『バビロン』ネタバレ解説考察|タイトルの意味、雨に唄えば、ネリーについてなど | 映画の解説考察ブログ

『バビロン』ネタバレ解説考察|タイトルの意味、雨に唄えば、ネリーについてなど

※この記事にはPRが含まれています。
※この記事にはPRが含まれています。
バビロン ヒューマンドラマ

映画『バビロン』の解説・考察をしています!
タイトルの意味、雨に唄えばとの関連などについて考察しています!

この記事は鑑賞した方向けの記事です。
まだ観ていない方はネタバレにご注意ください(__)

バビロン

原題:Babylon
制作年:2021年
本編時間:188分
制作国:アメリカ
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
制作総指揮:トビー・マグワイヤ ほか
この映画はR15+の年齢制限があります。
刺激の強い性愛描写がみられるためです。(映倫参照)

≪U-NEXT≫で『バビロン』が見られます! 31日間無料キャンペーン実施中。
※このページの情報は2023年6月時点のものです。最新の配信状況は各配信サイトにてご確認ください。

主要キャスト紹介

ジャック・コンラッドブラッド・ピット
サイレント映画で人気を博した一流映画俳優。

ネリー・ラロイマーゴット・ロビー
ハリウッドでの成功を夢見る役者の卵。
自由奔放なキャラクターが周囲を魅了する。

マニー・トレスディエゴ・カルバ
映画監督を目指すメキシコ人の青年。
ジャックに気に入られて映画製作の世界に足を踏み入れる。

 

エリノア・セント(記者)・ジョン…ジーン・スマート
シドニー・パルマー(トランペット奏者)…ジョヴァン・アデポ
アンナ・メイ…リー・ジュン・リー
ジェームズ・マッケイ…トビー・マグワイヤ
ロバート・ロイ(ネリーの父)…エリック・ロバーツ
イステル(ジャックの妻)…キャサリン・ウォーターストン
ジョージ(ジャックの親友)…ルーカス・ハース
アイナ(ジャックの妻)…オリヴィア・ワイルド
オルガ・プッティ(ジャックの妻)…カロリーナ・シムザック ほか

 

あらすじ紹介

あらすじ①:

バビロン

「バビロン」(C)2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

舞台は1920年代のカリフォルニア州ロサンゼルスです。

当時、映画はサイレント映画(音声なしで台詞は字幕の映画)が主流でジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)はアメリカで最も人気の高い映画俳優です。
ジャックは夜な夜な派手なパーティーを開いては酒と女遊びを楽しみます。

ある夜、ハリウッドデビューを目指す女優のネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)と、映画監督を夢見る青年マニー・トレス(ディエゴ・カルバ)がジャックのパーティーに忍び込みました。
マニーはネリーとこの夜出会ったばかりでしたが、自由奔放で表情豊かなネリーに一目ぼれします。

ネリーはパーティーで自由気ままに踊り狂う姿が映画製作関係者の目に留まり、ある映画の『踊る女』の役としてスカウトされました。
ネリーが選ばれたのは、元々その役に決まっていた女の子がドラッグの大量摂取で倒れてしまったからでしたが、ネリーにとってはまたとないチャンスでした。

マニーはパーティーで酔いつぶれたジャックを自宅に送り届けたことをきっかけにジャックに気に入られ、ジャックの付き人の仕事を手に入れました。




あらすじ②:

ネリーは初めての映画撮影で男性陣を魅了するダンスをしてみせたり、監督の要望通りの演技ができたことから才能を見出され、ハリウッドで女優デビューします。
ネリーの出演するサイレント作品はどれもヒットし、有名映画評論家エレノアも彼女を褒め称える記事を書き、ネリーは一気に名を上げて有名女優の仲間入りを果たしました。

マニーも映画撮影のスタッフとして働くうちに回転の早さや臨機応変な対応力を認められ、大手映画制作会社キノシネマで念願の映画監督になりました。
1927年にはトーキー映画(音声のある映画)が製作・公開されるようになり、サイレント映画は徐々に廃れていきます。
マニーはジャックのパーティーでも演奏していた黒人トランペット奏者のシドニー(ジョヴァン・アデポ)をスカウトし、ジャズミュージシャンの演奏をまるごと映像にした作品を作ります。
マニーの仕事はヒットしてシドニーは有名人になり、マニーは出世して管理職の地位に就きました。
この頃、マニーは職場で出会った白人女性と結婚して家庭を持ちました。

シドニーはしばらく映画界で活躍しますが、ある日シドニーは『照明の加減で肌が白っぽく見えるから』という理由で黒い塗料を顔に塗って撮影させられました。
シドニーはその時だけは従いますが、それから二度と撮影の仕事は受けなくなりました。

大人気のネリーは当然トーキー映画にも挑戦しますが、常に酒焼け気味でかすれていたネリーの声は観客から「汚い」と言われてしまい、それから人気が急落して仕事のオファーがなくなってしまいます。
ネリーは父親ロバートをマネージャーとして雇いますが、ロバートは仕事が出来るタイプではなく、ネリーのお金で他の事業を始めたものの失敗し、お金を浪費してしまいます。

サイレント映画と共に人気衰退気味だったジャック・コンラッドは時代の流れに乗り遅れまいといくつかのトーキー映画で主演を務めますが、どれも大コケしていました。
さらにジャックを映画界に誘ってくれた親友のジョージが自殺してしまい、ジャックはさらに落ち込みます。
ジャックはお忍びで映画館に行き、自分の映画を観ている観客を見てみると、本来なら感動するはずのシーンで観客は爆笑していました。
ジャックは観客が爆笑する理由がわからず、困惑して映画館を出ました。

