『ディストラクション・ベイビーズ』ネタバレ解説考察|泰良の正体、喧嘩神輿との関係など | 映画の解説考察ブログ

『ディストラクション・ベイビーズ』ネタバレ解説考察|泰良の正体、喧嘩神輿との関係など

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スリラー

映画『ディストラクション・ベイビーズ』について解説、考察しています!
喧嘩のカリスマ芦原泰良と、彼の影響で心に潜む狂気が開花した少年少女の話。

制作年:2016年
本編時間:108分
制作国:日本
監督:真理子哲也
脚本:真理子哲也、喜安浩平
主題歌:『約束』向井秀徳
本作はR15+の年齢制限があります。
過激な暴力シーンが多数あるためです。

 

キャスト&キャラクター紹介

ディストラクションベイビーズ
(引用:https://sibadeji.net
芦原泰良(あしはらたいら)…柳楽優弥
とにかく喧嘩好きな18歳無職ホームレスの青年。
無口でほとんど喋らない。
気が強そうな男に無意味に喧嘩を吹っ掛けるが、女子供には手を出さない。
ディストラクション・ベイビーズ
(引用:https://moviewalker.jp
北原裕也菅田将暉
18歳の高校生。泰良が行う理不尽な喧嘩に強い興味を抱く。
元々はヘタレだったが、泰良と関わってからは自分よりも弱そうな人間には強気な態度を取り暴力で従わせようとするようになる。
ディストラクション・ベイビーズ
(引用:http://negative-eiga.blog.jp
那奈小松菜奈
キャバクラで働く美少女。
万引きでストレス解消する癖がついている。
運悪く泰良と裕也が盗んだ車に乗っていたため拉致される。
ディストラクション・ベイビーズ
(引用:https://www.tst-movie.jp
芦原翔太村上虹郎
泰良の弟。泰良が家出して消息を絶った後もずっと兄を探している。

・その他のキャスト

近藤和雄(泰良と翔太の育ての親)…でんでん
三浦慎吾(キャバクラ店長、暴力団員)…池松壮亮
河野淳平(暴力団員)…三浦誠己
健児(翔太の友人)…北村匠海
裕也の友人…岡山天音、吉村界人
送迎ドライバー…岩瀬亮 
中国人キャバ嬢…キャンディ・ワン 
将太の友人…加藤幹夫 
現場系の男…松浦祐也 ほか

 

あらすじ前半

愛媛県松山市に、18歳の芦原泰良(柳楽優弥)と、弟の将太(村上虹郎)が暮らしています。
泰良と将太の母親は将太を産んですぐに失踪してしまい、父親が男手ひとつで2人を育てていたが、父もまだ2人が幼い頃に他界しました。

その後、身寄りが無かった兄弟を哀れに思った漁船修理工の社長 近藤和雄(でんでん)がふたりを引き取って育てています。
兄弟は幼い頃は近藤の自宅で生活していましたが、成長と共に泰良が暴力沙汰を起こすようになり、泰良と近藤の仲が険悪になって泰良は近藤の所有する修理工場の2階に寝泊まりするようになりました。
将太も泰良に付き合って工場に寝泊まりしています。

泰良は地元の不良グループと派手な喧嘩騒ぎを起こした翌日、将太にも何も告げずに帰ってこなくなりました。
将太は毎日泰良を探し回りますが、泰良は喧嘩が原因で町の住民に嫌われていて、近藤も周りの大人たちも誰も泰良を気にかけてくれませんでした。

泰良は工場に帰らず、徒歩圏内にある商店街付近でホームレス同然の生活を始めます。
泰良は喧嘩してくれそうな男を見つけると、意味も無く相手を挑発しては喧嘩に明け暮れ、たった数日で商店街の超要注意人物として有名になりました。


(暴力団員と喧嘩する泰良 引用:https://eiga.com

そんなある日、泰良と同い年の高校生 北原裕也(菅田将暉)は、泰良が5~6人の大人相手にたったひとりで立ち向かって良い勝負を繰り広げていることに感動し、喧嘩を終えた後の泰良に声をかけました。

泰良が人並に会話出来ることに安心した裕也は、泰良の喧嘩相手の挑発を手伝ったり、暴れる様子を動画や写真に撮り始めます。
裕也は泰良と会う前は素行不良気味のヘタレ学生でしたが、泰良とつるむようになってから気が大きくなり、自分よりも体力的に弱いと判断した人(ひ弱で気が弱そうな男性や女性)に無意味に暴力をふるったり、泰良が倒した男の財布から現金を盗むようになりました。

一方、弟の将太は泰良が商店街近辺にいると聞きつけて友人に手伝ってもらいながら捜索しますが、泰良は見つかりませんでした。
将太の友人の健児たちはナンパ目的で商店街に来ている所があったため、兄探しに夢中な将太と健児たちの間には徐々に溝ができてしまいます。

泰良と裕也の暴れっぷりは『無差別暴行事件』としてニュースに取り上げられ、警察が動き始めました。
警察が動き出したことを知った裕也は、泰良に「四国を周って喧嘩の旅に出よう」と提案し、車をどこかで盗むことにしました。

泰良と裕也はキャバクラの送迎用の車に目を付けて盗みますが、2人は後部座席にキャバクラ譲の那奈(小松菜奈)が乗っているのに気付かず、ドライバーに暴行する所も車を盗む所も見られてしまいます。

