたら奇跡が起きて運命の恋に発展するかも」など考えてデートして、後で後悔するのが今までの彼女のお決まりパターンだったのかもしれませんが、とにかく『寂しさ』は浮気や不倫につながる大きな心理的要因のひとつです。
付き合い始めたばかりの頃、絹は「麦君が浮気するかもしれない」と言い、別れてから新居を見つけるまでの間には「1回位浮気したでしょ?」と麦に聞きます。
「麦君が浮気するかもしれない」からは『浮気されたくない』なのか『浮気してみたい』なのかどちらかわかりませんが、とにかく『絹は浮気を良くも悪くも意識している』ことがわかります。
別れた後で絹が麦に浮気したかどうか聞くのは、下に書いている伏線を踏まえた上で絹が浮気した前提で見ていますが、絹は彼女自身の罪悪感を少しでも軽くしたい心理が裏側にあったので、この質問をしたように見えてしまいます。
絹に浮気心があるのが確信的に分かるのは、バイト先のジェラート屋さんの店長とアルバイトの男の子の不倫からです。
店頭に立って真面目に働く絹の背後のバックヤードで、店長とバイト君がイチャイチャします。
まるで絹の秘められた願望を描いていたかのようでした。
このシーンで絹の浮気心が決定的になり、麦との生活にマンネリを感じて刺激を求めていることが発覚します。
絹が先に仕事が決まり、麦がまだ就活していた時、絹は同僚女子の『名刺集め』イベント(ほぼ合コン)に参加しています。
しかも、まだ誘われていないのに自ら「行きます」と手を挙げてしまう敏感さです。
麦が就活を頑張っているので、絹は邪魔したくなくて家に帰りづらかったようにも思えますが、麦という彼氏がいるのにあえて出会い系イベントに参加してしまうのはかなり違和感を感じます。
行った理由は『新しい出会いを求めていた』以外に考えられません。
このイベントに参加する前の、麦が机に向かってばかりで絹が放置気味になっている描写が、絹がイベントに参加した理由になっていた気がします。
交際3年目の冬、絹は3か月セックスしていないことを不満に思っている心の声がありました。
絹は麦と初めてキスした時も「こういうコミュニケーションは頻繁に取りたい」と言っていたので、絹は恋愛において体のスキンシップを重要視していることがわかります。
絹が新しい出会いを求めてしまう理由にもなっていたと思われます。
絹が秘めていた加持への気持ちが分かるのが、飲み会での出来事です。
酔っ払った絹は加持に「私、どうっすか?」と何度も迫って膝枕で寝たと同僚が語ります。
実際にそのシーンは描かれず、同僚を通して伝えられるだけなので「どうっすか?」の真意が『絹自身が女として、もしくは人間としてどうなのか加持に意見を求めていた』のか『同僚が語った通り、そのままの意味で加持にアプローチしていた』のかニュアンスがわかりませんが、人は酔うと本音が出ることだけは確かです。
絹は加持を頼り、何かを求めていたのです。
その直後、加持は「ラーメン食べに行こう」と絹を誘います。
ラーメンは絹の大好物なので、個人的にはこの時に食欲と性欲が混ざるような変な感覚になりました。
絹自身も何かを期待するような表情で加持の後について行きます。
しかし絹と加持がラーメンを食べる様子は描かれず、飛んで帰りの電車に場面が切り変わります。
絹のスマホ画面には加持からのメッセージがありますが、何の脈絡もなく「また明日ね」とだけ送られています。
何とも微妙で判断しにくくてモヤモヤしますが、その直後、麦と偶然会った絹は気まずそうな表情を見せました。
その後、再び絹と加持が話すシーンがありますが、2人が肉体関係を持ったようには私には見えませんでした。
ただわかるのは『絹は加持に麦との関係の悩みを相談したんだな』ということだけです。
ここで加持の立場に立って考えてみると、2人に肉体関係は恐らく無いだろうと想像できます。
なぜなら加持はこの会社を立ち上げたばかりで、今は会社を軌道に乗せることが最優先のはずなので、安易に部下と恋愛関係になるのは一番避けたいはずだからです。
それに加持は一見チャラそうではありますが、女好きが伺える描写は一切ありません。
加持が絹を誘ったのは、社長として部下のメンタルが心配になっただけで、下心は無かったのではないでしょうか。
そうなると冒頭に書いた『絹は心の浮気をしたのではないか説』が浮上します。
完全に妄想入ってますが、絹は加持に恋をしたけれど、飲み会で2人きりになった時に加持は絹に気が無いことが分かって諦めたのです。
具体的には、絹にアプローチのチャンスが巡ってきたのが「ラーメン食べに行こう」の時で、絹は加持に麦との関係を相談して加持の反応を伺った結果、加持の対応は完全に『人生の先輩』だったので、絹は諦めたのです。
恋愛に発展する流れとして『恋愛相談に乗ってもらっていた相手と恋愛関係になる』はかなりよく聞く王道パターンなので、絹は加持が『自分に気があるかどうか』を確かめるために恋愛相談をしてみたのです。
電車で麦と偶然会った絹の笑顔がぎこちないのも、絹は加持に失恋し、麦と会って、現実を突きつけられた気分になったからではないでしょうか。
以上です。読んでいただきありがとうございました。
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