 

あらすじ③:

マニーはネリーのために『ネリー・ラロイを再教育してもう一流女優の座に返り咲きさせる』というドキュメンタリー企画を考案します。
マニーはネリーに大人の女性らしく振舞うことを約束させ、ネリーを気に入っていた記者エレノアがネリーに声の矯正や正しい喋り方、女性らしい振る舞いを教え込みました。

数週間後、マニーとエレノアはスポンサー集めのために多くの貴族が集まるパーティーで貴族にネリーを売り込もうとしますが、ネリーは貴族の人たちの彼女を見下すような目やバカにするような発言の数々に耐えきれず切れてしまいます。
ネリーは貴族たちを散々バカにしてから食べ物を下品に食い散らかし、超高級カーペットと主賓の男性にゲロを浴びせて帰ってしまいました。
貴族たちは激怒し、マニーは責任を取らされて出世の道を絶たれてしまいます。

それからしばらくネリーは姿を消していましたが、数年後のある夜、ネリーがいきなりマニーの自宅に現れました。
ネリーはギャンブルにハマってマフィアに8万5000ドルの借金を作ってしまい、どうしようもなくなってマニーに助けを求めに来たのです。
マニーはネリーを見捨てられず、助けることにしました。

マニーは部下に頼んでお金を用意してもらい、部下と2人でマフィアのボスのジェームズ・マッケイ(トビー・マグワイヤ)にお金を返しに行きました。
マニーはジェームズにお金を渡した後で、部下が用意した金が映画の小道具用のニセ札だったことを知ります。
マニーは慌てて帰ろうとしますが、ジェームズは中々マニーと部下を帰してくれず、「映画に使えそうな男を紹介する」と言って2人を人気の無い廃墟に連れて行きました。

 

あらすじ④:結末

そこでは危険な闇パーティーが開かれていて、地下にはジェームズが山で見付けたという山男が出し物にされていました。
ジェームズは「こいつはチップを与えれば何でもする」と言い、マニーが渡したお金を1枚ずつ山男に投げ始めます。
この時にお札に水がつき、文字がにじんで偽札だとバレてしまいました。
マニーと部下は大慌てで廃墟から逃げ、このままロサンゼルスから逃げることにします。

マニーは嫌がるネリーを説得して部下も一緒に3人で逃げようとしますが、荷物を取りに寄った部下の自宅に殺し屋が現れて、部下は殺されてしまいました。
マニーが必死で命乞いすると、殺し屋は「LAから出て行け」と言って立ち去りました。
マニーは大急ぎでネリーの待つ車に戻りますが、ネリーも車から消えていました。
周囲を探してもいないため、マニーは1人でスペインに逃亡しました。
その後、ネリーはマニーとはぐれた場所の近くの路地裏で死体で発見されました。

同じ頃、ジャックは仕事の不調と親友の死から立ち直れず、自ら命を絶ちました。
ジャックとネリーの死は新聞の隅っこに小さく掲載されただけでした。
ジャックとネリーが死んだのは1932年のことでした。

時は流れて1950年代。
マニーはスペインから妻と子どもを連れてロサンゼルスに旅行にきました。
久しぶりに見るキノシネマのスタジオはマニーが働いていた当時と変わりなくそこにありました。

マニーは妻に子どもを任せて1人で映画館に入ります。
マニーは映画を観ながら、自分の過去、ネリー、ジャックのことなどを思い出して涙を流しました。




解説・考察・感想など

 

タイトル『バビロン』の意味は?

『バビロン』は古代メソポタミア地方(イラクにある地域)にある古代都市の名前で、当時バビロンは世界最大の都市だったと言われています。
バビロンは何世紀もの長い間この地方を支配し栄えていましたが、時代の流れと共に衰退して現在はユネスコの世界遺産に登録されて観光地になっています。

この映画は、映画がサイレントからトーキーに主流が移り変わる様子や、映画業界で成功した俳優たちの繁栄と衰退を古代都市バビロンになぞらえて作られています。

本作にニップル(乳首)がこれでもかとばかりに登場したのは、当時メソポタミア地方で重要視されていた嵐の神様の聖地『ニップル』とかけてあったと思われます。

また、古代都市バビロンといえば旧約聖書に登場するバベルの塔も有名です。
『BABBEL』は混乱、カオスを意味し、バベルの塔は、神の領域(天)に届くことを目指して建設されたものの建設途中で崩壊してしまった塔で、崩壊の経緯から『実現不可能な計画』という意味でも使われます。
振り返ってみると、ネリーの自由奔放な性格は言い換えればカオスとも受け取れますし、彼女の人生そのものがバベルの塔をなぞらえていたようにも思えました。

また、新約聖書の一部である『ヨハネの黙示禄』には、『大娼婦バビロン』という悪魔が登場します。
悪魔バビロンの住む場所は『汚れた霊の巣窟』と呼ばれ、あらゆる不道徳な行為が容認される場所です。
本作でトビー・マグワイヤ演じるジェームズ・マッケイや、彼がオーナーをしていたあの廃墟は悪魔としてのバビロンが描かれていたように思います。
ちなみに廃墟で飼われていたらしきワニも、聖書では神に敵対する動物として登場します。

次のページに続きます!




感想などお気軽に(^^)

タイトルとURLをコピーしました