裕也は悩んだ末に、那奈を拘束して旅に無理矢理同行させました。
泰良は当然免許を持っていないため、最近免許を取ったばかりの裕也の運転で旅が始まりました。




あらすじ後半※ネタバレしてます


(引用:https://www.dreamkidjapan.com

旅の初日の夜。泰良が喧嘩して裕也が動画を撮る間に、那奈は隙を見て逃げようとしますが、裕也に見つかって那奈はトランクに監禁されてしまいました。
その後、泰良も自分勝手に行動し始めるので、裕也は泰良をコントロールできない苛立ちを募らせるようになります。

数時間後、泰良がトイレに行きたがったので車を停めてスマホを見ていた裕也は、警察が暴行事件の犯人を泰良と裕也だと特定して捜していることを知りました。
警察は、裕也が喧嘩動画をアップしていたSNSのアカウントから裕也と泰良を特定したらしく、裕也は逮捕に怯え、泰良と関わったことを後悔しました。

やがて泰良は戻ってきましたが、明らかに誰かと喧嘩してきた様子だったので、裕也は「勝手過ぎる」と怒りました。
その直後、先程の泰良の暴行を目撃していた農家の男が追いかけてきて通報しようとしたので、裕也は農家の男を殴って気絶させると、トランクで熱中症になりかけていた那奈をたたき起こして無理やり車を運転させました。

那奈は車のすぐ手前に男が倒れていることに気付かずに車を発進させ、男を轢いてしまいます。
裕也は「これでお前も共犯だ!」と笑い、次は那奈に男をトランクに入れるよう命じました。
那奈は必死で男をトランクに入れた時に男がまだ生きていることに気付きますが、裕也に見付かる前に首を絞めて殺してしまいました。


(泰良、裕也、那奈 引用:https://twitter.com

その後は那奈が運転していましたが、やけくそになった那奈は裕也の命令を無視してアクセルを思い切り踏み続け、横道から出てきた普通車と派手に激突しました。

相手の運転手は軽傷で、すぐにスマホで警察と救急車を呼びました。
泰良、裕也、那奈は3人とも生きていますが、泰良と那奈は軽傷、裕也は重症でした。
泰良は事故相手の運転手が強そうな土木作業系と見るとすぐさま殴りかかり、地面に何度も頭を叩きつけました。

後部座席にいた裕也は警察から逃げるために運転席に乗ろうとしますが、那奈は「キモイんだよ!」と叫びながら裕也を車のドアで何度も挟んで殺しました。
その後、泰良は警察が来る前に逃走し、那奈は救急車で病院に運ばれました。

その後、那奈は警察に対して完全な拉致被害者を装い、那奈がやったことも全て泰良と裕也になすり付けました。
泰良、裕也、那奈の事件はネットやテレビのニュースでも大きな話題になり、那奈は思惑通り純粋な被害者になることに成功しました。


(刑事から事情聴取を受ける那奈 引用:https://eiga.com

泰良の事件が原因で、将太は学校で完全に孤立しました。
将太の友達だった健児は、友人2人を連れて将太が寝泊まりする倉庫にロケット花火を打ち込むいたずらをしました。
切れた将太は健児に襲い掛かろうとしますが、近藤が駆けつけてきて止めさせられました。

数日後。今日は松山市で有名な三津浜の秋祭りが開かれます。
将太は秋祭りの名物『けんか神輿』の様子を鋭い目つきで眺めます。

同じ頃、お祭り会場の周辺をパトロールしていた警官が、倒れている男性を発見しました。
倒れている男性の近くには、髪を丸坊主にした泰良が海を眺めていました。
警官が「おまえがやったんか?」と声をかけると、泰良は笑顔で警察官に殴りかかります。




感想や考察など

とにかく理不尽な暴力が多く、泰良演じる柳楽優弥さんの猟奇的な表情の演技や、裕也演じる菅田将暉さんのクズキャラっぷりが光る作品でした。
好き嫌いはかなり別れると思います。

本作は、真理子哲也監督が別の仕事で愛媛県松山市を訪れた際、立ち寄った飲食店の店主から聞いた実在の人物の話に着想を得て脚本を書き上げたとのことです。
泰良のような人物が実際に商店街とかにいたのかと思うと戦慄します。

泰良はどういう存在なのか


(引用:https://twitter.com

泰良は何者なのか、作中で意味深に取り上げられていた『けんか神輿』をヒントに考えます。
三津厳島神社の秋まつりの名物『けんか神輿』は除災招福を祈る祭りで、神輿を使った儀式の様子が喧嘩しているように見えることから『けんか神輿』と呼ばれます。
三津厳島神社の御祭神は3人の女性の神様で陸上、海上、航空の安全を守る外難防御の神様ですが、『子育て』と『勝負』のご利益があることで知られています。

タイトルの『ディストラクション・ベイビーズ(破壊の子)』も含めて考えると、泰良はこの3人の神様からの強烈なご加護を受けている存在、と考えたくなります。
もう少し妄想すると、けんか神輿で生まれた『闘争の念』のようなものが、当時子どもだった泰良に乗り移り、同時に神様に気に入られたのです。

泰良が神様のご加護を受けていることを強調する特徴として、泰良が人間らしい言葉をほとんど発さないことや、不思議と逮捕されない点などがあげられます。
そんな泰良に最初に魅せられたのは裕也でした。
単独行動を好む泰良が裕也を追い払わなかったのは、泰良に好意を持つ人物が今までは弟の将太しかいなかったこともあるでしょうが、喧嘩して褒めてくれた初めての人が裕也で、単純に嬉しかったのが大きいと思われます。

ラストで泰良が倒していた作業着の男の顔は見えませんでしたが、筆者は倒れていたのは近藤だったのではないかと思っています。
泰良は近藤を倒すことで親を超え、警察官を倒すことで法律をも凌駕する存在になってしまうのです。

 

次のページに続きます!




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