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映画『雨に唄えば』との関連は?
デイミアン・チャゼル監督は映画『雨に唄えば』が大好きなことで知られています。
『雨に唄えば』もバビロンと同じく、映画業界でサイレント映画からトーキー映画に主流が切り替わり、主人公の俳優ドンや女優のリナが奮闘する映画です。
『バビロン』のジャック・コンラッドとネリー・ラロイが『雨に唄えば』のドンとリナがモチーフになっていることは、『雨に唄えば』を知っている方なら一目瞭然です。
また、映画撮影シーンで雨の中カッパを着て歌う人々が登場したり、ラストでマニーが入った映画館で上映されていたのが『雨に唄えば』だったりと、この映画が意識されて作られているのは明らかです。
つまり、映画『バビロン』はチャゼル監督バージョンの『雨に唄えば』であると言えるのかもしれません。
ネリーはなぜマニーと逃げなかった?
ネリーはマニーと逃げていれば死なずに済んだと思われますが、ネリーは最初から逃げる気は無かったように見えました。
ネリーがハリウッドから逃げなかったのは、夢を実現できないなら生きていても仕方ないと思ったからではないでしょうか。
マニーはネリーに「一緒に家庭を作ろう」と言いましたが、ネリーは恐らく「普通の幸せ」は求めていなかったのです。
また、上の項に書いた『ネリーはバベルの塔を擬人化したキャラクター』という想定と当てはめても、塔は建てられた場所から動けないので、ネリーもそうだったと考えられます。
ラスト考察:マニーが映画館で笑ったのはなぜ?
ラスト、マニーは懐かしむように映画館に入り、上映中の座席に座ります。
マニーが俯いて泣いたのは、恐らくマフィアのジェームズ・マッケイと関わってしまったことで映画の道を諦めざるを得なくなったことや、ネリー、ジャックを救えなかったことなどに対する多くの悲しみをかみしめていたのでしょう。
しかし、マニーの泣いているシーンの合間に『ターミネーター2』や『アバター』のワンシーンが流れた直後、マニーは何かに気付いたように笑いました。
マニーが笑った理由については完全に個人的な解釈ですが、マニーは『どんなに悲惨な人生だとしても、それはそれで映画にできて後世に語り継げる』と思い、自分やネリーやジャックの人生が映画になる可能性を考えていたら「やっぱり自分は映画が大好きなんだ」と再確認して笑ったのではないかな~と感じました。
また、記者エレノアの「俳優は、例え死んでも映画を再生してもらえさえすれば何度でも蘇ることができる」という発言とも関係あるように感じています。
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