ポール・ハギス監督の映画『クラッシュ』の白人警官トム(ライアン・フィリップ)のあらすじと解説・感想を紹介しています!
観賞済みの方向けの記事です。まだ観ていない方はご注意ください。

制作年:2004年
本編時間:112分(ディレクターズカット版は114分)
制作国:アメリカ
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス、ロバート・モレスコ
制作:ポール・ハギス、ドン・チードル、ボビー・モレスコ、キャシー・シュルマン、ボブ・ヤーリ






主要キャスト紹介

©2004 Apollo Pro Screen GmbH&Co.Filmproduction KG.All Rights Reserved.
トム・ハンソン…ライアン・フィリップ
ライアンの相棒の若手警察官、白人。
差別行為を繰り返すライアンが嫌いになり署長に相棒のチェンジを申し出た。

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ライアン…マット・ディロン
ロサンゼルス署勤続17年のベテラン警察官、白人。
人種差別主義者。
同居している父親の介護で悩んでいる。
シャニクアが経営する医療相談窓口の利用者。

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キャメロン…テレンス・ハワード
有名な黒人TVプロデューサー。
白人スタッフに上手く合わせ続けて現在の地位を手に入れた。
周囲から「あいつは黒人だ」と再認識されることを恐れる。
リックと全く同じ車種・色の車を持っている。

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クリスティン…タンディ・ニュートン
キャメロンの妻、黒人。
夫の授賞式の帰りに警官のライアンにつかまった際、反抗的な態度を取ったためライアンから酷いセクハラと脅しの被害を受ける。

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ピーター…ラレンズ・テイト
主に窃盗で生計を立てる黒人青年で刑事グラハムの弟。
現在は悪い仲間とつるんでいるが、犯罪から足を洗って真っ当に生きたいと考えている。
小さな聖クリストファー像のお守りをいつも持ち歩いている。
ララ(ダニエルの娘)…アシュリン・サンチェス
ファハド…ショーン・トーブ
グラハムの母…ブレバリー・トッド
ポップ・ライアン(ライアンの父親)…ブルース・カービー
フラナガン刑事(白人)…ウィリアム・フィクナー
ディクソン警察署長(黒人)…キース・デイビッド
シャニクア(アフリカ系)…ロレッタ・デヴァイン
マリア(ジーン、リック夫妻宅の黒人メイド)…ヨミ・ペリー
ドリ(ファハドの娘、ペルシャ系)…バハー・スーメク
シェリーン(ファハドの妻、ペルシャ系)…マリーナ・サーティス
銃取扱店のオーナー(白人)…ジャック・マクビー
ルシアン(車屋、白人)…ダト・バフタゼーズ
フレッド(キャメロンの同僚)…トニー・ダンザ
チョイ(轢かれた中国人)…グレッグ・パイク
キム・リー(事故の中国人、チョイの妻)…アレクシス・リー
カレン(リックの秘書)…ノーナ・ゲイ
エリザベス(ダニエルの妻)…カリーナ・アロヤブ
ゴメス警察官(メキシコ系)…エディー・フェルナンデス
女性警官…アマンダ・モレスコ
ケン・ホー(保険屋の男、日系)…アート・チュダバラ
ヒル警察官…ビリー・ギャロ
ジョンソン刑事…キャスリーン・ヨーク
ストーン警察官…ポール・E・ショート
ブルース…ケン・ガリートー
コンクリン(麻薬捜査官、白人)…マーティン・ノースマン
シャニクアの会社の受付(白人)…ケイト・スーパー
銃屋の警備員(白人)…ジェイデン・ランド
救急救命士…アーラン・スティール
移民の1人…オクタビオ・ゴメス ほか
あらすじ&解説・感想など
白人警官トム・ハンソン(ライアン・フィリップ)の話

