「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」解説考察②融合を受け入れた理由、似ている点 | 映画の解説考察ブログ

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」解説考察②融合を受け入れた理由、似ている点

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ゴーストインザシェル SF

アニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(1995)の解説・考察をしています!
「素子にそっくりな他人」「素子が海に潜る理由」「素子が融合を受け入れた理由」などについて書いてます。

鑑賞済みの方のための解説記事です。まだ見ていない方はご注意ください。

攻殻機動隊

制作年:1995年
本編時間:85分
制作国:日本
監督:押井守
脚本:伊藤和典
原作漫画:『攻殻機動隊』士郎正宗 著
主題歌:『謡』川井憲次
出演:田中敦子、大塚明夫、山寺宏一 ほか

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解説・考察・感想など

素子が街を移動中、自分にそっくりな他人を見かける

©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

中盤で、バックに主題歌が流れて街の風景が描かれるシーンがあります。
素子は街中を移動中、素子と外見がそっくりな他人を見かけます。
素子が使用している義体の機能は一級品ですが、恐らく外見は一般人に紛れられるようにあえて一般市場に出回っているタイプの容姿が使われていたのでしょう。

素子は自分と同じ外見の他人を見かける度に、彼女自身の『個性』がどこにあるのか考えますが見つけられず、自分はもう『人間』ですら無く、機械なのではないかと不安を抱きます。

私から見れば素子は個性の塊のように感じますが、本人からしたら全て『標準的』でしかないというのは少し悲しいです。

 

海に潜る素子

ゴーストインザシェル
©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

素子が海に潜る自殺行為を日課にしていた理由は、心のどこかで死ぬこと(素子いわく、限界から解放されること)を望んでいたからだと思われます。

そして人形使いはネットのアクセス履歴などから素子を発見し、自分のパートナーに最適な相手と感じ、素子に会うべく動き始めます。
恐らく人形使いが素子を見つけた瞬間は、冒頭で素子が初登場するよりも前の、画面が緑がかっていてヘリが飛んでいるシーンです。
あのヘリに人形使いが輸送のために乗せられていて、入国と同時にネットにアクセスして素子を見つけ、会いたくなって脱走したのです。

ウィリス博士の「もしかしたら片思いの相手でもいたのかもしれん」という冗談めいた推理は的を得ていました。
ウィリス博士が人形使いの生みの親なので、一番人形使いの行動を理解していたのでしょう。

 

破壊されていく生命の樹

素子と戦車の戦闘で、ミュージアムの壁に飾られていた生命の樹(進化の系統樹)が銃で撃ちぬかれていくシーンがあります。
これは、素子が通常の進化の形を取らずに全く別の形で進化することを暗示していたと思われます。

 

人形使いと融合したら、素子の子どもはどうなる?

人形使いは彼が得る生殖能力について「ことあるごとに素子が自分の変種をネットにばらまく」と言いました。
『ことあるごと』がどういうことがあるごとなのか疑問ですが、少なくとも人形使いは意識だけの存在で、素子も身体を捨てたので、通常の哺乳類の妊娠・出産のように、子宮から子どもを産むことではありません。

素子の人形使いと融合したDNAがネットに子孫となる変種をばらまき、その変種は1体ずつ異なる自我とDNAを持っている、ということでしょうか。
そうなるといずれネットの中は自我のあるハッキング得意な素子の子が何人もいることになってしまいそうですね。

 

素子と人形使いはどこが似ている?

草薙素子を見つめる人形使い © 1995 Production I.G

人形使いは素子に「君と私はとてもよく似ている」と言います。
理解できた人形使いと素子の共通点2点をあげていきます。

①まず、素子は死ぬこと(生まれ変わりや進化を得るための死)を心のどこかで望んでいて、今を生きることにどこか投げやりでした。
この『死への憧れ』が素子と人形使いの共通点です。

人形使いは、完全な生命体に進化するために寿命を求めていました。
人形使いはこのまま進化しなければ、ウィルスに侵されない限り死ぬことはありません。
不老不死を望む人類にとっては不死こそ進化のように感じられますが、人形使いにとってはAIから生命体になることが『進化』なので、『いつか必ず訪れる死』を得ることこそが人形使いにとっては『進化』になります。

②素子は『限界・制約』から解放されたがっていました。
①と類似しますが、言い換えれば成長・進化したいと望んでいることになります。
素子にとっての成長・進化とは、アイデンティティの確立だったと思われます。
一方で人形使いの成長・進化は完全な生命体になることです。

素子はアイデンティティが見つからず悩む一方で、人形使いは自分の存在に自信たっぷりで、すでに確固たるアイデンティティを確立しています。
なぜなら人形使いはこの世界に唯一無二の存在で、他に似ている存在が無いからです。

人形使いと融合した後は、素子が今まで考えていた『人間性はどこにあるのか』という悩みは消え去っています。
人形使いと融合した素子もまた、唯一無二の存在に変わったからです。

 

素子が融合を受け入れた理由は?

素子が人形使いとの融合を受け入れた理由は、人形使いが素子の悩みを解決してくれたからでしょう。
素子はずっと「自分は本当に人間(生命体)なのか?人間の形をしたロボットと完全義体の自分にどんな違いがあるのか?」という疑問を抱えていました。

そんな素子に、人形使いは「完全な生命体になりたいから、君と融合したい」と言います。
これは、素子が人間(生命体)だという1つの証拠になりました。
人間のバトーに「お前は人間だ」と言われるよりも、生命体ではない人形使いに生命体だと認められたことが、素子にとっては説得力があったのでしょう。

名言紹介は次の記事です。
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