(引用:http://www.tasteofcinema.com)
ロサンゼルス警察署に勤務する二十代の若手警察官トム(ライアン・フィリップ)の話です。
トムは相棒のベテラン警官ライアン(マット・ディロン)と一緒に毎日街の見回りを行っています。
ある冬の日の夜。見回りしていたトムとライアンに、無線で「黒の高級RV車が盗まれた 犯人は若い黒人2人組みだ」と情報が入ります。
この情報が流れた直後、2人の前を全く同じ車種、色の車が通り過ぎました。
その車を運転していたのは黒人男性のキャメロン(テレンス・ハワード)で、助手席には妻のクリスティン(タンディ・ニュートン)が乗っていました。
車のナンバーは盗難車のものとは違うのに、ライアンはRV車をしつこく追いかけて路肩に停車させました。
ライアンはキャメロンに執拗な職務質問を行い、クリスティンにはセクハラをして、怒るキャメロンを「逮捕してもいいんだぞ」と脅しました。
キャメロンが謝るとライアンは2人を解放しますが、この一件を黙って見ていたトムは、黒人差別をしたライアンに嫌悪感を感じました。
警察署に戻ったトムは、署長(キース・デイビッド、黒人)に「相棒を変えるか、1人で巡回させて欲しい」と申し出ます。
すると署長は「ダメだ。ライアンは確かに人種差別主義者だが、事実を報告すれば彼を信じて使い続けてきた私の信用問題にもつながる。
彼と組みたくないだけなら、理由は『自分都合』にしろ。
例えば『どうしてもおならが出てしまい、相棒に迷惑かけたくないから1人で巡回したい』とか。どうすべきかよく考えろ。」と最低の回答をくれました。
翌日。トムは「おなら」を理由に選び、同僚たちに散々からかわれました。
その後、トムは巡回中に路上で喧嘩している黒人3名を発見します。
現場に駆けつけると、黒人の1人は走って逃げ、2人は車に乗って逃亡しました。
トムと警官仲間は逃走車を行き止まりに追い込むと、その車から降りてきたのは、昨夜ライアンから差別行為を受けたキャメロンでした。
キャメロンは昨日の紳士的な態度とは真逆で攻撃的に警察官に歯向かい、いつ撃たれてもおかしくないような粗暴な振る舞いを見せました。
トムはキャメロンに「今回は見逃してやるから、奥さんのために大人しく帰れ!」と怒鳴ります。
トムの言葉で我に返ったキャメロンは、車に乗って大人しく立ち去りました。
本来なら逮捕案件でしたが、トムは昨夜のライアンの差別行為を止められなかったことへの罪滅ぼしでキャメロンを解放しました。
その日の夜。勤務を終えたトムは車で帰宅中、ヒッチハイクしていた1人の黒人の若者を車に乗せました。
世間話をしていると、若者はトムが車のダッシュボードに飾っていた『聖クリストファー』のマスコットを見て突然笑いだします。
信仰をバカにされていると感じたトムは、道路と野原しかない場所で車を止めて「もう降りてくれ」と命令しました。
すると、若者が慌ててポケットをまさぐるので、銃だと思ったトムは先手を打って若者を撃ち殺してしまいます。
トムが若者のポケットを確認すると、入っていたのはトムとお揃いの聖クリストファーのマスコットでした。
若者はトムと同じマスコットを持っていたから笑っただけだったのです。
若者が銃を持っていなかったのでトムに正当防衛は適用されず、捕まれば殺人罪で刑務所行きです。
トムは周囲に目撃者がいないことを確認すると、若者の死体を野原に放置し、車にはガソリンをかけて焼き払いました。
トムに殺された黒人青年は、グラハム刑事の家出した弟ピーターでした。
トムはこの後どうなる?
トムが殺してしまった黒人青年は家出してしまったグラハム刑事の弟のピーターでした。
グラハム刑事はこの後、母親とピーターのためにも、ピーターを殺して捨てた犯人を必死で探すと思われます。
グラハムは敏腕刑事なので、おそらくトムはじきに逮捕されてしまうと思われます。
一見好青年だったトムですが、ピンチに陥ると全てを捨てて逃げてしまったのには驚きました。
ライアンは差別をする酷い奴でしたが、最後は良い奴風になったのは、良くも悪くも衝突を恐れない性格だったのも理由なのかもしれません。
衝突を恐れず何度も人とぶつかるからこそ対処法も自然と身についているのでしょう。
タイトルがクラッシュだからそう思っただけですが。
トムは対照的に衝突を極力避けていて、未然に衝突を防いできたからこそ
土壇場になると対処法がわからず逃げ出してしまう。
あの時にトムがあと数秒だけ冷静でいられたら、トムとダニエルは友達になっていただろうにと思うと悲しいです。
人間同士の衝突(意見のぶつけあいなど)を繰り返し、理解し合おうとすることを諦めないでほしいというメッセージが込められていたのかもしれません。
読んで頂きありがとうございました。
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